はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『淡河』を参照いただくようお願いいたします。 2005. 2.13. 日曜日 曇り 気温寒い
一年前にMTBで走り通したシビレ山から続く稜線と谷。その時に出会った枝道、谷道、尾根道がどこへ行っているのかが
気になっていました。それらをつなぎ合わせればおもしろいツーリングコースが出来るのではないでしょうか。
地図上でいろいろとコースを設定していますが、M氏と一緒の時はその通りになることは稀です。
その場の雰囲気で「あっちに行こう!」とか「こっちがええで」などと大騒ぎのルート変更はいつものことです。
てなことで、今回はどうなることやら・・・・。
とりあえず、前回と同じく勝雄不動の滝の登り口にある駐車場に車を進めます。すると、そこには たくさんの薪を積んだ軽トラックと消防関係の赤い車が止まっています。なにか消防の訓練でも あるのでしょうか?ここに止めてもいいのかと訊ねましたらそれは問題ないらしい。 さらになんのイベントが訊ねてみましたら、めんどくさそうな顔で答えてはくれませんでした。 さすが権威にゃ弱いが市民にゃ高飛車の公務員!!なにやら秘密の訓練でしょうかね。9時20分。 草刈り機をかついだおじさんがいました。このおじさんは一般市民ですから我々と同じ階級なので 気安く答えてくれます。「この上にあるみそぎ場が去年の台風でだめになってるんや」ってことらしい。 そこは勝雄不動の滝参道の途中にあるのですが、谷川が段差になっているのを利用して上から落ちてくる水でみそぎを行うようです。 行ってみるとちょっと土砂で埋まり気味にも見える。消防に使うポンプが用意されています。 これで川の水を迂回させている間に土砂を取り去ろうという計画のようです。 隊員が戻ってくる前にここを脱出して参道を登っていきます。やがて分岐に到着。右に折れればシビレ山への ゆるやかルートです。このルートは前回利用していますので今回もこれで登るべく一歩踏み込もうとしたら 「滝にある直登コースで行こうや」と、さっそくM氏の横やりが入ります。 確かに同じルートを進むのは面白くないのでその提案に乗っかりましょう。
勝雄不動の滝には誰もおらず、滝は相変わらずしょぼい水量でチョボチョボと落ちています。 シビレ山への登り道を少し行くと滝の落ち口へも行けるようなのでちょっと寄り道してみます。 下を覗き込もうとしますが、足元がとにかく滑る。ここで滑落したら消防署の人がいますから すぐさま病院に連れて行ってくれそうですが、とても危険なのでさっさと引き返します。 いやはやとんでもない激登りルートです。しかも足元も滑りやすいので両手でよじ登りたいのですが 片手でMTBを担いでいる関係上それは無理です。先を登っているM氏の足元から小さな石が バラバラと落ちてきて私のヘルメットに当たります。こんなルートを選んだんは誰や!! はるか下のみそぎ場付近から「ブオッ〜、ブオッ〜」っとホラ貝の音が響いてきます。 うぅっ、力が抜けるやん。 |
なんとか砂丘帯に登れました |
---|
なつかしの砂丘帯に出ました。花崗岩が浸食、風化して出来たのでしょう。それにしても
不思議な感じの場所です。上はフラットですが端からは断崖になっていますので
MTBがふらつこうものなら命がありません。ここからは登りにもかかわらず
結構な距離を乗っていけるし、走っていても絵になる所です。そういうことを知ってか知らずか、
路面には古いMTBのタイヤ痕がたくさん残っています。
ずーっと尾根を登ってシビレ山へ向かうのではなく、途中から左の谷(不動滝の源頭になる) へ下っていく。もちろん乗れるのでなんの不満もない。タイヤのブロックが赤土で埋まって 重くなっている。これからの登りは担がないとだめなのでこの谷川の水でタイヤの泥を落とす。 って、ことはこの泥水がみそぎ場に降り注ぐことになるんか??ごめんなさ〜い。
くるし坂には10時40分着。ここは変則的な分岐箇所です。まず明確なのは右に折れてある 平行できれいな道だが、これは三木市戸田へ降りているらしい。右への急斜面の道はシビレ山へ 向かっており前回利用した道。 正面を見てみると、ちょっと下ったところには古い石の道標(右 淡河下村 左 戸田三木)がある。 道標からまっすぐ行くと丹生山へ向かい、左に登り返すと西神支線の鉄塔巡視路である。 前回はここからシビレへ登っているので今回は正面の道を丹生山方向に進んでみる。 この丹生山への道は朝日山の北山腹を巻きながら東へ向かっています。明確な道です。道ばたに またもや石柱がありました。それには『清浄水』と彫られています。横にある窪みは きっと井戸かなにかの跡でしょう。さらに石柱を発見。それには『キャ(千手観音)という梵字と 従寺七丁』とある。つまり丁石で、この明確な巻き道はたぶん戸田から丹生山への参道ということです。 参拝者はこの清浄水で喉を潤したのでしょうか? 前回はシビレ山から朝日山と稜線上にあるピークをつないでMTBを走らせましたが、 今回の巻き道の方が楽と言えば楽やね。そのシビレ山からのルートと合流。 しばらくするとまたもや分岐。ここには『従寺六丁』と『左 戸田下むら 右 ????? (摩耗して判読不明)』の石柱がある。登りを選択すると丹生山から帝釈山を経て 岩谷峠と続いている前回の稜線縦走ルートとなる。 ってことで、今回はここから北へ下るルートをとる。このルートこそがMTBスーパーダウンヒル コースなのです。あまりに気持ちよく乗れるのでオーバースピードに注意しましょう。 こんなところにも立派な石の道標がある。『左 山田道 右 丹生山道』と彫られていて、下部には 寄進者の名前が列記されています。右の丹生山は理解できますが、左を行くと山田へ抜けれるのでしょうか? こういう枝道も非常に興味あるところです。
