高場山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『寺前』を参照していただくようお願いいたします。

2007. 4.28.  土曜日  晴れ  気温風強し
ちょうど1年前に大柿さんと 雪彦山腹にある賀野神社(鹿谷権現)と宮前を結ぶ 権現古道を 探索したことがあります。 それ自体の存在を知ったのは、立岩嶽の調査のために麓の立岩さん(この付近はすべて立岩姓)に 立ち寄った際に教えてもらったのがきっかけでした。

その権現古道からちょこっと離れた所にあるのがこの高場山です。大柿さんがなにげに言った 「鉄塔があるので展望がええで」という一言でいつか訪れてみようと思っていました。 GW前半の足慣らしにはぴったりなのでHPで募集してみましたら GORYUさん、to_ryouさん、天々宇知栗さん、しみけんさんの4名が 参加していただくことになりました。多すぎずでちょうど良い人数です。

掛ヶ谷を少し入ると右手上に大きな墓地がある。反対の左側が駐車場になっているので そこに止めてスタート。9時45分。怪しげな?工場を過ぎると林道から山道となる。 その山道になったとたんに水力発電所跡があった。
水力発電の遺構を示す何か残っていないかな〜

看板があったからそれとわかったが、無ければ石段と植林されて それ以外に何もない平地から棚田跡に見える。 その看板には『宮野第一発電所』出力は常時94KWとある。 「この出力は小さいなあ」とGORYUさん。でも当時(大正11年〜昭和4年)からすると 実用になる出力だったのかとも思う。 しかしたった10年ほどで廃業というのもなにか気になるなあ。

立岩翁(先ほどの立岩さんとは別人で83才のご老人)に聞いてみると、 ここ以外にも下流に2箇所ほど建設予定があったらしい。 なるほど、第一発電所という名称はこれでうなずけます。 さて、この看板にも書いている『この上方約3.5粁に元貯水池有』を 目指して行きましょう。

発電所跡からすぐに川を渡る。谷に沿って川沿いを歩くのかと思っていたら どんどんと標高を上げるのでおかしいなあと思っていたが、実はこの先に 3箇所ほど滝があって、それを高巻きにクリアーするために高度を 稼いでいるのでした。
ロープのぶら下がった大岩谷を右下に見て行く

右手に岩壁があった。フィックスロープがぶら下がっているので 誰かが岩登りをしていた跡なのかもしれない。 GORYUさんが言うには、最上部の岩が出っ張っているので難しいらしい。 それよりなによりスズメバチの巣がありますがな!!

水の音が大きいのでどうやら滝らしい。一の滝だと思うのだが姿はまったく見えない。 続いて水の音がするので二の滝と推定するもこれまた見えません。 さらに標高を上げていきます。いきなり左手がドバッと開けて その向こうに三段滝が見えました。
三段滝権現古道の道標石碑

高さはわかりませんが、姿も美しく、隠れた名瀑と言っていいでしょう。 おしむらくはもうちょっとハッキリと見えたら申し分ないんですけど。 すると「横手からならクリアーできそうやな」と天々宇知栗さん。 あんなところ登れるんかい!! 私は壷付近に石仏があるのではとにらむ。

やがて道標石碑のあるポイントに着く。10時45分。 杉の根っこ部分に立てかけてあるのだが、なにげに歩いていると 見落としてしまうだろう。流れはすっかり細くなって終点の近いことがわかる。
橋の支柱?が填っていた穴矢印がその部分

大岩がゴロンと流れを塞いでいる箇所がある。数mの段差になっているので その大岩がなければ小滝の姿であったと思う。そこを渡って対岸を上るのだが、 その岩場に奇妙な四角い穴がある。ここには昔、木橋が架かっていたそうで それを支える支柱かなにかの穴らしい。立岩翁が言うにはこの橋は 『五十め(五十匁ってこと?)橋』と呼ばれていたらしい。
『おいけ』と呼ばれている倒木の巡視路を登る

貯水池に着きました。11時05分。周囲を山に囲まれて湖面は静かそのものです。 ここにはまだ春色が残っていてサクラのピンクと池の緑の対比がきれいです。 さらに池には村の人が放したという錦鯉が泳いでいます。 堰堤には筆リンドウ、スミレも咲いていますね。

