上谷山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『千草』を参照していただくようお願いいたします。

2008. 6. 7.  土曜日  曇り  気温蒸し暑い
ほんとは赤西渓谷の奥へ行きたかったのだが、山崎を過ぎた頃からどうも天気がおかしい具合だ。 予報では晴れだったが腕の産毛が逆立って来る。これはカミナリが来る予兆です。 そこで予定を変更してお手軽に登れる千種の上谷山を目指す。

この山は千種の市街地からすぐに登れるが、標高も低く、展望もなさそう (以前、笛石山から見てそう感じた)。そのためか、宍粟50山にも漏れてしまっている 不遇のピークです。 ところがここの山頂には戦時中に建てられて建造物の遺構(監視所跡)が残っています。 今回はそいつにご対面したい。

町内には止められそうな所が見つからず、黒土へ向かう道路の途中に止める。 肝心の上谷山へのルートはどうしましょ。地形図を見ると緩い斜面の耕作地から 広い谷に沿って点線ルートがある(別途地図の『い』)。こいつを利用してみよう。9時20分スタート。

旧千種町の施設横を過ぎる。壁にある旧千種のシンボルは蛇のように見えるが、実はツチノコ。 ツチノコと言っても今の若い子にはわからないだろう。一時はこれを生きたまま捕まえることが 出来たら懸賞金が出たのだが、伝説の動物なので宝くじ以上に可能性は少ない。 宍粟市となったいまも懸賞金はあるんかな?
旧千種町のシンボル、『ツチノコ』農道を進む

『西蓮寺裏参道』という看板を目印に右に折れる。すぐにある二股を左に進むと 地形図にある点線のルートだが、これは全舗装の農道だった。真っ正面には 植松山がある。その点線分岐の間近でおじさんと出会う。 上谷山のことをいうと「監視所跡に行くなら、そこへ行く道があるからそれを行ったら?」と ルートを教えてくれた。

先ほどの二股分岐に戻って右へルート変更。その正面にはドコモのアンテナが見えている。 そのアンテナから監視所へ向かう道がその昔にはあったそうだ。今も残っているかどうかは 不明だという。おじさんが言うには小学校の4年の時にその工事の手伝いをさせられて、 (戦時中だから学校から強制的に派遣させられる。今なら児童虐待だ) 砂や砂利を運んで2往復しないと帰られなかったという。
こいつが目印だお兄さんに先導してもらう

おじさんが言うようにドコモのアンテナ横から道がある。谷にあった耕作地への農道だ。 下のほうはまだ遺棄されてなく、近所の家族の方が仕事をされていた。 その息子さんが「こっちです」と先頭に立ってくれる。後ろでおかあさんと思われる女性が 「上に行ったら左やで〜」とアドバイス。

獣避けの扉が続けて2箇所ある。最初の扉を抜けると『千種部落特別貸付地』という 杭が立っていた。二つ目を抜けると植林の中の細い踏み跡が上へ上へと続いている。 その途中に右方向に明確な道があった。おかあさんはこれを言ってたのだろうか? もちろん正面を登っていく。所々には炭焼き窯跡もある。
獣避けの扉を過ぎて冬虫夏草発見

そんな道の途中に奇妙なきのこを見つけた。地面を覆っている杉の葉っぱの隙間から ちょこっと顔を出しているそれを見つけたとき、一目で冬虫夏草だとわかった。 もちろん初めて見るのだが本などで見た姿を覚えていたのだろう。 慎重に地面を掘って全体を出してみる。本体は小さいけど蝉の幼虫のようだった。 持って帰って漢方の薬局に持っていくとお金になるんかな?
赤松と杉の林が広がる波打つような地形

だいぶ標高も稼いでやや踏み跡も怪しくなり始めた。 心持ち明確な踏み跡は右方向。なりゆきにまかせてそちらへ行く。 コンパスは南を指していてあきらかに間違っているが、稜線に出てから 修正すればよい。

下草はまばらで背の低い笹。周囲は赤松と杉の林だ。それ以上に特徴的なのは ゆるく波打つような地形だった。あきらかに砂鉄を採取した跡だ。 宍粟の市街地のまっただ中といえるこの山でも砂鉄が取られていたということか。 稜線に出て方向を北に変え10分ほどで頂上となる。10時30分。
上谷山山頂

三等三角点、標高617.9m。曲輪跡があれば城跡と見間違えるほど平坦な山頂だった。 そこにはなにかの建物があった証拠となるコンクリートの基礎が残っている。 それは監視所と呼ばれる建物だった。 何を監視するのかと言うと、アメリカ軍の飛行機を監視していたのだった。 ということはその当時は大展望だったということに他ならない。 (現在はまったく展望はない)

こんな田舎にアメリカの飛行機がやってくるのかは大いなる疑問だが、 OAPさんから聞いた話では、千種のダルガ峰に飛行場を建設する計画もあったという。 だとすれば、山深い千種も空襲の危険性があるわけで、この監視所を作った意図も 納得できる。
三角点の横手にある杭

誰かが時々やってくるのだろうか、名前が書かれた6個ほどの石が一角に積まれていた。 せっせと土砂を運んだ少年達を思って オカリナを吹いているといきなり雷鳴が轟く。徐々に暗くなってきて やはり予想した通り不安定な天気のようだ。 本当ならここから下山したらすぐ隣にある大鳴山にも登るつもりだったが 予定を変更してこれで終了とする。
三叉路に降り立つ

予定していた下山コースを行く。コンパスを頼りに進んでいくとあっさりと予定の 林道に降り立った。そこは地形図にもある三叉路。11時ジャスト。 北に向かうと岩野辺の円の元、南に向かうと鷹巣、西に向かうと黒土の中屋だ。 大鳴山に行くなら南だが、車に戻るので西に向かう。
MTBに最適な道まもなく舗装路か

林道はすぐに終点となり、そこからはシングルトラックとなる。 自動車は当然無理だが、適度な下りで障害物もなくMTBならウハウハコースだ。 獣避けのネットが現れたら里は近い。最後に現れた分岐は右を選択したが、これは左が 正解だったようだ。開けにくい金網を扉を開けて道路に降り立つ。11時30分。

あまりに簡単すぎた山行きなのでレポートに花を添えるべく滝でも見てみよう。 服を着替えずに車に乗り込み、すぐ近くにある『黒土の滝』へ向かう。 道路脇にスペースがあるので駐車も楽だし、入り口には標識もある。 激下りの道を下りて丸木の橋を渡る。
黒土の滝入り口ひたいのシワがかわいい不動明王

今日は幸いにも水量も多くてなかなかの迫力だ。滝の横手には不動明王の石仏。 さらに横手にはお社と東屋もある。駐車した道路が滝のすぐ上に見えているのは 興ざめだが致し方ない。しばらく写真で遊んで車に戻る。 結局、雨は降らず天気も回復して、昼食は駐車した車の中で食べる羽目に・・・。 言い忘れました。上谷山も宍粟裏10山に認定です。
黒土の滝


今回の上谷山の地図は こちら(約70k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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