僧屋敷の滝〜禿の行者山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『寺前』を参照していただくようお願いいたします。

2004. 4.17.  土曜日  晴れ  気温暑い
去年の5月にOAPさんと行った禿の行者山、 その山頂にあった低木の多くがヒカゲツツジだとOAPさんに教えられる。 「へえ〜、こんな山にもヒカゲツツジがあるんや!丹波だけかと思ってましたわ」 そうなるとどんなふうに花を咲かせるのか見てみたくなるのが人情というもの。

この山は佐中にある妙見堂からピストンするのが一番手っ取り早い。しかし今回はぐるっと大回りの ルートを考えてみました。果たして道があるのか無事にたどり着けるのか、まったく情報の無いまま いつものように行き当たりばったりの山行きです。

僧屋敷の滝という名瀑が佐中を過ぎて熊部へ向かう途中から分岐する谷の奥にある。 この滝を見物してそこから夢前町と大河内町の境界尾根に乗っかって禿に向かおうという計画です。 滝へ通じている林道の入り口には施錠がされていてその鍵は佐中にある雑貨店で借りることが出来ると 『兵庫の滝』という本に書いてあった。ところがそのお店はもうやめられていて鍵は預かってないそうです。 本には愛想の良いおばさんのように書かれていますが、お店をやめたせいでしょうか、滝のことを聞くと すごくいやな顔をされますので訪ねないようにするのが賢明です。

っていうか、本来歩いて行くのが本当で、車で近くまで行こういう考えが間違っています。 入り口付近の道沿いに車を止めて歩き始めます。8時40分。
新緑の林道を行く林道終点からは渓流沿いの道

最初の砂防ダム付近に倒木があり、車で来てもここで下車を余儀なくされるでしょう。 ダムはすべて砂で埋まっていて広い河原に変身しています。 今回予定している下山路でうまく下れればここに降りてくるはずです。

林道はさらに続いており、山の神の祠、『ふたご橋』、『大関橋』という二つの橋を通過する。 どちらの橋も昭和37年3月に造られていて立派な銘板も埋め込まれている。 沿道に花はないが新緑の中、水音を聞きながら気持ちよく歩ける。左手斜面が伐採地になると 林道の終点となる。谷は二手に別れるが右手が正解。今では雪彦山系によく見られる 立派な道標があるので間違うことはない。9時05分。

標識の指さす奥には砂防ダムがあってそれを乗り越えるとここも砂に埋まった河原になっていた。 その先には山仕事の人が入っている形跡があり、間伐された杉が転がっていて なんとなく平地を形成している。僧屋敷の滝の名前の由来は、その滝の近くに 僧達が住んでいた屋敷があったという。もしそれが事実ならこの場所がそうかなあ??

渓流沿いを少し歩くだけで目的の滝にぶち当たる。9時20分。周囲はぐるっと岩盤で囲まれていて 袋小路そのものです。水量はさほど多くないので飛沫が飛んでくるほどのダイナミックさは ありませんが、真っ黒な岩盤を伝ってほぼ垂直に落ちてくるその落差は45mだという。
僧屋敷の滝落ち口から見下ろす

予定ではこの滝を越えていかなければならないのですが周囲を見る限りそれらしい道はありません。 どうすべか?鯉に変身して滝登りするか?ちょっと危険でしたが左手斜面からよじ登りました。 するとどうでしょう。上にはきれいな道があります。どうやら渓流の道途中から分岐して あったようです(どこからあるかは未確認)。よじ登ったところを振り返るととんでもない 斜面でした・・・・。 もちろんのことですが、滝の落ち口からも写真を撮ります。これまた恐怖の撮影でした。

ここからは楽ちんで安全な山道が続きます。しかし普通の山道とは違いました。石組みで補強して いたり、階段状に段差が造られていたりしています。谷が広くなってきてやがて道は左右に別れる。 ほんとは正面の尾根をよじ登って尾根に取り付きたかったが、まずは右を行ってみる。 すぐに踏み跡不明瞭になりUターン。予定通りに中央の枝尾根から登ろうと思ったが 念のため左の道を少し歩いてみる。
橋桁の石組み境界の尾根道

すると写真のような石組みの橋桁があった。橋自身はなくなっているがその桁は山にあるには 不釣り合いなほど立派です。なんでこんなのがあるのでしょう??やまあそはすごく気になります。 この左の谷は目的地から離れていくので最初から除外されていたルートでしたが、こうなると どこまで続くのか確かめて見たくなります。地形図を眺めてここまでなら許せるというポイントを 設定してスタート。

