若杉峠から中央分水嶺

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『戸倉峠』を参照していただくようお願いいたします。

2009. 5.31.  日曜日  曇り  気温蒸し暑い
この日は激ヤブの山にOAPさん、TQFさんの三人で登るつもりでしたが、朝起きてみるとシトシトと 雨が降っていた。当然中止だと思っていたら宍粟は晴れているという。 しかし、前日の雨で激ヤブ山は無理なので今回のコースに変更となった。とはいうものの、 ここも初めてなので笹藪があるのか無いのかまったくわからない。あればびっしょりに濡れてしまうので 結果は同じことになってしまうわけだが・・・。

スタート地点の若杉(わかす)峠には10時10分着。 若杉峠は日本の背骨とも言える中央分水嶺の峠だ。ここから南へ分水嶺をたどれば生野から丹波へ抜ける。 反対に北へ向かえば三の丸から戸倉、大通、江浪峠へと続くのだ。 今回は北へ向かってその途中から新戸倉スキー場へ下山する予定だ。

若杉峠の様子
この峠は通常は新道を車が通過するのだが、 写真のように新道の南側の一段高いところに旧道が残っている。 この旧道の由来もおもしろいので次の機会にでも紹介したいと思う。 10時15分スタート。 ちょっと遅いスタートなのでどこまで行けるかわからないが、地形図を見るとエスケープできそうな 箇所がいくつもあるので万が一の場合はそれで下山できそうだ。

分水嶺へダイレクトに取り付く(写真の矢印)のは無理なので、道谷集落側にちょっと戻って そこから登り始める。急な斜面をクリアーして稜線に到着すると、そこには きれいな切り開きがあって、とりあえずヤブではなかった。 一安心していざ進もうとするとTQFさんのリュックの肩部分に取り付けてあった ハンディGPSが紛失していた。

上から峠を見下ろしてみる

途中で落としたのなら距離は短くても探し出すのは難しい。TQFさんはリュックを置いて 駆け下りて行った。どこまで行くのかと先端部分からのぞき込んでみると、 峠に置いてある車まで戻っている。ようは車にGPSを忘れたということだ。 やれやれ・・・。
なんてカエルかな?自然石で出来た標石
問題なく歩けるギンリョウソウだらけ

とりあえず120mほど標高を稼がねばならない。 ここが一番苦しいポイントだが、900mを越えると あとはずーっと900m台の標高が続くので楽チンになるはずだ。 分水嶺の稜線上は下草もなく快適に歩ける。足元には国土調査の新しいプラ杭があるのと同時に 川原石ででも作ったと思えるような自然石の標石もあった。
すばらしい原生林だ
最初の861mの標高点を 越えてしばらくしたころから左側がすばらしい雑木の林となる。 氷ノ山山系のど真ん中に迷い込んだのではないかと思うような原生林で、 まさかこんな感じの尾根だとは予想もしていなかったので驚くとともに うれしくなる。

しばらく北上を続けるが、途中から大きく左よりにコースが変化する。 これより右側はどこを下っても横行の集落へ降りることになる。 もし、道谷と横行とのあいだに往来があったとすると稜線上のどこかに 峠が存在してもおかしくない。それも見つけられればラッキーだ。

アンテナのある点名『横行』そこから見る藤無山

三等三角点のある点名『横行』、標高939.9mには11時20分着。 テレビの共同受信施設があった。ずいぶんと新しいユニットを使用しているので 現役で使われているのかもしれない。後ろを振り返ると大屋スキー場とその上には 藤無の姿も見える。ここからのシルエットはずいぶんと端正な形だ。
若くて瑞々しいブナブナの林を行くやまあそ

地形図を見るとこの先に送電線の鉄塔がある。そこまでは緩く下って、緩く登り返しで、 先ほどまでと同様に快適な尾根だ。峠からの登りで汗びっしょりだったが 横行側から冷たい風が吹き上がってきて心地よい。 その横行側は切れ落ちた斜面が続きまるで崖のようだ。足を踏み外すとはるか下まで 止まることなく転げ落ちてしまうだろう。

OAPさんは雪のシーズンに歩いてみたいと言うが、なにも遮る物のない時期に この斜面の横を歩くのはいかにも怖い。はたして道谷と横行を結ぶ峠があるのか ちょっと望み薄の感が強くなった。右手の道谷側は相変わらず自然林のゆるやかな傾斜が 目に優しい。

