はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『但馬新井』を参照していただくようお願いいたします。 2006.12.23. 土曜日 晴れ 気温ふつう
多々良木ダムから登る行者岳のルートは以前(2001年)
『法道谷〜行者岳』
を登ったときに下りのルートに使いました。下りはともかく登りに使えばきついルートだなあと思っていましたら、
播磨の山猿こと大柿さんがここを登って三本松まで縦走をしています。
それによると「超〜すばらしい!!」ルートらしい。これは確かめてみなければいけません!!
ゴールになる『道の駅 あさご』にやまあそ号を止めておいて『あさご芸術の森』で待ち合わせをする。 一般のハイキング道ではないのでお誘いするメンバーはおのずと限られてしまいます。 今回もOAP、JMM、IRC、DQKと私IXWの通称『どんな山でも登っちゃう隊』です。 2台の車でダムの周回路を反時計回りのコースで進んでいくとすぐに登り口がある。 そこは広いスペースがあるので駐車も可能です。 消えかけた文字で『行者岳登山口』と書かれた古いトーテムポールやら、真新しい『行者岳→』の プレートもあるのでそれが目印になるでしょう。
この登山口から中腹にある行者堂跡までは丁石仏が何体もあります。 実は『あさご芸術の森』の敷地にも1体、ここに来るまでの道路沿いにも1体あり、 昔は集落から丁石仏が続いていたと思われる。 この駐車場にあるのは道標も兼ねており、『二四丁 右さん志よふ□ 左くろかわ』とある。 大柿さんも指摘しているが『二四』の二が漢数字の異体文字?なのか不思議な字体をしている。 9時40分スタート。二三丁の石仏の所にはツルツルと滑りやすい石畳の残骸が残っている。 それを登ると山腹を横切るように徐々に高度を上げていく。やがて枝尾根に取り付き そこからはまっすぐにひたすら登ることとなる。 |
石の囲いは今にも倒れそう | 中にあるのは弥勒菩薩 | その後も石仏がある |
---|
丁石仏はごくありふれた地蔵菩薩だが、目の前にある石室にある石仏はそれらとちょっと違う。 それは釈迦入滅後56億7千年のちに人々を救済するという弥勒菩薩だった (ちなみに太陽系の寿命が偶然にもこの年数らしい・・・)。元来弥勒は如来なのだが、 人々を救うためにあえて菩薩の姿をしているという。 木像などでは半跏思惟像が有名だが、これは宝塔を持つ立像であった。 基台には『多々良木婦人会』の文字も見えるが、光背部分の表面が剥がれ落ちているのが残念で、 何かが彫られていたのかも。
鉄パイプの階段を登ると多々良木ダム湖が眼下に見える。登山口にある車が小さく見える。 今日、この山域にハンターがいるようならダム湖の向かいにある多々良木白岩山に 変更しようと思っていたが、猟犬の鳴き声と散弾銃の銃声がその方向から聞こえてきた。 視線を転じると竹田城趾がちょこっと見える。今日は 暖かいのでかすみがあり、高度を上げても遠望は期待できそうにない。
大岩が現れ始め、右に左にと巻きながら登っていくと、この山の核心部と言える 行者堂跡に到着する。11時05分。 跡とは言いながら小さな祠は存在しています。中には神鏡と役行者、不動明王の木像。 祠の横手の岩盤には数体の石仏がある。中でも珍しいのは 修験道中興の祖といわれる『利源大師』の石仏だ(ほんとは理源大師)。祠の奥には 岩の割れ目があり、その最上部にも小さな祠があるが、さすがにそこまでは登れず中になにがあるのかは不明。 |
鎖場を登る | 足が震える怖ーい覗き | ちょっと離れた所からその覗きを見る |
---|
昔の人はよくこんな所を見つけたもんだと感心するが、見つけたら見つけたでやはり修験場にふさわしい と思って祠を祀ったりするのだろう。修験場というと覗きの岩場が付き物だが、それは行者堂跡より上にあった。 大岩の横手をすり抜けるように巻き、鎖場を登ると岩盤のテラスに到着する。 当然ながら展望はそこそこ良い。岩の下を覗こうとするがテラスはゆるく傾斜があるので 先端に行くとそのまま転落しそうで怖い。 まさに行場にふさわしい場所です。 最後の一登りだが、傾斜がきつくてトラロープが設置されている。 短時間で登れると思っていたが、寄り道もあったのでお昼ご飯にはちょうど良いタイミング になりそうだ。11時50分、稜線に出る。左に100mほど行くと行者岳の山頂、右に下るとながーい三本松への縦走路となる。 普通なら山頂でお昼といきたいところだが山頂は展望がない。 ここは山頂より20mほど標高が低い稜線上だが、展望ばつぐんの岩場があります。 てなわけでここで昼食とする。
|
食事ポイントからの展望 |
---|
数年前にこの岩か、先ほどの覗きでハイカーが転落事故を起こしたことがある。 樹木にひっかかって命は助かったという。我々もそうだが年を摂ると足元が危ういので注意が必要です。ここは 大柿さんが饅頭岩と言うだけあってたしかに稜線上にデン!!と居座るように存在している。 見ようによっては野グソのようにも見える。その野グソの上で食事をしようと言うわけだが 5人が座るにはいかにも狭い。私が岩の先端に座って上席は4人に譲るが たぬきさん夫婦は転落が怖いために岩の下で食事するという。 食事もすんで12時45分再スタート。山頂は見るものも無いのでパスして、 いよいよ三本松への未知のルートへGO!!