左の谷を行くのはすなわち僧屋敷川の源流を目指していくことです。川より一段高い所に道はあり、しっかりと 石垣で補強されています。やがて設定のポイントに近づき、予想通り踏み跡も怪しくなってきたので、 境界尾根に登るべく右の植林斜面をよじ登りました。すると斜面には細い踏み跡があり、そのまま 尾根に到着。10時20分。標高Ca.675m。

そこは小さな鞍部になっていて石柱と休猟区の看板がある。大河内側にも下っていく道があります。  ひょっとしてこれって峠かぁ??下山後車を止めた所にある石仏を見て判ったのだが、 そこには道標の石碑があり『左 くまべ 右 てらまゑ 道』とあったのです。 つまり今まで歩いてきたこの道は大河内の宮野、寺前に抜ける峠道だったということですか! だから山奥に行っても良い道が続いていたのでしょう。 この峠にはもう一本、西方向から道が来ています。熊部からも宮野へ抜ける山道があると聞いていますので、 これがそうかもしれません。

寄り道の為にだいぶ遅れました。ここからレポートもスピードアップします。この峠で5分ほど おやつ休憩をして再スタートです。尾根は細く夢前町側は植林、大河内町側は雑木。時々大河内側の 山々が見え隠れする。目の前の木の幹にリスがいました!!写真に撮ろうとしてまたまた足踏み。 10時55分、最初の三角点に着く。四等三角点、点名『僧屋敷』、 標高683.3m。ここから尾根は南に方向を変え下り気味になる。 ふとなにげなく目線を上げるとそこにはヒカゲツツジがありました。
ありました!ヒカゲツツジ向こうが透き通りそう

氷上のそれに比べるとずいぶんと小さくて色も淡いように思えた。花が小さいので固まってあっても それほどの豪華感もない。が、なにやら愛おしさが湧いてくるそんな花です。 689ピークを下りはじめた頃からなにやらヤブっぽくなってくる。 一瞬尾根を間違ったかと立ち止まるが、地形図で再確認して進んでいくと 尾根のど真ん中に鹿の寝床があった。小判形にきれいに窪んでいて周囲は草で縁取られている。

ちょっと開けた所では雪彦の山塊と明神山、そして目的の禿も見える。ヤブと快適路が交互に現れ ペースははかどらない。次の三角点『大戸』には12時ジャスト着。四等三角点、標高660.0m。 お腹は減ってくるし、暑さでバテ気味、さらに左膝も痛み出してくる。 大戸から難所が続く。登り返しのきついヤブピークが連続し、ルートもわかりにくい。 678mの分岐ピークまでは惰性でなんとかたどり着く。12時50分。 ヒカゲツツジを見てクールダウン。ふ〜っ!!  ここから境界尾根を離れる。
まだまだ遠いやん (T_T)行者とツーショット

最後の三角点『山の内』には13時20分。最後の力を振り絞って屏風岩の北側を巻いて 行者の居る所に着きました。13時35分。あ〜、腹減った。岩場に座り込んで靴を脱ぎ 弁当を食べることにする。もちろんここにもヒカゲツツジがあるのでそれを眺めながら飯をパクつく。

当たり前のことだがだれも登ってきません。お昼寝をしたかったが早く下山もしたいし・・・とりあえず オカリナだけは吹いてみる。思った通り深い谷に反響して思い通りの響きが楽しめた。 ツツジとともにオカリナも今回の目的の一つだったからね。(^o^)

下山路はさきほどの三角点のちょっと西から踏み跡があるのでそれで北に向かって下る。 14時20分。下りになるとさらに膝が痛むが、幸いにもこのルートは大当たりでした。 仕事道が連続しているし、傾斜もいやになるほど急ではない。緑一色のモノトーン になりがちな下りでミツバツツジのあでやかな紅色が救いになる。
コバノミツバツツジも咲いてます

途中に間伐された杉とか弁当ガラとかがあったので、やはり山仕事に使われているようだ。 しかも最近。ということで難なく下まで降りることが出来たが、40分も かかった長い下りで膝もボロボロ。予想通り砂防ダムの河原に着地。15時ジャストでした。 僧達の住んでいた屋敷がどこにあったかは知りませんが、その僧達がこの行者山に登って行を していても不思議はありません。そう考えると私の今回の山行きはまさに行場巡りだったと言えるでしょう。

今回の僧屋敷の滝〜禿の行者山の地図は こちら(約140k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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