三嶽

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『宮田』を参照していただくようお願いいたします。

2006. 4.29.  土曜日  曇り  気温肌寒い
2週間ほど前に栗柄峠〜鼓峠を 歩きました。もちろんのこと、このコースは中央分水嶺ですから、次回は鼓峠から三嶽への稜線へ登り、 そこから大タワへ下るコースを行かねばなりません。実は数年前にMTBで大タワから三嶽の頂上手前にある 行者堂までたどったことがありますから(行者堂からは大岳寺跡へ乗れ乗れで下山した)、 要は鼓峠から三嶽稜線まで行けば良いことになります。

栗柄の集落に八柱神社がある。そこの駐車場をスタート地点に設定。お隣の民家のおじさんに訊ねると 自由に停めて良いとのこと。9時15分スタート。ここから鼓峠までは1.4kmほどの舗装路歩きです。 歩き始めてすぐに多紀連山登山コースの大きなイラスト地図の看板が目に入る。ここは三嶽と西ヶ嶽の正規登山口であった。 これは下山道に設定しているので、そのまま素通り。鼓峠(標高332m)には9時35分着。
峠から良い道がある稜線も良い道でびっくり

前回のゴールである鼓峠から今回は登り始めることになる。 峠から三嶽方向にはよさげなソマ道があったのでそれをたどる。少しの間、竹林がありタケノコを 掘った跡を見る。人間以外に猪もずいぶんと掘り起こしている。そのソマ道で稜線(中央分水嶺)に乗る。 わずかな距離と傾斜なのに暑くなったので半袖になる。これぐらいで汗をかくとは、この先には激登りが 待ちかまえているので思いやられる。

稜線上にも想像以上に歩きよい道があり驚く。しばらくすると『本栗界』と彫られた標識があり そこが分岐になっていた。本道は左に山腹を巻くように下っているので、それはパスして正面の登りを行く。 傾斜は急になりトラックは細くなる。左は桧の植林で隙間から京都丹波の山々が見える。右は小さな谷で 雑木の林が広がっておりコバノミツバツツジが鮮やかだ。
激登りになってくるツツジの向こうに・・・

500m+のピークで西からの枝尾根と合流する。再度ここから平坦になる。 しばらくして二本目の『本栗界』石柱に出会う。するとそこから激登りが始まる。 激斜面にもはっきりとした踏み跡と小枝を払ったナタメがあり人の往来を示しています。 大岩が出始めると同時に頭上にはヒカゲツツジが現れてくる。
ヒカゲとシャクの絡み合いヒカゲとシャクのツーショット

それだけではない。なんとシャクナゲまで現れ始める。 ヒカゲツツジは満開状態。シャクナゲは残念ながら咲いているのはほとんどなく、 これから咲くであろう大きくふくらんだ花芽の木がほとんどだった。 来週当たりが見頃であろうか。 しかし、どちらの木も葉が似ているので素人の私には花がなければ 見分けのつかなかったであろう。

二つの花は目の前にあるので撮影も簡単だが、ちょっと距離を置いて白く咲いているのはタムシバの花。 これは写真に撮ろうと思ってもはるか上に咲いているのがほとんどなので なかなか難しい。遠くには山桜のピンク、岩壁に群落であるヒカゲツツジは黄色というより ちょっと緑がかった固まりになっていて周囲はまさに春の彩りで まぶしいくらいである。ひょっとしてここはお宝コースだったのか?

ヒカゲとシャクナゲの幹が絡み合うようになったところをすり抜けながら 登っていく。向山連山はヒカゲツツジで有名になりすぎて、有志?による 道普請が度を過ぎている感がある。ここは人の来るのも稀なのか まだ踏み跡程度のトラックだし、周囲に張り出した枝や幹をかき分けるように 登っていくのが逆に新鮮に感じてうれしい。
岩場から峠方向を振り返る三嶽稜線に飛び出る

本来ならあえぐような登りが続くのだが、花を撮しながらなので足も止まり気味。 つまり休憩しながら登っているという感じ。岩場の突端から峠の方向を見下ろしたりもできる。 ここでこれだけの花園なら稜線になるとどれだけすごいかと期待もふくらむというものです。

ところが、ヒカゲとシャクナゲの群落は突然終わりになる。そこから背の低い笹原になる。 上を見ると三嶽山頂にある無線施設が目の前にあった。もう稜線は間近である。 それほどの標高であっても左右を見ると炭焼き窯の痕跡がいくつかあった。 笹原は背丈以上になって本格的な藪となる。かき分けて行くといきなり道に出た。 大タワから続く三嶽登山道です。11時ジャスト。

身体のゴミを払い落とします。分水嶺はここから大タワを経て小金ヶ嶽へ続きますが、 前述のように今日の探索はここでおしまい。てなわけで、とりあえず頂上へ向かいましょう。 稜線に出るとさらにヒカゲが見れると思っていたのに笹ばかりでがっかり。 先ほどまでの感動を保ったまま登っていきます。 途中に石組みの大きなお堂があり、中には役行者と前鬼後鬼の石仏がありますが、 中は目をそむけるほど荒れていました。
頂上で一休み西ヶ嶽へ向かう