最初は予想どおりに激下りが連続する。正面に大岩が立ちはだかるが、右か左に ちゃんと巻き道が存在してます。ほとんどズリズリと滑り落ちるような感覚。 OAPさんはこういうのが得意らしく奇声をあげながら姿が見えなくなった。 どっかに落ちたんちゃう? 「こりゃ、MTBでは無理やなあ」と思っていたら分岐に到着。 よそ見しながら下っているとそのまま正面(625標高点)に行きそうになるが 右折れが正解。『山口←』という木札もぶら下がっている。 その分岐からはゆるい落ち葉ふさふさの快適路となる。 MTB持ってきて〜!! 左手の谷は全面が雑木で見ているだけで気持ちよいが、右手も見て欲しい。 注意深く歩いているとE地点から366ピークへ下る道があるのがわかる。 エスケープルートに利用出来るかな??地形図にも点線として記載されている この稜線上の道はなんのための道なのか判らないが、その後も超良い道がずーーっと続く。
峠でもなんでもないF地点には左右に道(進行方向とは逆)がある。 これまたどこへ続くのか気になるなあ。 その先にある伐採地にも分岐あり。分岐だらけや〜。 鹿避けネットをくぐるとそこからは稜線を離れて 山腹を巻く道になる。それも道幅のあるしっかりした道だ。 ちょっと崩れたところもあるが順調に巻いて稜線に復帰したところが H地点だった。そこは地形図にある点線ルートの三叉路だ。 周囲は明るい雑木帯の鞍部で、みんなも「超いい所やねえ〜」と歓声を上げる。 多々良木に降りる点線ルートは見えないが立野に降りる道は明確だった。 峠のようなところなので石仏を探すが無い。 |
地形図にある三叉路 | 三本松からの下り |
---|
ここから三本松へ向かう。 今までのような明確な道は無くなったが歩くにはなんら問題は無い。 左には国道312が見え、その向こうには婆々山が大きい。 三本松はその名の通り登る途中には多くの赤松が生い茂っている。 細長いピークのその最奥に三等三角点があった。標高586.9m。 14時20分。狭い山頂ではあるが小憩とする。ここからはほとんど下り一方だが 力をつけるためにコーヒーと甘いものを頂きましょう。 ここからの下りもずーっと雑木の尾根が続く。葉が落ちているので周囲は明るい。 下草もなく、下界の国道も丸見え。まるで空中を歩いているような感覚で 超気持ちがよい。足元に白い石が転がっているので 手に取ってみると石英の固まりだ。きれいではないが結晶になりかけている。 周囲を丹念に探せば水晶も見つかりそう。 J地点で林道と出会う。利用されていないのか路面は草ボウボウだ。 370ピークに登り返して右折れでさらに下っていく。 このまままっすぐ下れば給水塔になるが、植林帯になったとき 左手を見ると山腹にある道が見えた。 それは送電線の巡視路だ。
民家の裏手から金網の扉を開くとそこには現実の世界が広がっています。 「あ〜、山を歩いているあいだは極楽やったなあ・・・」 思えば、登山口とこの給水塔付近だけ植林帯だったが、それ以外はずーーっと 雑木を歩けたことになる。これは県内の低山にあっては非常にめずらしいことである。 大柿さん!超よかったですよ!
道の駅は目の前だが、道沿いの小さな畑にはネギがたくさん植わっており、 食欲をそそるネギの香りが漂っている。ここのネギはそんじょそこらの ネギとネギが違う!!白い果肉が多く、甘くておいしい岩津ネギです。 (別にJAからお金をもらってはいませんけどつい熱が入る) 近くにいたおばあさんにJMMさんが「これってわけてもらえませんか」などと 聞いている。「ネギは道の駅に売ってるよ」 それでは駐車料金の代わりにネギを土産に買って帰りましょう。 道の駅には15時50分着。スーパーで買うより半値以下で おいしいネギを買い、今日の山行きの締めくくりとしました。 今回の行者岳〜三本松の地図は こちら(約130k) でごらんください。 |