シブレ山 その2

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『淡河』を参照していただくようお願いいたします。

2011. 2.20.  日曜日  曇り  気温 ふつう

2週間前にMTBで遊んだシブレ山だが、途中にいくつかあった分岐が気になるのだった。 それらのいくつかは過去に走ったこともあるだろうし(記憶は無いが)、行ったことのないルートももちろんある。 そこで今回もシブレに訪れて、それらのルートをつないでみようかなあと考える。

考えたのは、まずはNTT管理道でシブレの頂上直下(前回の地図『B』)まで行き、そこから 『F』の四差路分岐まで気持ちよく下る。前回は『F』から直進したもののシダヤブで引き返したのだが、 実はその先には『天狗岩』なる展望の岩場があるらしい。当然、今回はそこに立ち寄り、再度『F』から 『H』まで下りを楽しむ。

『H』からK山さん推薦の左折れコースで木幡へ下りる。さて、ここからが問題だ。その下りた所から 211.7mの三角点まで行き、そこから謎の平坦地(たぶんゴルフ場のなり損ない)で東進して、関電の巡視路で 『B』まで戻る。

そして最後は『B』から『D』を経て山田池で食事、そして駐車場でゴールという計画です。 考えただけでも楽しそうだぞ!というわけで、以上の予定コースはこちらの 前回の地図で参照してください。

ここを入ったのが運の尽き舗装が左右から犯されている

前回と同じ駐車場の同じ場所に駐車して9時20分スタート。呑吐ダムの水位はその間で 雨が降ったにもかかわらず15cmほど下がっていた。このままだといずれ底が見えてくるかも。 ルンルンでNTT管理道へ向かっていると、頭上を走る山陽自動車道の手前で、道路右手にフェンスとその奥に 続く道路が見えた。あれってどこへ続いているんやろ?その好奇心がやがて命取りとなる。

フェンスには何の管理道と書かれた銘板も無ければ、進入禁止の立て札もない。 中に入ると舗装はされているものの、左右から雑木が生えてきて道幅も狭くなっていた。 考えるまでもなく、この道路は山陽自動車道のシブレ山トンネルの工事用だったのだろう。 そして期待通りに?すぐに行き止まりとなった。

水路があった!ここに入るん?

あ〜あ、元の道路に戻ってNTT管理道に行くか〜。と、その終点の奥を覗いてみると、 なんと水路があるではないか。水路は落ち葉に埋もれて歩きにくそうだが、その横手はなんとか歩けそうだ。 どこまで続いているのだろうか?いけない、また余計な好奇心が・・・。

MTBを押しながら水路を進む。 ずーっと山腹を巻いていき、山田池の付近まで行くのかと思いきや、隧道に突き当たって 行き止まりになってしまう。

隧道水路をのぞき込んでみる。こういうときに限ってライトを持ってきていないのが悔やまれる。 隧道の奥は真っ暗だが向こうに出口の明かりが見えていた。そのまま中に入ろうかと思ったが 水が溜まっていると足が水没なので、あきらめてシダ薮の尾根を越える。 全身ゴミだらけになって隧道の向こう側に降り立つ。そこから見るとやはり隧道水路には 水が溜まっていたので尾根越えは正解?

終点に設定した山田池堰堤を走る

水路が大きく崩落している箇所もあり、MTBを持って通過するにはちょっとスリルがある。 するといきなり山田池に出た。10時07分。 ここは予定では終点のはずだったのに〜。う〜ん、仕方ないからここから縦走路に登り返すか!
山田池全景

ところが縦走尾根に出るルートがわからない。昔は222.2m三角点ピークから尾根沿いに道があったはずだが、 今はゴルフ場があるためにダメだろう。とりあえず山田池を一周すればどこかに道があるだろう。 ということで、反時計回りに走り始める。最初の谷は堰堤があって進入できないようになっている。 そのままぐるーっと回って二つ目の谷に分岐があった。
山田池から谷を登って縦走路へ

ガレのある谷でMTBは担いだほうが歩きやすい。帰りはここを下ることになるはずだが あまり楽しくなさそうだ。 谷から一登りするとほぼ平坦になるので気持ちよく乗れる。 やがて砂地の分岐(今回の地図の『O』と『N』に行けると思う)を経て『E』の 分岐に出た。ここから逆方向に下ると前回の四差路分岐になる。 どうやらシブレコースの全貌がおぼろげながら見えてきたようだ。
樹間を気持ちよく走る岩の段差が多い(F手前)

