三ヶ上

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『上斎原』を参照していただくようお願いいたします。

2012.10.14.  日曜日  曇り  気温  ふつう

なんとも奇妙な山名だが『さんがじょう』と読むらしい。なんでも山頂から因幡、伯耆、備前を望むことができることから 名付けられたと言うが、どうもそれは後付のように思える。それとは別に 下斎原方面から見ると三つの峰が並んで見えることから『三箇上峯』とも言われている。実際 車窓からは三つの小さなピークで構成されているように見える。そして三つのピークのうち 石仏のある最高峰は上三ヶ上(かみさんがじょう)と言う。

上斎原の中心地に入る手前、道路脇の右下に『三ヶ上』と小さな看板を見つける。それを合図に右に折れて、 あとは看板に従って進めば林道に入る。と、その林道途中には2基の大日の石碑があった。 この周辺には同じような大日の文字塔が多いのだが、これは牛馬の無事を願うための石碑だ。

車を走らせながら見る大日の石碑

というのもこの周辺は過去放牧場だったのだ。明治になってからここをはじめとして、 人形峠付近、現在はスキー場の恩原などが一大放牧地になっていたようだ。 石碑に彫られている年月日はどちらも明治14年だった。 明治の初め頃は周辺で20頭ほどだった牛が10年後には10倍、明治の終わり頃には20倍に ふくれあがっていったことからも石碑を造ってお祀りする必要があったわけだ。
駐車ポイント

林道の所々にある 『三ヶ上』の看板に従えば自然に駐車ポイントに到着出来る。人気のある山かと思っていたが そこには誰もいなかった。まあ、そのほうがいいのだが・・・。準備を済ませて9時15分スタート。
緑のトンネルを行く激登りだあ!

道の様子などは、ちょうど去年の今ごろに登った 若杉山と 雰囲気が似ている。それもそのはずで若杉山はその昔、砂鉄採掘の山で、その後放牧地となっている。 この三ヶ上も同様に砂鉄採掘の山そのものだった。 明治になってたたら製鉄が下火になったのを期に、放牧場、その後はスキー場としても利用されていた時期もあったらしい (村の中にスキー場を案内する看板が残っている)。

ロープを設置している激登り箇所があるらしい。実際はたいしたことはなかったが、MTBを担いでいるので それなりに難儀はする。その激登りの手前には鉄柵のゲート跡があった。 放牧場の名残だろうか?

上三ヶ上山頂に到着そこにある役行者像

激登りをクリアーすると急に視界が開けてほどなく上三ヶ上の頂上となる。10時20分。 標高1062m。ここには役行者石仏がある。これも今回の目的の一つだ。 さっそく彫られている文字を見る。が、日光の角度の関係かまったく読めない。 この後、三角点ピークへ向い、帰りに再度見ると、不思議なことに文字が浮かび上がっており読めた。

だいたいだが、背中部分には『天正元年酉(1573)四月日』とあった。織田信長が暴れていた時代だ。 横手はおもしろい。『備後神関郡相戸邑 世話人月坂弥三郎』とある。現在の広島県神石郡のこと。 なぜ岡山のこんな山に広島の人が?神石郡は中国山地のお膝元。当然たたら繋がりが想像できる。

周辺の山々を眺める 東方向
周辺の山々を眺める 西方向

役行者像のある山頂から南側は露岩帯でその大岩の根元に不動明王の石仏がある。 こちらは『天正四年子(1576)六月日』とあった。こちらも月坂さんの設置したものだろうか。 修験の山とはいえ、やはり根本にはたたら製鉄の繁栄を祈るためのものだろう。 すぐ向かいには妹山というピークがあるが、周辺の環境からしてこちらも鋳物→妹と変化したと想像できる。
440年もここにあるとは驚きだついでだから三角点へ行くか

三角点はこの大岩群を縫うように下っていき、目の前に見えている稜線の向こう側だ。 風化した花崗岩は滑りやすくてMTBを担ぎながら慎重に下る。岩場が終われば少しだけ乗れる。

三等三角点『下斎原』には10時45分着。周辺は切り開かれて座ろうと思えば 座れる。南方向にも展望があるのだが、あまり魅力のある場所ではなかった。 尾根を戻って上三ヶ上が見える所で早い昼食とする。

食事ポイントから上三ヶ上のハイカーを見る南から見る上三ヶ上は荒々しい

私の後にハイカーが登っていたようで姿もはっきりと見え話し声も聞こえた。三角点のあるこちらには やってこないようで、やがて姿は見えなくなった(早い下山だ)。 私も上三ヶ上に戻りピストンで下山することにしよう。
大山が見えたさーて、下るぞ

前述のように晴れから曇り空になったためか、この時になって石仏の文字が判読できた。 ついでに周辺を眺め直してみると上斎原の中心地の奥、森林公園の山並み向こうに 大山のシルエットが見えた。これで思い残すことはない。さっそく乗車で下山だ。11時50分。
これがあるからやめられない

激下り箇所を過ぎるとゲート跡付近から乗れ乗れとなる。登りでは押しか担ぎ一辺倒だった。 昔は感じなかったが、最近はさすがに辛くて、もうMTBはやめようかと思うこともある。 が、下りになるとその思いはふっとぶ。
緑のトンネルを抜ける

食事場所から見えたハイカーの他は誰も登ってこないようだった。下りですれ違うハイカーも いるかと思っていたがまったくの無人で遠慮無く楽しめる。
ススキの原を下る

写真には撮らなかったがガレたポイントが数箇所ある。そこも路面を選んで下れば 乗車できる。またそのガレがなんとも楽しい。写真を撮るために何度も停車して時間を つぶしたが乗ったままだとあっというまに降りてしまうだろう。 駐車ポイントには12時20分だった。

今回の三ヶ上の地図は こちら(約90k) でごらんください。


それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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