はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『淡河』を参照していただくようお願いいたします。 2015.12.13. 日曜日 晴れ 気温 ふつう
FBつながりの新川(にいかわ)さんのリクエストで丹生山縦走路の一部を歩いてみようということになった。 特に目新しいコースではないが10年ぶりの所もあるので新鮮な気持ちで歩くことができそうだ。 K山さんも参加表明で三人で行くことに。 |
我々以外はいないようだ | この橋を渡れば『みそぎ場』 |
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スタート地点は勝雄不動滝なので登り口にあるスペースに駐車をして9時45分スタート。 歩き始めてすぐにある橋を渡れば勝雄八幡神社の『みそぎ場』がある。 毎年2月に行われる『お弓神事』の際のみそぎに利用されると聞いたことがある。 |
石段手前にあるゆるやかコース | お堂の下部にある滝 |
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不動滝のあるお堂への参道途中にシビレ山への登山道(ゆるやかコース)の入り口がある。 現在は何の標識もないが通常はこれを利用するのが無難だ。しかし、我々はこの先にある不動滝を見たいので 再度ここまで引き返すのはめんどくさい。都合が良いことに?不動滝からは 激登りコースがあるので今回はそれを利用するつもりだ(じつはこれがとんでもないコースだったのは後ほどわかる)。 今日は川の水量が多いのでお堂の下にある滝も立派な瀑布となっていた。ほんとの不動滝はこの上にある。
滝の右手には不動明王の像があって、そこから細い道が延びている。そこは行ったことがないけど いくつかの行場があるのかもしれない。反対側の左手には激登りコースが待ち構えている。 |
非常に危険なコースでしたが | 登り切るとこういう風景が待っているのだ |
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滝の落ち口を左下に見て右に回り込むとそこにはガレた激登り斜面が待っていた。確かに10年前も 激登りだったがガレ度がひどくなっている。浮き石が多くて横を通過するだけでも落石する。 下で待機していた新川さんも危うく石の直撃を受けるところだった。
ゆるやかコースなら危険はありません。いずれのコースも上りきればこの砂尾根に着。
展望もばっちりで、さっきまで滝を見ていたと思ったら、いきなり砂山に立っているという
なんとも不思議な雰囲気。
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MTBならスリル満点 | どんどん進みましょう |
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一旦、谷に降りる | くるし坂に到着 |
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砂尾根から一旦谷に降りていく。そこから谷川に沿って進んでいく。炭焼き窯跡があることからも 昔から山仕事に使われていた谷だとわかる。 そしてくるし坂には10時50分着。ここは不動滝からの道、三木市戸田からの旧参道、淡河下村からの道、 丹生山明要寺への道、そして関電巡視路のシビレ山への直登道の5本が交差している峠なのです。 この近辺の詳細地図は2011年の この地図 をご覧ください。 |
シビレ山 | 古代祭祀跡? |
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シビレ山は展望が皆無なので隣にある送電線鉄塔へ寄り道してみる。が、ここも 昔と比べて展望は悪くなっている。ここから南にあるシブレ山がずいぶんと低く見えている。 シブレも近隣の人からはシビレと呼ばれていて、つまりはこの周辺の山塊すべてが痺れの峰(古名)なのだ。
雑然と並んだ石のピークがある。
昔は『古代祭祀跡』と大きな看板があったが今は何もない。これらの石が整然と並んでいれば
看板がなくてもなんらかの不思議な場所だったのかと思う人もいるのだろうが・・・・、
同行の二人はどう思っただろうか。
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MTB'erに遭遇 | 澄んでいればもっと良い展望 |
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朝日山の手前で地元のMTB'erに遭遇。立ち止まってちょっと話をする。 ここが地元で家が近所なんてうらやましい限りだ。 でも最近はハイカーも多くなったというので気をつけて遊んで欲しい。 (承諾を得るのを忘れたので顔にはぼかしを入れてます) |
丹生神社手前でも遭遇。後ろ姿を撮す | 丹生神社着 |
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尾根道から下るとくるし坂から丹生山明要寺への参道と合流する。まもなく丹生山という所で 二組目のMTB'erと遭遇。話始めると「あれ?Iさんやん」。Iさんも「ボウシを深くかぶっているから わからなかった」と。今日ここを歩くとFB(フェイスブック)で宣言していたので 待ち構えていたようだ。タイミング良く遭遇できたわけだ。
この参道は裏側からグルッと回り込むように神社へ行くので急に明るくなったと
思ったらそこが鳥居の前ということになる。鳥居の前では大勢のハイカーがいた。
我々は鳥居をくぐって丹生神社へ・・・。と、言いたい所だが・・・。
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絶品の庚申塔 | 社務所前で食事 |
