津黒山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『下鍛冶屋』を参照していただくようお願いいたします。

2012.10.21.  日曜日  晴れ  気温  ふつう

今週もMTBで山あそびをしようと思う。去年の今頃に登ったのが 若杉山 だった。その若杉の正面に大きく見えるのがこの津黒山だ。山頂部が平坦なので、 その途中は無理として山頂部だけでも乗車できればもうけものだ。

どこが登山口かも知らないのでネットで調べてみる。それは津黒スキー場からの舗装林道途中にあるのだが、 そこから登るとなると単純すぎて面白味に欠ける。さらにネットで調べると山乗渓谷という 所から先ほどの林道まで遊歩道があるという。それを使えば距離も適当だし、遊歩道を楽しめて、 最後は渓谷の滝見物もできそうだ。

山乗渓谷駐車場わかりやすいイラスト地図

山乗渓谷の入り口には駐車場もあった。そこで準備を済ませる。イラスト看板もある。 それをじっくりと眺めてコースを決定する。まずは舗装路で津黒高原遊歩道の入り口まで行く。 その林道下和奥津川西線と平行してある山乗渓谷の遊歩道は帰りに利用しよう。
津黒高原遊歩道と山乗渓谷遊歩道の合流点

9時10分にスタートしてほどなく遊歩道の入り口に到着。帰路に使う渓谷の遊歩道入り口も 確認して、津黒へ向かう遊歩道に入る。
遊歩道の路面はフラットだ舗装路に出た

路面はフラットで砕石が敷き詰められていて、まさに公園にある道のようだ。じゃっかん登り基調が続き 大きく山腹を巻いている。途中には木の階段などもあるが、帰りは 全部乗れそうだ。9時40分舗装路に出る。

何を勘違いしたのか(実はプリントアウトした地形図を車に忘れていた)右に折れるのを 左に下ってしまった。下りは風を切るから寒いなあ・・なんて思っていると、 ゲレンデのど真ん中に出てしまったので気がついた。あわててUターン。 タダでさえ脚力も体力も無いのに、いらないエネルギーを消費した。 今度は汗だくで暑い。

リフト最上部から登山口東屋にあるイラスト

舗装路をあえぎながら登っていくと、後ろから自動車2台に追い抜かれる。 この舗装林道は大谷峠へ繋がっているのだが途中から通行止めなのであきらかに登山の車と思われる。 休憩がてらにリフト最上部からの展望を楽しむ。天気は晴れなので期待していたが遠望が効かない。 蒜山のシルエットはわかるのだが肝心の大山が見えない。

津黒山の登山口手前にある東屋に到着。10時05分。前述の車2台は別々のグループで、 夫婦連れと、総社からのグループの二組がせっせと準備中だった。 東屋には展望のイラストがあるが、ここからも大山は見えるようだ。

登山口が通行止めの箇所でもあったグループの最後尾を行く

まずは夫婦が先行で登っていく。総社グループは高齢(失礼・・・m(_ _)m)でゆっくりペースなので こちらの最後尾に付かせてもらう。MTBを担いで登るにはちょうど良いペースだ。 一回目の小憩時にお話をさせてもらう。男性がリーダー+女性4人のグループで岡山県内の山を 楽しんでいるという。
途中平坦な所も。帰路が楽しみだ急登りが終わると笹と唐松

ここまでずーっと暗い植林の中だった。途中にある平坦地を過ぎまたもや急登りにさしかかるところで 2度目の小憩になったので、それにはおつきあいせず先行させてもらう。 滑りやすい粘土質の急坂箇所もあって、ここは下れそうに無い。 それを過ぎると平坦になり樹木は唐松、周辺は笹原となる。
正面のピークが山頂津黒山に着いたど〜

チシマ笹を切り開いた登山道は両側に壁のようにそびえているので展望は無い。ただ まっすぐに延びた道(溝?)は絵画を見るようだ。頂上には先行していた夫婦ハイカーが見えた。 標高1117.8m、二等三角点のある頂上には11時10分着。
かろうじて大山が見え始めた

壁のようにあったチシマ笹は三角点から北側に大きく切り開かれており、そちら方面は展望がある。 スキー場最上部から見た蒜山は、さらに見下ろすような感じで間近に見える。 ただ大山だけはなぜか見えない。(その後時間が経つと徐々に見えてきて、あの特徴的は南壁の縦筋も肉眼では 確認できた)
なつかしの若杉山

東を見ると若杉山も見えた。山腹にあるジグザグの道もはっきりと確認出来る。 ちょっと派手目の服で登っているハイカーがいれば間違いなく目視できるほどだ。 その奥にある岡山森林公園の山並みもしかり。

総社グループもやってきて一気に山頂はにぎやかになる。 「若杉山(わかすぎせん)を知ってますか?」と尋ねると、「ああ、若杉原生林ね」ととんちんかんなことを言う。 すぐ向かいにある山なのだが若杉は鳥取の三朝町なのだ。岡山の山しか馴染みが無いので その存在すら知らないらしい。花の山だと言うとぜひ行ってみたいということだった。

