笛石山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『西河内』を参照していただくようお願いいたします。

2006. 7. 8.  土曜日  曇り  気温蒸し暑い
6年前に後山から笛石山 へMTBで縦走したことがあります。当時ははっきりした道も無かったし、それをわざわざMTBで縦走したのですがから、 あまり乗れたという記憶がありません。 今から考えると無謀な試みだったといえるでしょう。 余裕の無い計画だったので笛石山にあるという猫石も見つけることができなかったし、 そこでオカリナも吹けませんでした。

ということもあり、6年ぶりの笛石山再訪はどこから登りましょうか? 千種の町内にあるバス停には写真のような看板がある。それを見ると河呂の 集落から登っているルートが描かれています。これも試してみたいルートでしたが、 板馬見渓谷からあるルートが最近整備されたという。今回はこれを登ってみましょう。
千種の岩野辺付近から見た笛石
矢印が猫石
バス停にあるイラスト看板

有料の水汲み場がある板馬見渓谷の入口駐車場に車を止めて歩き出します。9時45分。 100mも行かないうちに不動明王の石仏をお祀りしたお堂があります。 後山は昔は修験の山としてつとに有名で、山頂までにいくつかの石仏、滝、岩場、行場が あります。その修験者のための登山基地の小屋がお堂の裏手にあるのですが、 そこが笛石の登山口になっています。
小屋の左手に道あり

巡視路でもないのにいつも山で見慣れているプラ階段に出会う。 どでかい導水管にぶつかり、そこからコンクリ階段になる。 「ふむ、ふむ、この階段が登山道なのね・・・」 千種川の上流から導かれた水はこの導水管を通り、 笛石山の東山腹にある発電所へと続いています。 導水管に耳を近づけてみるが水の通っているような音がしない? 発電所まで水は運ばれてるんかな?
導水管の階段ちょっと水路を歩く

ところがこの階段と導水管はすぐに終わる。そこから左方向にコンクリートの道がある。 なるほど、地形図を見るとそうなっていました。この コンクリートは水平に続いている水路のフタで、通路と兼用になっているようだ。 少し歩いてみるが登山道の続きがあるようには思えない。 というより、この通路は進入禁止と書かれているので 引き返すより仕方ありません。

階段の終点で思案にふける。ここから左手は進入禁止の水路。 正面から右手方向は歩くのも困難と思われる間伐後の植林斜面。 登山道が整備されたという情報を信じるなら、ここからも 明確な踏み跡があってしかるべし。ところがこの状態です。 どうやら根本的に登山道を間違っているような気がしてきた・・・。
急な伐採斜面

しかし、地形図を眺める限り、この斜面をよじ登っていけば笛石山まで 一直線です。不動明王のお堂の横壁には後山周辺のイラスト地図があって、 そこには手書きでこの方向に『笛石山』と矢印が書かれているのです。 それを信じてここまで来ました。まあ、地図に書き込みがあるというこは、 過去には登った人もいるということですからここから登っていくことにしましょう。

それにしてもこの暑さはどうでしょう。 気温もさることながら湿度がすごいです。 みるみる汗がほとばしるように流れはじめ、 Tシャツはもとより、ズボンまで汗で濡れはじめました。 斜面をよじ登るので手袋をしていますがそれも濡れてます。

踏み跡もなにもありません。もしやと思い右手方向にトラバースしてみますが こちらもあまりよくありませんでした。とりあえずガシガシと登るのみ。 608mピークには『二六』という石標があり10時35分着。 リュックを降ろして小憩。うひゃ〜、汗でビショビショや〜。

ここから若干ゆるやかになるが汗の量は増えているような・・・。 手に持っている地形図も汗でふにゃふにゃになり始めてます。 その地形図を眺めると次なる目標は標高710mの所です。 そこは今登っている枝尾根を含めて三つの枝尾根が合流している所なので 特定がしやすい箇所です。

そこには『十二』の石標がありましたが、それよりも、な、なんと!! 目の前には明確な登山道が横切っているではありませんか!!
伐採された松林

てなわけで、ここからは楽勝コースとなります。 倒木がありますが脇を抜けられるので問題なし。 やがて伐採された松林になり、道はジグザグに、所々には階段まで 設置されていました。

後ろを振り返るとカンカケ峠から竹呂、三室、大通峠、天児屋へ続く稜線が見える。 ちょっと首を伸ばすとオゴシキ山の大馬鹿門も見えます。 さらに登ると今度は東方向に開けた展望地がある。 岩に腰を掛けて下界を眺める。
頂上手前の展望地

最後の小憩を終えて目の前にある頂上に向かって最後の登りです。 ところが、目の前に『猫石』と書かれた看板と、その方向には山腹を巻くように 道がありました。そうなると頂上は後回しで猫石へ行きましょう。 猫石周辺は伐採されていて、それは道路からも見えていたので それほど遠くないのはわかっています。

