アオマ山(須留ヶ峰)〜高岩峯(1022P)

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『大屋市場』を参照していただくようお願いいたします。

2007.10.21.  日曜日  晴れ  気温ふつう
須留ヶ峰に登るべくいろんなルートを考えていて、いくつかの 案も浮かんできましたがようやく考えが固まってきました。 誰か誘おうかと思ったが、下りに設定したルートが怪しげなものだったので、 迷惑をかけてはいけないと思い単独にします。 都合良く前日から気温も下がってきたので、心配だった山ヒルも出てこないであろうと 勝手に決める。 登りのルートは11年ぶりになる田淵ルートです。なんやかやで 家を出るのが遅れてしまって、登りはじめは9時半になってしまった。
登山口にある案内板石垣(棚田?)のある登山道

田淵コースの入り口には大きな案内板があり、登山に興味のない人も 道路から見てここが登山口だというのがわかるほど目立っている。 それを見ると登山道以外にもいろんな林道(計画されているものも含めて)が 縦横に山中を走っているようだ。

入ってすぐに橋を渡り左岸の道となる。11年経つと記憶はすっかり無くなっており、 新鮮な気持ちで歩ける。棚田跡とおぼしき石垣の道を進み、渓流から離れるように ジグザグに斜面を登っていく。あれっ?川沿いを行くのではなかったかな? とりあえず踏み跡を信用しよう。
突如、林道に出る橋が落ちた黒矢印へ

明るくなったと思ったらそこは林道だった。地形図を見て現在位置を確認。 ちょいと歩くと先ほどの谷の続きがあって赤テープで木の枝にマーキングもある。 ほかにも養父市森林組合が作業中を示す安全十字の旗が掲げてあった。 てことはこの先で伐採作業がされているのかな。

林道から入り込んですぐに2段の滝が左下に現れる。 道が細く感じられて(実際は細くないけど)、その滝方向に吸い込まれそうなめまいに襲われる。 ヒッチコック映画の主人公かい?!と自分でつっこみを入れる。 ちなみに矢問さんはこの滝をまるで鯉のように登ったらしい。

滝の先で谷は二手に分かれている。 石垣に架けられていた木橋が落ちている黒矢印方向が正解だ。 ここの踏み跡が細くて滑り落ちそうな感じだ。ありがたいことに トラロープが踏み跡に沿ってつけられていた。それを持って歩こうとしたら、 なんと手の届かない位置にあるので、結局は自らバランスを取りながら歩く羽目になる。 なんやったんや、あのロープは!!
千葉の滝と謎の送水管木地師屋敷跡
千葉の滝に到着。時計を見ると登山口から45分ほどかかっています。 ところが、登山口にあった案内板には30分と書かれていました。 あまりの自分の鈍足にがっくりと肩を落とす。滝を写せる良いポイントを 探そうと思ったがこのままでは山頂へ行くのがさらに遅くなると思い早々に先を急ぐ。 私的には滝よりも横手にある謎の送水管の方が気に掛かる。 どこから来てどこへ行ってるん??

すぐ先が木地師屋敷跡。そこは杉の植林地で、広い平坦地いっぱいに杉が 植えられている。『木地師屋敷跡』の古い看板がバラバラになって、 茶色の杉の小枝の下に埋もれていた。11年前にはちゃんと立っていたように 記憶している。ここが養父市森林組合の作業場らしくて、チェーンソーなどが カバーを掛けられて置かれていた。
いよいよ沢歩き?沢というよりガレ登り

腐り落ちた木橋ポイントを過ぎると『此より沢を登る』と書かれた看板がある。 しかし、水量は一気に少なくなっており、靴を濡らすこともなく岩を伝って登る。 沢の左右にちゃんと道もできており、沢そのものを歩く所はほどんどない。 いつのまにか伏流となり、水の音が無くなる。熊よけの鈴と自分の荒い呼吸だけ 大きく聞こえる。
正面に3mほどの滝それを越えるとええ雰囲気

また水が流れ始めると谷はすぼまり、正面に3mほどの滝が現れる。 ここも11年前と同じに横手に鎖が垂れ下がっていた。 カメラと三脚をしまい込んで鎖に手をかけようとしたとき、無線機から 私を呼ぶOAPさんの声が聞こえて応答する。すでに三久安山の山頂に到着しているらしい。 小憩を兼ねて立ち話をする。

鎖の横手に『ジンジソウ』が咲いており、カメラで何枚も写してみるが 風ですべてぶれぶれだあ。あきらめて鎖場をよじ登る。 滝の上は自然林の緑あふれる谷だ。左右を眺めながら谷をよじ登る。 こんな上にも炭焼き窯跡がある。昔の人はえらい。 できあがった炭を背中に担いで降りるだけでも一仕事だ。

そろそろ谷も終点に近いと思った頃左に巻き道が現れる。 標識はあるものの、登り方向から見ると裏返しになっているので、 うっかりすると通り過ごしてしまいそうなポイントで注意。
ガレ谷から一転、雑木の支尾根展望のシダ尾根

ほとんど平行に続く巻き道をしばらく行くと支尾根に乗っかる。11時半。 (登山口からここまで2時間もかかってる!!) 先ほどまでの谷道に比べると極楽だ。 登山口にあった案内板によると、このあたりにも林道ができるとあった。 ええとこやのに、無粋な林道のためにこの雑木も伐採されるんかなあ??

