坂越尾崎遊歩道〜唐船山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『相生』、『播州赤穂』を参照いただくようお願いいたします。

2005. 2.27.  日曜日  晴れ時々曇り  気温ふつう
晴天であれば北部の雪山に登るつもりでしたが、予報がかんばしくないので 早々にあきらめて海沿いの赤穂にやってきました。もちろん歩きではなくMTBです。 前から目を付けていた坂越尾崎遊歩道。これは小さな港町である坂越から南に広がる 低い標高の尾根上ある遊歩道です。それだけでは物足りないので兵庫県で一番標高の低い 唐船山も訪れてみましょう。

坂越トンネルを抜けたところに手頃な広場があります。ここは昔宝珠山に登るときに利用した所です。我々がMTBで走った頃は歩く人とてない 未開の尾根道でしたが、その後『はりまハイキング』という本に載り、今ではすっかり有名なハイキングコースになってしまいました。

地形図で確認すると、北から南へ向かうのではなく、南の終点である老人ホーム近くから登って、ここ坂越に向かう方が 等高線的に乗りやすそうだとわかる。そこで坂越湾沿いの舗装路を走ってそちらへ向かいます。9時35分。 海沿いだからアップダウンが無いと思ったらこれが案外きついコースです。 まだ身体が目覚めていないのでとてもしんどい。

殺虫剤でおなじみのA製薬工場を過ぎたところに小さな鉱山跡がある。これは坂越鉱山といって 全国的にも有名な鉱山でした。最初はろう石の採掘をしていたのですが、一緒に掘り出される石がどうも変だということで 調べてみるとこれがなんと金鉱石。しかも1トンの鉱石中に20キロもの金が含まれているという 超高品位の鉱山だったそうです(通常は1トンの鉱石中に5〜6グラムぐらい)。 そんな優良な鉱山も肝心の鉱脈がわずかの量しか無く10年ほどで閉山となってしまった ということです。嗚呼無情・・・。偶然に金が見つかったりとか、埋蔵量が少なかったのも 自然のいたずらってことか。謎です。
バッテリーで動く動力車トロッコに乗る

構内には線路が敷かれています。鉱石を運ぶためのトロッコとか動力車がさび付いたまま 放置されています。バッテリーで動いたと思われる動力車には丸い木の椅子が付いていて、 思わず座って操作の真似事をしてみたくなる(遊園地にあるお猿の電車状態)。 こういうのを見るとなぜか子供に帰ったように心がワクワクするんです。 男の子ってそんなところがありますよね?廃線レールの上を歩いたり、穴ぼこがあったら覗き込んだり・・・。

残念ながら金の固まりは落ちていなかったのでここを後にします。海沿いの舗装路に戻り先を行くと 分岐がある。『瀬戸内ホーム』と書かれた方に登っていくとイラスト地図の案内板のある遊歩道の入口に着きます。 10時23分。案内板はずいぶんと古いみたいで書き込みの見えないところが多い。まあ、とりあえず 登っていきましょう。舌の動きは絶好調だが、身体はまだ目覚めていなくてMTBがずいぶんと重く感じられる。
最初の東屋手前から赤穂方面を見る

途中で老年夫婦のハイカーに出会う。地元の方らしく唐船山のこともご存じでした。 「上に東屋があるけど、ここよりもっと展望があるよ」その言葉に励まされて MTBを担ぎ上げる。入口からMTBには大敵の擬木の階段が続いていたので、この先の上り下りも 擬木階段があるんだろと想像する。階段がなくなって東屋が目の前になる頃、 後ろを振り返ると赤穂の海浜公園が見えていた。観覧車がひときわ目立ってあるが その横手にちょこっとあるのが唐船山です。 「おお!あれが唐船かぁ!!よっしゃ、行くど〜」と早くも興奮状態の向井さん。

東屋の裏手には三角点もある。点名『尾崎』、二等三角点、標高209.8m。 東屋からは東の海がよく見える。方角的には明石大橋も見えるはずだがカスミがひどくて 肉眼では確認できなかった。家島に詳しい向井さんに群島のそれぞれの名前を教えてもらう。

