龍が城〜ふたつこ山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『三岳山』を参照していただくようお願いいたします。

2003. 9.14.  日曜日  曇り  気温暑い
居母山クラブの レポートを読んでいると『ふたつこ山』という山名が出ていた。聞いたことのない山名だったので見逃すことは できません。さっそく地形図をガサゴソと取り出して探してみる。 福知山市と夜久野町の境界尾根に龍が城(たつがじょう)という山がある。そこから南に境界をたどっていくと 標高573mピークとそのすぐ南にCa.560の二つのピークが並んでいる。どうやらこれらしい。同じような 標高の円錐状のピークが仲良く並んでいる姿は麓から見るとまさしく『ふたつこ(双子)山』に見えることでしょう。 むくむくと登りたい気持ちがわいてきたので先ほどの龍が城と組み合わせて周回をしてみましょう。

どこから登ろうかと考えましたが福知山市の竹石から登って新宮に降りることにする。竹石の集落の最奥から林道が始まる のだが左に舗装路がある。ここにいたおじいさんと聞いてみると、舗装路の行き先の左手丘は台地状の田園になっているという。 「龍が城に登るんやったら下山は東の尾根で下ったらええ。この田圃に降りれるんや」とおもしろいルートを 教えてくれた。とりあえず林道を入ったところにあるスペースに車を止める。ポイントポイントでの時間は いつもデジカメ内蔵の時計で記録していたが、家に帰ってファイルを開いてみると時計がリセットされていて どの画像も時間の記録がない・・・(T_T)スタートはたぶん9時40分頃。

林道を歩いていく。最初の分岐に道標の石仏があった。摩耗が激しくかろうじて『・・山・・・』などの文字 だけ判別できた。分岐はもちろん地形図通りのまっすぐを選択。花の写真を撮ったり、植林の中で作業をしている おじさんに話しかけたりしながら登る。途中から車は通れなくなるが道幅はたっぷりある。路面全体に草も生えているが歩くのには支障はない。だが傾斜が急で顔からは汗がしたたり落ちてくる。地形図通りのところで林道は途切れており そこからは踏み跡もない植林の急斜面をよじ登ることになる。
竹石の集落から登ることに・・・畑峠にあった石仏の年号を調べる

林道の終点からは昔の峠道があるものとばかり思っていたのにこれは誤算だった。仕方なく ほとんどよじ登る感じで進んでいく。倒木の枝に足を乗せたらその枝がいきなり折れて自身は後ろ向けにひっくり返って 一回転。ゴミだらけになって峠に着く。峠の名前は竹石で聞いのでは『畑峠』と言っていた。その竹石からの 峠道は途中で消失していたわけだが、夜久野の小畑(円満寺からの峠道)へはきっちりした踏み跡が下っていた。 そして噂に聞いていた石仏が迎えてくれる。丸彫りの地蔵菩薩立像(夜久野周辺の峠ではこの丸彫りの地蔵が多い!!) には『安政三・・(1856)』と福知山市側にある『市ノ宮』の彫り文字が見える。横にある『南無阿弥陀仏』の名号塔には 『弘化四未(1847)十月吉日』とあった。

この峠から北へは仏坂峠から伏見山へ向かうことになるが一見したところでは尾根の道はよさそうだ。龍が城は反対の南に登ることになる。道は悪いと聞いていたがぜんぜんそんなことはなかった。ただし傾斜は一枚目の写真通りの急斜面だ。 福知山側は植林、夜久野町側は雑木、下草もまったくなく気持ちの良い汗がかける。さほど時間もかからずに頂上に立った。 たぶん11時頃、標高645.6m、等級の部分が欠けているが三等の三角点あり。
龍が城の頂上は細長く、思ったより広い
龍が城はその名前の通り山城だったそうで、頂上は全体がフラット、ぐるりは明確な曲輪跡が残っている。さらにこの城跡には 埋蔵金伝説もあり金の鳥居(あるいは金鶏?)が頂上付近に埋められているという。ふつうなら「そんな、あほな ・・・・」と、笑い飛ばして終わる話だが、地元の青年団が実際に山頂を掘って探したと言うからおもしろい! 今でもその穴が残っていて一番深いところで3mぐらいあるだろうか。掘り出した土がやぐらと穴のあいだに こんもりとあり、そこだけ雑草の勢いが強い(耕されたいるからねえ)。
発掘の穴に入ってみる三岳山が見える

