洞滝〜三国岳

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『音水湖』を参照していただくようお願いいたします。

2010.11. 7.  日曜日  曇り  気温 ふつう

生野のジローさんと作畑のともみさんが梅ヶ畑の洞滝を見に行くという。 ならば、そこから加美町へ抜ける『うめがさか』という峠にぜひとも登ってほしいし、 ついでに三国岳に行けばさらにおもしろい所もある。二人とも単なる山登りより、こういう歴史と地域性を からめたコースを楽しんでくれる人たちです。

直前になってジローさんが風邪でダウン。他にも呼びたい人もいたが当日の天気が怪しかったので 私、TQFさん、ともみさんの三人だけで登ることにする。 手始めに高路にある青面金剛(黒川七所庚申の一つ)を見学して、梅ヶ畑の奥へと車を進める。 滝への入り口ポイントに駐車して9持20分スタート。

洞滝です。右上に峠道がある

林道から2分もたたずに洞滝到着。来たことのある人ならわかるが、 ここだけ異次元の世界になっている。視野の範囲すべてが脆そうなレキを多く含んだ岩盤で、その下部がおおきく くぼんでいるために上の岩盤が庇状になっている。庇の下にいて上から岩盤が崩れると 一巻の終わりです。
不動の祠を見る神仙庵と彫られた不動

滝を正面に見て左側のくぼみに祠がある。中には先ほどの青面金剛を造ったと同じ行司という人の 作品、不動明王の石仏がある。目と眉毛から鼻の部分が七所庚申とそっくりである。 神仙庵とは韓国にある庵磨崖石仏(8世紀後半のものらしい)のある岩山だが、行司さんは あきらかに神仙庵を知っていたからこそ、不動の足元にその名前を彫ったのだろう。 洞滝も神秘的だが、この行司という人も謎の人である。
峠道から洞滝を見下ろす

谷を遡行する峠はすぐそこ

この洞滝は峠道のスタート地点でもある。ここから谷をさかのぼると『うめがさか』という 古い峠に着く。踏み跡の残っている箇所もあれば、水の中を歩かなければならない箇所もある。 炭焼きの跡もある。水害で荒れたガレガレの箇所もある。しかし、おしゃべりしながら歩いているとあっさりと峠に着いてしまう。 10時05分。
峠は千が峰への縦走路でもある青玉神社奥にある道標

峠には石仏は無いが縦走路を示す古く朽ちかけた標識がある。加美町側を覗いてみると 見える距離に踏み跡が確認できるが下の方では消失している可能性大だ。ちなみに加美町へ降り立つと 林道があり、青玉神社へ出る。その途中にある分岐には古い石の道標があるのだが、 そこにうめが坂の名前が彫られているのだ。

『右 あ於くら』とあるのは三国峠を経て青倉神社へ向かうルートだ。この道標を寄進した人は 『永上郡(氷上郡)富田村 寅蔵』とある。寅蔵さんも青倉さんのお世話(青倉は目の神様で、目を患った人が お参りする)になったのだろうか? 梅ヶ畑から新田へ抜ける峠道は、現在は林道として存在しているが、この古道はほとんどの 人から忘れられているのだ。私は この道標の存在を知ったために、いつかは洞滝からうめが坂へ登ってみたかったのだ。

三国岳が見えたが林道がある!色づいた木々を見ながら

うめが坂からは播磨と但馬の境界尾根を歩くことになる。さほど難しい尾根ではないし、 道標もうるさいほどあるので迷うことは無い(と思う)。行く手に三国岳が見えたが、 そこには林道も見えた!うわさには聞いていたが、また山が一つ死にかけていると感じるのは 私だけだろうか・・・。
三国峠

ともみさんに地形図の見方を伝授しながら三国峠には11時05分着。この峠は 長野からだと高度差もなく簡単に来ることができる。そして青玉神社奥にある前述の 道標『右 あ於くら』を辿るとここに到着するのだ。ここから長野、黒川本村を経て 青倉神社へ行くことができる。昔は大勢がこのルートでお参りしたのだろう。

峠でうだうだ話をしていると三人のハイカーが加美側から登ってきた。 それを期に我々も山頂を目指す。しばらくすると途中に見えていた問題の林道を横切る。 この林道を歩けば山頂まで行けるし、展望も良いのだが 、我々は稜線を歩く(この日は霞がひどくて遠景の撮影は無し)。 そして出会うのが『播磨のおどり場』だ。

播磨のおどり場

古くはここが青玉神社だったと聞く。たしかに広い平坦地で真ん中には 御手洗の池の跡らしきものもある。 下界にある青玉神社には樹齢1000年になろうかという大杉があるという。 ということはこのおどり場にあった元青玉神社はさらに古いということか。

青玉の祭神は天目一箇神。つまり鍛冶などで片目を痛めたことを表す。以前もレポートに書いたが、 この山向こうに目を治す神様である青倉神社があるのというのは単なる偶然だろうか。 また、この周辺には銅鉱山がたくさんあり(山登りの際に手堀りの坑口やらズリを多く見ています) 青玉の青はこれらの銅を意味するのかも・・・。 神社にくわしい幽黙さんのブログによると、この周辺には天目一箇神を祀る神社がいくつかあるらしい。

この先が山頂です山頂でくつろぐ

再度林道に出て、そのまま歩き続けると頂上にたどり着けるのだった。林道は山頂のすぐ下を通過して、 東方向へ向かっているが、そこで終点なのか、その先が続いているのかは未確認。 とにもかくにも三国岳、三等三角点、標高855.2mに11時37分着。

食事も済ませていよいよ下山。時間とともみさんの体力に余裕がなければ先ほどの三国峠から 長野に下るつもりだったが、今回の山行きは楽だというので予定通りに但馬・丹波の境界を 下ることにする。このコースは 2007年 に逆方向で三国岳に登ったのが最初。以降、いろんな人がこのコースで登って、今では 道標まで完備しているのだった。

下山コースは自然林が多い
こんな小さな紅葉でもうれしい

青空をバックに

もうすぐ終点かな

下山なので下り一辺倒だと思っていたら、けっこうアップダウンがあった。 地形図をみればその通りで、2007年に逆コースで一度歩いているのにもかかわらずもう記憶が無いのだった。 13時40分林道に着。
矢印が下山口(登山口)長野の集落を歩く

里道のほうがきれいな紅葉なのがちょっとシャクだ。集落の最奥にある元『三国山荘』の横に駐車しているので そこまで歩く。ついでに長野にある青面金剛もTQFさんとともみさんに紹介だ。
長野の青面金剛

今は忘れられたうめが坂、現在も残っている三国峠。それぞれが人や物資の行き来に使われたり、 信仰の道だったりする。さらに日頃登り慣れた山自体も鉱物が採れていたり、信仰の元だったりと、 ちょっと興味を持つだけでいろんな見方ができる。標高の低い里山も奥が深いね。

今回の洞滝〜三国岳の地図は こちら(約170k) でごらんください。


それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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