ここから下りは思った通り楽しく下れる。途中から擬木の階段もあるが中級以上の人なら簡単に乗って降りられます。 下りきった鞍部には朽ちかけた標識がある。それによると左右に下るルートが示されています。 左にはうっすらと藪の道が下っている(清水町に降りるみたいやね)。 右に下ればA製薬の工場だがそれらしい入口はないみたい。時間をかけて捜すほどのこともないので 先に進みます。
最初の東屋ピークからの下り謎の石塁の上に立つ

ちょっと登り返した所に変なものがありました。高さ60cmほどの石塁(土塁)です。 左右にず〜っと延びています。山城跡でもなさそうだし、猪除けのものでも なさそうですがこれが二つ目の謎です・・・・。実は元禄八年(1695)に坂越村と尾崎村との間に山境の 論争が起き文化六年(1809)にようやく決着を見たそうです。 その境界を示すのがこの石塁(土塁)です。

192ピーク(東屋あり)を過ぎるとガンガン乗れます。 明るい尾根道です。道の両脇にある木がなんの木かなにかわかりませんが 雰囲気は宝珠山の尾根道とよく似ています。大きな木が少なくて貧相な植生は 昔塩田で必要だった燃料として多くの樹木が伐採されたからでしょう。
206の分岐ピークに着きました海を見ながら快走が続く

206ピークは分岐のピークです(東屋あり)。北へ向かえば坂越、南西に向かえば八幡宮のある尾崎となる。 実はそのピークの手前で左に分岐がありました。その時はたぶん谷に降りているのだろうと思っていましたが 実際は206ピークを迂回して尾崎への尾根に乗っかるバイパスでした。 とりあえず北へ向かいますが、ここもハイスピードの乗れ乗れ尾根です。 ピーク毎に展望が良いのでついつい立ち止まってしまいなかなか前に進めません。 西を見れば高山〜雄鷹台山 北を見れば尼子山 が望めます。どちらもMTBで走破しましたが、考えたら赤穂にはお世話になりっぱなしですね。
海も見えるし、河も見える

四つ目の東屋でお昼にします。12時40分。 山で食事ですが、目の前には瀬戸内の海が広がっています。妙に喫水の高いコンテナ船が浮かんでいました。 まさか座礁しているわけもないでしょうが、やがてタグボートがやってきて曳航していきます。 どうやら相生の石川島播磨のドックへ運んでいくのでしょう。 三室山に登っている途中のOAPさんと無線が繋がりましたが、ラッセルで難儀しているらしい。 こちらはポカポカなんですけど〜。

先に進みます。急斜面の階段を落ちるように下っていき、たどり着いたのは点名『坂越』(四等三角点)のある151.4mの 小ピーク。地図を見てみるともう終点間近で、これ以上進んでも楽しめるようなコースはなさそうですし、 急なつづら折れで坂越小学校の裏手に降りてしまえば後が続きません。ここからUターンしましょう。 209ピークまで戻って、そこから尾崎の尾根を下りましょう。立ち止まらずに走ると15分弱で戻って来れました。 う〜ん、MTBって速いのね。

さ〜て、ここから尾崎への尾根に突入です。いままでと違いいきなり道悪になりました。 ずっとこの調子かと思っていたら先ほどの迂回ルートと合流する。「ありゃあ、こっちで来たらよかったんや 」こういうのを後の祭りという。迂回ルートならけっこう乗れると思います。 この尾崎ルートはまさしく乗れ乗れです。う〜ん、坂越小学校に下山せずにこっちに来てよかった。

こちらのルートにも東屋がある。今までもそうだったが、これらの東屋とか休憩ベンチには必ず灰皿とゴミ箱が設置されています。 なぜか??塩田があったことからJT(旧専売公社)からの寄付であったと確信します。 では山中に灰皿やゴミ箱があるとどうなるか??ゴミ箱があるとゴミを捨てます。そのゴミはいつまで経ったも 回収されないので結局山中はゴミだらけ・・・。最近は山にゴミ箱を置かないというのが常識になっていますが JTはそこまで頭が回らなかったのね。
謎の石室跡山ももの森を走る

この東屋近辺は『山ももの森』と呼ばれているがその森の中には不思議な物がある。 石組みの壁で、四畳半ほどの空間の三方を囲んでいる。 一方は開いているのでそこは入口なのでしょう。高さは2mぐらいあるだろうか?今は無いが屋根はあったと思われる。 家ではなさそうだし、なにかを貯蔵する石室のようなものかなあ? これが一箇所だけでなく森の中にいくつか点在しています。そばにある小さく丸い石組みの穴は井戸跡か? 結局なんなのか結論がでないまま下山を続ける。謎や〜!!!
採土場に出ました
白線で下ってくる

