大藤山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『笠原』、『加古川』を参照していただくようお願いいたします。

2005. 1.10.  月曜日  晴れ  気温寒い
高御位山の北にあってハイカーからはまったく見向きもされないこの山ですが、裏の北斜面には 数系統の送電線(地形図に記載されていなものもある)が網の目のように張り巡らされており、 その巡視路を利用するとMTBで面白く遊べるエリアなのです。9日にM氏達と遊ぶ予定でしたが 仕事の都合で参加できませんでした。仕方がないので今日単独で同じエリアを行ってみようと思います。

ところが電話で当日の様子を聞いてみると、台風の影響で倒木が多くて乗車率も低かったという。 う〜ん、そんなら歩きにするか。歩きなら大藤山の頂上を極めてみるのもいいかも。 南山麓にある長楽寺からは登山道もあると聞いています。よ〜し、だいたいの計画が頭の中で出来上がりました。

長楽寺へ近づくと大藤山は目の前です。 あらためて山全体を眺めてみると、そのほとんどが自然林に覆われた理想の里山なのがわかります。 山腹をスキャンしていると、ん?南のピークの直下に大岩が見えていますぞ。 ってことは、あそこに立てると展望も良いんでないか??よし、まずはあそこを目指してみるか!!

長楽寺の駐車場に8時45分。階段へ向かい、お寺には上らずに一旦下へ降ります。すると、 右手に林道ほどの幅の道が続いています。電柱に『たき火 たばこに注意』と兵庫県の丸看板が ありますが、そこにマジックで『大藤山へ約40分』とあるのを見逃しません。 やはりこの林道が登山道へ続いているようです。地形図を見ると終点には鳥居マークもあります。

林道と言うよりは鳥居マークへの参道が正しいようです。鳥居地点へ近づいた頃ふと右手を見ると 朽ちかけた木切れが杉の幹から落ちそうにぶら下がっていて、それには『大藤山 登山口』と書かれている。 「え〜っ!?ここが登山口??」こんな中途半端な所とは予想もしていなかったし、見える限り 登山道とは思えないような雰囲気です。
林道(参道)を歩く愛宕社に着きました

とりあえず鳥居マークまで行ってみて、そこからルートがなければ引き返してもいいでしょう。 すると鳥居マークの直前に分岐がありました。南には祠が見えています。北には山へ向かって道が延びています。 こっちの方が歩き良さそうなのでこれで登ってみましょう。まずは祠へ行ってみます。 そこは竜山石で出来た祠と前殿がある広場でした。9時ジャスト。後で愛宕社とわかりましたが、 周囲はきれいに掃き清められており手厚くお詣りされているのがわかります。

では、どこまで行けるのかわかりませんが先ほどの山道で登ってみます。きれいに両側が 刈り払われていて細いながらもしっかりした道になっています。雑木が生い茂っているのは 良いとしても蔓植物やトゲトゲのイバラ関係が行く手を遮るのはいただけません。 それらもきれいにどけられているので快適そのものです。
新たに付けられた山道を行く里から見えた大岩に着く

方向的には里から見えた大岩へ向かっているように思える。高度から言っても まもなくだと思われる頃それは現れる。切り開かれた小さなテラスに大岩が寄り添うように 集まっている。そのうちの一番大きな岩は表面がスパッと切れ落ちて平らな壁のようになっている。 さらにテラスの周囲には石垣のようにも思える石が積まれている。

村の人の話では、ここは古文書にも載っていない旧長楽寺跡らしい。しかし、あまりに狭いので 在ったとしてもせいぜい祠ぐらいではないでしょうか。そんなことより、ここには石仏があるのです。 それは高さ60cmほどの石柱で頂部は三角に尖っていて、その下に彫り窪んだ所に如来の座像が 浮き彫りされています。さらにここは南方向の展望所でもあります。 きっと石仏も数百年見ていたであろう高御位山と加古川の町並みを眺めましょう。
岩磐からの展望

気が付けばここから道が無いではありませんか。先ほどまでの快適な道普請はここが終点なのでしょうか。 仕方がないので岩の横手からよじ登っていきます。 この上にも先ほどと同様の大岩があり、それもスパッと切れ落ちた断面を持っています。 それを迂回して登っていくとピークにたどり着きました。9時40分。

さほど広くないピークですが、真っ平らでしかも周囲を石でぐるっと囲んだようになっています。 先ほどの岩テラスもですが、このピークこそなんらかの史跡(祠とか庵とか)があっても おかしくないような地形になっています。大藤山の三角点はここより200mほど 北東に行ったところです。そこまではほとんど高低差はありません。

写真ではずいぶんのヤブのように見えますが、実際はさほどのことはありません。 赤白のポール下には上面を赤く塗られた三等三角点は埋まっています。標高250.8m。 先ほどのピークはいかにも人工的な広場で好奇心も湧きますが、ここは単に最高点だというだけの 所で見るところもありません。これより先はさらにヤブっぽいのでここから引き返します。
大藤山三角点自然石を利用した標石

