尾切れ〜明神ナイフエッジ

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『寺前』、『前之庄』を参照していただくようお願いいたします。

2006. 1.29.  日曜日  晴れ  気温あったかい
これまでたくさんの山のレポートを書いてきましたが、「レポート通りに行ってきたよ」というメールを もらったりすると素直にうれしいものです。でも、2003年の年末に登った 尾切れ〜明神山だけは 登ったというメールを誰からももらったことがありません。 播州に、しかも超低山でありながらこれだけの絶景の岩ピークがあるのを知らないとは・・・、 まことにもったいないことですぞ、皆の衆。

今回で二度目となりますが、とりあえずの目標を設定しています。前回は尾切れの東峰だけに登りましたが、 その正面にはさらに険しい西峰がそびえています。まずは、その西峰にアタック!!それと556の ピークに登る途中からチラッと見えた激、激、激のナイフエッジを探し出しだすことです。

菅生ダムの東周回道路には三つの公園がありますが、それの1号公園に車を止めて登り始めます。 ここからも尾切れ西峰はバッチリと見えていますが、その周囲は垂直の岩壁で覆われていて どこから登ればいいのか迷うところです。「ルートはおれに任せとけ!!」と言わんばかりに はりきっているMさんを追いかけるように9時50分スタート。
公園横の凹んだコーナーから腕力勝負の激登り

マーキングは一切無いが写真にある矢印方向には明確な踏み跡がある。わずか100mほど 歩いた所からいきなり向井さんは左斜面をよじ登り始める。前回はもうちょっと先から登って 東峰だったので、感覚的にはこの辺りが妥当な線です。先行するMさんに聞いてみると 「適当に決まってるやろ。根拠なんかあるかいな」って・・・・そんなぁ。(^_^;)

雑木の斜面が終わると予想通り垂直の岩盤に行く手を阻まれる。左右に踏み跡があるが左が正解のようだ。 垂直岩盤を回り込めるかと行ってみるがすぐに行き止まりになってしまう。 ちょっとあきらめモードになってダムの写真を撮ってみる。
行き止まり?から菅生ダムを見る

「行けるで〜」振り向くとMさんは危険地帯を通過して向こう岸で呼んでいます。 行ってみるとさほど危険ではなく、仮に落ちても数m下の木が受け止めてくれそうです。 岩壁に張り付いて、カニの横ばい状態でちょこっとだけある足場を頼りに松の木が生え茂るテラスに到着。 ふ〜っ・・・。
これをよじ登ると西峰細長いピークなので先端に向かう

テラスからさらにひと登り。岩好きの人ならなんでもないような所でも、我々のような 素人からすると大冒険です。しかも登れるのはこの一箇所だけで、もしも左右どちらかに 滑り落ちたら間違いなく滑落死あるのみ!!でもなんとか登り終える。ふ〜っ・・・。

西峰は東西に細長いピークだった。10時25分。 足元は左右に切れ落ちているので注意しながら先端へ行ってみる。 「おおっ!!」東峰とその向こうには明神山も見えている。明神山の頂上にはテーブルのような 大岩と夢前町が設置したセンスのない看板があるのだが、それがここからでも肉眼で見える。 正面にある東峰岩壁には足がかりになりそうな所はどこにもなく、ここ同様裏側からでないと登るのは無理 のようだ。
西峰先端から東峰を見る

西峰の周辺を観察してみたがすべて垂直の岩盤で、登ってこれるのは我々が登った ルートだけだと思われる。「こんな所登れるのはやまあそぐらいなもんや、ふふふ・・・」と 密かに悦に入っていると足元にサンガリア(超マイナーなメーカー)のサイダー缶が転がっていた・・・・。 だ、誰や〜、人のロマンをぶちこわすような奴は!!

登りで苦労したぐらいだから下りはもっと恐ろしい。でも松の木テラスまで戻れば安心。 谷道まで戻るのかと思ったら「降りるのはもったいないから途中からトラバースや」とMさん。 藪斜面をトラバースしてここぞと思える所から登りに転ずる。「この辺の雰囲気は見覚えあるわ」と 思うまもなく稜線にでる。初回に東峰にたどり着いた時のルートにドンピシャでした。
東峰からキレットをのぞき見る

唯一違うのは台風の影響で倒木がすごかった(ここだけでしたが)。せっかく来たのだから 東峰にも行ってみる。倒木をまたぐようにして北斜面にある踏み跡を探しながらよじ登る。 一度来たことがあるだけに迷いはない。東峰は西峰と違って危険もなく楽勝に登れます。 11時10分。

ここから見える範囲にもやはり西峰には登れそうなところはない。キレットを覗き込んでみるが 相当の高度がある。地形図ではぜんぜんそんなことはないのだが、実際の方がはるかに 迫力がある。二度目の登頂でもすごいと思わせる所である。

556ピーク(西の小明神)へ向かう。ピークへ登るのではなく、その途中から枝分かれしている ナイフエッジへ行ってみる計画です。地形図ではわかりにくいが、460mピークは右に巻いて 越える。その先にある480mピークで方向を北に転じる。確かこの枝尾根のはずである。目印は全くない。 すぐに明確な尾根になり、踏み跡も出てくる。そして・・・・。
馬の背が徐々に・・・細くなっていき・・・ナ、ナイフエッジやぁ!!

