仏の尾

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『扇ノ山』、『村岡』を参照していただくようお願いいたします。

2005. 4.17.  日曜日  晴れ  気温暑い
チシマ笹に覆われた超藪と言われているこの山も今の時期なら簡単に登れるでしょう。今シーズン最後の スノーハイクの締めはこの山で決定!!実は去年の秋にも登ろうと試みたが、登り口に 到着した途端に雨が降り始めて撤退したことがある。残念だったが、お陰で下見も出来たし 少なくとも登山口までは迷うこともなかろうと良い方向に思考チェンジ。

香美町(旧美方町)の佐坊集落の最上部の民家横に『仏の尾林道』の入口がある。 この林道の入口には『仏の尾登山口』という標識があるので楽勝ムードを 漂わせていますがこの後どこにも標識がありません。ど、どうなってるんやー。 この林道を上っていくと現在は荒れ地になった耕作地跡が標高750〜760m付近にある。 ここが登り口になっているという噂です。

それらも前回の下見でしっかりとわかっていますので、今回の心配事は林道の雪解けが どこまで進んでいるかということだけです。ところが好事魔多し、なんと林道の入口で道路工事が 今まさに始まろうとしているではありませんか。工事のおじさんも迷惑げに我々を見ています。 しかし、田舎の人は親切な人が多い。「遠くから来てるのにかわいそうやから通したるわ」

林道をクネクネと上っていきます。途中にでかい石が路面にあった。無謀にもM氏は そのまま車を通過させようとする。途端に「ガリッ!!ドガッ!!・・・」と車体のどこかに ぶつかる音がする。車体の下を覗き込むとマフラーがへこんでいるし、走っていると異音がする。 M氏!人間も四駆も自信過剰は禁物ですなあ・・・。
耕作地跡から仏の尾を見る

林道が南斜面にあるうちは雪は溶けていたが、予想通り北斜面に回り込んだ途端に多くの雪が残っていた。 しかし、これまたありがたいことに除雪されている。林道はこの先二手に別れる。正面の道は 除雪されておらず通行不能。というか、すごい積雪でそれが道だということすらわからない。 初めての人は分岐だとは確認できないでしょう・・・。 本来はこの道を行くと作業小屋を右折して耕作地跡にたどり着くのですが、 右の除雪された林道の途中から左斜面をよじ登れば耕作地跡にショートカットできるのでそのまま右へ。 途中にあるスペースに車を止めていざ準備。

9時20分スタート。林道を少し歩いて、ここぞと思う所から斜面をよじ登っていく。すると 上の写真の耕作地跡にひょいっと出る。下見に来たときと違い、カヤなどが雪でぺっちゃんこに なっているのでどこでも歩ける。所々カヤを束ねて立木にもたれさせトンドのようにしている。 なんのために??ここにまた何か野菜でも作ろうかと準備しているのだろうか?

仏の尾がずいぶんと近く、そして大きく見える。さらに向こうには青が丸。この近くに見えるというのが くせ者なのです。実際歩いてみると案外距離があるものなので、ここは気を引き締めて行かねばなりません。 地形図を見てみると仏の尾まで一直線に尾根があります。写真の『い』を目指せばその尾根みたいです。

ところが踏み跡もないのはもちろんだが木々に遮られて歩きにくい尾根で閉口する。 左下の広い谷を見るとブナの林が広がっていて 「あ〜、あっち歩いたら良かったなあ・・・」と、二人でぼやく。やがて踏み跡らしきものと出会う。 どうやらブナ林に道があってそれがこちらに来て合流したようだ(積雪のため確認はできてませんが)。
結構急な斜面なのよ

ツボ足では辛いのでアイゼンを装着しようとするが忘れているのに気が付く。 しかたなくスノーシューを履くがここの状況では歩きにくかった。比べてM氏は スイスイとアイゼンの爪を効かせて登っていきます。
南を見ると
さらに東に視線を移す
どこから登ってきたのか昨日のものと思われるスノーシューの跡があった。 たぶん同じルートだと思うのだが、こんな山にも登る人がいるのかと驚く。 だいぶん登ったと思い後ろを振り返ると感激の展望が広がっていた。 「いや〜っ、大展望やがな」M氏も興奮気味です。おなじみの山々もいつもと違う方向から見ると新鮮です。 氷ノ山や鉢伏山の北斜面にはまだ十分な雪がありますが、ミカタスノーパークも北斜面にもかかわらず まったく雪が残っていません。そしてこのルートは南斜面ですが案外雪があります。 なぜなんですかねえ・・・。
夏道があります頂上も間近

