三尾山〜瓶割峠

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『宮田』を参照していただくようお願いいたします。

2004. 9.19.  日曜日  曇り時々雨  気温蒸し暑い
先週、白髪岳から北方向を見たときに、真っ先に目に入ったのがこの佐仲の三山です。 黒頭峰はピラミダル、夏栗山はそれを少しひしゃげた感じ。そして真ん中にあるのが 特異な形をした三尾山です。春日町方面から見ると、まるで中国の墨絵を見るように 荒々しい岩盤の山腹と、その名の通りの三つの尾(ピーク)からなりたっているのがわかります。 今回はこの三尾山の三つのピークを忠実にたどり、佐仲峠から黒頭峰を経て瓶割峠で下山というルート設定にしました。 いわゆる中央分水嶺の踏査です。(^_^;)

まずは駐車ポイントは4月に歩いた瓶割峠〜水分れ公園で使用した所と同じ、国領奥にあるグランド横の駐車場を借りる。そしてここから三尾山へ向かうのだが歩いて行くには 遠すぎる。そこでMTBを利用するのだが、今回のルートはMTBではほとんど遊べない所なので登山口までで お役ご免とする。では、三尾山はどこから登りましょうか?佐仲峠からだとイージーだが全体のルートが短くなって面白味に欠ける。 鏡峠からだと岩尾根が面白いけどロングすぎる。そこでその間にある中山登山道を行きましょう!!10時15分。

舞鶴自動車道の南側道を利用すれば簡単に行けそうですが高架の高速道に沿っているためアップダウンの落差が大きい。 最初に大きく下った所を右に行けば佐仲峠。これは無視して次の登りをあえぎながらクリアーすると側道は行き止まりとなり 中山登山道の入口となる。そこからしばらくは林道です。終点は広くなっており自動車なら数台が止められそうだが 今日は一台もない。MTBを登山道の看板の足にくくりつけてスタートです。10時50分。
側道から見た三尾山登山道は岩でガレガレしかも滑る

側道と林道の登りですでに汗びっしょり。二人とも自転車ウエアーの短パンのままで登り始める。 ログ風の休憩舎を過ぎて左に小滝を見ながらガレガレの道を登る。 岩は濡れていて気を抜くとツルッと滑る。「MTB置いてきて正解やったね」こんな所を自転車担いで 不安定な体勢で登っていると、とんでもないことになりそうだ。 二つ目の休憩舎から右の谷になる。左奥の岩盤にポッカリと穴が空いている。 中には地蔵菩薩の石仏があった。岩窟に石仏、う〜ん、セオリーやねえ。
岩窟の地蔵尊稜線に出ました

MTBを担いでいないので楽ちんと思うのは間違いです。空身のぶんペースがあがるので結局は よれよれに終始する。ガレガレの谷道からやがてつづら折れで山腹を登っていく。 徐々に空が見えてきて明るくなってくる。春先ならタムシバの白い花があちこちに 見えるんでしょうね。11時27分稜線着。やれやれ・・・・。

右を行けば前三尾、左を行けば中三尾から本峰。とりあえず前三尾へ行ってみる。 途中に『やれやれ地蔵』と書かれた案内板があった。まさに我々の今の状態を表している。 立ち寄ってみると小さな石仏だったが、地蔵菩薩ではなく弘法大師だった。やれやれ・・・。

下山後、数年前からアルツの気配濃厚のM氏が「あの石仏なんていう名前だったかな? よれよれ地蔵? おれおれ地蔵?」 と聞いてくる。「おれおれ??? それやったらあんた詐欺やがな!!」
前三尾からの展望。天気がよければ・・・・
なにも知らずに前三尾にやってきたが、そこは大展望のピークだった。 周囲の様子からして最近に伐採がされたように見える。それにしても断崖のようなピークなので すぐ下が下界になっています。そのぶん高度感がすごい。ここでじっくりと眺めていたかったが、 北西から雨雲が迫ってきてます。こらやばいぞ。

中三尾も登ってみました。ここは頂上の下部がきれいな曲輪になっています。「こっちの ピークも砦跡やったんや!!」と感心していると、いきなり大雨が降ってきました。あわててザックカバーを付けて、 傘を差して雨の小やみになるのを待ちます。前線が通過すると聞いていたので10分もすれば上がるでしょう。 ちょっとした雨ぐらいなら、頭の上にある枝や葉っぱが濡れるのを防いでくれるのですがこれは本降りです。


中三尾で雨宿り三尾山本峰(本丸)

さて、雨も小降りになりそのまま本峰へ向かう。こちらから登るのは初めてだが、何段もの曲輪が確認できる。 そして誰もいない山頂着。12時11分、標高586m、三角点無し。 雨が本降りの時はどこで食事をしようかと案じていたが、今は降っていないので無事に山頂で食事が出来ますぞ。 ここ周囲は木の成長ためか、思ったより展望はよくありませんが、 先週の白髪岳と松尾山が雲の合間から見えています。

山頂から下っていくと鋸山・佐仲峠分岐です。ここにも立派な道標が出来ています。 そしていよいよここから中央分水嶺となります。佐仲峠まではただでさえ急下りなのに、 先ほどの雨でさらに滑りやすくなっています。我々より先行しているハイカー御一行がいましたが、 滑り落ちるように追い越して佐仲峠着。13時ジャスト。
佐仲峠黒頭峰への急登り