先ほどの広場ピークから稜線を下ろうと思っていたのですが、途中に小さな赤テープを発見。 見るとその向こうには送電線鉄塔があります。ならば、それを利用してみましょう。 道ではありませんが、雑木の間をすり抜けるように下っていくと鉄塔に降り立ちました。 『姫二火力線 45』です。そこから西方向へ進んでいきます。巡視路ですから路面が良いのは あたりまえ。M氏が言うような倒木もここにはありません。『姫二火力線 44(別途地図には2−44と記載)』 から右に下ります。(左に折れて登っていけば広場ピークに至ると思われる)

巡視路に付き物の『火の用心』標識がないのでちょっと不安になるが、登り返したところに『火の用心』標識があり 一安心。それよりも不思議な標石を発見する。ふつうは四角柱で上面に十字が彫られ側面にナンバーとか文字が あるのが普通です。これは自然石の尖った頂点に十字、その斜面に三○三と山という文字が彫られています。 石柱を持ち上げるよりその場にある岩に彫った方が手っ取り早いと思ったのでしょうかね。

そのまま高低差のない尾根を西に向かいます。尾根の終わりから右に折れて道を捜すもどこにもありません。 「おかしいなあ・・・、巡視路だから無くなるはずないし・・・。」実は左手にあったのですが、 なにを勘違いしたのか右方向ばかり探していました。もちろんあるはずもなく、仕方なく向こうに見えている 別系統の赤白鉄塔に向かって下ることにしました。その鉄塔は『姫一火力線 44』とあります。 先ほど言ったように同じようなナンバーの鉄塔があちこちにあるので楽しく迷えそうですぞ。
1−44鉄塔から見える観覧車清水坂に着きました

ここからセントラルパークの観覧車が見えます。さらにその奥には黒尾山が!! ちょっと信じられないけど確かに黒尾山です(右横の白い山塊は植松山)。さて、ここから清水坂へ行ってみます。 本来は姫二火力線の巡視路で向かうつもりでしたが、ちょっとしたミスでこちらの巡視路を 歩くことになりました。しかし姫一火力線、姫二火力線のどちらを歩いても最終的にはこの峠に収束しています。 峠の手前まで快適な巡視路でしたが、一箇所だけ規模の大きい倒木がありました。 それを乗り越えて竹林になるとその先に峠があります。11時10分。

この峠は加古川市志方町西牧と姫路市飾東町大釜を結ぶ峠で、この細い道は『飾東宝殿停車場線』という れっきとした県道なのです。 左右には巡視路があり、西に向かえば高山、東に行けばもちろん大藤山です。 そろそろお昼の時間ですが、ここでは食べにくいのでお日さんの当たる『姫一 43』鉄塔で ひなたぼっこしながら食事をします。

さて、ここからどうするか。清水坂で長楽寺へ戻るのは簡単すぎて面白くありません。 逆に北へ下ってみましょう。清水坂からこの県道『飾東宝殿停車場線』と捜すのはちょっと難しいかも。 左右から笹が張り出していて地面がまったく見えません。しかし、そこにはしっかりとした 細い道が続いています。これをMTBで下っていけばずいぶんと面白そうだ。
笹に覆われているが実は快適!!竹林の中南谷上池から大釜池へ抜ける

小橋を渡ると林道になり、『南谷上池』というため池がある。ため池の水はうっすらと氷が張っていた。 堰堤の向こうに鉄塔が見える。ということはそれを越えて大釜池へ降りられそうだ。 堰堤を越えるとずばり巡視路が続く。竹林の中の道も明確でわかりよい。 鞍部には火の用心マークがあり右へ行けば観覧車の見えた1−44鉄塔へ行けるようだ。 やはり巡視路は複雑に入り組んでいるようで、この時点で頭はこんがらがっている。 左へ行こう・・・。

大釜池へ降り立ち、志方町雑郷集落を歩く。ここは加古川でも特異な所で、姫路市を通過しないと ここへ来れないという飛び地のような変なところです。市内でも唯一小規模ながらも棚田があり『わがまち加古川50選』 にも選ばれています。袋小路のようになっている地形ですが、周囲を低い山に囲まれているその様は なにやらホッとさせる癒しの風景です。
雑郷集落。矢印の峠を越えます舗装路に出ました

農作業をしているお兄さんに話しかけてみる。峠の道はこれで合っているそうだが名前はわからないらしい。 現在ここには数軒しか民家もなく、住んでいる人も10人を切っているらしい。 できれば余生はこういうところに住んでみたい。そしたらMTBで巡視路を走り回れるんだけどねえ・・・。    (どんな余生や!!)

無名の峠は小さな切り通しでしたが石仏はありませんでした。そのまま県道まで下っていくのかと 思っていると水路が横切っています。山腹に降った雨水をそれで集めてため池に溜めているようだ。 水路を右に行き50mほどで斜面を駈け下ると林道の終点に出る。県道の手前でリュックと全身のゴミを 払い落とす。13時05分。

志方城山(中道子山)を東に見ながら舗装路を歩く。てくてくてくてく・・・・。 う〜ん、やっぱりMTBで登った方がよかったかなあ。13時40分長楽寺着。

こんな伝説があります。
大藤山の北裏のどこかに『蛇が池』と呼ばれる池があるらしい。そこは干上がることが無く 水面にはさびが浮いている。そして長楽寺の釣鐘が沈んでおり大蛇がそれを守っているらしい。
次回来るとしたらこの『蛇が池』探索かな?

今回の大藤山の地図は こちら(約160k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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