『E』から『F』まで気持ちよく下れる。ただし、『F』手前は岩の段差が多くて 単独の場合どうしても慎重になってしまい、押しが入るのがもったいない。
F分岐。今回は左へ気持ちよく走れる

前回は『F』から正面のルートで栄駅までノンストップの極楽下りが楽しめた。 今回はK山さんおすすめの左折れで木幡駅方向に下る。シダやぶがあるのと、距離がちょっと 短いのが残念だが、それでも下りはおもしろい。ひと下りを終えて小さな池のほとりで小憩をする。
池の名前はジュクジュク池ありゃ!通行禁止や

立て看板に池の名前があった。それには『ジュクジュク池』とある。もうちょっとよさげな 名前を付けてあげてほしかったが、たぶん日本で唯一の名前だろう。 ジュクジュクからプチスラロームで里に降り立つ。

実はここから211.7mの三角点へ行くつもりだった。が、その入り口には『立ち入り禁止』の無情の看板が。 よく見ると『里山防災林整備・・・』とあって、約1億円の予算で工事がされている。 県の税金なので私のお金もいくばくか使われているはず。せめて、有意義な工事であってほしい。

木幡駅横の小径を行く顕宗仁賢神社

ここが使えないのでとりあえず東へ向かう。道路に出るのは嫌なので村の中の小径を行く。 石仏があったり、変わった家があったりで、こういう道のほうが楽しい。 するときれいな神社があった。見て驚いた。顕宗仁賢神社とある。 顕宗天皇と仁賢天皇(実在の天皇かどうかは不明)の二人の兄弟を祀った神社だ。

偶然というか、前回のシブレMTBで終盤に訪れた『窟屋の金水』は この兄弟が隠れ住んでいた所だということだった。 やはり岩窟はゴツゴツして寝苦しかったのか?(^_^;) この押部谷の細目家にも匿われていたのが縁でこの神社があるという。 期せずしてこの兄弟と再会できたのだった。

車止めがあるが通行可能左右はフェンス

地図と地形を見比べる。向こうに見えているのは関電の鉄塔『西神支線31』だ。 そこからシブレ山頂まで送電線が続いているということは、それに沿って巡視路があるはず。 そう確信して鉄塔31へ向かう。しかし、それは行き止まりだった。 くやしいけど引き返してため池を回り込んで『I』に向かうと、そこが次の鉄塔への道だった。

車止めの横をすり抜けて恐る恐る奥へ入る。左手に2基の小さな祠がある。その奥から道は林道のような 感じになって、道ばたに『迂回路明示図』なるものがあった。 なんだかよくわからない地図だったが、ようするにこの道をまっすぐ行けばよいらしい。 その道はなんとも不思議な道で、左右はフェンスで逃げ場が無く、メイズのようにただ進むべしだった。

シブレの山頂が見えたフェンス道の終点から巡視路が続く

このゴルフ場のなれの果て(というか、工事途中で中断?)はこの先どうなるのだろうか? このまま自然に帰ってしまえばそれはそれでおもしろいのだが・・・。 シブレ山山頂の電波塔が驚くほど近くに見えて、これなら楽勝で登れそうな気持ちになる。
展望のザレ地で食事

終点から山道となってMTBは押しか担ぎになる。鉄塔29を過ぎた所がザレ場の展望地だったので ここで食事とする。 南方面が丸見えで、明石海峡大橋の橋脚から菊水山。隣にある六甲国際ゴルフ場からはゴルファーの歓声も 聞こえている。北方向には金剛童子山から稚子ヶ墓山、帝釈山も見えている。 食後に無線もして13時20分再スタート。
NTT管理道との三叉路

鉄柵で囲まれた鉄塔28の向こうにはシブレのNTT電波塔がほぼ同じ高さで見えている。稜線に乗ったということだ。 鉄柵に沿ってMTBを走らせると見覚えのある三叉路に出た。右手は前回登りに使ったNTTの管理道だ。 今回もこれを使ってここから縦走をするつもりだったにぃ〜。

