天狗岩・高巖〜三濃山〜きんちゃく岩

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『二木』を参照していただくようお願いいたします。

2003. 7.27.  日曜日  曇り  気温暑い
先週の山南町立石山は私の発案による山行きでしたが、今週はM氏の提案で 同様の岩ピーク巡りを楽しむこととなりました。場所は相生市の矢野町、ちょうど 三濃山から感状山への縦走尾根と向かい合うようにある東の尾根です。 ここにとんでもなく派手な岩峰がいくつかあるのですが、感状山からこれらを 見たとき「あんな所に登れるんかいな?」と思ったことがあります。

登り口と思われる磐座神社へ行く。入り口には電撃柵があるのでまたいで入る。 本殿の左奥には神社の名前の由来となる『座光石』があるものの、山への道らしきものが ない。神社の真向かいにある人家で訪ねてみると、そこのおばあさんが親切にその入り口まで案内してくれる。 神社の左奥に入り口はあるのだが、伐採された枝がうずたかく積まれているためわからなかったのだ。 それを乗り越えていくとはっきりした道が現れる。

神社の裏部分の山腹を横切るようにして10分もしないうちに尾根に出る。そこにははっきりとした 道があったので山とは反対方向の右にちょっと歩いてみる。すると石灯籠があった。 荒く加工した自然石を石灯籠の形に積み上げたもので実際に灯を点すことはできない。 神域の入り口であることを示すためのものでしょう。分岐から反対の山方向に登っていくと おばあさんが行っていたように石の鳥居がありその奥に磐座と祠があった。
権現山の磐座

石の鳥居には『元文四年未(1739)三月日』の銘がある。今は磐座と祠が丸見え状態だが、 周囲に瓦が散乱していることから昔はそれなりのお堂もあったと思われる。 真下に位置する磐座神社の案内板にはこの磐座のあるところが権現山、これから行こうとしている 岩のピークが天狗岳とある。また、ここが龍王社とも書かれていたので龍王山と呼ばれていた 可能性もある。

さきほどのおばあさん、犬を散歩中のおじさんが言うには 天狗岳はそのままであったあったが、ここを権現は言わずに祇園さんと言っていた。 祇園と権現では明らかに祭神が違うし、いつのまにか呼び名が変化したのでしょうか? また龍王なら雨乞いも行われたかもしれない。 とにかく神仏混淆が甚だしくややこしくなっているのが現状のようです。 ここで時間をとるわけにいかないので先に進む。岩盤をちょこっと登るとそこは天狗岳だった。
天狗岳ピークで遊ぶそこから北方向を見る

標高は253.2m、予想通り展望はすばらしいが、山頂直下にあり麓から見える特徴ある三角形の 岩盤は山頂からの確認はむずかしい。とつぜんM氏がジャンプしろと言う。宙に浮いた瞬間をカメラに 収めると面白いという。何度かジャンプをするがデジカメ特有のシャッターのタイムラグのため 決定的瞬間は撮れない。それどころかジャンプの度に立ち位置が徐々に後ろにずれていく。 気がついたら落っこちる寸前だった。これってM氏の罠??

ここから北に見える高巖山の二つのピークがなんともすばらしい。南峰には三角点があるし、 とんがりの北峰には登ることができるのでしょうか?M氏は行きたくてうずうずしている。 そこまでの道中はいったん下るようにして、シダヤブを含む薄暗い雑木尾根の道となる。登り返して南に10mほど戻った南峰に 三角点はあった。わずかな土の部分に設置された四等三角点。めずらしく赤白ポールも上面のX点に 突き刺さっている。標高278.1m。
三角点ピークも高度感満点

高巖山という山名は兵庫の山々 山頂の岩石 の記述を参考にさせてもらったが、点の記を見ると点名は『東山』となっていて俗称も『東山』と書かれている。 駐車場所である森の集落でこの山のことを聞いてみたが名前は知らないと言う。能下の集落なら『東山』、『高巖山』 以外の呼び名があるかもしれないが、今回そこへ下山しなかったので確認できなかった。参考までに言うと 真向かいにある三濃山・感状山縦走路にある三角点は点名『西山』である。こことペアになってるね。
高巖山平坦ピークから周囲を眺める
高巖山は南北に三つのピークからなっている。南峰は三角点ピーク、北峰はとんがった岩峰。 真ん中はピークとは言えないがフラットな岩場で、くつろぐならここになるだろう。 ここから周囲の広域写真を写してみるが、とても気になる岩を発見する。 それは点名西山の近くの送電線鉄塔が目印になる。とにかく見える範囲で限りなく 卵の形をしている。ここに来た人ならきっと目にしているでしょう。 M氏が言うには「きっと山と繋がっているからあの上に立てるでぇ」 ほんまかいな?この人嘘ばっかり言うからなぁ・・・。
きんちゃく岩発見!!登っているように見えるけど

その前にこのとんがりの北峰を制覇しなければいけない。我々の力量では南から登るのは 無理ですが、北からは誰でも簡単に登ることができます。M氏は一人で はしゃいで、さも北から登ったようにポーズをとって写真に写る・・・・。(やはり嘘つきだ!) 下を走る車がはっきり見えるのだから、下からもここではしゃぐ 二人が見えるはずです。同様に感状山にハイカーがいたとしてもこちらが 見えることでしょう。
鞍部に着く