といいつつも南斜面なので所々雪が溶けて地面が出ている所がある。 「これって道とちゃうの??」と、M氏。途中にあった踏み跡の延長だと思うのだが、 確かに笹も刈られていて道の体を成している。左右の枝にはナタ目もあって人の手による道です。 ここでスノーシューを脱いでリュックにくくりつけ、ストックは帰りに回収するので地面に突き刺しておく。

頂上に近づくと当たり前のことだがまたまた雪面になる。仕方なくまたぞろスノーシューを履く。 11時20分頂上に着。三角点はなく標高は1227m。
仏の尾頂上です
無雪期ならどんな頂上なのでしょう。青が丸のように背丈以上の笹で視界は皆無なのでしょうか? 今日は平らな雪原にブナが点在する、開放感のある明るい頂上です。 我々の到達した所が標高も一番高い所ですが、見える限りに真っ平らな山頂は逆Z字形になっていて 西の方にも同じようなピークがあります。仏の尾という山名自体、昔ここに寺院があったから ということらしい。事実はどうあれ、平らで広い山頂は気持ちのいいものである。

お昼はその西のピークで摂りましょう。扇の山も青が丸のすぐ近くに見えます。もちろん 扇の山の避難小屋もバッチリです。周囲は雪だらけなのに半袖Tシャツがなんだか不思議です。 昼ご飯も今年初めてのざるそば。もちろんコーヒーも頂きました。 さほどの間隔を置かずに頭上をジェット機が4機も通過します。双眼鏡で確認すると旅客機のようだった。 中国?ロシア?それとも韓国かな?

青が丸と扇の山の間、はるか向こうには大山が浮かんでいる。大きな姿だがまるで蜃気楼のようだ。 ここから青が丸を見るとずいぶんと近いがどれほどの時間で行けるのだろう? 「雪庇が正面にあるから、あそこは雪崩が起きそうやなあ。登るんだったらあの枝尾根やなあ・・・」 などと話をする。まあ、あわてることはないので今回は素直に下山して、次回の楽しみにしましょうか。 12時20分。
山頂のブナ達帰りにある落とし穴

チシマ笹の上に積もった雪が溶けて下が空洞になっている。上の雪はかろうじて残っているので まるで落とし穴のようなもの。恐る恐る歩くが、絵に描いたように胸まで落ちてしまう。 思わず笑ってしまうが実際は周囲の雪も巻き込んで落ちるので危険です。

さらに東斜面がとても急で、万が一足を滑らすと遙か下まであっという間の大滑落。 笑い事では済みません。多少落とし穴に落ちてもいいからと、その斜面から離れるようにして降りていきます。 雪のない夏道に出ると快適です。足元にはイワカガミ(あるいはイワウチワ)の葉が春を待ちわびて います。ストックを回収して、枝尾根に迷い込まないようにズンズン下ります。
巨大な杉ブナ林を行く

巨大な杉のある鞍部にやって来ました。正面の小ピークを登り返さずに左の谷を下って行くことにする。 谷を下るのではなく、小ピークを巻いて行って、登るときにパスしてしまったブナ林を 歩きたかったからです。ここも雪だから思うように斜面をトラバースできます。 念願のブナ林を歩きながら登りに使った右上の藪尾根を恨めしく見る。

ブナ林を抜け耕作地跡に出た。13時15分。頂上から1時間かかっていません。 振り返るとあのおだやかな山頂が嘘のようにそそり立った仏の尾。耕作地の周辺には真っ白な タムシバが今を盛りに咲き誇っています。 また、来年もやって来たいし、夏道でも登ってみたいなあ。

今回の仏の尾の地図は こちら(約160k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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