点名『絵本』

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『神子畑』、『但馬新井』を参照していただくようお願いいたします。

2008. 4.13.  日曜日  曇り  気温ふつう
先週笠杉山へ登るために 使用した登りのルートは実は今回の山行きのためのルート開拓でもあった。 WEBでもガイド本でもこのピークについての案内は皆無である。 ならば、やまあそとしては一番乗りで登ってみたくなる。 地形図を見てもどこから登るのが一番楽で、なおかつ楽しめそうなのか 皆目見当がつかなかったが、先週の山行きでだいたいのイメージがわいてきた。
口田路から見た『とんがりさん』

口田路、中田路、奥田路と田路川に沿って谷を詰めていく。 口田路から見たとんがりさんの姿がきれいだ。 この山も登る人が多くなったが、『とんがり山』なんて書いている ガイド本があったら要注意。地元の呼び名も調べていないような本は 参考にする価値なしと言いたい。先週と同じく奥田路の最奥にある公園前に駐車をする。 手際よく準備を済ませて8時55分スタート。

えらそうなことを言ったが、実は今回の点名『絵本』も山名がとうとうわからなかった。 そうとう聞き歩いたのだがわかる人はいなかった。 点名はあくまでも地理院が勝手につけた三角点の名前であって、山名ではない (中には点名=山名の場合もあるが・・・)。ちなみに絵本とは奥田路の さらに奥にある、つまり私が駐車している地点から奥の字である。 それだけでも絵本が今回の山名で無いことがわかる。
『A』地点で小憩実際は暗い植林帯

時節的にはもうちょっと先だと思ったが、念のために足元にヒル避けを スプレーする。今回は百均で買った小さなスプレーに塩水を入れて 、そいつを靴、スパッツに振りかける。 乾くと白い塩を吹くのが見苦しいが、逆に付いているという目印になるので 安心感はある。気温は10度だが、植林内は2度ぐらい低いだろう。 注意しなが登っていったが、とりあえず大丈夫のようだった。 暑いとわかっていたので最初から半袖Tシャツで登るがやっぱり暑い。

予定どおり『A』地点で小憩。この先は手入れのされていない植林帯だ。 倒木も若干あるし、暗くてじめじめしている、さらに『B』地点まで来ると 目の前にそびえるような斜面が行く手をふさぐ。前回は左手から登っていったが 右手に迂回するのが正解だった。

神子畑と田路の境界尾根ピーク『C』地点には10時10分着。 ここから左へ進めば先週登った笠杉山。 今回は予定通りに右へ進み、いよいよ未知のルートとなる。 (ちょっとおおげさ)
858から『D』へ向かう

ダイレクトに『絵本』を目指すのではなく、ちょっと寄り道をしてみる。 それは858から北へ向かって802への寄り道だ。 国道429の笠杉トンネル手前からこのピークを見たとき、伐採地が広がっておりいかにも 展望がよさそうだったからだ。 神子畑の選鉱所跡をはじめとする、そのバックにそびえる山塊も望めそうだと期待がふくらむ。
『D』へ向かう途中の左手の谷は雑木、雑木、また雑木・・・

ゆるやかに下っていくその支尾根の左手は植林、そして右手には 広大な雑木林が広がっていた。下を覗いてみると すぐ谷の源頭付近が見えている。そしてそこからは水が湧き出ており 早くもせせらぎの姿を現していた。支尾根を進むにつれて、平行してある 谷の水量は増えていき水音は自然と大きくなっていく。
802ピーク選鉱所跡が見える

この谷を下っていけばきっと途中には滝とか、炭焼きの窯跡なんかもあるんだろうなあ。 そんなことを想像しながら進んでいくといつのまにか802ピークに着。10時45分。 想像と違って展望はなかった。おかしいなと思い、先を覗くと伐採地はもうちょっと下にあった。 ただし、崖のような傾斜を下らないと行けそうにない。あきらめて元に戻る。
『E』の鞍部にあったヌタ場カエルの卵がいっぱい小さな流れになっていく

858のピークはちょっと巻き気味でクリアーする。『E』の鞍部では大きなヌタ場があった。 そこからしみ出した水は小さな流れとなって先ほどの谷へ向かっていた。 地形図を確認するとここから4、5箇所のコブのような尾根を進んでいくようになっていた。 その小さなアップダウンが空腹には応える。
『E』の先にあるコブ尾根まもなく山頂だ

見える範囲はすべて雑木だが、その多くは樹勢が衰えているように見えた。 しかも下草が皆無で気味が悪いほどなんにも生えていない。 これらは鹿によるものだろうか?あるいは気候によるものか、昔からこうだったのか・・・?
三等三角点のある山頂

先週登った笠杉からこちらを眺めると三角点の『絵本』は見えずに、 その手前にある『い』ピークが見える。そこにも小さな裸地の展望地があるのだが、 お腹が減っているのでそこへは行かずにダイレクトに山頂へ。

点名『絵本』には11時50分着。三等三角点、標高923.9m。 周囲に保護石は無いがほとんど無傷の古い三角点と出会えた。この山は ちょっと1000mに足らない分、ハイカーの興味から外れてしまったのかもしれない。 そのおかげか?道中にはまったくマーキングもなく、当然山頂にもプレートのたぐいもない。 まさに手垢に汚れていない山頂というわけでにんまりとほくそえむ。
『G』からの下り尾根は細くて急だその鞍部付近