北峰をズリ降りて道なりに下山していくが、道の状態がいいのに驚く。能下から頻繁に 登られていることがこれでわかります。 そして鞍部の峠に降り立つ。 ここは矢野町能下と矢野町榊を結ぶ峠です。 両側に道のあるのはもちろんですが、正面の尾根にもはっきりとした道があります。 石の道標が交差点に倒れているのでそれを起こして見ると『右 やまみち 左 村道』 とありました。ここで下山をするのはあまりに簡単すぎるので、このまま道標のいうところの やまみちを行けるところまで行ってみましょう。第二ステージの始まりです。

道がなくなったらそのまま県道にエスケープしようともくろんで歩き始めますが、いつまでも どこまでも道があります。所々ヤブっぽい箇所もありますが、こんな尾根にどうして こんなきれいな路面が?なんてところもあり、驚かされます。 標高330.5mの四等三角点(点名 能下)の真下にある送電線鉄塔でようやくお昼。 今まで歩いてきた岩峰たちが望めます。

食後もさらに北向けに登り続けます。「なんでこんなええ道があるんやろね」二人の頭の中は ?マークがあふれています。冬場にMTBで逆走しても結構乗れそうです。 何カ所か分岐はありますが、上へ上へと登っていくと いきなり道が広くなる。「あれっ?これって舗装されてるで!」足で落ち葉を散らすと 下からアスファルトが現れる。
この道、実は舗装路です消火栓もある

ここは30年ほど前に別荘地として山中を切り開いたその名残なのです。道はできあがっているのに とうとう一軒も別荘の建つことなく今は廃墟と化しています。道ばたのヤブの中に真っ赤な 消火栓が立っています。なんか哀れを感じるねえ・・・。敷地の入り口にはゴミの不法投棄を 防ぐためのチェーンがかけてあった。もうこのままほっておいて自然に帰しましょ。

舗装路に出て相生市と新宮町を結ぶ峠へ向かう。峠自信はなんの魅力もないふつうの道路だが、 ここから西向けに境界尾根をたどれば三濃山へ行くことができるはずだ。 境界だからはっきりとしているかと思ったが案外迷いやすい箇所がいくつもあった。 そしてその途中には忘れられた峠もあった。新宮町側には散乱した瓦の祠跡もあり、 すぐそこまで林道も来ていた。矢野町森の人が祠を作って、下にあった石仏をここで お祀りしたということだが現在石仏はどこにあるのだろう?ちなみにこの峠道は 『古道(ふるみち)』と言うそうだ。
ふるみちの峠

もう一カ所峠を横切る。椅子のように座れる岩が三つほどあるのが目印だ。 三濃山の山全体が寺院だったことから、なにか建物があったような平地とか 竹林を抜けようやく山頂が目の前となる。 展望はなくてもこういう風に歴史の名残と道を探しながら山中をさまようのが私は楽しいと感じるが、 M氏はつまらないらしい。(^_^;)
三濃山から南方面、瀬戸内を見る

久しぶりの三濃山である。山頂にある初代アカガシはすっかり枯れたように見えるが幹から新芽も出ている。 その横には二代目も植えられていて、給水施設も作られていた。さすがに三濃山には幾組かのハイカーがいたが、 こんなトンデモルートで登ってくる奇人は皆無のようだ。さて、ここから第三ステージ。感状山への縦走路を歩くが その途中できんちゃく岩に立ち寄るのだ!!

昔は分かりにくかった縦走ルートのとりつきも今では道標がしっかりとついている。 (でも、初めての人はその道標までも行けない??)感状山まではまさにMTBのための 極楽ルートである。いわゆる単なる道の連続で花も展望もない。だからハイカーはそれほど入っていないように 思える。(前述のように入り口も分かりにくいし・・・・) MTB全乗りルートをわざわざ歩こうというのだから気分は滅入ってくる。 早くきんちゃくを見てみたい!!
MTBが欲しいよ〜

三等三角点の『点名 西山』を過ぎてすぐの分岐を左にとる。(感状山へは右分岐を行く) 西播磨線の巡視路をしばらく歩くとbT4の鉄塔になる。そこには文字の消えかけた 古い木製の道標が転がっていて、『能下へ・・・』の文字が読みとれる。 その鉄塔奥のヤブをかき分けて進んでいくと1m前の草むらにイノシシがいた。 一生懸命地面を掘っていて我々に気がつかなかったらしい。 反対方向にダッシュして逃げていったからよかったものの、こちらに来ていたら 逃げられなかっただろう・・・。くわばら、くわばら。
きんちゃく岩越しに高巖も見える

シダの向こうに突然それは現れる。まさにたまごそのものです!!こちらとどこか繋がっている と期待していたが、まったく独立して屹立している。見える範囲の岩盤には残置ハーケンも ないところからまだ未踏の岩峰ではないだろうか?だれかチャレンジしてほしいなあ。 もしあの岩の上に三億円の札束があったら命がけのジャンプをするかもしれないが、 今はただ「すごいねえ〜」とつぶやく二人であった。
怪獣のたまごか??

下山はさきほどの巡視路の続きを利用する。ところがこの巡視路といったら、 過去に経験した巡視路の中でも最悪のルートだった。転げ落ちないように斜面の木をつかみながら ひたすら下っていくとようやく道路が見え始める。県道『相生山崎線』のカーブbUの地点であった。 自分たちの登った岩峰を眺めながら舗装路をテクテク歩く。

今回の天狗岩・高巖〜三濃山〜たまご岩の地図は こちら(約140k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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