夜久野 西尾根

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『直見』を参照いただくようお願いいたします。

2005. 5. 3.  火曜日  晴れ  気温ふつう
思えば夜久野の山々にはずいぶんと楽しませてもらいました。一番東にある尾根には山城跡のある龍ヶ城とふたつこ山。 古い寺跡のある伏見山。展望も良くMTBでも遊べる居母山。富岡山から北へ向かうと夜久野最高峰の深山へ。 同じ町内でありながらそれぞれに個性を持ったピーク達でした。 そして、残されたのは今回の西尾根縦走です。

地形図を見ると最北には床尾三山の一つである鉄鈷山があり、最南には宝山がある。 MTBを楽しむには下り基調になる北から南に向かうコースを選択することになります。ところが、 M氏が言うにはあまりに距離があるので、鉄鈷山からの縦走はあきらめて途中の岸山から 登ろうという。ちょっと不満だったが実際はこの選択が正解であった。

現世のちょっと南に神社がある(名前は不明)。そこに駐車できるスペースがあるので準備を済ます。9時50分。 改めて地形図を見て岸山への登り口を捜す。神社からちょっと北、道路の左側上に公園と棚田がある。 その間にある道を登っていくと棚田の最上部に獣除けの金網と入口があった。 M氏が花の写真を撮っている間に田圃仕事の男性に聞き込みをしてみる。
獣除け金網を抜ける広い谷斜面は徐々に傾斜を増す

男性が言うにはここから登っていけるそうだ。「あんたらが登ろうとしている山は『いもぢ山』って言うんや。 山頂には石柱もあるらしいで」と良い情報をもらいました。この辺りの字はいもぢと言い、 バス停の表示もいもぢとなっています。漢字では『鋳物師』と 書くのでしょうか?とにかく夜久野には金属に関係ある山名とか地名が非常に多い。

ゲートを抜けて暗い植林帯に入ると小さな墓所だった所に出る。プラスチックの花立てが転がっていて 石の基台だけが残っていているが、肝心の墓石は無くどこかに移動させているようだ。 ここから枝尾根に乗るのが正解だと思うが我々は右手の広い 谷斜面へ移動して登っていく。うっすらと道もあるし伐採されて積み上げられた木材にブルーシートを掛けられた ものが斜面にいくつかある。M氏はこのまま登り続けようと言うが、斜面はどんどんと傾斜を増してくるので 私はたまらず左の枝尾根に逃げる。

それは雑木の尾根でやはりこちらの方が歩きよかった。案の定右下でM氏はもがいています。 とはいうもののMTBは深く肩に食い込むし、傾斜が急なのでなかなか足は上がりません。 右手でMTBを担ぎ、左手で木を掴みながら一歩一歩登るほか方法はありません。 M氏も合流して汗でドボドボになりながらようやくピークに立てました。 獣除けネットからここまで1時間15分。
枝尾根に乗りましたいもぢ山から東床尾を見る

おじさんの言う石柱はありませんでしたがこのピーク周辺がいもぢ山なんでしょう。 今回登った南東の枝尾根は激登りではありますが、前回下りに使った 北東の枝尾根よりはマシです。さて、一息ついたところで県境の縦走尾根に向かいます。 ここからはアップダウンはありませんが、尾根は細くてMTBを持って歩くには辛い所。 足元にはたくさんのイワカガミの葉っぱがある。ようやく咲き始めたピンクや白の小ぶりな花が疲れた気持ちを 癒してくれます。

もっと綺麗な花は無いかと視線を下にして歩いていると変な物を見つけました。 それは片方だけの軽アイゼンです。誰かが軽アイゼンの必要な時期に やって来たのでしょう。こんなマイナーな所をわざわざそんな時期に歩くなんて おそらくとんでもない物好きなハイカーです。「でも、まさかMTBで再度ここに 来るなんて思わんかったなあ・・」M氏の言葉で我々も物好きな一人だと気が付く。 県境の尾根には11時50分着。

ここからすぐ近くに岸山三角点がありますが、そこへ寄る気力はありません。 鉄鈷山から岸山までは大きなアップダウンが数カ所あるので、あちらから登っていたら 今以上に疲労していた可能性があります。今回のショートカット登りのコースで正解だったのかな? 兵庫側は植林ですが、周囲にはちょこっとだけブナもあります。 みると幹に熊の爪痕がありました。しかもそれはブナを登ったように付いていました。 やっぱり熊って木登りがうまいんや。