頂上には11時15分着。標高793.4m、一等三角点。円形のでかい方位盤があって、その脇に 三角点がある。そして麓からも見える電波施設。展望もまあまああるが、先ほどの行者堂のほうが 良いかもしれない。とりあえず今日はかすみがひどいので遠望はあきらめる。

単独男性が西ヶ嶽方向から上がってくる。ちょっと山の話などをする。 そういえばOAPさん達は今日扇ノ山に登っているが無線で呼びかけると 難なく繋がる。頂上まではもうちょっとかかりそうだと言うので、 こちらものんびりと歩きますと伝える。
食事ポイントから西方向を見る

西ヶ嶽へ行って食事にしようかな〜。下り始めるとヒカゲツツジがポツポツと現れ始める。 やはりというか、当然というか、北斜面だけにある。ここから見る西ヶ嶽はいかにも 遠く(実際はたいしたことないんですけど気分的に・・・)感じる。 なんだか急に行く気が失せてしまい適当な所で食事をすることに。

扇ノ山隊はもう着いたかと、何度か呼びかけてみるが応答はない。代わりに三木のMXFさんと 繋がる。翌日は宍粟市の三久安山に登るつもりだったが、MXFさんにも情報は伝わっていたようで 参加の予約を無線でもらう。

下山コースに設定している650ピーク下には大きな岩場がある。 双眼鏡で覗いてみるとそこに設置されている自然歩道の標識まで確認できた。 どうやらあれが西の覗きって所らしい。しばらくすると谷にこだまする声が聞こえる。 西の覗きを見ると男性が二人、岩の上で叫んでいた。デジカメのズームで撮影をする。

下山後神社の駐車場でそのお二人に出会ったが、なんと自宅にもおじゃましたことのある 三和町のAさんとお連れさんだった。鼓峠手前の谷奥に三岳ロッジがあって、 そこから西の覗きに続くルートがあったのだが、そのロッジが廃業したこともあって ルートも廃道になっており、ヤブをかき分けながら登って来たらしい。
西の覗き岩から谷を見ると

西ヶ嶽と西の覗きの分岐に来る。覗きにいたAさん達(その時はわからなかったが)と出会わなかったので 彼らは西ヶ嶽に向かったのだろう。後で聞いたところによるとそちらの方のヒカゲツツジは良かったらしい。 西の覗きには12時50分。岩の上に立ってみると、確かに覗きにふさわしい風景が広がる。 向いにある岩壁にはヒカゲツツジがべったりという感じで貼り付いている。

650ピークからの下りは私の苦手な下りだった。 所々に鎖場などもあってやはり修験の山だということを実感する。 前につんのめって倒れたりすると大怪我間違いなし。これだけ下ってしまうと、 もう扇ノ山隊とは無線は無理だろうとあきらめていたが、 私を呼ぶのが聞こえ、応答すると頂上で昼食中とのこと。雪はまだまだたっぷりで寒いらしい。
愛染窟??

修験の山にふさわしい最後の見どころが、下りきった谷との出合いにある。 それは愛染(あいぜん)窟という自然の岩穴で、昔から修験の行場であったと入口の看板に書かれている。 中の湧き水を飲めば諸病が治ると言われている(中で水を見たがゴミが浮いていて 飲むと諸病になりそうだった)。そういうのはどうでもよくて、実はここに祀られているという 愛染明王の石仏が目当てだったのです。そのためにここを下山路にしたぐらいですから。

愛染明王の石仏は県下では見たことがありません(もちろん県外でもないんですけど)。 密教の明王のひとりで、貪欲、愛欲を浄化して菩提心を起こさせる明王です。 憤怒の一面に六臂、全身が真っ赤という見るからに恐ろしい姿です。 ワクワクしながら中に入ってみると、奥に役行者の石仏がポツンとあるだけで明王はありません。

ん?ひょっとして盗まれたとか〜〜?表に出て看板を改めてよく見ると、写真に愛染とあるのは 役行者ではありませんか!!え〜っ!!うっそ〜!!役行者を愛染明王なんて言うなんて〜!! 知らない人が見たらそうなんかって思うやありませんか!! ちょい興奮してしまいましたが、気持ちを静めて考えるに、昔は愛染明王がちゃんとあって (でないと愛染窟なんて名前にならない)お祀りしていたのが、 それがなんらかの理由で無くなってしまい、岩窟の名前と行者像だけが残ったのでしょう。

ちょいがっかり気分で駐車場には13時55分。だれや!!愛染明王の石仏があるなんて言うたんは。 12本爪のアイゼンで頭叩いたろか〜。

今回の三嶽の地図は こちら(約70k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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