標高は400m弱。しかし、かなりスリリングな場所である。谷底は樹木で見えないのが幸いだ。 見えると恐ろしくてとても歩けるような所ではない。写真でもわかるとおり右側はまさに一枚岩が 垂直に切れ落ちている。このナイフの刃がどこまであるのかと行ってみるが、途中から大岩が行く手を 塞いでおり、乗り越えようにも岩肌ももろくて行けそうになくて引き返す。 時計はちょうどお昼なのでこのナイフエッジで食事にします。

尾切れからもここは見えますが、その方向から見える西側の岩盤は木が茂っていて見えません。 なんと言っても特徴的なのは東側にある屏風のような岩盤なのです。 県道からも見えますが、常に逆光なので真っ黒なシルエットにしか見えないはず。 さらに明神山からはまったく見えません。つまりここに来ないとこのスリルや感動は 味わえないということなのです。

標高が低すぎて無線は聞こえず。風はありましたが、気温は高くて過ごしやすい。 コーヒーも頂いて、さてこれからどうする?時間は12時50分。 「明神山に行っても仕方ないから予定の尾根で下山しよか〜」とMさん。 予定の尾根とは556ピーク(西の小明神)から南西に馬谷にある神元神社へ降りている尾根です。 確かに明神山へ行って一般ルートで下っても面白くないので予定のコースで下ることにする。

西の小明神(名前の由来は前回のレポートを見てね)はピーク直前をトラバースして 馬谷尾根に乗る。13時07分。「えらいええ道やん!!」そこには私も向井さんも驚くような明確な道があった。 この良い道は三角点まで続いています。その点名『馬谷』は岩混じりの小ピークの上にありました。「尾切れがよう見えるで〜」 先行のMさんが叫ぶのであわてて登っていく。13時35分着。
登ったコースやキレットも丸見え(手前の枝尾根が邪魔してるけど)

「おお!!確かに尾切れがま〜る見えやん」登ったルートも見えてます。 昼食をしたナイフエッジ(写真には屏風岩って書きましたが地元での呼び名が知りたいなあ)も見えてます。 こちらからは岩盤がよく見えないのが残念です。
ズームアウトするとこういう展望になってます

三角点ピークのすぐ先にはまたもやトアがあった。もちろんMさんは見逃すはずもなく よじ登っています。「はよ来てみ!!ここからは明神山がバッチリやで〜」「言われなくても登ってますがな。 よいこらしょっと・・・おお!!すごいなあ・・・」
トア(岩塔)
ここから見る明神山はさらに尖って見えます

馬谷尾根は見どころも無かろうと思って期待無く進んでいましたが、最後に明神山のすばらしい 姿を見せてくれてました。このトンガリ岩の先にも岩場があって、下界から見ても ハッキリとわかる岩ピークを形成しています。そうそう、ちょうどにわとりのトサカのような形です。

真下にはちょうどダムの堰堤横にある管理施設が間近に見えています。 このルートでもうこれ以上の展望は無いと思うので神元神社まで下らずに、 ここからダイレクトにダムの堰堤に下ろうと提案をする。 「え〜っ、せっかくやから下まで行こうな」とダダをこねるMさん。 神社からだと駐車ポイントまで長い歩きがあるのでいやだったがシブシブ従う。

予想通り展望のない植林やら、雑木帯やらの尾根が続く。しかも複雑に枝分かれしているので 方向を見誤ると神社に降りるのは難しい。展望のお宝は無かったがルートファインディングの 遊びが出来てそれなりに楽しく下っていける。
神元神社にドンピシャ降り立つ

神社には14時50分着。思ったより早く下山できました。 あとはうだうだ話をしながら1号公園まで歩いて行きます。 現在あるダムが無かった頃は風光明媚な渓谷だったと聞く。もっと下に道があっただろうから 尾切れの迫力はさらなるものだっただろう・・・。ダム近くになったころ トサカ岩が思ったより近くに見えた。あのまま堰堤に向かって下っていくと ダム堰堤の上にある展望台に降りれたはず。逆にそこから登ってみるのも 面白そうだ。

今回の尾切れ〜明神ナイフエッジの地図は こちら(約70k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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