三室山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『西河内』を参照していただくようお願いいたします。

2005. 4. 2.  土曜日  曇り  気温ふつう
三室山から大通峠に下山する(あるいは登る)という計画はずいぶん前から意識の奥底にしまい込んでいました。 しかし三室山自体に登った回数が少ないため、頂上から峠までがどのような状態か(笹藪なのか樹林帯なのか) すらわかりません。 やはり夏場は無理なのでしょうか?雪のある季節なら行けるのでしょうか? 先週天児屋山に登ったときに三室山から峠までの 稜線を見ると笹藪が全て雪に隠れているし尾根も複雑ではないので案外簡単に行けそうです。

三室山といえば野外活動センターから直登する一本道しかありません。 兵庫第二の標高を誇る山でありながらたった一つの登山道しかないとは情けない。 せっかくですから違うルートで登ってみましょう。
三室の滝

先週行った千種スキー場への分岐を曲がらずに直進します。通常ならセンターの 駐車場に止めますが、その手前にある三室の滝の前にあるスペースに車を止めます。 そしてまずは滝見物。木の鳥居と『三室の滝』と彫られた石板が入口にある。 手元の地形図にはなぜか名前が違っていて『燗鍋滝』とある。

それにしても不思議な水流をしている滝である。三筋の流れがあり、真ん中のそれが一番勢いがある。 しかも川底の岩が変形しているのか、流れ落ちた水は弾かれたように前方に飛び出している。 落差はないが、その不思議な水流と雪解け水で水量があるためにえもしれぬ迫力がある。

滝見物も終えて出発する。8時20分。山とは逆方向に一旦舗装路を下っていく。 『みむろばし』という小橋を渡って左にある舗装の林道を登っていきます。 はじめは雪もありませんが途中から雪も出てきてスノーシューを早々に履いて歩く。 林道は延長1068m。標高は700mぐらいの所が終点だろうか。8時45分着。
林道終点からどう行く?枝尾根は歩きよい

ここでOAPさんから無線が入る。OAPさん達一行も今日は三室山を目指しています。 JMMさんとKOKOさんも一緒なので一般ルートで山頂へ行くらしい。 頂上で合流した後はもちろん大通峠まで一緒に下って行こうということに。

林道終点からどうしましょう。スノーシューを外して周囲を探索します。 以前は谷から大きく右に登って871mポイントから竹呂山頂を目指しました。 今回は素直に谷道(写真の黄色方向)を遡って竹呂山北にある鞍部に行く予定でした。 ところが左上によさげな小径(写真の緑色方向)が見えています。竹呂から離れてしまいますが ひょっとして大当たりルートかも!!

川を渡り登り始めるとやっぱりというか、当たり前というか小径はすぐに無くなる・・・・。 後戻りして谷道を登ろうか・・・。 まっ、ええか。このままどこまで行けるか登ってしまえ!! ほとんどやけくそで斜面を登り切ると尾根に出た。

この尾根は下ショウ台(1198m)の南下付近から南西に延びている枝尾根です。 ここは雪もなく足元も切り開かれていて問題なく歩けます。しばらくすると 石標(478)と山仕事とハイカーのマーキングも出てくる。石標は上面に境界線を示す矢印が彫られているもので、 この手の石標は時々見ることがあり、下山方向を探るときの目安になったりする。その石標も472で 終わってしまい、後はハイカーのマーキングだけだ。

そのマーキングもいつの間にか無くなって目の前には雪の急斜面があるだけ・・・。雪は深くはないがザクザクで しかも中が空洞になっていたりする。スノーシューも深く沈み込み思うように登っていけません。 撤退かなあ・・・立ち止まって下界を眺めて気持ちを静めます。なんとか これ以上スノーシューでは無理というところまでやって来ました。 スノーシューを外してみましたら雪の下が笹なのでさらに滑ります。最後のアイテムのアイゼンを付けてみました。 これが正解!!
雪の急斜面から千種の町を見る下ショウ台から楽しい尾根歩き

滑り落ちると大けがをしそう。立木を掴みながら慎重に登ります。アイゼンはザクザクの雪を咬んでいるのか、 あるいはその下にある笹を咬んでいるのか、なんとか登っていけます。上を見ると特徴的な岩塔が二つ並んであります。 あそこまでいけばなんとかなりそう・・・。

岩塔の下を回り込んでようやく平坦なところに出ました。もちろん周囲は雪だらけですからアイゼンを外して 再度スノーシューに履き替えます。 ちょっと歩くだけで下ショウ台(1198m)に着、10時50分。三室山と竹呂山を結ぶ町界尾根の上にある ピークです。時計を見るとなんと林道終点から2時間もかかっています。 OAPさん達はどのへんでしょうか?まあ、ここからは楽勝でしょうからのんびりと行きましょう。
中ショウ台から振り返って見る

笹が雪に埋まっていて周囲にあるのはブナの木ばかりです。どこでも歩けるし、ブナにも触れるし、 うれしくて立ち止まっては写真を撮りまくる。そんなことをしていても 1242mの中ショウ台までは10分もかかりません。雪のない頃に来たときは 笹に行く手を阻まれて1時間もかかったんですよ。振り返るとベレー帽をかぶったような竹呂山が低く見えます。