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階段の脇にとんでもないお宝があった(私だけが興奮しているだけですが)。 それは立派な笠を持った庚申塔だった。写真ではわかりにくいが主役の青面金剛は六臂だと思われる。 セオリー通りに、見ざる、言わざる、聞かざるの三猿。その下にはオスとメスの鶏。 初めて見るのは青面金剛の下に四体の何者かがいることだ。 二童子は見たことがあるが、この四体はそれぞれが何かを持っていることから四鬼神かと思われる。 裏手には『延享四丁卯(1747)年 摂州丹生山田庄』『奉寄進庚申石塔一基 上衝原?中』『八月吉祥』 とあった。ここに庚申塔があるのは最初不思議に思ったが、昔はここは日吉神社でもあったという (平清盛の勧請によって山王権現として存在していたが現在も小さな摂社として丹生神社本殿の横手にあったと思う)。 日吉神社のお使いはご存じのようにお猿さんなので、そのつながりでここに庚申塔があるのだろう。
現在は丹生神社として知られているこの場所だが、明治以前丹生神社は明要寺の鎮守社でした。
その明要寺の起源は6世紀と古く、百済の童男行者(一説によると法道仙人と同一人物だと言う人もいる)
が開基という・・・。と、ここまでは誰もが知ってる丹生神社、明要寺の歴史だが。いよいよ
本題に入る。
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丹生神社拝殿 | その後ろにある本殿(木鼻が牡丹です) |
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丹生神社の祭神は丹生都比売(にうつひめ)で丹生(にう)一族が祀る神である。その丹生氏は 水銀(辰砂)を採取する一族として知られている。またこの周辺の山域は前述のように痺れの峰という名前があり いかにも水銀に関係しているかのようだ。これらのキーワードから 郷土史家はこぞってここで水銀が採れたかのように言い、ほとんどの人も(私も含めて) そう信じて疑わなかった。 しかし、徐々におかしいと思い始めていろいろと調べてみると、 水銀(辰砂)の鉱脈は中央構造体に沿ってあり、それから大きく外れた兵庫県内 では有望な鉱床は無いと聞く。 また、全国に丹生神社は数多くあるが水銀と関係のない神社も多い。 実際、今回の丹生神社周辺で辰砂の採掘場所が具体的にここだというのは聞いたことが無い。 これらのことからここには辰砂が無かったのではと思うようになった。 鉱物に関して素人の私がいくら言っても説得力がないので、その筋のプロである『たんくら』さんに 尋ねてみた。するとこの近辺にある帝釈鉱山、鷹尾鉱山、払川鉱山はともに銅、鉛、亜鉛を産出し、 これらの鉱物が出るところでは辰砂を伴うことは無いとのこと。 ネットではこの近くに辰砂の露頭があるというサイトもあったが、それであればその近所に大規模な採掘跡、 精錬場跡などがあってもおかしくないはず。 それらの具体的な場所が無いことから素人が単に赤土を辰砂と思い込んだものと判断する。
さて、縦走を再開しなければ・・・。昼食を終えて12時40分スタート。帝釈山分岐で三組目のMTB'erと出会う。
聞くと、「やまあそ隊が歩いているので会ってくるように」と森田さん(MTB界の女傑)からの指示
だったらしい。ごくろうさまです(^_^;)
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三組目のMTB'er | 帝釈山 |
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マウンテンバイクといってもいろいろあって、一組目は前輪、後輪部分共にサスペンションのあるMTB。 二組目は前後ともサスペンションのないフルリジッド。そして三組目は前輪だけにサスのあるタイプ。 三者三様のMTBでした。
閑話休題。
その彼らが言うには「岩谷峠まで?時間的に大丈夫ですかあ?」確かに気にしていた(少しあせってもいた)ので
急ごうということに。ほとんど写真も撮らずに帝釈山には13時18分。ここは大昔に元旦の初日の出を見るために
MTBで真っ暗な山の中を通ってやってきたことがある。ここも一口水分補給しただけでそそくさと出発。
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縦走路には標識が完備 | 岩谷峠に着<。すぐさま左の谷に下る |
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岩谷峠には14時07分着。この時間に到着できたことでホッと一安心。というのもこの峠がゴールではないからだ。 降り立ったポイントは昔とはちょっと位置が違うようだがここの方が都合が良い。 ここから谷(浦川渓谷)に降りるルートがあるからだ。 |
川を渡り | そして、川を渡る |
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標識もあったりする | 横手にある滝を見ながら |
岩谷峠から浦川渓谷に入ったものの悪路の連続となる。何度も渡渉を繰り返し ヤブをくぐり抜けたり足元の危うい所を歩いたりと別途地図にある『N』のポイント までそれが続く。 |
『N』地点。最後の渡渉 | 鷹尾鉱山跡 |
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『N』地点はいくつかのルートが合流するポイントでもあり、鷹尾鉱山跡などもあるためか ここからは劇的に道は良くなる。それまでは浦川に沿って道があったが、いつからかだんだんと 川ははるかに下のほうに見えるようになっていく。 |
道が良いと歩くのが楽 | 水路と合流する |
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やがて淡河の里が見えて来て害獣避けの電柵を越えたのは15時45分。なんとか日没までには 間に合いそうだ。最後の見所はK山さん紹介の『淡河のピラミッド』。
どうも隣にある民家の人の所有物のようなのでどうしてこんなのを作ったのか理由を知りたい人は 聞いてみてください。周囲をぐるっと一周すると横手に出入り口がありエアコンの室外機もあったので 内部は部屋のようになっているのかも・・・。高級オーディオのあるリスニングルームなら ぜひ入ってみたい・・・。 そんなこんなで駐車ポイントには16時30分。日没までにゴールすることができました。
今回のシビレ山〜丹生山〜帝釈山の地図は
こちら(約470k)
でごらんください。 |