はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『大背』を参照していただくようお願いいたします。 2012.10. 7. 日曜日 晴れ後雨 気温 ふつう
いろんな発見のあったこの山域だが、今日は前回の那岐山 の時に下山したポイントからの続きを歩くことにする。ほんとは前回に歩いてもいいような距離だったのだが、 あのときはヤブに疲れたのと天気も不安定だったし、暑かったしで、あっさりとあきらめたのだ。 昔から比べると徐々に軟弱度が上がっていくのがわかる・・・。 そんな私に前回同様TQFさんがつきあってくれた。
前回と同じ四差路からスタートするわけにはいかない。車が一台なので下山してから あの四差路まで歩くのは辛い。そこで法起菩薩堂の石碑前に駐車する。9時35分スタート。 |
トリカブトの花 |
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元気なうちに長い林道を歩いてしまおうという計画だが 実はもくろみがあった。それは、この時間なら那岐山へ登山するハイカーの車が必ずやあるはず。 こんな所を歩いている我々をいぶかしく思い、気の毒に思って登山口まで乗せてくれるであろう。(^_^;)
トリカブトに花に癒されながらもくもくと歩く。途中で登山者を乗せた軽自動車が我々の横を通過するも、
止まってはくれなかった。やはりおっさん二人では無理で、女性なら間違いなく成功していた計画のはず。
四差路には10時07分、そのまま林道因美線を岡山側に歩く。
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林道因美線の途中から登る | 歩きやすい支尾根 |
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那岐山に登るために来ているハイカーならぜったいに入り込まない方向である。 この林道がどこまで続いているか?まだ岡山には至っていないはずと変な確信を持つ。そもそもなんの目的もない、 土木業者の食い扶持を稼ぐだけの林道のはずなのでチンタラと数年を掛けて工事をしているのだろう。 前回降りたった所から進入するのだが、最初は踏み跡もないので初めての人はとまどうだろう。 ちょっと登ると幅20cmほどのソマ道が現れる。それを辿って支尾根に取り付けば あとは楽勝で快適に登れるのだ。
右下には延伸された林道が垣間見える。それを見ながら上り詰めると、岡山と鳥取との県境、つまり中央分水嶺に到着だ。
10時40分。
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分水嶺はブナ回廊だ | 三角点の真上のはずだが・・・ |
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ここから少し北上すると四等三角点の埋まる点名『岡鳥』だ。ところがどこを探しても石標が無い。 いわゆる亡失ということか!! |
ずーっとブナ回廊だ | ここが道路になれば分水嶺分断だ |
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前回の那岐山からの下山途中でブナが現れはじめ、それは今回のルートでも ずーーと続いているので驚きだ。こんなマイナーな尾根でこれだけのブナが残っているとは。 しかし尾根の途中で変なものを発見。赤いビニールがあちこちに巻き付けられ、赤白の 測量ポールもあった。
ここが道路になると、深い切り通しになり、周囲の自然林は伐採され、今とな似てもにつかない
状況になることは間違いない。しかも、毎年雪害で道路は荒れて、そのつど土建屋が工事のおこぼれに
ありつくという好循環が発生するのだ。
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食事ポイントから見える下山までのコース |
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ここまでの分水嶺はズーッとブナ回廊だったのだが、展望はまったく皆無でさすがに飽きが来はじめた。 そろそろお腹も減り始めたと思った頃、ちょっと手頃な展望ポイントがあったのでそこに座り込む。 11時半。 見ると、そこからはこれから向かう最終ポイントまでが丸見えだった。
まずは送電線鉄塔まで行き、その先にある点名『赤金』の手前には石仏のある峠だそうだ。
そこから鳥取側に下ってゴールとなる。
なんでもない尾根の途中にある四等三角点『加智』を過ぎると商業道と合流する。 ここからは河津原へも下れるし、車を駐車した法起菩薩堂まで下ることも可能だ。 TQFさんにその商業道の由来を説明する。 ここからしばらくは商業道とつかず離れずで行く。 |
巡視路に合流 | すぐ先が鉄塔だった |
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商業道は我々の歩いている分水嶺と3度か4度ほど合流し、それを確認しつつ 歩いていたが、いつのまにか見失ったようだ。やがて中国電力の鉄塔巡視路と合流。 写真のTQFさんの後ろには岡山側に下っている巡視路がある。そのまま分水嶺(巡視路)を 行き昼食ポイントから見えていた鉄塔に着。12時37分。 |
鉄塔は展望良し!矢印に形の良い山が見える | それは、なんと日名倉山だった |
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周辺はガスっぽく、遠くの高い山には雨雲が掛かっている。というか、すぐ横手の那岐山にも雨雲が。 しかし我々の居る鉄塔周辺は晴れていた。コーヒーを飲んで一服。 雨雲があるので同定は出来ないが、一つだけちょこんときれいなピークが見えた。 その場の判断で兵庫の日名倉だと言い、帰宅後も確認するとそうだった。
鉄塔では晴れていたのに、そこを離れたとたんに雨が降ってきた。しかも、けっこうな降りだ。
予定では点名『赤金』まで行って三角点を確認後、
その手前にある『物見越し』という古い峠で下山するつもりだった。その峠はもう目の前だ。
TQFさんが「雨傘で行けるし」と言う。ところがリュックのサイドポケットに入れていた傘が無い。
どこかで落としたのだろう。
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雨の『物見越し』 | ちょっと解読してみる |
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しかたなく、雨具の上着だけ着て峠に行く。普通、峠は稜線上にある鞍部にあるものだが、 ここはピーク手前にあるのだった。よそ者の私には到底予想のつかない場所にあるのだが、 商業道で知り合ったなかがみさんから教えてもらって、その存在はわかっていた。 石仏もあると聞いていたので楽しみだったのだが、いかんせん雨が本降りでカメラを 構えるのもためらわれるほどだ。 2体ある一つは地蔵菩薩だが磨耗がひどくて文字があったのかどうかもわからない。 もう一体が秀逸だった。弘法大師が彫られており、頭の部分には大日如来を表す『ア』の種字。 天保二卯というから1831年。
岡山側にある物見村の渡瀬某の菩提を弔うために作られたと思われる。
雨でなければもうちょっとじっくりと見てみたかった・・・。
あとは、この古道がどこに降りているかが興味のあるところ。
私の予定では大日如来の石碑
にたどり着けばビンゴ!!
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良い感じの古道だったのに | 林道で寸断されていた |
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とりあえず林道に降りる。実は傘の紛失に続いてもひとつ間違いをしている。 それは地形図のコピーを車内に忘れてきたのだ。GPSで現在位置は瞬時にわかっても 周辺の地形はやはり地形図でないとわかりにくい。
赤土のヌルヌル林道を少し行った左手に実は古道の続きがあったのだが見過ごしてしまった。 そのまま林道を下っていくと、なにやら見たことのあるような舗装林道に出た。 これって以前歩いた商業道だあ・・・!! さっきの真っくらな植林の中に続く細いトレールを行けばよかったと後悔。 |
巨杉の根本に大日の石碑 | 道標の地蔵 |
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長い林道を歩いて 前回見た大日如来の石碑へ立ち寄る。TQFさんに「ほんとはこの近辺に降りるはずだったんや」と 説明する。そのまま広場から道標の地蔵へ下る。そこには『中 ものみこし』の彫り文字がある。 我々が歩いたあの峠のことだ。 最後をちょっとミスったが、無事に下山できたので吉としよう。 駐車ポイントには14時8分着。
今回の那岐山(分水嶺歩き)の地図は
こちら(約150k)
でごらんください。 |