経の尾〜毘沙門洞窟

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『笠原』を参照していただくようお願いいたします。

2009. 1.11.  日曜日  晴れ  気温寒い
ちょうど1年前のお正月、退院リハビリでこの 経の尾〜毘沙門洞窟を歩きました。 初めて見る毘沙門洞窟もすばらしかったが、なんと言っても全ルートがMTB向けで超乗れ乗れコースだったのです。 いつか行こうと思いつつ1年が経ってしまいました。予報では 北方面の天気も悪いことだし近場のショートコースで楽しみましょ。

加西市のはずれにある周遍寺の奥からシングルトラックがあるのだが、そのお寺へ行くのに 自動車が登ってくる参道を素直にヒルクライムするのはおもしろくない。 南にある志方町野尻から巡視路を利用すればより長い距離が乗れそうだ。 そこでスタートゴールは志方東公園とする。9時40分スタート。

入り口となる巡視路の手前におもしろい物がある。 それは県道からちょっと奥、民家の横手の看板が目印です。 『野尻古墳群』と書かれていて看板の横手にあるのはその1号墳です。 入り口付近は竹がバリケードのように生えていて 中に入るのは困難だ。でも入る・・・。
野尻1号墳に入る中は広いぞ

ほんと、この周辺は古墳、城跡、廃寺、石仏・・・と、見どころに枚挙がない。 古墳からエネルギーをもらっていよいよ巡視路へ突入だ。
巡視路に入る右手は牧場

巡視路は竹林へと続く。横手に誰かが長芋を掘ったらしい深い穴がある。 加古川と加西市の境界に出ると有刺鉄線が右手に現れる。 有刺鉄線のむこうは牧場の敷地だが、この辺りは使われていないようで 雑草などがいっぱいで映画で観るような牧草地ではなかった。

姫二火力線63からぐるっと北に回り込んで62の鉄塔へと巡視路はある。 一部登りは乗れないがそれ以外は木陰に残った雪をジャリジャリと踏みながら 快走できる。63鉄塔も展望は良かったが、同様に62鉄塔もなかなかの展望だ。 10時20分。
姫二火力線62鉄塔志方城山が近い

この周辺にあるピークのどれかはわからないが『大将が峰』と呼ばれている ピークがあるらしい。なんともスケールのでかい山名だがいったいどこだろう? その時、62鉄塔の周辺を探索していたM氏が「巡視路がとぎれている」と言う。 まさかと思ったがほんとうにそれらしい道が無い。こりゃ困った、どうやら袋小路の 巡視路だったようだ。

しかし、北方向に薄い踏み跡があったのでシダをかき分けるように下る。すると野尻の集落から来たと 思われる踏み跡と合流。これも巡視路ではないようだったがどうやら野尻から周遍寺への 古い参道のようだ。参道とはいうものの現在はとんでもない激ヤブルートだった。 カメラを取り出す気力も無くなるような道だ。 とりあえずシダに残った雪のために全身びしょびしょになる。

昔、お寺からこの参道を途中まで歩いたことがあったので、途中から良くなるのは わかっていた。したがってただただ、今は我慢して前進あるのみ。 凍死寸前で谷道と合流する。そのまま谷を巻いて周遍寺の階段に着。
廃屋になった庫裏釣り鐘の向こうが本堂

廃屋になった庫裏から境内に入る。めざといM氏はさっそく釣り鐘を発見して 撞木を揺らしている。ゴーンと鳴るべきところがカーンと鳴る。 撞木を固定している金属金具が釣り鐘に当たっているためだった。 無住のために傷んでも直す人がいないのだろう。

釣り鐘の銘を見て驚いた。昭和30年5月となっている。これはきっと戦時中に供出されて しまったためにこの年に作り直したのだろう。驚いたのはこの釣り鐘を造った人、 正確には会社だが・・・。『高岡市 鋳物師 老子次右衛門』という銘があった。 これは梵鐘造りで有名な富山県高岡市にある会社です。 老子次右衛門(おいごじえもん)という屋号で現在も作り続けていて、このあいだも NHKの『美の壷』に出ていました。