堰堤の端にある放水口を越えて西の谷へ向かいます。当初は高場山から北に延びる稜線へ出て、 そこから南へ山頂を目指すつもりでしたが、ふと見ると巡視路の入口があり、 それは山頂にある鉄塔に向かって延びているようす。 こっちのほうが簡単そうなのでそれを利用する。
高場山頂上です

最初だけ倒木が折り重なっていますが、それを過ぎるといつも通りの 快適な巡視路となります。ジグザグに登っていき鹿避けネットを抜けると 360度開けた小さなピーク、高場山に到着です。11時37分、 四等三角点、797.6m。
北から西方向を眺めてみました
南を見る

山頂はばつぐんの展望です。雪彦の林道が間近に見えています。 私的に気になるのは坂ノ辻峠から雪彦への縦走尾根。3本の送電線鉄塔が見えており、 その一つ三辻山がある。ここは姫路市最高峰になり、大阪山とも呼ばれているが また登ってみたいピークの一つだ。

展望の良いピークではあるがとても狭いし、それに今日は強風が吹いています。 しかたなくちょっと下にある送電線鉄塔の斜面で食べることに。 ここも傾斜地で不安定この上なし。コンロでお湯を沸かそうとしても なかなか出来ません。

落ち着かない食事を終えて一息着く頃、三久安山にいる矢問さんと無線が繋がる。 暁晴山がブロックしているので5−3ぐらいの入感だった。 しみけんさんも免許を得て初めての交信となる。続けてGORYUさんも交信。 寝っ転がっていたto_ryouさんもむくっと起きあがって聞き入っている。 to_ryouさんもコールサインを持っているんです。 こういうときは割り込んでガンガン喋っちゃいましょう。

風が強いので身体が冷えてきました。昼から雷雨の予報もありましたが 晴れたまま下山出来そうです。登りは谷道ばかりでしたが、下山はちょっと寄り道して 前述の権現古道をちょこっと歩いてみます。12時30分スタート。

まずは姫路市と神河町の境界を下ります。300mほど進んだところで こんどは720mピークへ向かう尾根へ乗り換えます。この乗り換え地点は読図だけでは 難しい箇所ですがGPSのおかげで難なく乗り換え完了。720手前の鞍部には 12時55分。
720手前の鞍部、G地点H地点。ここを下ると道標石仏

ここはなんの特徴もありませんが、実は権現古道の一部です。 右下には熊部の集落が見えていますが、そこまでには道の消失したところもあり 正真正銘の難路です。我々は反対方向の掛ヶ谷へ向かいます。 こちらには割と良い道があり、ほとんど高低差無く山腹を巻いています。 到着したのは先ほどの境界尾根の上(H地点)。

H地点にやってきました。後日、点の記を見るとこの古道は県道宮野線と書かれています。 その県道をこれから下るのですが、つづら折れを3ターンほどすると まったく踏み跡は消失します。植林帯の倒木を乗り越えながらの下りだが 妙に汗が出てくる。みんなはほとんど無口になっていて、天々宇知栗さんだけ 喜々として下りきっていた。

道標石仏のあるポイントにドンピシャに下山。13時25分。 あとはもと来た道を下るだけです。ところが三段滝付近に来たとき、 天々宇知栗さんが左上頭上にある石の祠を発見する。 足元注意の箇所だけになかなか頭上の祠に気が付くなんて芸当は出来ません。 「ほんま、祠や〜!!」一番興奮しているのはもちろん私。
石仏発見!!

見ると弘法大師の石仏でした。 基台には『宮野村 発起人 北井某  世話人 立岩某、上野某』と 彫られていました。雰囲気からして明治以降のものだと直感しましたが、 立岩翁に尋ねてみるとはたしてそのようで、なんと北井某さんは知っている人らしい。 ただ滝を祀ったものなのか、権現への参道を見守るものなのかはわかりません。

最後に貴重な発見をして駐車場には14時10分着。 ショートコースでしたがいかがでしたでしょうか?

今回の高場山の地図は こちら(約90k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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