下り初めて両脇の斜面を見ると段々になっています。ひょっとしたら畑の跡?? 数々の謎を残したままダウンを楽しみます。おっと、断崖に出ました。 地形図にある採土場跡のようです。断崖の縁を回り込むように下りますが、 路面は荒れているし擬木の階段なので残念ながら乗れません。

階段に沿って下っていくと下界に降り立ってしまいます。予定では123mピークを経て 八幡宮まで行きたかったし、現に案内板の地図には八幡宮までのルートが書き込まれていました。 123mピーク付近はここから見ても雑木に囲まれたよさげな山容をしてます。 MTBを置いて向井さんが偵察に行きます。それによると「道はあるんやけど、MTBを持って行きたくないような道やなあ」 その一言であっさりとあきらめます。

では、最後のお楽しみポイントである唐船山(とうせんやま)へ向かいます。舗装路をどんどん南下していくと 左手が新興住宅地、右奥に赤穂の海浜公園が見えてきます。ここらは大昔はまさに塩田でした。 だからひたすらフラットでどでかい敷地です。海浜公園の中を横断すれば唐船山へダイレクトなのですが、 公園内は自転車の通行が出来ないようです。しかたなく空き地に入り込み高校横からキャンプ場の 道路へ滑り込みました。
唐船山で〜す

千種川左岸の最先端にこの山はあります。三角点はありませんが、国土地理院の地形図に標高と山名が記載されている 山ということでは兵庫県で一番低い山です。ちなみに日本のランキングでいうとナンバーワンはご存じ天保山で こちらは標高19mと同じ19位。防波堤の横手からわずか1分で山頂です。14時12分。
山頂の向こうは大海原海へ落ちる〜〜

目立った立木もなく海面に向かって全開です。なにげに歩いていると足元からボンボンと響くような不思議な音が・・・。 「あれ〜??なんか響いてるで〜」おもしろくて何度も足踏みをします。 京都のポンポン山も山頂で足踏みすると音がすることからこの名前がついています。 実際私もそこで足踏みしたことがありますが、大勢のハイカー達が同じ事をしていることから 地面が固くなってしまったのでしょう。それほどポンポンと音がしているとは思えませんでした。 ここのは違いまっせ。驚くほどしっかりとした音が確認できますぞ。

山頂の真ん中がまるで火山の火口のように丸くへこんでいます。さらに海に向かう方向にだけ 入口のように開いているので、まるで天井の抜けた古墳の玄室のようにも見えます。 なにか謎でもあるのでしょうか・・・・。 実は山名にあるように、むかし宝を積んだ唐の船がここで沈没。その上に土砂が積もって 島になったという。それが地続きとなり頂上で足踏みすると中に閉じこめられた船に反響して 音が鳴るという伝説が残っている。

どうです。自分も足踏みして鳴らしたくなってきたでしょ?すごい音がするんですから〜。 暖かい頃にはアベックで来て芝に座って海を眺めるのもロマンチックかも・・・。 などと想像していると、「おお!!ここを下ってみるべえ!!」と、向井さんのダミ声が。 見ると海縁に細い道が砂浜へ向かってあります。 もし転落すれば下にある岩場で頭を打って昇天まちがいなし。

無事に標高19mから下山して砂浜に降りました。あとは舗装路をひたすら北上すれば坂越です。 坂越湾沿いの道路はアップダウンがあって懲りていますので、帰りは千種川沿いの道路を走りましたが、 こちらはフラットで楽ちんでした。
坂越の町並み保存地区を行く

トンネルを抜けずにそのまま路地のような道を行くと、小学校裏手に遊歩道の入口がありました。 やはり予想通り階段の急登りです。坂越の町並み保存地区は石畳の道路です。MTBのタイヤ越しに石の 感触が心地よい。ぐるっと回り込んで駐車場に戻ってきました。15時ジャスト。 今回も見どころ満載。謎も満載でしたねえ。

今回の坂越尾崎遊歩道〜唐船山の地図は こちら(約220k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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