はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『岩屋堂』を参照していただくようお願いいたします。 2008.10.12. 日曜日 晴れ 気温ふつう
くらますは兵庫県県境からちょっと鳥取側に入ったところにあります。地形図で見る限りは
さほど目立った山ではありませんが、これがなかなかの好展望の山で私は2度ほど登りました。
1度目は
2年前の残雪期。
このときは絶景のピークが待っていてくれました。
2度目は1年前の9月半ば。
同じコースで雪が無ければどんなんかと思って登ってみれば、稜線に出たとたんに大雨となって撤退。
OAPさんが高倉を経由して登る計画があるというのでそれに乗っかることにする。 それは小通峠(こどれとうげ)から高倉、1144ピーク、そしてくらますというルートだ。 小通峠(こどれとうげ)と言っても知らない人の方が多いと思うが、 兵庫・鳥取の県境、三室山の西にある大通峠(おどれとうげ)と対をなす峠で、兵庫からだと 大通峠、小通峠を通過して吉川に下る街道が昔から存在していました。 その大通峠から舗装林道で小通峠に着。未舗装の林道との三叉路にあるスペースに駐車する。 大通峠には石仏があるのだが、ここ小通峠(舗装)にはそれらしいものは無い。 地形図を見ると旧の峠道とこの舗装路とか交錯しているのがわかる。ふと、横手を見ると 踏み跡があった。中を覗いてみると・・・。
なんと、そこが旧の小通峠(こどれとうげ)だったのです。しかも 石仏もありました。傷みも少なくきれいです。 舟形で宝珠を両手で持つ地蔵菩薩の立像(大通峠の石仏も同じ形のものだった)。 右側には『安永三年午(1774)八月日』左側には『吉川惣□□』とあった。 小通峠と大通峠の間には中江というたたら集落があったので、往時は大勢の行き来があったのは 間違いありません。 長く感傷に浸るわけにはいかず、出発の準備をします。ずいぶんと肌寒くて山頂で フリースがいるのでは?という言葉も出る。高いのり面のどこから登ろうかと相談するが、 西端からが登りやすそうと判断。9時15分スタート。 登ってみるとそこは植林と笹ヤブとの境界。数年前のものだろうか、数mの幅で刈り払われたであろう形跡があった。 刈り払われた低木やら笹が足元で邪魔するものの案外楽に登っていける。 横手にある笹藪に入り込んでいたらとんでもないことになっていたはずで、登り口の選択が明暗を分けていたところだ。 いったんゆるくなった地点から正面に高倉のピークが迫る。
標高1137m、三角点無しの高倉には10時10分着。ほとんど展望は無いが、笹をかき分けた空間からは 氷ノ山から三室までが見ることが出来た。登りで楽させてもらった切り開きはここまでで、ここから方向を北に変えて 笹藪をかき分け下る。下りのため笹藪はさほど苦にはならない。 頭上には赤や黄色に色づき始めた木々があり、時々くらますの姿も見える。 そのくらますも緑一辺倒から秋らしい色になり始めていた。 |
広い鞍部はヌタ場だった | ヤブを登る |
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高倉と1144ピークの間にある鞍部には10時35分着。 広くて横に長い鞍部で全体がヌタ場になっていた。
鞍部から笹の薄い所をねらって登り始める。ところがすぐに背丈以上の笹藪となる。 なんとかかき分け、かき分け前進すると笹の背丈も低くなって、気が付けば周りは 若いブナでいっぱいだ!!ピークと思える地点には11時03分着。
今度は1144とくらますの間にある鞍部に下る。こちらも激ヤブで、 下りだから滑るように下って行けたが、帰りにはどうなるのか不安になる。 降り立った鞍部は先ほどとは対照的に、狭くて倒木などで雑然とした所だった。 ここからも今まで通りに稜線をたどって登ろうとしたのだが、いかんせん背丈以上の激ヤブで いかんともしがたい。稜線直下の西斜面にわずかにある獣道?を利用して前進するが 倒れた笹に足を乗せると横滑りする。 さすがに全員口数も少なくなり、TQFさんにいたっては「もう帰ろう」と言う。 そうはさせじとこちらは先頭に立って足を速める。 やがて笹も低くなり見覚えのある尾根になった。 |
前回大雨で撤退した地点 | 円錐の三室が美しい |
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そこは前回雨で撤退した所だ。時間は11時40分。ここまで来れば山頂までは目と鼻の先? ちょっと小憩する。ヤブくぐりが連続したので全身ゴミだらけだ。 虫除けのスプレーを全身にふりかけているがダニがくっついているかもしれない。 お腹は減っているがまだまだ元気。右後ろに見える三室の円錐が絶品だった。 |
天狗岩の近くで |
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残雪期だと稜線上をまっすぐに登れたのだが、無雪期だと途中からわずかに西よりとなる。 そこは天狗岩のあるススキ原だ。大通峠から東山(とうせん)まで遮る物なく 大展望が楽しめる。とにかく腹ぺこなので山頂へ急ぐ。
山頂近くになると木立の中に大きな露岩が目立つ。残雪の時はこれらがすべて 雪に埋もれていたのでわからなかったわけだ。雪に埋もれていた三等三角点も 今回初めて目にする。標高1282m、12時20分着。 朝方は寒いと思っていたが山頂ではそうでもなかった。TQFさんの飲むビールが いかにもおいしそうだ・・・。 山頂からは東方向が望めるのでピークの同定などでひとときを過ごす。 13時下山開始。
行きで学習したので『C』地点の鞍部へは山腹をトラバースしながら戻る。 横滑りは相変わらずだが、稜線の激ヤブをたどるよりはマシだ。鞍部には ほとんどドンぴしゃでたどり着いた。問題は1144への登りだ。 隙間のありそうな箇所から登り始めたてなんとかピークにたどり着いた。 実は、下山の途中から体調が悪くなってきて、足も動かないし思考力も落ちていて 歩くのがかなりつらい状態だった。 思考力と体力が落ちたついでにコンパスと熊避け鈴も落っことしていた・・・。 ついに『B』地点の鞍部でギブアップ。ここから舗装路へダイレクトに降りようと提案する。 本来なら先頭に立って行くところだが、ノロノロと最後尾から遅れないように 着いていくだけだ。
植えて10年もたたないような杉の植林帯に出た。眼下には舗装路が見えている。 斜面を下りきって舗装路には14時40分着。流れで顔を洗うとわずかに気分がすっきりする。 5分ほどの距離で駐車ポイントにたどり着いた。 ほんとは帰路の途中にある中江の一本杉周辺を探索したかったのだが、 疲れ切ったので次回にしよう。 今回の小通峠〜高倉〜くらますの地図は こちら(約120k) でごらんください。 |