はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『出石』を参照していただくようお願いいたします。 2010. 5.15. 土曜日 晴れ 気温暑い
ここ数年はこの時期に床尾を訪れるのが恒例になってきた。2008年
は奥山集落から西床尾〜東床尾と周回をしている。
2009年
はMTBで東床尾から縦走をしている。
今年は2つほど案があったのだが、OAPさんのリクエストでそのうちの一つ、出石町桐野からのルートにチャレンジしてみる。
このルートは山頂近くの作業小屋横にある近畿自然歩道の標識からその存在を知ったのです。
とりあえず桐野集落の最奥へ行ってみるとほどよいスペースがあったのでここに駐車する。 目の前の林道入り口にはゲートと、手前の電柱の陰には自然歩道の標識があった。 9時45分スタート。 |
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古いお堂がある | けやきの大木 |
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ゲートを開いて通過する。のんびりと10分ほど歩いた所に小さな社があった。中を覗いてみるが 小さな神棚があるだけでがらんどうだ。ひょっとしたら里に下ろしたのかもしれない。 周辺はうっそうとした植林だが耕作地跡もあることから昔は里人の行き交う生活の場だったのだろう。 簡易水道施設跡を過ぎて林道の分岐となる。10時05分。この近くまで車で来ることも可能だが いろいろと見るべき所もあるのでやはり歩くべきだろう。
右(道的には正面になる)を行けば『大滝 0.5km』左の橋を渡れば『小滝 0.5km 東床尾山山頂2.7km』とある。
つまり大滝を見ようとすると往復1kmの寄り道をしなければならない訳だ。う〜ん、今回は大滝はパスかな・・・。
ということで橋を渡る。しばらく歩くと今度は小滝と登山道との分岐になる。正面をちょっと登ると小滝のはずなので
これは寄り道対象です。
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小滝 | 小滝から戻って登山道へ |
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三人とも小滝に驚嘆の声を上げる。小滝と言いながらずいぶんと立派な滝だ。 写真では二段のように見えるが、その上にさらに一段あるので三段の滝と言えそうだ。 これが小滝ならパスした大滝はどれほど立派なのだろう! 見に行かなかったことをちょっと後悔する。 小滝は別名『殿様の滝』とも言うらしい。この近所で殿様というと出石の殿様を思い浮かべるが、 その殿様お気に入りの滝だったということだ。 何枚か写真を撮って登山道へ向かう。 |
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雨が降れば滝になりそうな岩盤 | 滝見台から見下ろす |
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登山道分岐に引き返して小橋を渡り細い道をジグザグに登っていく。 するとベンチがあって、そこからは先ほどの小滝が見える。木の枝がなければ格好の 滝見台と言えよう。登山道はどうやらこのまま小滝の真上を通過するようだ。 予想通り滝口を過ぎて渓流に沿って登る。 こんな山中に真竹の生えたちょっと怪しげな所があった。 竹は早く成長して木材の代わりに利用できるので人為的に植えられることがある。 ということで、周囲を丹念に探ると何かあるかもしれない (たとえば鉱山跡とか)。竹林のために登山道もわかりにくいが直進が正しいので左の谷に行かないように。 所々、忘れたころに自然歩道の立派な道標が目の前に現れる。『東床尾山山頂 1.6km』の 標識が現れたら、そこから谷を離れて右の斜面をジグザグに登っていくべし。 新緑の光が気持ちよい。道がジグザグにあるから良いものの、まっすぐに直登は アキレス腱にきつい。
鞍部には11時05分着。ここにもご丁寧に『東床尾山山頂 1.4km』の道標がある。
地形図から判断すると
ここからまっすぐに支尾根の直登が順当な所だが右手に巻き道があった。
方向からすると山頂から離れるような感じだが歩いてみるとこれがすばらしい道だった。
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右下には渓流がある | ここに来るだけでも良いかも |
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ゆるい斜面に付けられた道で、登るでもなく、下るでもなく、山に包み込まれている ように感じる場所だ。 右下からは渓流の心地よい音もしている。緑の光のシャワーを浴びながら スーッと汗が引いていく。谷と出会ったところでおなじみの道標は左を 指していた。このまま西の支尾根に取り付いても何の問題も なさそうだが道標に従って左の支尾根(さきほどの鞍部からの支尾根である)を行く。 |
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円山川を見る | 山頂はすぐだ |
