妙見山直列についての考察もどき(2022.7/16加筆)


妙見山直列とは? 妙見山直列って現象をごぞんじでしょうか?兵庫県多可郡中町の妙見山と大阪府豊能郡能勢町の 妙見山。その二つの妙見山のピークを結ぶ直線上にもうひとつの妙見山(多可郡黒田庄町)が あるという現象です。最初にこれを文献で目にしたのは慶佐次盛一氏の 『兵庫丹波の山』だったと記憶しています。

たしかに地図上で定規を当ててみると直線上に三つの妙見山がある。その時は不思議な現象が あるもんだと思っていました。ところがその後周囲の山々を徘徊しているとそれ以外にも 妙見山があることを発見。それらのピークにまたまた定規を当ててみると、 なんとそれも一直線にあるではありませんか。

妙見信仰とは? 北極星、北斗七星を神格化した妙見菩薩をお祀りする日蓮宗の教えです。元来北極星、北斗七星は 北半球にあるいずれの民族でも信仰されていた星ですが、日本へは中国の道教、密教を通じて 入ってきたのではないでしょうか?あるいは高松塚古墳の壁にも北斗七星があることから、もっと古い 歴史があるのが正解かもしれません。

日本で密教、陰陽道で発展してきた妙見信仰はやがて日蓮宗で民間にも広がっていきます。

能勢妙見山から多可町妙見山まで54kmほど。当時確認できたのは5つ。

地図で見ると? 見にくい地図でもうしわけありませんが、広範囲をカバーするためしかたなくこういう地図になりました。 左上から順番に多可町妙見山、山南町妙見山、黒田庄町妙見山、四斗谷妙見山、 能勢町妙見山と並んでいるのがおわかりになるでしょうか。

低山徘徊MLメンバーのMさんによると、『簡易計算ですが北緯35度付近での緯度経度から この直線は水平方向に対し丁度20度の角度になっているようです。これは地軸の傾きの23度に非常に近い値です。』 東西に対し西方20度北は夏至の日没方向であり、東方20度南は冬至の日の日の出方向である。

この妙な符合は決して偶然ではありません。というのも妙見信仰と金属探査を生業としている輩達とは 密接な関係を持っていました(妙見山付近に鉱山は多い)。鉱物のある山を探査する場合、 どうしても現在で言うところの緯度経度の感覚が必要になります。そこで北極星、太陽などの 星の運行を元に位置確認を行ったのではないでしょうか?

そのためにこの角度の直線上にあるピークを妙見山と名付けていったのでは?

その後、新たに見つけた妙見山と妙見宮

A:能勢妙見山
もともとは為楽山と呼ばれていたのが750年ごろに星が下りてきたということから行基菩薩によって開山されたという。 その後、1603年に妙見菩薩を法華勧請し妙見山のはじまりとなる。
b:古市の妙見宮
ネットにレポートが皆無なほど小さなお社だと思うのですが近いうちに行って確認してみたい。 ここも妙見直列の直線状にある。
B:四斗谷の妙見山
2001年にマウンテンバイクで登りました。ふもとに現妙見堂があって、中腹には平成4年まであった妙見堂跡。 そして頂上にも写真のような祠があった。展望はばっちり。次の黒田庄妙見山も見えるし、たぶん能勢妙見山も見えるはず。 下山後、地元の学校の先生をしていたという人に聞くと足利尊氏に関係しているとか・・。

丹波槍とか、いかり山とか別名があるようですが勝手な山名は付けないでいただきたい。

C:住吉町の北斗星山
2004年、地元の郷土史家である絹川氏からのヒントで登ってみた。途中には妙見の滝なるものもあるし、 その奥には妙見宮の跡もあった。そこからやぶ漕ぎで『枡の底』という場所を通過して山頂へ。

帰宅後に国土地理院の点の記を確認してみると『ホツユイセイ山』となっていて笑ってしまった。 地元では北斗星をホッコセイと呼んでいたようで、カタカナの『コ』→『ユ』と 昭和33年の選定者の誤記と思われる。地形図ではこれまたほぼ直線状にある。

D:黒田庄妙見山
ここは有名な山で登り口もいくつもある。山頂直下の平坦地には妙見堂があり、昔から現在も 年に一度荘厳寺と村民とでお詣りがされてます。したがって荘厳寺からの登山道が一番緩やかで 明治ごろまでは牛を直接連れてきてお祓いをしていたとか・・・・。

妙見山は三つのピークからなりたっていて、なぜか一番低いピークに三角点があって山頂となっている。 一番高いピークは明治の初めまでは船場の米相場連絡に使われた旗振り山(谷川集落では稲谷山と呼んでいた) でもあった。

E:山南妙見山
登山道ないが登るとしたらすぐ東にある展望で人気の 石金山からか、地図にある坂峠からか。私は2000年に石金山経由で坂峠を経て登ったことがある。 残念ながら山頂にはなにもなかったが周辺を丹念に探せば何かあると思う。

そもそもここが妙見山であることを知ったのは山南町にある古い資料からだが、最近見つけた資料(明治の頃の 地図)にも明記されている。残念なのは地元の人は誰も知らないことか。

F:多可妙見山
ここも有名な山で、山頂直下に石組みの台座がある。そこに妙見の祠があったはず。 現在どこに妙見宮が降ろされたのかは不明。 何度も登っているが2001年の写真のフォルダーが無くなってしまったので再度調査をしてみたい。 ちなみに妙見山の周辺には鉱山が多いと言われてますがここもたくさんの鉱山跡が存在してます。

それから? 最初に言ったように妙見信仰とは北斗七星を祀ることでもあります。今回の追記でちょうど七つの妙見山が ならびました。これで終了としても良いのですが、上記の地図でさらにその可能性のある山を探してみると どうなるでしょう?

北摂三草山:まさにどんぴしゃに直線上にあるが妙見宮の存在は過去にもないようだ。 今後の調査が待たれる。
竜王山:上の地図には記載がないが三草山の西隣にあってもちろん直線上にある。 この山の山腹には多くの鉱山跡が点在しており、山頂に祀られている『八大竜王』は 日蓮宗の祀る仏様である。
茅谷:頂上にほこら跡があり、周囲に鉱山があったと聞きますが現在はゴルフ場に 吸収されてしまっている。
中口山:登ったことがあるが頂上にはなんにもなかった。山腹か麓になにかあるかも?
感応寺上の628p:大展望の磐座がある。ひょっとしたら祠ぐらいはあったかも
鎌の尾(奥山):未調査


あるいはそれ以外。さらに直線上の外への延長上にあるかもしれません。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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