熊も怖いけどお腹も減りました。尾根の途中ですが居心地良さそうな所に座り込んでお昼にします。 氷上の五台山の近くのたぬきさんと無線が繋がる。あちらはもう下山途中のようだ。 ご飯を食べながらふと両腕を見ると傷だらけです。激斜面の登りで付いたものでしょう。 それにしても食後の県境尾根はこの傷に見合うだけの快適MTBルートなのでしょうか??
下りは乗りたいもんね653ピークを走り回る

食後、たいした休憩もせずに12時40分再スタート。ところがいきなりの ミスコース。すぐに気が付いて引き返す。が、またまた変な方向に下っている。 目的の稜線が左に見えるので斜面をトラバースしてなんとか事なきを得る。 食後すぐは血液が胃に停滞するので脳はお休み状態なのです。 しかも過信しているのか地形図もあんまり良くは見ていませんでした。

気を取り直して進んでいきます。こんどは藤無山に登っているOAPさんに無線が繋がる。 M氏はさっさと先を行ってしまうので、大した会話も出来ずに私も後を追う。 やってきたのは653mのピーク。そこは不思議なほど真っ平らで広いピークだった。 木の間をすり抜けるようにしてMTBを転がして遊ぶ。

ここからしばらくはさしたるアップダウンもない。倒木などがあるため100%の 乗車とはいえないがそこそこ乗れます。だいぶ走った頃ふとリュックのサイドポケットに 手をやると無線機がありません。「あかん、捜してくるわ」MTBを置いたまま 小走りで逆走します。半ばあきらめていましたが、先ほどOAPさんと繋がった653mピーク手前で なんとか見つけることが出来ました。 往復1.2kmのロスです。
両側は切れ落ちています床尾の二座を見る

すっかりM氏に迷惑を掛けてしまいました。677ピーク手前から 西と東の床尾山を見る。時計は14時10分。これはちょいとやばい!! 急がねば・・・・。三等三角点、標高679.2mの小猿山には14時25分着。 植林の中の薄暗い尾根の途中といった感じでピークとは言いにくい。ここの 点名は虫ヶ壺となっていて、最近の本には三谷山という名前で紹介されているが、 現世のおじさんは小猿山が正しいと言っていました。

鹿避けネットが現れてしばらくはそれに沿ってくだるが、途中から それを離れなければいけません。そのまま行ってしまうと最終は和田山の 室尾山に行くことになってしまいます。コンパスで確認しながら激斜面を下っていくと 無事に県境尾根に復帰できました。
結構急でしたが無理矢理乗りますひゃっほー
今回一番の展望??
肩が痛いので担がないといけないシーンでは辛いものがある。私だけでなくM氏も 痛いというので、はじめの登りがどれだけきつかったということか。 エスケープ出来るような所もないので境界尾根を行くしかない。 地面に掘り返したようなところが多い。多数の猪がいるに違いない。 と、突然とんでもなくでかいヌタ場に遭遇する。

天然温泉、しかも露天風呂。営業時間外なのかお客はいなかった。でもおたまじゃくしが うようよしています。これらが全部カエルに変身するのでしょうか? 世の中カエルだらけになるかも。ゲコー。
ヌタ場のおたまにおったまげる駅前でアイスを食らう

その後の路面も猪の掘り返しがすごい。エスケープしたくて脇に入るがそこからは 行けそうにない。しかたなく宝山の手前にある鞍部まで行くことにする。 その鞍部には15時45分着。秋とは違いまだ日は高いので安心。 無線機を落っことしたこともあるが、鉄鈷山から走っていればさらに疲労も していただろうから岸山からで正解だった。

鞍部のすぐ下に林道が見えている。そこへ降りてあとはJR上夜久野の駅に向かって下るのみ。 暑さでヘロヘロなので駅前の雑貨屋でアイスを購入。 水道で顔を洗うとすごい塩だ。16時10分の電車を見送って我々も車まで帰りましょう。 16時35分駐車ポイントに帰着。 等高線的には快適そうに見える尾根だったが、倒木などもあり微妙に乗れなかった〜。

今回の夜久野 西尾根の地図は こちら(約150k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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