沢川森林軌道

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『若桜』を参照していただくようお願いいたします。

2009.10.12.  月曜日  晴れ  気温ふつう
2週間前に扇ノ山に登ったのだが、 本来の目的は登山後に計画していた沢川森林軌道跡の探索だった。下山後に MTBで東因幡林道を走り、取り付き地点らしき所から入り込んだのだが、 どうも違うような感じでそのまま時間切れとなってしまった。 なんとも情け無い結果になってしまったが、 ついでにというのがそもそも間違いのようで、今回はこれだけに絞って真剣勝負だ。
東因幡林道から氷ノ山を見る

そのときに出会った軽トラックのおじさんによると、つくよねから東因幡林道は開通しているという。 通常はどこかの箇所で必ずと言っていいほど路面が崩れていたりして通行できないのだが、 この情報を信じてつくよねから車を走らせる。 メンバーは私とM氏、そして廃道大好きのK山さん。ちなみに三人とも自転車野郎でもある。 この林道にはビューポイントが一箇所あって、そこからは氷ノ山が望める。
『A』地点から作業道があるずーっと続いている

それにしてもぐにゃぐにゃした林道走行は自分たちの現在位置がわかりにくい。 「う〜ん、いったいどこを走っているのかねえ」すると、林道の途中から 新設の作業道が出来ているのを発見する。これを下れば沢川森林軌道と 交差しているはずだ。さっそく車を止めて歩き始める。 この時点では『あ』にいると大いなる錯覚をしている3人であった。10時45分スタート。

まるで猪が掘り起こしたようにボコボコ路面の作業道だ。これのおかげで 楽に下れるのも事実だがどうも釈然としない。ひょっとしてこれのために 軌道跡はつぶされているのではという危惧の思いがあるのだ。 作業道は右に逸れていくがそのまま尾根を辿って行く。 『B』には11時着。ちなみに3人は『J』に到着したと錯覚しているのだった。

『B』は予想通り作業道になっていたが
軌道は確認できた

予想通りここは作業道と化していた。東因幡林道に山積みされていた木材はこの作業道で 刈り出されたのだろう。肝心の軌道はドロドロの赤土を押しのけるように その存在をアピールしていた。ちょっと感動がある。やはりここが軌道跡だったのだ。 とりあえず左方向に進んでみるが、この状況からして この先軌道跡がどうなっているのかさっぱり予想が出来ない。
沢を横切る立派な橋(『D』地点)橋の上はこんな状況だ(白線は軌道)

作業道にあった軌道跡は進むにつれて1段上を行くようになっている。その先を目線で追うと 立派な石垣が沢の両岸にあって、それを繋げるように軌道がある。 M氏はさっそくその上を歩いていた。真ん中が抜けているし、橋の上は草がぼうぼうで、横を這う蔓などに足を取られると まっさかさまに沢に転落だ。
橋が終わると切り通し(『E』)がある

橋を渡るとそこは小さな切り通しだった。人工の地形だが徐々に自然に帰りつつあり、 その自然と馴染んで今が一番よさげな状況に見える。肝心の軌道は見えていないが葉っぱなどの下にちゃんとある。 さすがに作業道は先ほどの橋とか、この切り通しはパスしていた。おかげでこういう建造物が 残されているのだった。
これは『G』の橋
奥にも(黒矢印)橋『F』がある
下から見ると・・・

作業道に復帰したが、ちょい先にはさらなるハイライト部があった。 それは地図の『F』、『G』部分。小さな半径でUターンするように軌道がある。 そこには沢があるために2基の橋が向かい合うように存在している。 木々の葉っぱが落ちている時期に、俯瞰で見ると状態がよくわかってもらえるのだが・・・。

興奮が続いて気が付くとあまり良い写真が撮れていない。それにしてもこの時点でも現在地が わかっていない。周囲をうろうろするが、おしまいには地理院の地図がおかしいという始末。 ようやく現在地がわかって地理院の疑惑が晴れ、我々のアホが判明した。 軌道が地面に埋まっているであろう作業道を下流に向かって歩いてみるが、 これ以上進んでも仕方ないと判断して途中から引き返してみる。 (最終箇所には索道施設跡などもあるらしい)

地面に埋まっている軌道

お腹が減っているので頭が機能していないのだ。そういう理屈でとりあえずお昼ご飯にする。 この辺りから作業道は軌道跡を離れて独自のルートを取っているようだった。 つまりこれより上層部の軌道跡は保存されているということだ。 しかし作業道の延長としていつ軌道跡がつぶされるかわからない。
足元不安定線路は続くよどこまでも〜
自然の力はすごい人間機関車だ

逆S字の付近も不自然な伐採が行われているのでひょっとして作業道に されてしまうのかもしれないと想像してしまう。それにしてもきれいにS字にターンしている軌道なのだが、 これらはどうやって曲げられたのだろう?まっすぐな線路をここまで運んできて、道の曲がりに合わせて それ用のベンダーかなにかで曲げたとしか考えられない。 動力車(機関車)は小さくて、それぞれのパーツのまま担ぎ上げて上で組み立てたという。
今回で一番深い切り通し『J』だなんと石垣があった『K』にあるポイント切り替え

大きな切り通し箇所を通過する。水分が集まるので地面はじゅくじゅくの状態だ。 軌道はちゃんと残っている。途中から両側がきれいな石垣になる。 組み方もきれいだが、これだけの石材をどこからどうやって運んだのだろうか。 切り通しが終わった所には幾筋からの軌道があって、操車場あるいは待避所だったのかもしれない。 それを証明するようにポイント切り替えがあった。軌道以外のものを発見して興奮する。14時。
ここで軌道が終わる石垣の上部はもう林道のはず

私とK山さんはずーっと興奮状態だが、M氏は「線路ばっかりで見飽きたし〜」とそろそろ機嫌が斜めになる。 これ以降はちょっとヤブっぽい箇所もあったりする。 小さな沢に掛けられた橋は支柱が木製のために腐り落ちていて、線路だけがブラーンとぶら下がっている。
東因幡林道に出た林道を歩く

今回のネタは氷ノ山ネイチャークラブのHPと、 『廃道をゆく』というマニア本が元になっている。 それらによるとこの軌道は昭和26年頃に開設されて、昭和41年に廃止となったらしい。 少なくとも40年あまりは静かに余生を送っていたのだが、たぶん今年になってこういう事態に なってしまったのだろう。うまく利用すればハイキングコースにも出来たと思うのだが 私的には残念な結果だ。

東因幡林道には14時25分。林道からこの入り口?は非常にわかりづらい。 やはりあの作業道から入ったのが結果的には正解だったようだ。

今回の沢川森林軌道の地図は こちら(約125k) でごらんください。


それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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