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それほど急でもなかったかもしれないが、とにかく暑い登りだった。 さすがのお二人も「きつい!」を連発している。 ちょっと北方面の見えるところで小憩。もうひと踏ん張りだ。 こんな所にも道標がある。その向こうには山頂も見えている。 奥山への支尾根と合流してひと登りで作業小屋跡に出る。 そしてようやく山頂だ。12時10分。 |
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ヘリポート跡で食事 |
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いつもは誰もいない山ばっかりなので自由に大声でおしゃべりですが 先客が2組あったので遠慮がちに食事をする。無線を試みるがメイン周波数で 無変調の妨害があったので止め。 とにかく360度の大展望なので知っている山を次々と同定する。 日本海も輝いている。南を凝視するがさすがに瀬戸内海は見えない? |
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キンシ梅をかき分けて | 歩きよい尾根だ |
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13時下山開始。下山コースは頂上から真北に延びる出石町と但東町の町界尾根を下るのだ。 昔はそんなことを考えもしなかったのだが、近年頂上付近のシダ類を含む藪が無くなったので ひょっとしてと思いチャレンジしてみる。キンシ梅の生え込みをクリアーすると 予想通り見通しの効く尾根が現れる。朝方立ち寄った寺坂の公民館も見えている。 |
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藪も無い | 雑木の尾根だ |
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『I』ピークを西巻 | 尾根には道がある |
植林帯もちょっとあったが、全体的にほとんどが雑木の尾根と言っていいだろう。 注意すべきはやはり要所要所にある下り分岐のポイントだ。 単独なら時間をかけて地形図と周囲の地形とをにらめっこなのだが、今日は GPSがあるのでそれに従うのみ。要注意の『I』ポイントからの 2重稜線も難なくクリアー。このあたりからソマ道も現れ里が近いことを知る。
さて、どこから降りようか。とりあえず最初考えていたポイントにやってきた。
ここから降りると駐車ポイントに一番近い。後でわかったのだが、このまま北進すると
147.8の三角点ピークは山城跡らしい。あまり里に近い所まで行くと獣避けの金網が
張り巡らされている可能性があるのでここから下山。
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坑道跡発見 | 何の鉱物が採れた? |
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登るときに歩いた林道が向こうに見えるほど下りきった時、足下にでかい穴を発見。 近くにはそんなのが3つもある。(もっと広範囲に探せばさらにあるかも) 入り口はほとんど崩れていたが身体を中に押し込んでみる。 ライトは常備しているのでそのまま奥へ歩いていく。 (慈眼禅寺の奥さんから聞いた話では出石焼きに使用する陶石なるものが採れたという) OAPさんはとっくに駐車ポイントに帰っていた。私とTQFさんは泥まみれで川で手を洗う。 (ちなみにTQFさんはズボンも洗ってパンツ姿・・・) それにしても設定したルートを思い通りに下れることの快感は、普通の登山道を なんにも考えずに歩く登山では得られないものだ。
15時に解散して私だけすぐ近くにある慈眼禅寺へ寄ってみる。ここには
『なみだ地蔵』と呼ばれる石仏があるという。
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なみだ地蔵はどこ? | 青面金剛でした |
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ご住職の奥さんにお願いすると快く案内してくれた。それは蔵の入り口にあった。 元々野外だったのを入り口に接するように小屋を建て増したようだ。 中には数体の小さな石仏たちと最奥の蔵の入り口付近に自然石に彫り込まれた石仏があった。
見ると、それはこの地域に多くある『青面金剛』だ。湿度が高くて結露すると涙を流したように
なることから名付けられたらしいがあくまでもこれは地蔵ではありません。(^_^;) 見ざる、言わざる、着かざるの三猿のうち聞かざるが欠けているのが残念だ。 かわいそうなショケラは哀れに手を合わしているにもかかわらず髪の毛を掴まれて ぶら下げられている。彫られている文字は 『文政十丁亥(1827)年』、『四月吉祥日』、『願主 村中』、『石工 作平』とあった。 石工の名前まで彫られているのは、出石、豊岡は玄武岩の産地で多くの石工がいたので その一人だろう。
今回の東床尾山の地図は
こちら(約130k)
でごらんください。 |