はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『丹波和田』を参照していただくようお願いいたします。 2014. 5. 1. 木曜日 曇り時々雨 気温 肌寒い
今からちょうど1年前に 岩屋山清水寺跡〜延命寺山 というコースを氷上の母たぬきさんと二人で歩いたのだが、一年ぶりにもう一度行ってみたくなる。 清水寺までは去年と同じコースなので変化はないが、岩屋山という同じ山号を持つ三つの お寺のことも知って欲しいのでぜひ去年のレポートを参照しながら見てほしい。
山南町の五ヶ野がスタート地点。去年の同じ場所に駐車させてもらう。9時20分スタート。 まずは清水寺から仏像などが下ろされたいわやさん(岩屋神社)に立ち寄る。 ここには三棟の建屋がある。前回も書いたが清水寺には西の堂、東の堂、休堂の 三棟があったというが、岩屋神社のそれがそれぞれに該当しているのかどうかは不明。 施錠された扉には小さなのぞき穴があって、そこから少しだけ中を見ることができる。 |
岩屋神社は24地蔵の23番札所でもある | 今回は読み取れた |
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前回は読み取れなかったが真ん中の建屋にあるお社には『大行事権現』『気比大権現』という 札があった。垂迹で言うところの『大行事権現』とは観音菩薩のこと。同様に『気比大権現』は 大日如来を表す。実際、中にその仏像があるのかどうなのかは7月に行われる護摩炊きに来るしかない。
左にある建屋を覗くと『客人大権現』とあった。なじみの無い言葉だが客人(まろうど、あるいはまれびと)信仰という
ものがあって、異界からやってくる霊魂とか神などをお祀りするものという。お盆で祖霊を祀るのも、
うちの田舎で行われている『大島神社例大祭』
なども同様のもの。古くは旅人やら、流浪の僧、旅芸人なども
固定された土地に縛られた農民にとっては異界からの客人となる。
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猪垣の残る林道 | 石の道標が倒れていた!! |
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林道入り口にある害獣避けの扉をクリアーして猪垣の残る林道を進む。植林が周囲にあるためか ちょっと肌寒くなる。今日は天気も怪しくて、ひょっとしたら篠ヶ峰までは行けないかも・・・。 と、前方を見ると、なんと、去年見たあの石の道標が倒れていた。これは一人では到底起こせる重量ではない。
石碑には『従是本堂江十八丁 右 いわや 左やま道』とあって、その後ろには『十四丁』の丁石、
さらに林道から参道の分岐にも『十七丁』が転がっている。
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これが参道だ | 徐々に道っぽくなる |
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途中の参道は、それはもうひどい状況で道の状態を保てていない。とりあえず上へ、上へと進むのみ。 途中にあるであろう丁石を探しつつ登る。見つけたのは『十六丁』、『二丁』。ていうことは、去年見つけた 『十三丁』、『四丁』は見逃したことになる。人間の目ってええかげんなもんや。 |
本堂真下の石垣 | 石段を登る |
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ここに寺跡があると確信していなければとても登ろうという気持ちになれない谷だ。が、徐々に 道らしくなってきて、やがて立派な石垣が現れてくる。山南小川地区の石龕寺にいた雲暁という僧が開祖 となっているが、そのときのものなら660年前となるのだが・・・。 |
地蔵菩薩に再会 | 岩屋に入る |
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石段を登ると左右に長細い敷地が現れる。一見狭いように見えるが山側の土砂が長年のあいだに 崩れ落ちてきているためのようだ。ここで一番目立つ存在の地蔵菩薩の石仏と再会。 石龕寺の山門をくぐった所にもこれと似た様式の石仏群がある。ここの石仏は 『享保三(1718)年』『戌ノ七月日』の銘があるが、あちらも同年代なら両寺は この時期も交流があったといえそうだ。 |
岩屋の左奥の岩棚にあった | 近づいて見る |
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前回見落とした石仏を探す。ぐるーっと見渡してみると小さいながらもすぐにわかった。 岩屋の左奥にある岩棚にそれはあった。近づいて見ると役行者の石仏で銘は無い。本来なら右手に錫杖が あるのだが、その部分にはちゃんと穴が開いている。さらに高下駄も歯の部分がくりぬかれており 丁寧な造りだとわかる。
さらに岩屋の中をよく見ると伝承通りに水が湧いているのが確認できた。この寺名である
清水寺もそのわき水、雨乞いの儀式に由来するのだ。
けっこう長居をしてしまったようで11時05分再スタート。
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鉄塔下で食事 | 加古川流域175号線と西脇の山々 |
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前回と同じルートで620ピークへ向かう。このピークは無名だが本来はここが岩屋山というらしい。 前回はここから南西に延びる尾根で縦走したのだが、今回は726mのピークへ向かう。その 手前にある送電線鉄塔で休憩。時間は早くも12時を過ぎていた。仕方なくここで昼食とするのだが、 心配していた雨が降り始めたので食事も中断。
この黒雲は一時的な感じもするのでとりあえず前進。726mピークには12時30分。国土地理院の地形図には