M氏はそんなことは知らぬとばかりにカーンカーンと鳴らしています。
八十八箇所巡礼の道経の尾山頂

八十八箇所の巡礼道の最奥には山頂へ向かう道がある。稲荷の祠を過ぎると三叉路がある。 正面は毘沙門洞窟へ向かう道。 昔はヤブっぽかったが現在は明確な道だ。右は山頂へ向かう登り道。 ここからMTBを担いで山頂へ向かう。わざわざ担いで行くのはもちろん 下りで乗るためだ。

山頂には11時10分着。標高221.1m、四等三角点。 あのヤブ参道のおかげでこんな時間になってしまった。 北と西に展望があるが身体が冷えているので長居はできない。 MTBにまたがって一気に山頂からのダウンヒルだ!!

と言いたいところだが途中にある展望地でお昼にする。 ここは風もなく暖かいので手袋を乾かして身体も温める。 食後のコーヒーで身体もホッカホカ。三叉路分岐まで一気に下るぞ!
山頂からは全乗りだよ稜線(市境界)に出ました

三叉路分岐から毘沙門方向へ走りちょっと押しもあって稜線に乗る。ここには 毘沙門への道標と左右に明確な道がある。 ほんとうは62鉄塔からここに出るはずだったのにくやしい。 しかし、ここからはほんとうに乗れ乗れなんで〜す。
やっほーあっほー

ガンガン下って再度分岐に到着する。正面を登れば市境界の続きで登り切った所から またもや乗れ乗れコースとなる。左に下れば毘沙門洞窟だ。 再訪した毘沙門洞窟だが興奮しすぎて写真を撮るのも忘れてしまった。
法道仙人の末裔奥にも石仏が

洞窟内の岩棚には2童子を従えた毘沙門天の石棺仏がある。残念なことに 縦にまっぷたつに割れてしまっている。過去、この岩棚から落ちたことがあったのかもしれない。 いっそ地面に置いてくれた方が写真にも撮りやすいのだが・・・。 他にもいろんな石仏がある。あぁ、また写真だけ撮りに来なければ!

6年前に法華山一乗寺から 王神峯 に縦走したことがあった。その王神峯で見たものは牛頭天王を祀る祠だった。 これは【元亨釋書】という14世紀の書物の中に書かれている記述と合致している事柄で、 一乗寺を起こした法道仙人に牛頭天王が西の峰にて災いを防ぎますと宣言する箇所があるのです。

同様に一日多聞天王雲に駕し来たり法道に語りて曰く大仙久しく此に棲り我まさに正法を擁護し邦国を鎮撫すべし という箇所もある。一乗寺を中心にして西に牛頭天王、そして東のここには毘沙門天(多聞天の別称)が いるということは偶然にしてはできすぎている。【元亨釋書】の記述がここでも現実にあったということだ。 しかも、洞窟の横手にある石碑にはここは周遍寺と一乗寺とを行き来する法道仙人の休憩所だったと記載がある。
毘沙門からも乗れ乗れ負けずに乗ります

M氏の興味はそんな昔話のたぐいではなくとにかく走ること。 幸い毘沙門からもおもしろく乗れるのでご機嫌です。 あっというまに峠に降りたってしまいました。
峠から右に下る左はゴルフ場
速すぎてあっというまもったいないからゆっくり走ろう

峠からも市境界の道は続いているので当初の予定ではそこを行ってみるつもりだったが、 どうも天気が怪しくなってきた。それまでのようには乗れない地形なのでここから下山する。 当然だが峠からも快適に乗れます。
ため池でシングルトラックは終わり

全コースを振り返ってみると初心者向けのルートと言っていいでしょう。 それでも一部の下りは鴨池の周回路のそれよりはきついかもしれません。 鴨池に飽きた人はそこから足をのばしてここを走るのも良いでしょう。

ため池からは農道を走って集落を抜けて駐車場まで戻りましたがタイヤにはいっぱい牛糞が着いていました。(>_<)

今回の経の尾〜毘沙門洞窟の地図は こちら(約100k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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