高坪山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『氷ノ山』を参照いただくようお願いいたします。

2006. 6. 4.  日曜日  曇り  気温ふつう
ずいぶん前から「東鉢の尾根をMTBしよ!!」とM氏から誘いがありました。 でも距離も短いし、第一スキー場のゲレンデぐらいMTB的に面白くない 所は無いというのが私の持論なので(よくスキー場のゲレンデで MTBレースやってますけど、あれのどこが面白いんだか!!)良い返事が出来ませんでした。

まあ、夏場のショートコースにでもしようかと思っていましたが、この近辺には 大カツラの木もあるし、めずらしい花があるという情報も得ましたので、 それらを探しながらののんびりツーリングってことにしましょう。 たぬきさん達が私の情報を元に前日にその花の所在を確認してくれてました。 これで探す苦労はなくなりました。

東鉢の別宮付近までやってきましたが、駐車できるような所がありません。 スペースはたくさんあるのですが、すべて有料と書かれています。 「これってスキーのシーズン中だけが有料やで〜」と勝手に決め込んで とあるお店の空き地に駐車します。たまたま持ち主のおじさんが 現れたのでお願いすると何の問題もなく許可をもらいました。

ついでに目的の花のことを訊ねると「その辺のどこでも咲いてるよ。でもシーズンは終わりやけどね」 と、おじさん。「えっ〜!!!!。そうなん?」確かに目の前にある宿泊施設の庭先に咲き終えた その花の残骸が多く見えています。でも、前日に咲いてたというたぬき情報があるので 思い直してスタート準備をする。 まずは東鉢から鉢伏高原へ向かってMTBを転がす。10時15分。
県下で一番古い縄文遺跡

走り始めてすぐ左手に立派な石柱があった。なにかと思い、転がり始めたMTBをストップする。 「え〜、なになに。べつみやけ、かたなわもんしき遺跡?」 と、いきなり吉本的ボケをかまします。ほんとは『べっくういえの縄文式遺跡』というものらしい。 県下で一番古い縄文遺跡らしいが、わざわざこんな冬のきびしい 所で生活せんでもええと思うんですけど山が豊かだったのでしょうかねえ。

舗装路をしばらく走らせるとカメラを三脚に取り付け本格的に撮影している 人達が見える。その方向を見ると棚田だった。ちょうど田植えが終わったばかりの 棚田には当然の事ながらたっぷりと水が張られていて、その向こうには 氷ノ山がゆるやかな稜線を広げています。まさしく絵になる風景ですが、 残念なことにカスミがひどい。
棚田から見る氷ノ山大カツラ

「おっ、大カツラの標識があるで」道路の左斜面は棚田になっていて、右にはトイレがあり 小さな公園のようになっています。その奥に『別宮の大カツラ』がありました。 入口から見るとカツラに見えないのですが、奥から振り返るように見ると まさしくカツラの大木が存在します。そのカツラの木の根元には湧き水が流れています。

400年前に街道の休み所として植えられたということですが、確かに 裏手には『東鉢 ハチ高原 大かつら』という道標が立てられています。 ここを通過する街道ということは鉢伏にある小代越から続く道のことでしょう。 そしてシングルトラックが左右に延びていました。せっかくですからMTBで 走ってみます。200mほどで舗装路に飛び出てしまいますが細くて面白い道でした。

大カツラから20分ほど走るといよいよハチ高原です。もちろんですがもう汗びっしょり。 ボーっとした目線の向こうには、 どーんとハチ高原のスキー場ゲレンデが広がっています。 こう見ると東鉢となにからなにまで対照的で、人の姿のなかった東鉢と違い こちらは小学校、中学校の野外活動、そしてアウトドアを楽しむ一般人などでいっぱいです。
ハチ高原をぐるーっと見渡す

「これからどうすんの?」「ミツガシワを探す」とM氏。ここハチ高原には県の天然記念物に指定された ミツガシワの自生地があるという。湿地にあるのでたぶんあの辺やろなあと見当をつけたところと 逆方向にM氏は向かっています。それは鉢伏へ向かう舗装の林道の入口付近。 畑の中をうろついたあげく「ここやなさそうやな」と確信した顔で言う。 「下山後にもう一度車で来ましょう」となだめる。

ここの舗装林道は登りが辛そうという先入観があったが、実際はそうでもなかった。 順調に登って最初のコーナーにシングルトラックの入口があった。 車で通過していたらぜったいに見逃す入口です。 試しに入ってみたらきれいな踏み跡が下に続いています。 だれかMTBで走ってみてね。

次のコーナー手前には鉢伏高原に出られる林道の入口があった。 ここからMTBで高原に入って行くのもよさそうです。 この林道、けっこう車の往来が多い。下にあるホテルのワンボックスが 何度も行ったり来たりしています。上っていくその車内を見ると、 パラグライダーが見えました。どうやらパラの人達を上まで運んでいるみたいです。
林道の鉢伏出合いパラグライダー発進!!