ここが岩屋山となっているが地元では丑寅山と言うそうだ。現にこのピークを挟んで西側の字は丑寅谷で東側は嵐ヶ谷と言う。
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千ヶ峰方向を見る |
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ここからしばらくはシャクナゲの尾根となる。昔はもうちょっとたくさんあったように思うのだが、 台風などで倒れた倒木がシャクナゲもなぎ倒しているような感じがした。 実際、倒木をくぐり抜けたり、またいだりしないといけないような箇所がある。
途中で見える千ヶ峰も市原峠付近は林道でズタズタにされていてなんとも痛ましい。その林道はまたに山の真下付近まで延伸されていた。
いずれは三国岳の林道とつながるのだろうか。MTBが山道を荒らすと言って千ヶ峰では目の敵にされているが、こうやって山全体を
崩壊させかねない林道は許されるのか?本末転倒も甚だしいと思うのは私だけか。
昔、峠手前に地蔵堂があって(そういえば水場もあったなあ・・・)、そこを登り切った所にあった昔の峠の姿はもう記憶の中にしかない。
遠く感じた篠ヶ峰の頂上が見えた。下山は右にある鉄塔付近から降りることになる。雨雲は薄くなり 雨の心配はなさそうに見えたのでそのまま頂上へ行くことにする。頂上付近はコバノミツバが満開だったが それに見とれているとなんと雨が降り始めて来た。あっというまに本降り状態になりリュックカバーと傘を出す。 雨宿りしたかったが頂上にある建屋はすべて金網で囲まれて屋根のある場所は無し。
傘を差して頂上の二等三角点を見る。標高827.0m。角が削られ赤いペンキを塗られて散々な状態の三角点だった。13時50分。
今は電波塔などが乱立して林道で頂上に立つことができるためにハイカーには人気の無い山だが、こんな山でも
不思議な伝説が残っている。
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本降りの雨 | でもすぐに止んだ |
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昔、山頂には法道仙人が開基した寺院があったという。祀られていたのは丹治大明神と文殊菩薩。そういえば丹治から 篠ヶ峰へ登る林道の途中には『文殊の水』というわき水ポイントがある。 また、頂上付近にあった大岩が夜な夜な牛に変身して田畑を荒らしていたが弘法大師の法力でこれを 閉じ込めたという(『ひょうご歴史ステーション』より抜粋)。初めて登ったときもこの伝説を知っていたので 周辺にそのような大岩がないかどうか探したことがある。 この牛石(牛岩だったか?)は同じような内容の話が麓の西谷集落にもある。さらには西谷集落から 加美町へ抜ける峠は牛坂と呼ばれています。また実在した清水寺とか、篠ヶ峰にあった幻の寺院伝説、周辺の山々の 宗教色の濃さから言って、修験の行者たちがこの山塊を駆け巡っていたはずと想像する。
雨が続くのでさっさと下山開始(というか、予定よりずいぶんと行動が遅れている)。
下りは初めてのコース。駐車している五ヶ野へダイレクトに下りたいのでこのコースを選択。
『38』の鉄塔手前までは花も多くあるし、歩きよい巡視路の見本のような道だった。
が、そこからは一転ロープありの斜面、鉄はしごありーの下り。と、結構な難路となる。
写真の鉄塔『39』で巡視路がわからなくなる。鉄塔の四本の支柱周辺を歩きたいのだが、地面がザレていて斜面を滑り落ちそうな 状況になっている。下りで膝が痛くなってきて、さらに雨で滑りやすいため変な所に力が入るためか 両足が攣ってしまった。しばらく立ち止まっていると、今度は天気も晴れから急に雲が出てきた。 時計を見ると15時を回っている。不安要素が増えて気持ちも焦ってきたが、おちついてもう一度 周辺を丹念に見渡すとプラ階段が見えた。ふ〜っ、っと一息深呼吸。 |
鉄はしごは | 続くよ | えーい、もう一丁 |
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下山して駐車場を借りたおじさんに話を聞くと何年か前に同じコースで遭難騒ぎがあり灯りを持って村中で 探しに出たとか・・・。さらには大柿さんも過去、山頂で時間を過ごしすぎて、このコースの途中で暗くなり 真っ暗な林道を歩く羽目になったとか・・・。
膝をかばいつつロープ場とはしごをクリアーしていく。延々続くかと思われた難路の巡視路も
終わりに近づいた。林道に出たのは15時50分。ここからさらに長い林道歩きが始まる。
ようよう16時30分に駐車ポイントに到着。
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林道への出口 | 赤井五郎塚 |
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痛む膝を引きずって車に戻る前に、道ばたにある小さな祠を見る。これは丹波の武将であった 赤井五郎の塚とされている。言われなければわからないような小さな塚だ。ふと思ったのだが、 清水寺の開祖である暁雲は足利尊氏の庇護を受けた人物。赤井五郎の先祖も尊氏の家来だった。 その塚がここにあるのも偶然なのだろうか。 |
つばき | ギンリョウソウ |
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シャクナゲ | コバノミツバツツジ |
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ヒカゲツツジ | ショウジョウバカマ |
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今日見た花を貼り付けてみました。
今回の岩屋山清水寺跡〜篠ヶ峰の地図は
こちら(約160k)
でごらんください。 |