笠杉山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『神子畑』を参照していただくようお願いいたします。

2008. 4. 6.  日曜日  晴れ  気温まあまあ暑い
マイカー登山がそれほど発達していなかった頃は、この山に登るには 朝来市の田路からのルートが一般だったのではないでしょうか。 鉄道の無い千町集落からより、国鉄のある田路からのほうが登りやすかったのでは? それを象徴するかのように、田路から笠杉へ向かう林道の途中には 尼崎山の会が設置した道標があり、それには『田路を経てJR新井駅9キロ』と書かれています。 (ただ、JRなんて表現からして最近のものだとは思いますが・・・)

しかし、現在は田路から千町へ通じる昔の峠道はほとんどわからないほど崩壊していますし、その後釜として 工事された林道も、市境界まで到達しているものの、結局千町へは到達することなく放棄され、 その途中には崩落した箇所もあるためハイキング道として利用するにはリスクがあります。

ということで、今回は新ルート開拓で笠杉を目指してみます。 まずは奥田路の最奥にある公園の前に車を止める。帰りやすいように 車の向きを逆にして準備をする。 外に出ると暖かくて、それはそれでありがたいのだが、山ヒルがお出ましに なるのではないかと少々不安だ。念のために靴にスプレーをして出発。9時。
ここがスタート地点。白矢印で登るこんな感じで歩けます

ここから田路と神子畑を分ける稜線上のピーク(B地点)へ出て、そこからその稜線をたどって 笠杉まで行こうという計画です。地形図でわかっていたものの、この支尾根は傾斜が急で いきなりあえぐこととなる。途中に平坦なテラスが3箇所ほどあるので そこが小憩場所となるだろう。暗くていやな植林帯は最初のテラスで赤松林に変わる。
三つ目のテラス(A地点)からの展望
あのピークの奥は日本庭園だ
これを登り切ると稜線

支尾根には切り開きがあり植林から雑木、雑木から植林と変化しても その切り開きを登ればいいので楽だ。東を見ると783mのピークが雑木に 覆われていてそそられる。三つ目のテラスの西側は裸地になっていて、 その向こうには段が峰のゆるやかな山塊が間近に望める。それらを眺めながら 汗をぬぐって水分補給をする。

第三テラスからも傾斜は険しく、手を抜けない。ヒーヒー言いながら稜線に立つ(地図のB地点)。10時13分。 三菱の名前が入った黄色いプラ杭があって、左右には明確すぎる道があった。 笠杉へは左(南西方向)だが、実は右(北方向)へ行く計画も持っていた。 どちらへも快適な道があったので、ここでちょっと悩むが、やはり最初の計画通りに笠杉へ歩き出す。
稜線を南西へ。とても歩きよい

所々雑木もあるが、ほとんどが植林だ。従って展望もあまり良くない。 この時点で下山コースは考えていなかった。したがって、ピストンだった場合、 途中でエスケープもあり得るために、下りられそうな支尾根を確認しながら 歩く。
植林が続いたので目を休めるアセビが行く手を遮る

途中、南方向にとんがりさん が見えるが、ここから見えるとんがりさんはさほど尖っていない。 植林だがしっかりとした尾根道は、やがてアセビが通せんぼしていて歩きにくくなる。 右に、左にそれらをやり過ごしながら前進。
ここを過ぎると激登り山頂。白矢印で登ってきた

よっしゃ、これを登り切れば山頂か!目の前には激斜面が壁のようにそそり立つ。 途中でフーフー言っていると、青葉山のIRCさんから無線が入る。「あと10分待って」と 言って、残りの標高をよじ登る。ところがこれはニセピークで、山頂はまだ先だった。 しかも、そこもさらなる激斜面だ。ヘロヘロになって三等三角点、標高1032.1mの山頂に立つ。 11時45分。宍粟市と朝来市の境界にある山と言いたいところだが、三角点は朝来市に位置している。

山頂に到着したとたん、戸倉から三室への県境尾根縦走隊(OAPさん、TQFさん)の無線も 明確に入ってきたので、青葉と三局でお互いの山の状況のレポートを交換する。 さすがに青葉山は目視出来ないが、ここからは氷ノ山をはじめとする 県境方向はばっちり!無線ではハサリ山に到着というので、「ははん、あの三久安山の向こうぐらいかな」と 見当をつける。
県境尾根方向を望む

無線も一段落してこちらも食事とする。例によってアルミの鍋焼きうどんだが、アルミ鍋は へしゃげて使い物にならず、だしを入れると底から漏れてくるのでコッヘルに 移し替えて調理する。(あきらかに昔よりもアルミ鍋の肉厚は薄くなっています)

食後はオカリナを数曲演奏して悦に入る。 だーれも登ってこないのでへたくそなりに思いっきり吹けるのがうれしい。 時計を見ると12時50分。そろそろ下山開始か。 さて、どう下ろうか。ピストンも考えたが、やはり大タワから下ってみるか。
千町側に現れた林道峠で地蔵を拝む

大タワへの細い尾根(中央分水嶺だ)はそれまでと違ってハイカーに踏み固められているし、 テープも満載なので薄目でも(目をつむっていてもと言いたいが、目をつむって歩くと転ける) 大丈夫だ。

大タワのちょっと手前にある902ピークは田路から来る廃林道の終点である。 そこで驚くべきものを見てしまった。それは 反対側の千町サイドにある工事の真っ最中の林道(Eの実線)だった。 今、私が立っている所を削り取るだけで田路と千町が繋がるということになる。 大タワには13時15分。ここは以前と変わらない風景だったが すぐ横手を新設の林道が山を削り取りながら存在していると思うと複雑な思いだ。
旧峠道を行く田路川源流を行く

鹿よけネットをくぐり抜けて旧峠道を下る。夏場だとタケニグサが背丈以上になっていて、 前方も足元も見えなくなり不安になる道だが、今は何もなく雪すら残っている。 踏み跡はすぐに無くなるが、枯れかけたミズナラが4本立っている斜面を谷に向かって 下りていくのが正解だ。初めてなら不安になるが、何度も来ているので何の迷いもなくスルスルと下る。

降り立った谷には道がある。それもすぐに無くなるので、歩きよい所を探しながら 下っていく。2箇所ほど小さな滝があるのでそこだけ注意。 30分ほどで林道出合いとなる。
三椏の大群落「いちりん」でお茶しましょ

あとは退屈な林道下りとなる。MTBなら数分で駐車ポイントだが、歩きなので あちこち眺めながら、さらに林道もショートカットしながら下って行くも1時間ほどかかった。

服を着替えて奥田路にある祥雲寺というお寺に寄ってみる。 この敷地内には「いちりん」というお食事処がある。 (「いちりん」は近所にある一輪草の群落にちなんでつけられたらしい。昔はいろんな野草が 咲き乱れていたらしいが、鹿が食べたりとかバカハイカーの盗掘で無くなったという)

「いちりん」は こんな奥地にあるにもかかわらず案外お客が来ていて、 以前も満員の中で食事をしたことがあった。 今日は時間帯も遅かったために私一人だったので、これ幸いに山の情報などをご住職から聞こうともくろむ。 お店の女性に聞いてみると、残念なことに現在は無住だという。 さらに、山のことや昔のことを知っているような老人はこの周辺にはもう居ないという。 まったくもって残念だ。

「夏には姫ホタルがいるのでまた来てください」と言ってくれたが、 この周辺には登りたいピークがいくつがあるので また訪れることになりそうだ。

今回の笠杉山の地図は こちら(約130k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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