2012年 7月 7日 新聞によると9月より鳳凰堂の屋根葺き替え及び塗装の修理が始まるという。 1年半ほどは仮設素屋根に覆われてしまうらしい。 それを聞くとなぜだか行きたくなる。 1月の朝光寺しかり、去年の奈良薬師寺三重の塔しかり・・・。 有名なところは観光客が多いので行く気すらしないのだが、今回暑い梅雨ということもあって 人出も少ないと予想する。
初めての所なのでナビ任せ。誘導のまま民間駐車場に到着する。そこは南の入り口。
入園料(鳳凰堂の拝観料は別途必要)を払って入ると右正面にきれいな現代風建物が。
これはミュージアムで最後に中を入るのだが、これはなかなかよかった。
拝観コースはよく考えられており、ぐるーっと一周できるようになっている。
ミュージアムの横にある旧南門をくぐって浄土院へ。
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真っ赤な南門 | 救世船乗観音 |
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平等院の塔頭の一つである浄土院には阿弥陀如来立像、帝釈天立像などの文化財もあるらしいが、 堂の正面にあるこれがおもしろい。『救世船乗観音』と呼ばれ、小さな厨子の中にある。 船に乗る姿は実際の旅の安全を祈るのと、人生という旅路の無障を願う観音という。 ところが、あろうことかこの観音は戦後盗まれてしまい、自らは無障ではなかったということだ。 したがってこの像は復元したものということになる。
境内の片隅に源頼政の家臣である古川右内という人の墓石があって、その横には『南無阿弥陀仏』の
名号塔があった。その文字は徳本文字で彫られていて徳本上人の偉功が宇治にも浸透しているのかと
感心する(案外、全国的にあるんかな?)。
それにしても、なぜ源頼政の家臣の墓が平等院にあるのか・・・・。
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徳本文字の名号塔 | 源頼政の墓 |
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その裏側にある不動堂に来てわかった。ここには源頼政の墓と言われる宝篋印塔があった。 播州に住んでいるためか、源頼政というと加東市にある長明寺をつい思い出してしまう。 そこには墓石もあるし、頼政の鵺退治のブロンズ像もあるのだ。 ついでに言うと『鵺』とは猿の顔、狸の胴体、虎の足、蛇のしっぽという妖怪だが、陰陽五行説的に 説明でき、申、狸(この場合亥とする)、寅、巳という方向に一致するのだ。
この頼政は 我々の世代だと武将になってからの『鵺退治』の物語を思い出してしまうのだがそれらは史実とは関係ないらしい (しかし、ミュージアムには鵺退治に使った弓が展示してある)。 この平等院の墓石も伝説ではなく史実どおりで、頼政はここで討ち死にしたという。 考えれば保元、平治の二つの乱を乗り越えて平氏全盛の中で生き延びた源氏ということで希有な存在だったと言えよう。 |
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鳳凰堂を斜め後ろから見る |
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ぐるーっと回り込んで斜め前から |
今にも雨が降り出しそうな天気で、しかも蒸し暑い。そのおかげ?で観光客は少ない。 高価なデジイチを持っている若い兄ちゃんはどうやら中国人のツアー客のようだ。 彼らに果たして日本文化、日本仏教がわかるのだろうか? オレでさえわからんのに・・・。 彼らは赤い橋を渡って鳳凰堂へ行っている。別料金であそこへも行けるのだ。 中国人が行って、日本人が行かないわけにはいかない。大枚300円を払うが、一度に行ける 人数が決まっているので20分後になるという。鳳凰堂の正面に行ってみる。
女子中学生?数名と引率の女の先生(わりと高齢)がいた。先生の説明はなかなかのもので、
聞いている生徒も真剣に一生懸命聞いている。こういう子供たちが将来立派な母親になってくれるのだろう。
最近バカっぽい若者しか見ていないのですごく好感が持てた。
鳳凰堂の正面ではたくさんの観光客が写真を撮っていた。が、パンフレットにあるような 真っ正面からの写真は誰も撮れないのだ。池のふちにある樹木が邪魔になって、 どうしても斜めアングルから撮さざるを得ない。 パンフのような写真を撮ろうと思うと、立ち入り禁止の池の水際まで行って、 さらに広角のレンズが必要だ。なかなか意地悪な設定だ。 私はパノラマ設定でなんとか撮してみた。
正面の扉の上には格子状の窓があり、そこから本尊の阿弥陀如来の顔が
見られるようになっている。来てみて初めてわかったのだが、鳳凰堂中堂の両脇にある両翼廊と
呼ばれる建物は中堂とは独立しており(くっついていない)あの回廊は閉じた空間になっていたのだ。
あそこを歩いてみたかったのだが・・・。
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橋を渡って中堂へ | 池の向こうの観光客を見る |
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鳳凰堂内はもちろん撮影禁止だし、壁、柱に触ることも許されない。 本尊の阿弥陀もすばらしかったし、壁にある木造雲中供養菩薩もすごい。 案内するおばちゃんも名調子だがそれらは はるか上にあるし、暗い堂内で見づらい。が、コースの最終にあるミュージアムでは 目の前で見ることが出来る。これはよかった。 |
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駅前からの参道を歩く | 宇治の名物と言えば・・・ |
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お昼ご飯をどうするか?道をうろうろと歩いていたら駅前からの参道に出た。 これが平等院へのメインの参道か。道沿いにある食べ物屋はどこも茶そばのメニューがある。 そこで注文してみたが、これがまずい。茶そばはちょこっとあるのが良いのかも。 お茶屋も多いので粉末グリーンティーを買うがこれはおいしかった。 宇治の名誉のために言っときます。
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ここから南口にある駐車場までは裏道を通ってみる。車の通れない細い裏通りにはいろんなおもしろい物が満載だ。 今回は化粧地蔵を見つけてしまった。いつも見る日本海側のものとはやはり違っている。 どれも無面目状態で顔に目鼻がない。色遣いも原色でなく宇治の町に合うような色遣いだ。 世界遺産平等院のレポートにしてはあまりに偏った感じもしますが・・・・。 いかがでしたでしょうか。 |