松尾山〜寺谷山〜倉谷山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『篠山』を参照いただくようお願いいたします。

2008.12.30.  火曜日  晴れ  気温ふつう

一年を締めくくる山行きはやはりMTBで決まり!歩くのもおもしろいけど やはりMTBの爽快感と移動性能の高さにはかなわない。ルートは以前から温めておいた 丹波の松尾山から南に派生する尾根を寺谷山、倉谷山と二つのピークを経て縦走しようというもの。 白髪、松尾というと最近は北側から登ることが多くて、南の住山集落から登るのは ほぼ10年ぶりとなる。はたしてどうなるやら・・・。
ポイステ車と間違われるかも分岐を右に行くべし

氷上では雲海が発生していたようなのでこの地域も楽しみにしていたが、まったくそれらしい ものもなく天気がよかった。集落入り口にある空き地に車を止めて準備をする。 9時20分スタート。

集落奥にある分岐を左に行けば白髪岳だが、今回はダイレクトに松尾山に登りたいので 右を選択する。するとどこかの民家からいきなり犬が飛び出してきて、吠えながら先行するM氏を 追いかけて行く。大の犬嫌いのM氏はそれこそ脱兎のごとく逃げていきます。

犬は私の所にもやってきますが、別に噛むわけでもなく、どちらかというと MTBが珍しくて一緒に走るのが楽しげな感じ。林道最奥の登山口で帰るかと思ったら そのまま登山道を先頭切って走っていく。どうやら山を案内するつもりらしい。
登山道の入り口きつい登りだ

我々はヒーヒー言いながら担いでいるのに彼女(雌犬でした)は登山道から 離れて崖をよじ登って我々を見下したり、遙か先を走ったりとずいぶんのタフネスぶりを 見せつけている。横を流れる谷川の水量があまりに貧弱だったので、奥にあった不動の滝も 岩盤が濡れている程度だった。当然だが横手には不動明王の石仏がある。 犬は滝の周りを走り回っていた。
不動の滝蔵王権現像

その先にある蔵王権現の石仏が楽しみだったが、見てみると蔵王権現と言うより 右投げのピッチャーが振りかぶっているような姿でおもしろい。 さらによく見ると石仏ではなく焼き物のような感じだったが どうなのかな?
阿弥陀堂跡

石垣が見えたかと思ったらその上は真っ平らな平坦地で阿弥陀堂跡という看板があった。 イラスト地図の書かれた大きな看板は、支えの木と共に倒れていた。 敷地には阿弥陀堂があったと思われる正方の石垣があり、そこには三基の石仏と説明があるが、 正確には石塔、五輪塔、石仏であった。時間が無いのでくわしくは見れなかったのが残念。

山頂へ向かうには看板の左にある道を登る。大きな石垣があり先ほどの阿弥陀堂の真上にも 何かがあったのがわかる。なにせ二十五坊もあったと言うのだからずいぶんと規模のでかい 寺院だったのだろう。首の無い大師像の先にはT字路になった平坦地があった。
愛宕堂本坊跡

石塔、地蔵の立像、名号塔と愛宕のお堂があった。右奥は行き止まりだがここも平坦地で 本坊跡とある。見ると立派な礎石が規則正しく並んでいた。 往時がどれほどのものか想像するしかないが、大正の終わりまで本堂は存在していう。 その後は国道176にある同名の寺に降ろされたのだろうか? これまで見てきた丸彫りの石仏のすべてに首が無いのは明治の廃仏毀釈のためだったのは 明らかです。
左に転けるとたーいへん!卵塔群

山腹を巻く植林の中の細い道を走るがスリリングだ。左に転けようものなら笑っては 済まされない雰囲気だ。先が明るくなったらそこは卵塔が一直線に並ぶ墓地だった。 一つ一つ眺めていたら日が暮れてしまう。 これだけの数があるということはそれだけの長い歴史があったという証拠か? 墓石の劣化具合が似ているものが多いから同じ年代のものがほとんどかもしれない。 先を急ごう。ここから頂上までは担ぎっぱなしだ。

急な箇所にはロープが張っているのだが、こいつがMTBには邪魔になる。 その点案内犬は身軽でうらやましい。四つの足でスイスイと登っていきあっという間に姿も 見えなくなる。一旦傾斜も緩くなると岩が多くなってくる。 目の前に曲輪のあるピークが迫ってきた。山頂ではなくその手前にある南峰だ。 こちらも城跡のようだったが、右手に目的の『仙の岩』があった。
案内犬とツーショット仙の岩で食事にしましょ

時計を見ると11時20分。山頂は薄暗くて展望も無いのでこちらで食事がベストだ。 岩場は暖かく、しかも南方向に開けている。かすみさえ無ければ大展望なのだが・・・。 案内犬もお腹を減らしているようだが、しつけが良くて横手でちょこんと座ってこちらを 見ている。二人のお弁当をお裾分けして三人?仲良く昼食だ。M氏はまだ彼女(案内犬)が ちょっと苦手なようだが、彼女はM氏がお気に入りの様子。 ここから直視できる大野山の矢問さんとも無線で繋がった。

