点名『十年』〜殿下登山口

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『戸倉峠』を参照していただくようお願いいたします。

2009. 6.14.  日曜日  晴れ  気温蒸し暑い
つい2週間ほど前に 『若杉峠から中央分水嶺』 と称して若杉峠から中央分水嶺上の996ピークまでを歩きました。 ヤブは全くなく所々植林はあるものの、たおやかな源頭部に残された原生林やら、稜線上のブナなど 見るべきものの多かったルートでした。 今回はその余韻もさめやらぬまま、わーさんにせかされて続きのルートを歩くことに・・・。 参加者は私、OAPさん、TQFさん、わーさん、しみけんさん。

しんどいけれどもやはり下りより登りのほうがルート探しが簡単なので終点を殿下登山口とする。 スタートは29号線戸倉スキー場の近くにある林道の入り口付近。ということで回収用の車を2台、 殿下登山口にデポしなければいけない。歩く前のこの林道往復が疲れた。 氷ノ山の広域基幹林道はあいかわらずガタガタの悪路だった。

そんなこんなで歩き始めの時間はわからず。林道の途中よりここと思われる斜面をよじ登って 支尾根に到着。10時30分。こんな時間で果たして殿下登山口まで行けるのか不安になる。 支尾根には踏み跡があり楽に歩ける。するといきなり石垣に出会う。 平坦な敷地だったので祠跡かなにかと思ったら高圧碍子のかけらがあった。 つまり鉄塔の跡地だ。2週間前に出会った跡地と繋がっているのは明白だが 思っていた送電線ルートと違うのでこれはこれで謎が残ってしまった。

送電線鉄塔跡気持ちの良い支尾根

気持ちの良い支尾根を少し登れば標高871.3m、四等三角点のある点名『宮ノ後』に到着する。 林道の入り口にある神社の裏手にあるのでこの点名が付いたものと思われる。 ちなみに戸倉集落の北にある標高909.8mのピークは点名『宮ノ前』だ。

右手の整備された植林の奥に、2週間前に下山で使った林道が見える。 ちょっと息が切れかかるがこの先にはすばらしいミズナラの斜面が広がるのだ。 これが見たいためにここを歩いているようなものだ。そのすぐ上が前回の下山分岐だった 996ピーク。11時05分。

ミズナラがすばらしい斜面996から北へ歩き始める

ここから600mほど北上すると点名『十年』という三角点ピークがある。 OAPさんはそこまでは行った経験があるようだ。 その距離にして600mほどの稜線がこれまたすばらしい!!
溜め息が出るようなすばらしさ
緑のシャワーだ思わず登りたくなる

標高1039.1m、三等三角点の点名『十年』には11時半着。 展望は無いがきれいに刈り払われているピークで日当たりが良く、ここで 昼食とする。『十年』という点名がとても珍しく聞こえるが、道谷の集落では このピークのことがどうかはわからないが実際に『十年』という山があるらしい。

さらに興味深いのが県知事が金井元彦(1962〜1970在職)の時、 その知事の音頭で道谷の住人達が新戸倉のスキー場から殿下登山口まで 登山道を整備したという歴史があることだ。木によじ登り方向を見定めて チシマ笹を刈りながら進んだという。我々はその40年前のルートを歩いているのだった。

点名『十年』これより植林がズーッと続く

12時ちょうどに再スタート。地形図を見ると残りの距離からいってもこれからが本番といった感じ。 十年のピークを離れたとたんにそこから植林帯となる。それが1080のピークまで続くのだから、 それまでのすばらしい自然林はなんだったのかと言いたくなる。右に左にウネウネと 蛇行する怪しい尾根で徐々に標高を稼いでいく。植林帯のおかげでヤブは皆無だ。
1080を過ぎた所。方向に注意その辺りから大段ヶ平の上にある大屋町避難小屋を見る

1080には12時40分。この辺りはほぼ平坦で、しかもだだっ広いので 進行方向に注意が必要だ。私以外はみんなGPSを持っているが、 無ければ地図読みの楽しいエリアだ。この辺りから右手植林、左手が背の高いチシマ笹となり、 その間にある道を進むようになる。そして地図の『D』地点に12時55分。
こんなん見つけましたこの標柱が目印

そこには『九四』と彫られた石標と『戸倉殿下コース 30』というスキーコースの 看板を見つける。今まで歩いてきた植林のコースにはこの標識があるようにはみえなかった。 周囲を見ると南への尾根に切り開きがある。どうやらヤマメ茶屋方向にルートがあるようだ。 こんな標識の存在すら知らなかったが、OAPさんが言うには高松宮殿下がこのルートを スキーで下ったのをきっかけに生まれたコースということだ。 (殿下コースの名前もこの由来からきている)

後日調べてみると、高松宮殿下がこのコースを下ったのは1961年のことらしい。 さらに『戸倉殿下コース 30』からは尾根を行くのではなく、畑ヶ谷という谷に下っていく のが正規の殿下コースで標識は『32』まである。

笹ヤブは薄いでかいブナがある
でかいなあ〜ここにもあるぞ

国土調査の切り開きでここまで楽にやってこれたが、その切り開きはヤマメ茶屋方向にある。 したがってここからは笹藪との格闘になるはずだったが、先週の竹呂山に比べると 子供とじゃれているようなものだった。ヤブになったと思ったらすぐに無くなって 普通に歩けたりする。1126からもチョイヤブをかき分けて一登りすると 林道東にある平坦地に出る。ここも植林と自然林の混在しており雰囲気は良い。
わざと濃いヤブに突っ込む?くぐり抜けポイント
こんな良い道があるなんて林道に出た〜

各人勝手に笹藪をかき分けているが、最後はきれいな道が現れる。 両側が笹で真ん中にまっすぐの道だ。やがて目の前に駐車されている車が見えて、 殿下登山口に飛び出る。バイオトイレのすぐ横だ。 そこには『引原川支流 逆水川源流』の碑が建っている。 時間は13時50分。 15時ぐらいになると思っていたが早い到着であった。
とうちゃ〜く

TQFさんが源流碑を探しに行ってくるという。谷の方向から「あったで〜」と 声がするがだーれも源流碑には興味なさそう。それよりも今日のコースの余韻のほうが はるかに良い。このコースで見た原生林がいつまでも残って欲しいと願う。 私の分水嶺はこれで若杉峠から戸倉峠まで繋がったことになった。

帰路はガタガタ林道を嫌い、横行渓谷の舗装林道で遠回りして帰ることに。 氷ノ山広域基幹林道が出来る前はヤマメ茶屋から登ってくるこのコースが 本来の殿下コースであったのではなかろうか。林道が出来て誰もがここから登るように なったために夏道としての旧殿下コースが忘れられていったのだろう。 道谷の住人が整備した道も同様の経過をたどったと思う。 残雪期に三の丸からヤマメ茶屋へ旧殿下コースを下ってみたいものだ。

今回の点名『十年』〜殿下登山口の地図は こちら(約160k) でごらんください。


それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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