岩木山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『上郡』を参照していただくようお願いいたします。

2005. 5.29.  日曜日  晴れ  気温暑い
なにを思ったのか乗れるはずもない 上郡の生駒城趾 にMTBを担いで登ったことがあります。結果は当然のごとく悲惨なもので、ほとんど乗れないし、 雪で足は濡れるし・・・・。ひょっとして乗れるのでは?と思っていた尾根にもたどり着けないまま 途中で下山というていたらくでした。太子町のIさんから生駒城趾からの尾根の延長線上に 石仏の峠があるとメールを頂く。あのときもうちょとがんばっていればそこにも行けたのにという 思いから、今回はその石仏を見に行ってみます。

通い慣れた上郡の町中を抜けて岩木集落から船谷に入る。ここは新しい住宅地らしくて区画整理された 敷地にこざっぱりとした住宅が建ち並んでいる。おじさんが自宅の庭いじりをしていたので、これ幸いに 峠の話を切り出してみると予想外によくご存じであった。地元の人ではなく10年ほど前にこちらに来たらしいが 趣味の猟で近辺の山を登っていたのでこの辺の地理は知っているのでした。 「登り口はわかりにくいから案内してあげる。わしのバイクの後ろを着いておいで。」 親切に入口まで連れて行ってもらうが車が止められそうになかったので一旦引き返し、 おじさんの家の横手に止めてそこから歩くことにする。

おじさんに会釈をして9時スタート。道の角に五輪塔があるのを発見。近くによって見てみると 横に割れた石板がある。上の部分の石板は無かったが、残っている下部には文字が彫られていました。 それには『皆坂村  高山  道』とあります。残っていない上部には『右 左』とあったのでしょうか? 皆坂村は岩木川の上流にある集落。高山は今から向かう峠を越えた所にある集落。 やはりこの石板は峠の入口にあるべき道標のようです。
小さな五輪塔と道標の石碑矢印の方向へ進む

おじさんに教えてもらった入口にやってきました。左手チェーンで封鎖された舗装路は 山腹にある給水タンクへの道なのでそちらへ行かずに正面のヤブっぽい谷道を行きます。 やがて左に回り込むように登っていきます。最初こそガレた斜面にしか見えませんが そのうちしっかりとした道が現れてきます。
ちゃんとした峠への古道です

途中で写真を撮ったりしましたが、普通に登っていれば15分ほどで峠に着いてしまいます。 地形図で見ると192m標高点のちょっと東。この峠を越えた南側は船坂という所で、 出発点の船谷と同様に頭に船の文字がある。これもなにか意味ありげでしょ?

下山後近くのお寺で聞き込みをしてみましたら、この峠の名前は『ホウバル』と言うらしい。 意味はわからないが上郡の古い方言のようなものではないかということです。 (ここで何か食べたか何かで付いた名前かなあ・・・??) 昔は峠を挟んだ集落(船谷、船坂間)での婚姻も盛んだったらしいが、今はその峠の存在すら覚えている人は いないだろうとおっしゃってました。
2体の石仏が横たわっています峠はこんな感じ

そのホウバルには9時20分着。小さな平坦地の峠にその石仏はありました。丸彫りの地蔵菩薩立像が2体。 ところがなぜかそれらは地面に横たえられています。頭の部分には蓮華座の基台があるので 本来はそれに立っていたと思われます。どちらも首が取れていて それを一度は補修でくっつけられた跡があります。が、雑な作業なので立たせておくと またぞろ首が落っこちるのは必至なので横たえているのでしょう。

右の石仏の基台は大きくて正面と左右の面に文字が彫られているのがわかります。 正面には『宝暦三癸酉(1753) 村中為祈祷 三月吉祥 など・・・』南面は解読不能。北面で読めるのは 『西方寺村 武ъ囓ァ など・・・』これでわかるのは西方寺は峠より南に今もある字です。 武рニは武蔵の国のことか?? 宝暦三年と思ったより古いので驚きでしたが、左の石仏の方がさらに古そうです。 ただ基台は傷みがひどく表面に文字があるのかどうかもわかりません。
雁皮なつはぜ

今日の目的は達成できました。さて、これからどうしますか。船坂へ下る道は見える限りは不明瞭だし、 下ってしまえば船谷に帰るのがたいへんです。お勧めコースは峠から生駒城趾への縦走でしょう。 しかし、へそ曲がりのやまあそは逆方向の岩木山へ向かいます。9時30分。 (ここから先のレポートはおもしろくありません)

踏み跡はあるのですが膝上ぐらいのシダで足元は見えません。ゆるやかに登っていきますが 急にお腹が空いてきて力が抜けていくのがわかります。そこで、おやつ休憩。 おやつを食べながら靴を脱いでみると案の定中はシダのゴミだらけ。 暑苦しいですがここからスパッツを付けることにします。

ピーッという警笛に目を凝らすと、左下に広がる田圃の中をディーゼルに曳かれる貨物の長い列が 見えました。宝暦年間とは言わないまでも数十年くらいのタイムスリップした風景を見た思いです。 シダ藪もある程度の標高を過ぎると不思議と姿を消す。周囲の木々も高さを増して直射日光を遮って くれるので少し涼しさも感じる。