これはタコではなかったブナに群がる女性たち

登山口から植林帯が続き、山頂近くは笹原で登山ルートに限って言えば植生が豊かとは言えないの津黒だが、 この近くに大きなブナがあるという。 大きく張り出して枝はまるでタコのようだというので『たこブナ』と呼ばれているらしい。 さっそく件の女性陣を誘って見に行くことに。

ここだと思ったのだが、ほんとのタコはこのちょと北の広場にあるそうだ(このときはそうとはわからず)。 ただ、気になったのは二本あるうちの一本のブナの 幹に落書きがあった。それは幅1cmほどの太い傷になっていて自分の名前を彫ったものだ。 傷の部分に苔とか地衣類が生えて文字が浮き上がっている。 「ひどいことするねえ」と話をする。 あとでわかったが、この人物はこういうことを絶対にしてはいけない立場の人だった!

山頂を去る

登りで感じていたとおり急な下りも案外乗れる。
乗れます乗れます

写真を撮るために何度も停車するのがもったいない。平坦地を過ぎ、最後の下りにさしかかるころ 別の一団が登ってきた。ちょっと会話をして道をゆずる。12時50分登山口に降り立つ。 総社のグループが10年前に登ったときと登山道の印象が違うと言っていたが、どうやら 登山口が昔と違う場所になっているようだった。
登山口に帰ってきた

登山口から津黒高原遊歩道の入り口までは下りの舗装路なのでクランクを回す必要な無し。 ああ、人生下り坂最高!!
津黒高原遊歩道は楽勝

遊歩道の入り口には5分ほどで到着。ここからも楽しくMTBが出来る。 こちらのコースを選択して正解だった。
まっすぐ延びた鉄板の遊歩道林の中を行く

渓谷遊歩道の入り口には13時05分。少し降りると一直線に伸びた鉄板の歩道があった。 ゴトン、ゴトンと音を立てながら進む。林の中を抜ける道もあり気持ちよい。 徐々に滝の音も聞こえてきた。
朽ちかけた石段を登れば神社跡だった滝に向かう(矢印方向)

小さな広場に出た。しめ縄で囲まれた小さな石の祠がある。その裏手には朽ちかけた石段。 しかもめちゃ段数が多そうでここはキャンセル。 後でわかったが階段の奥には山乗神社の跡があるらしい。

今回山乗渓谷のルートを選んだのは滝もさることながら、山乗の謎を調べたかったからだ。 去年の若杉山の中腹に『山乗権現』なる石仏があった。実際に見るとそれは異形とも言える バリエーションの役行者だった。このとき不思議に思ったのは山乗という言葉。 地名なのか人名なのか・・・。神社跡を尋ねたらその謎もわかったかもしれなかったが スルーしてしまった。

山乗不動滝

祠から一段下ったところは流しそうめんロッジで不動滝への入り口分岐でもあった。 シーズンも終了していたのでロッジは閉じられていたのは幸い。人でごった返していたら MTBはひんしゅくものだったかも。

滝への遊歩道はこれがなければ一般の人は到底たどり着くことができないような険しい渓谷だと思う。 400mほどの遊歩道の奥には落差20mの2条の大滝があった。

山乗観音堂

そうめんロッジから出ると観音堂があった。山乗千手観音像が祀られている。 お堂の横には松の巨木もあり歴史の古さを感じさせられる。お堂は無人だが 開放されており自由にお参りができるようだった。そして ここで山乗の意味がわかった。

真庭市教育委員会の説明板によると『・・・このあたり一帯は不動滝、不動明王、熊野三社権現を含む 古来修験者の行場としてさかえてまいりました。・・・この千手観音様は戦国時代永禄年間の勇将将山乗将監 (しょうげん)が観音様の夢のお告げにより大戦勝を博したことからその子千代吉が堂宇を再建し、以来 山乗千手観音様と云われるようになったと伝えられています・・・』

山乗千手観音たくさんの手

後醍醐天皇の詔により勧請されたとも云われ、説明板には1100年を経ているとある。 たしかに年月による傷みはあって古さを感じさせられるが、ほんとに1100年前のものなら重文級 間違いなし?と云いたいところだが、修復のレベルがあまりにひどすぎて気の毒な感じすらする。

千手にちなんでか手足の病に霊験があり、手をかたどった絵馬(と表現していいのか?) が数多く奉納されていた。形、大きさがそれぞれ違うので自分で造った物を持ってきて いるというのもすごい。また現在も年に一度の例祭が行われているようだ。

ひいき目にみても寂れた様子は否めないが、周辺でたたら製鉄が盛んだった頃は隆盛を誇っていたという。 その関連で若杉山の中腹にも山乗権現として役行者の石仏が祀られていたのだろう。 いつものように勝手な想像で結論が出ました。駐車場には13時40分。 帰りは津黒高原ロッジの温泉で汗を流しました。

今回の津黒山の地図は こちら(約115k) でごらんください。


それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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