雑木帯を抜けるとシダ尾根となる。 展望のないと言われる須留ヶ峰だが、ここから振り返ると北方面に 展望がある。大屋の市街地が真っ正面で、御祓山が思った以上に 低く見える。
シダ尾根から振り返るとこんなふう。黒矢印はわずかに見える天滝!!
シダ尾根をクリアーすると傾斜は一気にゆるやかになり、そこからふたたび雑木帯となる。 最後、アセビのバリケードを越えると、だーれもいない須留ヶ峰山頂だった。 12時05分、標高1053.5m 二等三角点。 無線で三久安山を移動中のOAPさんと福井の山を歩いているIRCさんに連絡を入れる。 そしてお昼ご飯の後はいつものようにオカリナ。(^_^;)
須留ヶ峰山頂

さて、下山コースだが、今回は山頂から南に派生する尾根をたどって1022mピークへ行きます。 そして、そこから西方向へ明延へ下山するという計画です。 せっかくここまで来たのですから大杉山までピストンしようと思っていましたが 時間が無いので1022PへGO!! 12時50分。

おっと、その前にこの山の名前について一言。じつはこの山は『須留ヶ峰』ではなく『アオマ山』というのが 正しいのです。その辺のくだりは 須留ヶ峰・大杉山 山名考 をご覧ください。今読み返してもわかりにくいところが多々あるのですが、ようするに下のようになります。

現在の山名正しいと思われる山名
須留ヶ峰アオマ山
大杉山スリが峯(磨ヶ峯)
1022P不明

南へ向かう。ええ尾根です目標の1022P

コンパスで方向を確かめて南尾根へ入ってみると、そこには地積調査のプラ杭(本体黒で 頭が白十字)が地面に打ち込まれています。こいつをたどれば 地形図無しでもOKです。雑木の尾根には歩きよいトレースが続いていて なんだかワクワクしてきます。

右にも左にも展望の箇所がある。右を見ると一山から始まり三久安山まで見える一宮山脈。 左は粟鹿が峰が思ったより近い。遠くに三国岳、真ん前にあるのはパラの発着場が目印の馬場山だ。

最初のピークに『鳥獣保護区』の赤い看板があった。そして道はきれいに 左右に別れている。左に赤テープのマーキングがあるが、こいつを下ると 佐中からの林道へ出てしまう。目的の1022へ向かうには市境界である 右へ下るべし。するとこんどは南方向がばっちりだ。笠杉、千町、段が峰・・・。 急いで歩いているのがもったいない。
ブナ回廊続くよ〜

さらにこのあたりからブナが現れ始める。それも尋常な数ではない。 若いブナ達が稜線狭しと生えている。思ってもみなかった極楽尾根に出会えてうれしい限り。
脊髄湾曲ブナ艶っぽいね

ブナまみれの尾根は987Pを過ぎても続く。ここを登り切れば1022Pというところで 後ろを振り返る。須留ヶ峰もずいぶんと遠くに離れていきました。 そして13時55分、1022Pに到着。ほぼ、予定通りの時間。
1022手前から振り返る1022山頂

予想外に山頂は切り開かれており、しかも新設の四等三角点(金属標)が埋め込まれていた。 ここから下る予定だったので、最後のコーヒータイムとする。 OAPさんを呼んでみると、あちらもまもなく藤無峠に下山という。

ここで気になるのがここの山名だ。遠くから見てもこのピークは目立つし、 姿もきれいだ。まして、明延鉱山の真裏にあるのだから、なんらかの 名前があってしかるべしだと思う。 ちなみに、かの多田繁次氏は須留ヶ峰の南にあるから?『南峰』と名付けている。 帰宅後に国土地理院のHPを調べてみるとここに新設された 四等三角点の点名はあろうことか『スリガ峯』だった。 役人のやることはようわからん。

14時15分、下山開始。南東方向には境界尾根の道が続いています。 また、南西方向にもわずかな切り開きがある。下山コースはそのどちらでもありません。 明延から標高750mぐらいまでのびている林道へ降りられれば簡単に 下山できるともくろだわけです。コンパスで方向を確認するが、その方向には踏み跡すらない。

意を決してその方向へ下ると、すぐに踏み跡発見。目標になる支尾根も見えた。 そうなるともう簡単だ。傾斜はきついが、獣道も手がかりにして、 滑り落ちるように下る。ドンぴしゃで林道に降り立ちました。 14時50分。
林道終点付近に着陸!!古い坑口もある

あとは林道をショートカットしながら下る。 上部は廃道のような雰囲気だったが、下るにつれて自動車の轍も現れる。 支線分岐付近では古い坑口もある。危険なので立ち入り禁止だが 覗いてみたい誘惑にかられる。
林道からズリ斜面を下る

田淵登山口へ向かうには、林道を素直にたどるのは遠回りだ。 写真のズリ斜面から下るのが一番。それでも駐車ポイントには15時50分。 日が落ちるのが早いのであせったが、ちょっと寄り道をする。

あけのべ自然学校に立ち寄ってみる。そこにいらしたN氏にお話をうかがうと、 1022Pは地元では『明延山』と呼ぶ人もいるらしい。 ただし、それが正しい山名かどうかは不確かだという。 う〜ん、残念だが今回は標高名の表示としよう。

追記:その後、明延にて鉱山の古い資料を眺めていて、このピークが高岩峯という名前なのを発見しました。 2008年11月。

今回のアオマ山(須留ヶ峰)〜高岩峯(1022P)の地図は こちら(約170k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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