地形図では登り返しピークがあるが右に迂回しているので快適路は続く。 路面には多くのタイヤ痕があることから多くのバイカーがやってきているのがわかる。 だいぶん谷に近づいて来た頃突然崩壊地が現れます。 蟻の戸渡りとはこういう所をいうのでしょうか。M氏ははしゃいでますが とりあえずビビりながら通過します。 ダウンヒルの終点地にも道標がありました。11時45分。赤いスプレーで落書きされているのが痛々しい。 これにも丹生山と表示されています。ってことは、このスーパーダウンヒルコースも淡河から丹生山への 参道ってことでしょう。噂に違わぬすごいコースでした。M氏はもういちどこのコースを 逆走してくるし坂まで戻ろうと言う。私の予定ではぜんぜん別のコースを考えていますのでその提案は無視。 ちなみに前回お茶した坑口前から浦川渓谷沿いに淡河の集落まで下るような単純コースではありません。 ちょっと浦川を下ると(以前は川を渡ったのですが、去年の台風のせいかわかりにくくなっています。 そのまま左岸を行くのが正解)そこにも大きな坑口跡がありました。 白い杭が転がっており、それには『鷹尾鉱山』と書かれています (銅・鉛・亜鉛が採れたらしい)。 そこには関電巡視路の標識があるのでそれを登っていきます。 お昼前で力が入りませんが、たどり着いたのは西神支線16鉄塔。12時10分。 ここでようやくご飯です。そそくさとお腹に詰め込んで12時45分スタート。 私の計画はこの巡視路の通っている尾根でくるし坂方向へ戻っていき、途中から369.0mの三角点(点名 下村)へ 方向を変えて、そこからあるであろうシングルトラックのダウンで淡河へ降りると言うものです。 我ながらなかなか良いルートだと思っていたのですが、そこへ向かうべき道がありません。 道どころか踏み跡もありません。歩きなら多少の藪でも平気ですが、MTBにはハードな茂みだったので 今回はこの下山路をあきらめましょう。 |
17鉄塔からの展望。この巡視路コースでくるし坂へ戻ります |
---|
「なら、このままくるし坂まで帰ってやな、そこから不動滝へ降りるのは面白くないから戸田へ降りよか!!」
私のルートがだめだとわかると、俄然M氏のテンションは高くなって独自のルートをごり押しします。
まあ、MTBが乗れて無事に下山できるような道ならどんなルートでもええんですけどね・・・。
この巡視路も適度なアップダウンがあるので下りのシーンでは面白く乗れます。
尾根道ですから展望もよろしい。南を見るとシビレ山から岩谷峠までの稜線がバッチリ。反対方向は 雄岡山、雌岡山と広々とした播州平野。不動滝から登った砂丘帯もあんなに低いところにあります。 思ったより乗れるのでM氏も大喜びです。16・17・18と順番に鉄塔をたどっていきますが、 最後の19は行ってこい鉄塔なのでパスしても良いし、展望を見に行っても良いでしょう。 なんだかんだしているうちにくるし坂に戻ってきました。14時。 くるし坂から戸田と書かれた方向に下山を開始します。これで5つの分岐を全て通過することになり 大満足。はたしてうまく下山できますでしょうか。くるし坂から高度差なしにシビレの山腹を 巻いて神戸市北区と三木市の境界尾根にたどり着きました。思った通り左に下る道があります。 少し下るとこんどは平行な巻き道と谷に落ちるようにある道の二手に別れています。 どう考えても谷道の方が参道の続きのように思えますが、M氏はさっさと巻き道の先を行ってしまいます。 追いかけて言うと「あんな乗れんようなとこよりこっちの方が快適やがな。こっちや、こっちや!!」 なんと刹那的な考えでしょう。目の前の事しか見ないとそのうち痛い目にあいますぞ!!
仕方なくあきらめて付いていきますが、思った通りこちらには道標はありません。 参道でないどころか、とんでもない所に出てしまいました。山腹にはザレ斜面が立ちはだかり 我々の行く手を阻んでいます。M氏は「上に登って巻こか?」と言いますが、 見上げるとそちらの方がさらに危険。ザレ斜面をよく見ると片足分だけ乗せられそうだ。 歩きなら大丈夫だがMTBを担いでの通過は不可能です。お互いのMTBを手渡ししながら クリアーしました。誰やこんなルート選んだのは!! このことで二人ともプチンと頭のねじが吹っ飛んでしまい、あろうことかMTBに 跨いでダウンをします。まさかこんなルートを取るとは思っていなかったので、 手持ちの地図のコピーではすでにアウトオブマップ状態になりどこにいるのかもわかりません。 しかしなんだかんだと言いながらも踏み跡はあるのでそれに沿って下界を目指しましょう。 高速手前の林道に降り立ちました。振り返ってもここから登るなんて絶対わからないような所です。 15時ジャスト。やはり正規の参道は谷にあったのでしょうか・・・。今となっては謎です。 高速道路をくぐり抜けて村の中を迷走しながらもなんとか県道に出ました。 15時25分、駐車場に戻りましたがもちろん消防車はなくM氏の車が一台だけポツンとあるだけです。 今回のシビレ山周辺の地図は こちら(約190k) でごらんください。 |