写真の通り植林の背も高く、崩れそうなやぐらに登ってもなにも展望はない。わずかに三岳山だけが見えるのみだった。 先ほどの穴の向こうは竹石のおじいさんが話していた東尾根だ。これを下れば台地の田園に降りられるという。 覗いてみたがヤブでもなさそうで案外快適かもしれません。とりあえずふたつこ山へ向かうため 南への境界尾根を探す。曲輪跡の外側は急激な斜面だがそれらしい方向に尾根を見つける。 コンパスも南を向いているのでそれを下っていく。

この尾根もヤブは一切無く最初の激下りさえクリアーすれば後は快適そのものだ。前方に鹿が5頭いるのを 見つけた。まだあっちはこちらの存在を感知していないようだ。一歩一歩気づかれないように 近づいていったが、やはり野生動物の能力は恐ろしいものがある。「キーッ、キーッ」と こちらに向かって警戒の鳴き声を発する。赤いバンダナが見えたのかなあ・・・。
ふたつこ山へ向かう尾根

533ピークへの分岐に来た。明確な分岐で周囲は鹿の遊び場のように広くてなるくなっている。 下山はこの尾根を使って新宮に降りてみよう。
ふたつこの手前に展望ポイントもあった
分岐を過ぎた頃西方向に展望が広がる。植えられて何年ぐらいの杉なのだろうか?間伐もされないままだが まだ背丈が低いのでなんとか周囲を眺めることができる。北には伏見山、西から南にかけては上の写真通りだ。 副谷峠は新設の林道のり面が傷のように見える。道中無線でおなじみの方々と多く繋がったので 歩くペースはまったくのろい。それでもふたつこ山北峰には12時10分頃だと思う。 標高573m。三角点なし。

ふたつこ北峰は山頂の草や木がきれいに刈り取られていてそこそこのスペースはある。しかしぐるりは雑木や植林で 取り囲まれて展望は皆無である。足元に古いTVアンテナが倒れていたので昔は周囲も刈り払われていて 展望もよかったのだろう。ここで昼食にする。龍が城からここまで風の吹き抜ける尾根歩きで、 しかもほとんどアップダウンがなかったので予想外に涼しかった。
ふたつこの北峰にはアンテナの残骸があるさあ、帰りましょ

ふたつこ山のもう一つのピークである南峰へ行ってみる。5分もしないで到着だ。標高Ca.560m。 ここは北峰と違って山頂も狭く、足元に倒木も多く、薄暗く、居心地が悪い。 ここからも境界尾根は続いているが今西中方向へ下っている支尾根が歩き良さそうで楽に下れそうだ。 私は予定通りの尾根で新宮に下ることにする。

533ピークのある尾根に入る。ほぼ東に向かってゆるやかな下りが続く。踏み跡は薄いが歩きにくいほどではない。 尾根の先端まで来たがこれ以降は思った通り踏み跡すらない。こういう尾根は幾度か歩いたことがあるが 決まって先端からは道が無くなる。比較的下りやすいと思われる北向けに下る。激下りの斜面なので ちょっとでもつまずくともんどり打って転がり落ちることは必至だ。慎重に降りなければいけません。 斜面を下りながら徐々に右寄りに方向を変えて最後は竹藪から小さな砂防ダム堰堤に出た。

新宮から府道に出ないで竹石にショートカットコースがないものかと村の人に聞いた見たらあるという。 道路工事に使用する?標識を積み上げた大きな倉庫があり、その裏手に使われなくなった林道がある。 それを登っていき上の方を見るともう一本の林道が交差するようにあるのがわかった。 (あるいはこの林道と繋がっているかも・・)その林道は舗装もされカーブミラーまであるがもう使われていないようだ。
台地にある田園風景

小さな墓地がありここが龍が城からの延びる東尾根の先端になっているようだ。そこにはおじいさんの言葉通り 小さな小径があった。そして電柵がありその向こうにはたわわに実った稲穂であふれる台地の田園が 広がっていた。厚い雲があった午前中だったが今では青空ものぞいていて三岳山が真っ正面に そびえている。台地の中央を走っている舗装路を竹石方向に下っていくとまさに林道の入り口だった。 14時30分。


今回の龍が城〜ふたつこ山の地図は こちら(約130k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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