ありました、ありました。 猫石には11時25分。確かにこの方向から見ると招き猫のように見えるのですが みなさんはどうですか?? 何はともあれ、念願の猫石に対面できました。では、さっそく登ってみましょう。
猫石に登るもちろんオカリナする

そこは簡単に登れて、上部はフラットになっています。 二人はちょっと苦しいけど一人ならくつろげる広さ。 なにしろ展望が良い。千種町が一目で見渡せるロケーションです。 頂上で食事にしようかと思ったが、ここは風もあって涼しいし、 猫ちゃんには申し訳ないけどここで食事もさせてもらいましょう。

そしてコーヒーを飲んでオカリナ三昧です。 笛石山の名前の由来は、山崎の長水城主の宇野主従が秀吉の軍から逃れてここまでやってきたとき、 山頂から笛の音が聞こえてきました。それは援軍の使者が吹いたものでしたが、 敵に先を越されたと勘違いした宇野一行が自刃してしまったというお話しです。
猫石からの展望

ここからオカリナを吹くと風向きにも影響されるでしょうが、地上まで音が届く可能性はありそうです。 独奏のはずでしたが、日名倉山のベルピール公園から『ガーン、ガーン〜』と鐘の音が 伴奏のように聞こえてきました。その日名倉山の頂上を双眼鏡で見てみると、なにやら鉄塔の ようなものが建っています。段が峰にある風力発電の調査ポールと似ているので ひょっとして日名倉にも??

時計を見ると12時50分。思う存分オカリナを楽しみました。 猫ちゃんにお別れを告げて頂上に向かって登ります。 そうそう、バス停にあったイラスト地図のコースはこの 猫石から真下に延びているはず。明確な踏み跡は見えませんでしたが たぶん歩くことは可能でしょう。
笛石山頂上後山への縦走路には階段も設置

笛石山頂上には12時57分。標高894.5m、三等三角点。実はここが標高の 最高点ではなく、ここから西に延びている稜線の方がどんどんと標高が 高くなり、やがては後山へと至ります。ただ、千種町の岩野辺方向から見ると ここが山頂のように見え、その姿が富士のようなシルエットから 千種富士とも呼ばれています。

さて、下山はどうしましょう。時間と体力があれば、後山まで縦走してもよかったのですが、 今日の暑さですでにグロッキーになっています。登る途中で出会った正規の登山道で 下れば正しい登り口も発見できるのですが、ここはいつものようにやまあそ流の 下山をしてみます。

後山への縦走尾根を少し歩く。6年前と違って踏み跡もしっかりとしているし、 所々に看板もぶら下がっている。これはまたこれで歩いてみたいもんだ。 標高950+mのピークに到着。13時15分。正面は縦走路だが、右に大岩がある。 それを乗り越えると板馬見渓谷へ下る尾根があるはず。

だれもこんな所に入り込まないだろうと思っていたら、古い白布がぶら下がっている。 どう見てもハイカーの付けたマーキングのようだ。それもずいぶんと年代物。 やはり変わりもんがいるんやなあ(自分のことは棚に置く)と感心。 激斜面を下っていくとのぺっと左右斜面が広がっているが、地形図では左右に尾根が 分岐しているところだった(わかりにくい)。 左の方が自然林で雰囲気がよさそう、でも安全に下れそうなのは右。

ずいぶんと迷ったが右を選択。最初は風倒木帯で歩きにくかったがそれを過ぎて809m標高点からは 踏み跡もしっかりしてきた。例の白布もぶら下がっているので、その主もこのルートを選択しているようだった。
こんなものがありました後ろの斜面を下りました

まもなく渓谷の林道になると思われる頃、間伐の植林帯に入る。 間伐材を乗り越えながら下へと進むと、林道が見えてきた。 林業作業者が建てたのか間伐材に文字を彫り込んだ標識があった。 そして林道に無事着。14時10分。

そこは偶然にも不動明王の石仏のあるポイントだった。 あとはお気楽に林道を下るだけ。中途半端な時間なので下から登ってくる人もいないし、 上から降りてくる人もいない。『鉈取り淵』というところがあった。 そこにも小橋が架かっていて向こう岸に歩けるようになっている。 ふとその橋を見ると、な、なんと!『笛石山登山口』と標識がくっついているではありませんか。

どうやらここが正規のというか、新設の登山道の入口のようだった。 それも私の登った登山基地小屋よりちょっと上手なだけじゃないですか。 がっくりやね。 笛石山を目指す人は私のような間違いをせず、ここから登ってくださいね〜。 水汲み場には14時30分着。100円で『行者霊水』を汲んで帰りました。 めでたし、めでたし・・・・。

今回の笛石山の地図は こちら(約85k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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