この辺りから赤テープのマーキングが姿を現す(あるいはそれまでを見落としていたのかも)。 310+の分岐ピークからも岩木山方向にそれは続いていました。 さほど気にせず進んでいくと標高344.5m、三等三角点のある岩木山に到着。10時50分。 三角点の周囲だけ切り開かれていますが展望はほとんどない。無線を呼んでみるが応答がないので 10分ほどの休憩で先に進む。
食事中だよこの辺は平行道が続く

一見袋小路のように思えた岩木山だったが、コンパスどおりに西に向かうと尾根と踏み跡が あった。写真を撮りながら進むのでペースは鈍足。次の小ピークから右に折れて MTBでも快走できそうな平行道が続く。赤土の広場に飛び出たら要注意。 直進の踏み跡はあるが左へ折れないといけません。道が無いなあと思いながら 突き進むと踏み跡あり。

地形図でもわかるように標高差のない広い平坦地になる。しかも藪。 ちょっと迷いモードでうろつきながらここぞと進んでいくと赤テープのある 正規コースに出会う。 くそ!今まで見て見ぬふりしていたがこれに従っていれば楽勝だったのかー。
迷いの平坦地にある石組み

足元には謎の石組み(位置を表す目印?)と缶ジュースの空き缶が散乱している。 そのへんから道はさらに荒れ気味になり赤テープがなければ楽しい(苦しい)ルートハントに なりそうだ。冬場ならそれも楽しいのだが、今は暑いしお腹は減ったしで 一刻もここから逃れたい一心だ。

暗い雑木の尾根を右に左に登っていくが一向に展望はない。植林帯になったところで我慢できなくなって 座り込む。気が付くと頭から足元までゴミだらけ。帽子には蜘蛛の巣がぶら下がっている。 リュックにも枯れ葉や小枝、尺取り虫までくっついてます。 倒木を椅子代わりにして尺取り虫を見ながらサンドをほおばる。ほんとはコーヒーを湧かすつもりだったが あまりに暑いのでコンロを出す気にもなれない。

標高349.4m点名平尾のピークに向かってまっすぐに行くのかと思ったら、テープのあるソマ道はピークを避けるように 右に巻いていきます。こりゃいかんと、道から離れて藪斜面を駆け上がっていくとそこも 植林のピークでちょっと下がったところに所に四隅を保護石で囲まれた四等三角点がありました。 12時40分。 無線をするが千が峰のCSPさんを呼びかけた途端に電池が切れた。 今日に限って予備のバッテリーも持ってきてない。なにやら不吉な予感がする・・・。

ここには今まで同様に赤テープもあった。赤テープの方向をみると先ほどの巻き道から続いています。 素直にソマ道を歩いていれば自動的に三角点に来れたようです。 この赤テープの主は何度かこの周辺を訪れてマーキングをしたらしくて無駄なマークがない。 わざわざ三角点に導くようにマークしているところからしてやはりハイカーなのかなあ??
この湿地帯の先が正解?

赤テープに逆らって三角点から北に下っていく。地形図を見ると広くゆるやかな鞍部に 到着するはず。鞍部と行っても100mほどの長さがあるので谷のような感じになっていると思われる。 出来るだけうまく着地したいがために細かく位置修正しながら雑木ヤブを降りていった。 目の前にジュクジュクの湿地帯が見える。後で考えると その湿地帯を抜けなければいけなかったのに、右折してしまう・・・。

船谷の方向に下山するつもりだったのに、なにやら周囲の地形と自分の思う地形が違う。 コンパスと取り出してみると針はまったく逆を向いています。 一瞬驚きましたがじっくり考えると鞍部と思った地点からぐるっと一周してしまったみたい。 う〜ん、こんな事ってあるんや。

北摂の新川氏とこの話をしたが、彼は「あっし(彼は自分のことをあっしと言う)なんか同じ所2周もしたで〜」 と自慢げに話していた。そういう怪しげな所がヤブ低山にはあると言うことです。 再度鞍部に下ろうかと思いましたが、無線機の予備電池の不備などが頭をかすめ、ここは 素直に三角点まで戻って別ルートで下山しましょう。

点名平尾には13時45分。ここからしばらくは赤テープに従って東にある小ピークに登り返す。 私はそのままヤブの尾根を突ききって谷に降り立つ。 そこにはガレてはいるがちゃんと道があった。ってことは、予定通りに鞍部に降りていれば 道をたどってここまで来れていたということです。 重箱の隅をつつくような話ですけど、こういった積み重ねがヤブ山歩きのスキルアップに繋がる。
廃道間近い林道

谷川の流れで顔を洗って、あとは楽ちんに下るのみ。林道に出て花の写真を撮りながら うだうだと歩く。椎茸の栽培地、トタン塀で覆われた怪しげな敷地、個人の別荘、不燃ゴミの処理場、 そして船谷池を通過すればスタート地点の住宅地です。15時ジャスト。 道案内してくれたおじさんは留守でしたが、奥さんに無事下山の報告をして帰路に着きました。 あ〜っ、暑かった!!

今回の岩木山の地図は こちら(約160k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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