鹿倉山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『市島』、『宮田』を参照していただくようお願いいたします。

2004.10.17.  日曜日  晴れ  気温風強し
丹波の雲海を見んとて、勇んで家を出ましたが「今日は雲海ないよ」と、 たぬきさんからメールが入る。昨日はすごい雲海だったらしいのに・・・くやしいやん。 行き先を変えようかと思ったが、あまり北に行くと熊が恐いし・・・・。 ならば予定通りの鹿倉山へ行きましょう。そこなら名前通りに鹿しかいないでしょう。 ほんまかいな・・・・。

どこから登ればいいのかまったく予備知識なしだったので、地形図をにらんで三和町の 東田ノ谷から登ることにする。春日町の三春峠を越えていくと、案外簡単に行けるようです。 その三春峠は完全一車線の舗装路でした。なかなか良い名前の峠ですが、よくよく考えると 三和町の三と春日町の春を合わせただけのベタな命名です。

昔からあった峠道を拡幅したのではなく、新しく造った峠道だったので こんな命名をされたのでしょう。峠へ向かう途中に『遊歩道』と書かれた看板と 細い山道が見えました。地形図にも点線のルートが記載されています。 どうやらこれが昔からの峠道らしいです。

東田ノ谷の標高230ポイントに民家がある。その先にあるスペースに車を止める。 石の道標が道ばたに埋もれるようにあった。それには『右 のせ さゝ山(野瀬 篠山)   左 かう谷 春日(こう谷 春日) 道』 とある。かう谷はどこかわからないが、 それ以外は現在もある地名です。

民家の入口には水車が設置されていた。 田舎風をアピールしているのか思ったら、それで猪脅しを動かしているのだった。 この辺りは夜になると猪が徘徊しているらしく、私の止めた車の辺りも掘り返された跡がすごい。
三春峠を下ると見えてくる水車のある民家横に駐車

その民家脇の谷道に点線ルートが延びているが「あぁ、あれは途中が無茶苦茶になっているからあかんよ」 と、民家のご主人。ここがダメなら野瀬峠から登るって手もあるが、山頂までずいぶんと遠くなってしまう。 「なら、車の前に細い山道(写真の白い矢印)が尾根に登ってますけど、あれが良さそうですね・・・」と言うと、 「ああ、あれは稜線まで一直線にええ道があるよ」と情報をもらえる。9時05分スタート。

小さくステップを切っているその細い道を登ると、そこは小さな墓地でした。 それを尻目に殺して稜線方向に目をやると、きれいな仕事道がある。 木を組み合わした簡単な骨組みにトタン板をのせた小屋のようなものがあった。 中を覗いてみるとL字に切られた木片がぶら下げられていた。
鍵懸(かんかけ)があった仕事道が一直線

これは鍵懸(かんかけ)と言って、昔からソマ人達が伝えているしきたりの一つである。 山の神に作業の安全と恵みを願って何百年も続いてきた風習が今も生きている。 山の神は春になると田の神となって里に下りて豊作をもたらしたという。 豊かな恵みを与えてくれるから感謝する。感謝して手を入れるから実りをもたらしてくれる。 相乗効果で山は豊かさを増していったのでしょう。(でも今は?・・・・)

ご主人が言ったようにソマ道は一直線に延びている。立ち止まって花の写真を撮ったり していたにもかかわらず、あっというまに稜線に着く。9時25分。 MTBの下りなら100%乗れますよ。

ここから北向けに稜線を歩く。三和町側は植林、篠山市側は雑木。 お台場クヌギがその根元に真っ黒なウロの口を空けている。まさかあの中に熊なんていないよね(^_^;) 篠山市側はマツタケ山だそうで踏み込まないようにと注意を受けている。 今はどうか知らないが山中に犬を放っていることもあるそうだ。 カコーンと金属音がする。車を止めた民家の猪脅しがここまで聞こえているのだった。

登る予定だった点線ルートとの合流点はきれいな鞍部(札差峠)だった。三和町側は見える範囲ではきれいな道だったが、 ご主人が言うように下の方は荒れているのだろうか。篠山市側はマツタケ山だけあってしっかりとした道だった。 この先からいきなりの激斜面となる。地形図を見ると、なるほどとうなずく等高線だ。 上り詰めたところには東西に広い道があった。これがメインの登山道か??
鹿倉山山頂西方向を見る

自分の登ってきた所を振り返ると、そこは境界だったのにもかかわらず、まったくマーキングも 踏み跡もない雑木の林が広がっているだけだ。帰りもここを通るつもりだったので、道の真ん中に 木片を×印に置いて目印とする。そして西に100mほど行くとそこが鹿倉山の頂上だった。 標高547.8m、三等三角点。10時05分。ゆっくり登ってジャスト1時間。

無線でつながったIRCさんが「そこは展望が良いでしょう!!」と言っていたが、周囲には目線以上の 木々が生い茂りあまり(ほとんど)展望はない。しかも今日はモヤがある。う〜ん、これは 期待はずれかも。などと言いながらも目をこらすとおなじみの山々も見えるし、なんと言っても 多紀アルプスが大きい。
南には多紀アルプスが!!