佐仲峠は分水嶺の峠です。丹波にある分水嶺の峠のいくつかには行政地区の標識がありますが ここにもそれはあって、いつも見るたびに「なんで、こんな山中に・・・・??」と不思議に思える。 峠には蓮の花を両手で持っている地蔵菩薩立像石仏がある。これはあっても不思議ではないね。 『文政十一年(1828)』はわかるが『子春□』は意味不明。そうこうしていると追い越したハイカー達も峠に下りてきました。 では我々は黒頭峰へ・・・・。

先日の台風のためにここも倒木地獄になっています。後ろからハイカー達が「そんなとこ道あるんか??」と 叫んでいますが先に行くと少しマシになっていました。昔はMTBでも楽に走れたのに一発の台風で こんなになってしまうのねえ・・・・(T_T) 黒頭峰手前には夏栗山へのショートカット分岐がある。昔、ここをMTBで下っていったのに アルツ向井氏は「こんなとこ来たかあ??ぜんぜん覚えてないわ」あかんわ、この人・・。

頂上の直下は急登りです。しんどいよりも足元が滑るのがつらい。 残念ながら黒頭峰は外から見える姿は美しいが展望は皆無に等しい。 二等三角点、標高620.6m、13時35分。 佐仲の三山の中ではここが一番高いみたいやね。水分補給してコンパスで方向確認。
黒頭峰からの下りはゆるやか554ピーク。この先が迷いやすい

地形図通りにこの下りはゆるやかです。『大山振興会』の白杭もあるしテープのマーキングも 満載ですから迷いようがありません。鞍部から登り返して554ピークに着く。 地形図でもわかるようにここからの下りがちょっと難しい。テープも左右あちこちに付いていて 当てには出来ません。所詮素人のマーキングですからコンパスでしっかりと確認することをお勧めします。

この後も左に派生する枝尾根に迷わされそうになるが、その都度確認してクリアーする。 こういうのがなんかゲームみたいで面白い。でも登りならひたすら上へ行けばいいので簡単なコースです。 もうそろそろかなと思った頃、目的の峠に着きました。14時45分。
第二瓶割峠着本家瓶割峠にはこんなものが

地形図を見ると瓶割峠(本家)は記載されていますが、この第二瓶割峠は記載されていません。 どこでこの峠の存在を知ったかはもう忘れてしまいましたが、その通りの場所にあったので感動!!

ここには佐仲峠と同様に行政地区の標識(春日町と丹南町)があるのと、 地面にいくつかの石板(上の写真にも写っているよ)が転がっているからです。 それはこの峠の改修に関した石碑の残骸らしく、金額とか近隣の人名が彫られています。 残念ながら年月日のたぐいはありませんでしたのでいつ頃のものかはわかりません。 金額に円の表示がありますから明治以降には違いなさそうです。

ここでわかりやすい表を作ってみました。

第二瓶割峠旧瓶割峠
地形図には?記載無し記載あり
遺物の有無?行政地区の標識(春日町と丹南町)
峠改修の石碑の残骸
なにもない
峠への登路?春日町側なし
篠山市側あり
春日町側あり
篠山市側あり
峠の状態?切り通しで幅は広い切り通しで幅は狭い
その他旧瓶割の後続として作られた峠らしい春日町側に大師堂跡あり


もし春日町側への道が残っていれば、荷車でも通行できるような傾斜であったと想像できます。 旧の瓶割の春日町側は急なつづら折れの連続ですから、車の通行は不可です。 わざわざ新しく峠を作るからにはそういった配慮もあったと思うからです。 その旧峠には5分ほどの距離、ほんと隣り合わせにあります。

先日の台風で大木が峠のど真ん中に倒れています。そして前回訪問時にはなかったもの・・・。 『国領区活性実行委員会・・・』の派手派手しい看板。下り初めても道には倒木やら枝やらで 前回の快適さがうそのよう。大師堂跡では竹藪は若干切り開かれていて春日町が少し見える。 散乱した瓦、地面に埋められた瓶、祠があったと思われる石組みも確認。
手堀りの鉱山跡?無事下山

さらに下ったところには手堀りの坑口らしい穴がある。M氏もそうだろうと言う。 しかし奥行きがないので試掘で終わったのかもしれません。「今、大雨が降ったらここで 雨宿りできるねえ。アベックやったらラブラブや〜」
無視してM氏は下る・・・・。ロマンのない奴っちゃ。

国領区活性実行委員会は峠に看板だけ取り付けてその後の活動は無かったらしい。 足元にからみつく枝をはねのけながら下山終了。工事中のダムもほぼ完成している。 後ろを振り返るとたどってきた分水嶺の後半部分が見える。 するととんでもない大岩が目に飛び込んできた。あの上に立つときっと大展望間違いなし!!

地形図で確認すると554ピークからちょっと下ったところのようだ。 (別途地図に『D』とマーキングしました) コンパスでぜひ訪れてみてください。今回も有意義な分水嶺踏査となりました。 駐車ポイントには15時50分着。そこからMTBの回収にもちろん行きましたよ〜。 (第二瓶割について新たな情報が手に入ればここに追記します)

今回の三尾山〜瓶割峠の地図は こちら(約130k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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