少し押しで登るとそこからは乗れ乗れになる。数分で『M』の紫大明神(安産地蔵もある)分岐。今回は寄らずに素通りして 『N』の山田池と木津の分岐となる。13時30分。

『N』にある標識

ここには分岐の標識以外に先ほどの紫大明神を指す『シビレ山地蔵尊』という板切れもある。 どこかのHPだったか、ブログだったかにはこの看板をして『ここはシビレとは違う。シブレが正しいから書き直すべし』というような記述があった。 私から言わせるとこの御仁のほうが間違っている。
丹生古道之図(昭和51年)

前回も書いたが、紫大明神の石碑には『高きシビレの峰にて・・・』とある。さらに地元木津の世話人も昔からシビレと 呼んでいたという。さらに昭和51年の『丹生古道之図』なる地図には『痺の峰』とある。 この地図には当然ながら山田川を挟んだ真北にも本家シビレ山もある。さらにはもう一カ所シビレ山がある。 つまり、この周辺には三つのシビレ山があるのだった。

三木の郷土史家の方たちが出版している『三木史談』に興味ある記事(松村義臣氏)があった。 そこには、明治19年測量の地図にはすでに現在のシブレ山を指して『痺(シビレ)』の山名が記載されていたとある。 そして時代が下がって昭和22年では丹生山の西側に初めて『シビレ山』の表記が現れたとある。

そして上の丹生古道之図(昭和51年)と引き継がれ、現在では国土地理院の地形図に シビレ山(465m)、つくはら湖を挟んで南にシブレ山(347.5m)となっているのだった。

以下、本文まま
・・・そこで、私の勝手な推測である。あいまいさは、土地の人々の記憶の差に由来する。一つの峯に固定して 区別しようとするから混乱が生ずるのである。丹生山を含めて西側を南北にならぶ一連の峯つづきを、 そう呼んだものであると考えれば何でもない。南に離れた『痺の峯』も、地図でこそ谷を隔てているが、 御坂方面から見れば一つづきではなかったか。・・・

シビレとシブレ。似たような山名のピークが谷を挟んで存在しているいう謎は、上記記述が 案外正解のような気がする。大きな山塊を指してそれら全体をシビレの峯と称したのだろう。 で、シビレの由来は?と言われると諸説あるようで、またの機会にしたい。

『Q』四差路から直進すれば天狗岩

『N』、『O』と分岐を過ぎ、『Q』の四差路に到着。前回、直進したものの、途中で 引き返してしまったが、もうちょっと先には天狗岩があったという。 今回はぜひともそこまで行ってみたい。シダやぶがうっとおしいので途中にMTBを置いて行く。 黄色い文字で『4』と書かれた標石のある分岐を左にとる。
天狗岩

この展望の無いシブレ山にして、ここは大展望だった。天狗岩と呼ばれているが、地元が 古くからそう呼んでいるのか、あるいはハイカーが勝手に付けた名前なのか。 ふと見ると、クライマーが打ち付けたのか、ボルトハンガーがあった。
岩に立つと爽快

四差路『Q』に戻って『E』まで走る。そしてここから山田池まで下るのだ。
『S』の分岐けっこう乗れます

『S』でまっすぐ下れば乗りにくい谷のルート。本来はこちらが『太陽と緑の道』なのだが、 登りの際に乗りにくいのは確認ずみ。ところが、左にも道がある。たぶん尾根を伝って山田池に 降り立つのだろう。勝手にそう思いこんで進入するが、これが結構乗れて楽しいのだった。
山田池に戻りました乗れ乗れ

最後は激斜面で山田湖の周回路に下りる。そこから堰堤に向かって走り、途中からある 『太陽と緑の道』でつくはら湖へ最後の下りとなる。これがまた乗れ乗れで楽しい。
本家シビレ山道路に出ました

道路に降り立つ直前で北に謎の山名を持つシビレ山が見える。何百年も姿形を変えていない山ですが、その 頂上近くには高圧線鉄塔がたち、そしてダム湖ができ、さらには高速道が地中から延びているのだった。 当たり前と思っていた風景がふと不思議に見える一瞬だ。

駐車場には14時55分。なんだかんだ言いつつ、今日も目一杯遊んでしまったなあ。

今回のシブレ山の地図は こちら(約200k) でごらんください。


それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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