セイメンさん

所在地:加古川市上荘町国包

JR厄神駅の近くにあると聞いてやってきましたが、なかなか見つかりません。 あきらめて帰ろうかと思っていると、プオーンと音がします。 そちらに視線をやるとJRの車両が一台だけのんびりと走っていて のどかな田園風景そのものです。

おじさんがいたので聞いてみることにする。「このへんに『セイメンさん』ってあるのご存じですか??」 すると「ここやがな」と、おじさん。なんと途方に暮れて立ち止まった目の前にあったんですねえ。

しかし、これでは判るはずもありません。トタン屋根でトタンの壁、土台部分だけ赤煉瓦が積み上げられていて どうみても納屋のようにしか見えません。しかも、入り口は道路の反対側にあります。回り込んでみても ボロボロの扉で取っ手に棒を差し込んで鍵代わりにしていました。

かろうじて加古川文化財保護協会の立て札でそれとわかります。その立て札には 『この堂内にまつられている石仏は家型石棺の蓋に像が彫られているもので、像様が非常に稚拙なので、 素人が彫ったものではないかと思われます。銘がないのでおいつ造られたものかわかりません。・・・・ この石仏は俗にセイメイさんと呼ばれて信仰されていますが、いつの頃からか厄神駅の近くで 井戸を掘っていて発見されたといわれています。昭和六十年三月』

おじさんの許可をもらって扉を開けてみると、ありました!ありました!! とんでもなく不思議な石仏です。ありがたいと思うよりは気味が悪いと言った方がいいかもしれません。 頭は剃髪で、切れ長の一重まぶた。鼻はべちゃりと低い。(左頬にほくろのようにあるのは 穴が空いているだけでした)美男子とは決して言えない顔です。 さきほどの立て札にあるように、だれがいつ造ったのかもわかりませんし、極めつけはなんの仏様かすら わからないことです。(石棺仏だから室町から鎌倉ぐらいかなあ・・・)

『セイメンさん』という名前から青面金剛というのも考えられますし、阿倍野清明という説もあるそうです。 (加古川は陰陽師として有名な芦屋道満の故郷であることから面白い推理です) ただ、実際自分の目で見て思ったのは、右肩上部から線刻で錫杖?あるいは蓮華のようなものが彫られているので 地蔵菩薩かもしれません。首から下は摩耗がひどく、祭壇もどけることが困難だったので左手が どうなっているのかは判らないのが残念でした。

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