食事もオカリナも終えて12時半に下山開始。もうちょっとゆっくりしたかったのだが、 山頂の手前から見える下山路を眺めたとき、あまりに距離がありそうで 少々焦り気味なための早立ちになった。

山頂まではなんの障害もなかったのに、下りはじめからいきなりの倒木帯となる。 下りでひっくりかえると怪我の元なので、慎重に倒木を避けながら下っていく。 目の前にある分岐ピーク『G』には登らずに、その斜面をトラバースして下山尾根に乗っかる。

その尾根は細く左右に切れ落ちている。油断すると滑落もありだ。しかも尾根自体急下りで、 これまた油断できない。(多少おおげさに言ってます)
タムシバを写すのはむずかしい783の先には・・・

ふりかえると『絵本』のピークがよく見える。東にはパラの発進基地のある馬場山が大きい。 西には当然、笠杉山だ。 尾根はゆるやかになりそのまま登り返すと783ピーク。13時10分。

ここから左手に存在する植林と雑木の植生界を下ると、 547を経て『内水面漁業センター』のある谷に下れそうだが、 もっと歩きたいのでパス。その選択は正しくて、783の先には 小躍りしたくなるような展望が待っていた。
大展望が待っていた

かすんでいるので写真ではわからないが、遠くは粟鹿峰から三国、またに、千が峰。 近くは生野の山々。真っ正面には口田路からもきれいに見えたとんがりさん。 そのちょっと左にあるピークは京都山だ。下山路方向にあるとんがりさん以上に とんがっているのは点名『西山』(田路では上山と呼ばれています。これを見ても 点名=山名でないことがわかる)。
フトウガ方面目の前の植林帯からまた倒木帯

下り初めて後ろを振り返るとフトウガから大タワ(田路では『千町峠』、あるいは 『ヒクタワ』などと呼ばれています。大タワは山屋さんが勝手に呼んだ名前かも)、 足元を見ると田路の家並みも見えています。下山方向に見える一本松(上の パノラマ写真の左手にある松)から町並みに向かって下ると祥雲寺(いちりん)へも下れそうだ。

展望尾根から植林帯(『H』地点)に入るとここも倒木帯だった。 やはり、無理矢理に植林した所というのはもろいようだ。 しかも小雨まで降ってきた。空を見上げると雲ははるかに高いのですぐに 止みそうなので雨具は出さず。
大柿さんの赤布に出会う峠に着きました

倒木帯が無くなって再度雑木帯に入ったところ(『I』地点)で大柿さんの 赤布に出会う。しかもそれは分岐を表す2重巻きの赤布だった。 その方向には植樹ボランティアのエリアがあるので、そこから登られたのだろう。 (大柿さんのレポートはここから東方向に尾根を縦走されています)

カラマツの細かい針葉を踏みながら583を過ぎて要注意の分岐になる。 左へも良い踏み跡がある。これを行けばたやすく老波へ下れそうだ。 目的の方向は右の急下り。とうぜんだが大柿さんの赤布はこちらにある。

老波(しわなみ)と田路を結ぶ峠には14時10分着。 下山する峠道が残っているかどうかもわからないが、ともかく ここまでは来てみたかった。(ちなみに、ここの手前にあったクヌギの木には 山仕事の人が書いたと思われる赤ペンキ矢印があって、その方向に下ると田路へは 簡単に下れそうだった)老波方向は植林でジグザグに細い道あり。 田路方向はまばらな雑木で踏み跡は斜面に少し残っている。 残念ながら石仏、道標のたぐいはなかった。
道はなく斜面を下っていく真っ暗な植林に入る

最初見つけた踏み跡もすぐに無くなる。 結局まばらな雑木斜面をまっすぐに下ることとなる。 その行き着く先は真っ暗な植林帯だ。 今度こそヒルの餌食になりそうで、がむしゃらに斜面を駆け下る。 その先に明るい空間が見えてきてホッとする。
民家の裏手に出てきました

民家の裏手に出た。鹿避けネットをくぐり抜けてこっそりと道路へ出ようとするが、 犬が大声で鳴き叫ぶ。「ご主人、怪しい男がここにいまっせ!!」とでも言うように。 しかも道路へ出るには玄関のすぐ横を通らねばならないようだ。14時35分。

居間の掃き出し窓が開いていて、そこにおばさんが座って、この家のご夫婦と 話をしている最中でした。「犬が裏で吠えるから、なにかと思ってたら、 どこから下りてきたん?・・・そうなん、ご苦労やったね、 コーヒーでも飲んでいき」ともてなしを受けることになった。

地元の人とのふれあいはいろんな発見があって楽しい。 20分近く話し込んでしまいました。もう3時になってしまったので 駐車ポイントまで急いで帰る。途中で顔を洗うと汗でしょっぱかった。 『内水面漁業センター』の桜並木は満開で、ふと 見上げるとあの展望ポイントがすぐ近くに見えた。ああ、今日はあそこを歩いたんやなあ。

今回の点名『絵本』の地図は こちら(約130k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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