黒川の滝不動

所在地:神崎郡大河内町
JR長谷駅から深山トンネル、 水くみ場と過ぎて、砥の峰高原へ向かう途中にある川上の集落、消防施設の右から 林道ナメラ線へと登っていく。判りにくければ村の人に聞くのが一番です。

林道を登っていくと小屋が一軒あり、小さな滝の上の岩場に二体の石仏が見える。 小屋の裏手よりよじ登って近くに寄ってみる。


一見して思い出したのが昔の勝新太郎主演の座頭市。ほっかむりの姿がなんだかそのように 思えた。実際は弘法大師像である。ところで彼の左手を注目して欲しい。手首から長い数珠が 垂れ下がっているのが目に入るが、抱え込んでいるのはなんと幼児であった。 なんともめずらしい『子安 弘法大師』である。 残念ながら子供の顔の部分はすっかり苔で覆われていて、表情はわからない。

その時は気が付かなかったが、写真で確認すると右手は無い。ただし貫通した穴の跡があるので きっとミニチュアの杖が右手に差し込まれていたと想像できる。二重瞼の人間くさい表情と言い なんともリアルで手の込んだ石仏だ。


その横にあるのは不動明王。前掛けは邪魔だったのでたくし上げている。 基台の銘には『黒岩の瀧 大日大聖 不動明王』とある。 背の高い後背を背負っており高さは1m以上、しかも立体感がものすごい。重心が低く 下半身を大きく前にせり出している様は非常に力強く、今にも動き出さんばかりである。


憤怒の表情もよろしい。

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