Ca1300mのピーク(下界から見ると中ショウ台よりも目立つピークなのになぜか無名)は要注意。 登ったのは良いけれどその先が切れ落ちていて降りることが出来そうにありません。 倒木とか笹やら枝やらを伝ってなんとかクリアー。 引き返して適当な所から横手をトラバースするのが良いのでしょが、その斜面もズルズルで危険な感じがします。

三室山の正規登山道と合流。雪には誰の足跡も無いことからOAPさん達はまだのようだ。 とりあえず山頂に行ってみる。11時30分着。1358m、二等三角点は雪の下。 先ほどまでの下、中のショウ台を経た最終のピークですからもちろんここの裡称は『ショウ台』です。 無雪期に下ショウ台から3時間かかったのが、ゆっくり歩いても40分!! なんか笑えてきますわ。その時のレポートはこちらをごらんあれ。
三室山頂上から北〜東を見る
曇っていたのでやはり展望はあまり良くなかった。それでも東は氷ノ山からここ三室までの 中央分水嶺のピークが確認できた。さらに西に転じると先週歩いた天児屋山とその奥に沖の山。 今日はここから天児屋方向に大通峠まで下ることになる。どんなところか楽しみだ。
南方向。竹呂山は1300ピークに隠れているようだ
OAPさん達も登ってきた

しばらくするとOAPさんから無線でまもなく到着すると連絡が入る。じっとしていると寒くなってきたので ジャケットと手袋を着ける。12時10分三人が山頂にやって来ました。 なんだかずいぶんと疲れているように見える。 話の具合からすると正規コースは相当にキツかったようです。 今日の雪の感じからすると私のコースの方が楽だったのかもしれません。

山頂の脇で風を除けながら昼食を摂りました。お腹も満腹になったしそろそろ下山しましょう。 気が付くと山頂には幾人かのハイカー達が登ってきていました。彼らは素直にピストンで下るのでしょうが、 この時期にピストンは無いでしょう!!やっぱ大通峠でっせ!!「あんなとこ下っていくけど大丈夫なんやろか?」 ハイカーの声が聞こえてきます。13時05分。

「スキーには絶好の傾斜やなあ」とOAPさん。もちろん今日は全員足元はスノーシューです。 その傾斜を利用して女性陣二人はスイスイと下って行ってます。前方に見える大通峠までの 分水嶺の尾根上には一本の雪の白線が引かれたようになっています。 ということは障害物もなく峠まで楽勝ってことです。
大通峠へ下ります。思ったより快適斜面やね

ブナの木がありますが、風と雪で痛めつけられているのかどれも痛々しい姿をしています。 傾斜がゆるやかになった所は大きな雪原。しかし雪が少なくなったためか笹が立ち始めています。 といってもまだまだご愛敬程度。これが夏になるととんでもない笹藪に変身するのでしょう。 やはり夏は無理か!!振り返ると三室の姿が何とも言えず美しい。 このルートを歩く人だけの特典です。
振り返って三室を見る雪庇の細尾根を行く

雪原が終わるといきなり尾根は細くなり大きな雪庇が連続する。覗き込んでみると けっこう高さはある。1132m標高点の先から左90度に折れると、またまたブナの林になる。 山頂直下のそれと違ってここのブナはいずれも健康体で若々しい。その間を右に左に縫うように 歩くのが心地よい。
峠近くはブナの林だ大通峠に着きました

大通峠には14時30分着。案ずるより生むが易し、難なく峠までたどり着くことが出来ました。 三の丸から戸倉峠へ下るコースほどダイナミックではありませんが、三角錐の三室山を 背中にしながらお手軽に下れる楽しいルートでした。

問題はここからです。峠から野外センターまでの超長い林道下りが待ちかまえています。 イヤな道ですがなんとか避けられないものでしょうか? 地形図にはその林道をショートカットする点線のルートが峠からまっすぐ下っています。 単独なら迷わずそれを捜しているでしょうが今日は女性もいるのでとんでもないルートだと 気の毒です。

OAPさんも私と同じ考えだったようで、このルートで下ってみようと言う。女性陣も 賛成の声だったのでちょっと冒険してみましょう。取り付きから下っていくと 想像以上に良い道が残っていました。雪が積もってはいますが、U字に窪んだ路面は 相当に踏み込まれた古道だったことを示しています。今ある林道は車両を通行させるために 強引に山腹に造られた道ですが、これはあきらかに昔からの峠への道です。
旧峠道も現存しています

昔の人達はこの道で大通峠を抜けて鳥取へ下っていったのは間違いない。その 尾根に付けられた古道でずいぶんと楽に下っていけますが、地形図ではこの先は谷に降りてしまいます。 そうなると今ほど快適ではないでしょう。その通り、谷に降りたとたんに踏み跡は無くなり、 ボソボソの雪を踏み抜きながら前進することになります。4〜5回流れを横断しますが いちいちスノーシューを脱ぐのは面倒なので履いたままの川渡り。忍者の水蜘蛛状態や〜(^o^)

舗装林道には15時25分復帰。逆算すると峠から45分ほどです。ふつうにあの林道を 歩いているともっとかかっていたでしょう。てなことで、この古道を選んだのは正解!! しかしショートカットしたにもかかわらず、ここからでも林道歩きは辛かった。 単調なのがあかんのでしょうね。15時50分、活動センターへ向かう分岐で OAPさん達と別れて車に戻りました。先週同様『エーガイヤ』で汗を流してさっぱり!!

今回の三室山の地図は こちら(約140k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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