鉄塔ポイントで食事

関電の送電線鉄塔(上野横行線85)には11時50分着。スタート時点で忘れ物があったり、途中で 何度も立ち止まって写真を撮ったりしたにもかかわらず結構早く到着できた。 これも道がよかったためだろう。 道谷側には巡視路のプラ階段が下っているのだが、横行方向には道がなかった。 ここに来る途中にあったのを見落としたのか、あるいは『行ってこい』の片道なのか不明である。

さ〜て、予定通りにここで昼食をしよう。食事をしながら横行のある谷を見ると横行の発電所が見えた。 反対に道谷方向は木々に隠れているが、その間からは新戸倉のスキー場とその奥には戸倉スキー場。 そして兵庫と鳥取の県境山脈が延々と続き、赤谷山もはっきりとわかる。

石川県輪島市移動の無線局が聞こえた。こんな場所で聞こえるとはめずらしいので OAPさんに応答したら?と言う。するとその局はOAPさんと山で出会ったことがあるという。 OAPさんもそれを思い出して話が弾んでいる。 その会話の中で私のHPも見ているということがわかり私も交信することに。(^o^)

お腹もいっぱいで幸せな気分いつまでも残って欲しい場所
謎の古い石垣ここが峠か?

12時40分再スタート。ここから次の三角点ピークまでも緩やかに下って、緩やかに登り返す尾根だ。 その途中で大きな段差の箇所があった。いぶかしく思いつつその段差を降りて振り返ってみると それはあきらかに人の手による石垣だった。その周辺には高圧碍子のかけらもある。 つまり昼食ポイントにあった鉄塔以前にここにも鉄塔があったということだ。 いつの頃の物かは不明だが、石垣の古さから考えても相当古いと思われた。

横行からの電力をこちらに運んでいたものか、あるいはまったく逆に日ノ原の発電所から横行を経て 明延の鉱山へ電力を送っていたとも考えられる。

点名『六郎谷』まだまだ良い感じ

四等三角点、点名『六郎谷』、標高950.3mには13時25分着。 道谷にある六郎谷を詰めたところにあるピークなのでこの点名が付いたと思うが 点の記には俗称『柳谷』と添え書きがある。三角点横にある倒れたクヌギの木に自然の椎茸が生えていた。 ここからも緑あふれる尾根歩きが続くが、葉っぱが落ちた秋以降なら氷ノ山の姿も見えそうだ。
十字尾根付近996到着

地形図で特徴のあるポイントの箇所が近づいてきた。十字尾根と名付けた所だ。 この辺りに来ると植林が目立ち、人もよく入っているようだが、雰囲気の良い所もある。 いずれ植林の手も入るのだろうか?いつまでの残って欲しいと願う。 ここからもスキー場へ降りることが出来るのだがキリの良い996のピークを 目指す。

996には14時05分着。ここまではほんとに良い尾根だった。次回はここから 氷ノ山の広域林道を経て三の丸方向へ行く予定だが、はたしてどこまで快適に歩けるだろうか? チシマ笹が分水嶺を覆い尽くしており、残雪期でないと歩けないのだろうか? 興味は尽きない。

林道終点に合流スキー場に着きました

ミズナラの斜面から植林帯を抜けると地形図にある林道の終点にどんぴしゃりで降り立つ。 そこからは地形図にもない作業道が網の目のように存在している。 方向を誤らぬようにそれら作業道を選んで歩く。ところが路面の黒土がヌタっており、 うっかりすると泥田を歩くように足を取られる。

新戸倉スキー場の『樹氷コース』の最上部に着くとリフトがあり、さすがに展望が良い。 最後の三角点ピークの戸倉山も目の前だ。ゲレンデにある山菜には目もくれず 三等三角点、点名『戸倉山』、標高895.5mには14時50分着。

戸倉山頂上から分水嶺を見る

周囲の杉の木がなければそれこそ県境尾根も丸見えなのだが、そちら方面はまったく見えない。 代わりに今日歩いた分水嶺の尾根はよく見えた。こうやって見るとずいぶんと長い距離だったように 見える。ゲレンデを下り途中から管理道を歩いて里に下りる。TQFさんが車を回収に行ってくれるというので OAPさんと二人で道谷小学校の前で待つことに。15時35分。

山野草のたぐいはまったくなかったが予想外にすばらしい自然林に出会って 心が癒された思いだった。兵庫にはまだまだ良い山があることを思い知らされた一日だった。 こんなすばらしい山が宍粟50山の選定から漏れているとはいかにももったいない。 やまあその選定する宍粟裏10山に認定だ!!

今回の若杉峠から中央分水嶺の地図は こちら(約160k) でごらんください。


それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


ホームにもどる