千町が峰のTQFさんとも無線が繋がりしばらく山の話を楽しむ。桟敷ヶ岳のOAPさんは まだ登っていないのか応答がない。風があるので若干肌寒いが、日だまりに腰掛けていると ぽかぽかと暖かく感じる。じっとしているとまぶたが重くなってきます。 ここでお昼にするにはあまりに早すぎるので場所を移動してみましょう。

その前に頂上から下っている道が他にないかどうか確認です。 まず、私が登ってきた東からの明確な道の他に、北へ下っている道、西へ下っている道もあった。 たぶん私が登ってきたルートが一番マイナーで見どころの無いルートだと思う。 WEBで検索すると他のルートにはいろいろと見るべき所が多そうだった。う〜ん、残念。

今回はこの西に降りるルート(中出コース)で下山するか、あるいは野瀬峠から三春峠まで歩いてみるか が妥当な下山コースと言えよう。気が付いたら時計は11時を指している。 では、三春まで行ってみよう!!

マーキングした×点から境界尾根を下って行き、札差峠、登りに使ったソマ道尾根までは 順調だったが、それ以降から徐々に道悪となる。足元を見ると堅い路面でしっかりとした 道があるのだが、左右からの枝の張りやら、倒木やらでそれらをかき分けながら 進まなければいけません。
いちばんひどい所はこんなかんじ野瀬峠

ソマ人が入山していた頃なら極楽のシングルトラックだったでしょうから MTBでも快走が出来たでしょう。(そんな昔に自転車は無い!!) 野瀬峠に近づくにつれて右手がなるい地形になってくる。踏み込むと迷いそうな地形なので キープレフトで進んでいくが、どうもこのあたりは距離感が掴みにくくて ずぶんと歩いた感じがする。そして野瀬峠には12時10分着。

植林の中のゆるやかな鞍部といった状況。左右には明確な道あり。時間的にはちょうど食事時だが、 まさかこんな暗い所では食べる気も起こらない。少々ヤブに疲れた(というか、つまらなかった)ので 、いっそここから東田ノ谷へ下山してしまおうかとも思う。 しかし、リュックにスイッチを入れたままの無線機がかすかに千町が峰と桟敷ヶ岳の交信を とらえていた。

峠を登り返して高みに行けばお二人と交信が可能になるはず。そう思って気力を奮い立たせる。 幸いにもここからはヤブでなく植林の切り開き尾根を歩くので楽だった。 これなら案外楽に三春峠までも行けそうだ。南へ誘われそうになる分岐をクリアーすれば 鹿倉山頂上から見た512ピークだ。ありがたいことにここは暗い植林ではなく明るい自然林だった。 強い風を避けて南斜面に腰掛けて遅い昼食にする。13時05分。

お腹一杯になって、無線でも千町、桟敷の両局とも繋がって、あとは無事に下山をするだけです。 あらためて地形図を見てみると・・・・。三春峠までは問題なくたどれそうですが、いかんせん そこからの舗装路歩きが長〜い。そこでその手前にある十字路ピークから北へ下っている 点線ルートで下山しようと考えた。

その十字路ピーク(正確には小さなクランク状になっていました)がうまく見つかるかと案じたが、あっさりとわかりました。 13時30分。 それは木の幹に幅広の赤テープでマーキングがされていたからです。 思えば、ハイカーによるマーキングはここで初めて 見たことになります。私の来た方向には『鹿倉山』、反対方向には『三春峠』、南方向449mの 標高点へ向かっては『栢野峠 野瀬峠』とあります。こっちの方向へ野瀬峠はおかしいと思いましたが、 地形図を見ると449の先に野瀬とへ栢野へ降りる二つの鞍部が存在します。

その二つの鞍部が上記の峠名に当てはまるのでしょう。私が先ほど通過した野瀬峠ももちろん 同じ野瀬へ下る峠ですから同名であってもおかしくはありませんが、古地図には私の通過した 野瀬峠は赤土峠という名前であったことを付け加えておきます。

当然?ながら、これから下山予定の北向けの点線ルートへは赤テープのマーキングや書き込みは まったくありません。その谷を覗き込むと見えるのは倒木ばかりで道らしいものは皆無。 しかし、下っていくときれいなソマ道が現存していました。けっこう最近のものです。
車は車道を、歩行者は・・・広範囲に棚田跡がある

これなら苦労せずに楽に下っていけます。杉の幹には山仕事の人が書いたと思われる書き込みもある。 そして棚田跡が現れる。これは規模がでかいです。棚田だけではなく人も住んでいたのかもしれません。 しかし、こんな谷奥でしかも北斜面の日の当たりにくい所にもかかわらず田畑を作っているんですねえ・・・。

そんな谷底を歩いていると背中の無線機からたぬきさんの声が聞こえてきます。 どうやら三春峠まで向かえに来てくれたよう(^o^)。 そんなことなら三春峠まで行けばよかった・・・。 状況を説明して府道との出合いで待ち合わせすることに。 そしてタイミング良くほとんど同時に合流する。14時20分。

きらいな舗装路歩きを車に乗せてもらい駐車ポイントまで楽ちんに帰れました。 今度は違うコースでの周回をしてみましょう。

今回の鹿倉山の地図は こちら(約140k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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