山頂のピークに向かう途中には 千年杉があった。名前は千年だが推定樹齢は500年だという。 それでも戦国時代の戦火をくぐり抜けてきた強者には違いない。 その生命力をちょっともらおうと抱きつくM氏。「M氏、あんたはこれ以上エネルギーいらんでしょ!」
千年杉からエネルギーをもらう松尾山頂上

松尾山(酒井城趾)には12時10分着。無線では繋がらなかったが携帯で氷上のたぬきさんに連絡をする。 頂上は以前通りの感じで雑木に覆われている。それでも篠山三岳方向にだけは切り開きがある。 麓の村で出会った単独ハイカーは、白髪だけだったのか、あるいはまだこちらに来ていないのか 山頂は無人のままだ。ほとんど乗れなかったが四叉路の分岐まで一気にダウンする。
『肩越えの辻』へゴー!!手洗いの石仏

四叉路から肩越えの辻へ向かって走る。今日初めての本格的な走りになる。 案内犬もそれを知ってかテンション高くM氏に着いて走っていく。 普通のハイカーとも今まで一緒に歩いたのだろうが、こんなに楽しく走れるなんて 彼女にとって初めての体験だろうと思う。

肩越えの辻で一休みして住山コースへ走り出す。MTBの真後ろを走れば良いんだが 彼女は真横を走るので、車輪と接触しないか心配だ。 手洗いの水場付近は10年前は展望の伐採地だったのに今ではまったく見えないく なっていた。案内犬はしきりに水場の岩穴に首をつっこんでいる。 喉が渇いているのだろうかペットボトルの水をあげるとむさぼるように飲んでいた。
ここから曲がるはずなんだがよっしゃ尾根に乗ったぞ

高低差無く山腹を巻いていき石仏のあるポイントに到着した。地形図ではこの支尾根を 南下すればOKのはずなのだが、支尾根には踏み跡すらない。 西となりにある支尾根は登りの時に通過した阿弥陀堂跡のはず。 そう思って行ってみると確かにそうだった。あれ?10年前はどうやったんやろ?

正規ルートはその間にある谷から始まっていたのだった。ただ、その始まり付近が崩れていたので わかりにくかったのだ。一旦入り込むと明確な道が先ほどの石仏のあった支尾根に 乗るのがわかった。そこからは予定通りに乗れ乗れだ。
首無し地蔵とツーショット

首無し地蔵分岐に到着。右に下れば不動の滝だが当然直進。尾根の真上に行くということに とらわれずに道なりに進むべし。すると下の写真のような分岐に突き当たる。 右に下れば茶畑を抜けて林道にあった水利施設の横手に下る。 わんちゃんのためにはここで下山するのが良いのだが、ここからのコースが今回のメインなので 下山するわけにはいかない。
穴地蔵分岐

穴地蔵と銘うってはいるが実際は観音像だ。石仏さえ見れば地蔵と思っている人も多くこういうたぐいの 間違いは 多々ある。それを横目にいよいよ後半戦スタートだが、想像以上に良いトレールが尾根上にある。 どうやらこれも高仙寺への参道の一つのようだった。
明るい雑木の尾根だ細くてテクニカル

松尾山周辺は暗い植林帯がほとんどだったが、この辺りは明るい雑木で気持ちが良い。 寺谷山には13時55分着。標高407m、三角点無し。ヤブならこの 付近から下山も考えていたが、まったく問題無しなのでこのまま突き進むことにする。 わんちゃんもまだまだ着いてくるつもりのようだ。
極楽だ〜けっこう急下りです

寺谷からはさらにおもしろいトレールの連続だった。乗れそうで乗れない下り (人によっては簡単かもしれないが)をチャレンジするのが楽しい。 「いや〜、ここに来てよかったなあ」とM氏も案内犬も絶賛である。 倉谷山には14時15分着、標高366.9m、三等三角点。

この先にあった分岐ピーク『N』で悩む。直進すれば送電線巡視路に合流して ほぼ駐車ポイントに着く感じだった。が、そこから続くトレールは歩くには問題ないが、 生え混んでいてMTBは乗れそうにない。 手前にある左に下るルートにはマーキングがありそこそこの道幅であった。
里も間近下山しました

その左ルートを進んでみたが倒木が多くて乗ることはほとんど出来なかった。 道幅は十分にあるし傾斜も楽勝の斜度なので非常にもったいない。 だれか整備をしてくれないだろうか。やがて竹林になり道路に降り立った。 14時40分。

いままで喜々として併走してきたわんちゃんだったが、我々が無事に下山したのを 見届けるときびすを返して山中に戻っていくではないか。いままでは「オーイ!」と呼ぶとこちらに来たのに もう戻っては来ない。あれはなんだったんだろうか?観世音が使わした案内犬だったのかなあ。 犬嫌いのM氏もちょっと寂しそう。「無事に家に帰るかなあ?」「Mさんより賢いから大丈夫やで」

駐車ポイントには14時50分着。秋に走るとまつたけの問題があるので おすすめできないが、初冬、晩春の頃には楽しいライドが出来るでしょう。

今回の松尾山〜寺谷山〜倉谷山の地図は こちら(約140k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


ホームにもどる