鉢伏の林道出合いには11時45分着。車が数台駐車しています。左にある階段を登れば 鉢伏山、右にある車止めに入っていけば東鉢へと続く稜線になります。 今回はこの稜線をMTBするのがメインイベントですが、そろそろお腹が減ってきました。 「鉢伏山まで登ってお昼にする?」と言うと、 「下りが乗れないし、頂上までは案外時間がかかるから東鉢への途中で食べよ」と、M氏。

東鉢への道標があるぐらいだから道はすこぶるよい。入口からちょっと登った所が芝の展望地になっていた。 食事するには最高のポイントだが、先客がいてくつろいでいるのでうるさい我々は遠慮しましょう。 年配のご夫婦は加美町から来られていて、我々が毎年春にやっていた笹ヶ峰ヒルクライムレースの こともご存じだった。

登りも乗れます。その先も展望地だったが、こんどはパラグライダーの集団がいた。 ワンボックスで登っていた一団はここからテイクオフしてたんですね。 今まさに飛び出さんとしていますが、どうやら風待ちのようでなかなか発進しません。 飛び出す瞬間を見たかったのですが、何事も3分以上待てないM氏なので 我々も東鉢へ向かってテイクオフ。
カラ松の小径を行く高坪避難小屋

周囲はカラ松林、残念ながら乗車は無理だが足元にわんさかあるチゴユリを カメラに収めながら前進する。やがて下り始めるので先ほどまでの林のピークが 地形図にある1140mのピーク(高坪山)だったようだ。 下りはじめは階段だが問題なく乗れる。階段が終わると極楽シングルの快適下りだ。

林から出て、周囲が広く、明るくなるとそこに小屋が現れる。12時15分。小さいが外観もきれいで 螺旋階段で2階のテラスへ直接上ることもできる。『高坪山避難休憩小屋』と看板があった。 ここでお昼は決まりです。さっそくテラスへ登ってごはん。 降雪期にはこのテラスから直接2階へ入ることもできます。
避難小屋の2階テラスからスキー場方面を見る

展望のロケーションは東方向に開けている。ただしカスミのために遠くは見えません。 お腹はいっぱいになり、食後のコーヒーをいただくのが恒例ですが、 「あっちの東屋でコーヒーしよか」とM氏が言う。 東鉢の駐車ポイントからも見えていたゲレンデ最上部にある東屋が ここからだと目の前に見えています。
草原の中の東屋う〜ん、気持ちよか

ちょっと急でスリリングな下りを楽しんで、登り返すと草原の中に東屋があります。 上空にはパラグライダーが飛んでいます。10mぐらい上だから顔も 確認出来るぐらい近い。上昇気流に乗るとグーンと高度を上げていく。 「あれやりたいなあ」とM氏は連発。私にしたら特に止める理由は無いが、これ以上遊びが 増えると家庭争議になるのは間違いない。それにしても涼しい風に吹かれて飲むコーヒーはうまい!!
ゲレンデを見下ろすかなりの高度感

誰もいないゲレンデからこうやって見下ろすのも面白いものです。 さて、どこから下りましょうか。見た目は草地の傾斜がよさげに見えますが、 実際はかなりのデコボコで草に隠れた穴やら岩があるのである程度の 覚悟?が必要です。中央にあるカールの下りはよさそうだがいっき過ぎてあっけない。 左前方にある一本松を目指して、その先からスカイバレーとの境界を下っていく。

「この下りブレーキが効かんぞ〜。タイヤもズリズリや〜」スキーにとって 良い傾斜もMTBでは命取りになる激斜面です。 ゆるやかになって右に回り込むと所にレストハウスがあり、そこから舗装路がある。 従って車でも登ってこれるので数台が止まっている。

その周辺には たくさんの人が地面にしゃがみ込んで何やらしている。どうやら山菜摘みを しているようだ。昔の縄文人もこうやって山菜を摘んでは食していたのだろうか。 そういえば山菜摘みをしているこれらの人達も心なしか縄文人のような風貌だ・・・。
ゲレンデはヤブ

舗装路はあるが、引き続きゲレンデを下っていく。山菜摘みに夢中の縄文人達は我々には見向きもしない。 デコボコのゲレンデを奇声をあげながら下りきる。 町中の道に出ると道標の石仏があった。右にも左にも地名が彫られているのだが読みとれません。 ただ、その方向へ行くと大カツラの裏にあった小径に繋がっていると思う。

駐車ポイントには14時。MTBをしまい込んでハチ高原へ戻ってミツガシワを探しに行きます。 思った通りの場所でしたが、そこにこそ案内板はあるものの、そこへ向かう入口には何もありません。 ホテルのおじさんに教えてもらってたどり着けました。そこはまさしく小さな湿原でしたが、 生活排水が流れ込む湿原なのでこの先どうなるのか心配です。 ちなみに花は時期が終わって?いるみたいで、特徴のある葉っぱだけがたくさんありました。
目的の花、翁草ですミツガシワは葉っぱだけ

今回のコースを歩くなら逆コースがお勧めです。ママチャリをハチ高原にデポしましょう。 そして、東鉢から登り始めて林道出合いから鉢伏山にも登りましょう。 鉢伏山からは高丸山を目指し、途中からでもハチ高原のゲレンデを下っていけば チャリポイントに到着という寸法です。もちろん東鉢までは下り基調でらくち〜ん。

今回の高坪山の地図は こちら(約100k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


ホームにもどる