竜ヶ岳〜篠ヶ峰

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1『丹波和田』、
『大名草』を参照していただくようお願いいたします。

2003. 4. 6.  日曜日  晴れ  気温すこし暑いぐらい
表題の縦走はさほどの距離はありませんが、加美町からのアプローチを考えると すこしばかり難があります。というのは竜ヶ岳、篠ヶ峰のどちらも長い林道歩きが 待ちかまえているのです。単調でおもしろみのない林道の歩きをパスできる 良いルートはないものか? 地形図を眺めていて「そうや、氷上町側からの周回を考えたら面白そうや」と思いつく。

自分の脚力と相談してルートを決定。さっそくその登り口となるサイプレスゴルフ場の入り口 付近(氷上町三原)にやってくる。散歩中のご夫婦に話しかけて「それならこの先にある金比羅に行ってみたら?」と アドバイスをいただく。クラブハウスへの舗装路を少し行くと墓地がある。その駐車場の奥に それらしいお堂が見えた。8時50分。

駐車場に車を停めて準備をしていると数人のお年寄りがお堂に向かっていく。地形図には 鳥居マークが書かれているが、小さなお堂の中には『松山寺』と書かれた額がある。 昔はそれなりのお寺だったのかもしれません。「この裏手の山に登りたいのですが・・・」と お年寄りに尋ねてみると、「その金刀比羅宮の裏手に道があるから・・・」 と、左手上を指さす。見るとそこにはさらに小さな祠があった。

地形図を見せて「この裏手の山は長都羅志山(ながずらしやま)って言うのですが知ってます?」 すると案の定というか、「そんな名前聞いたこと無い」とのお返事。地元の老人が知らないと言う この山名は、いったい誰がどこで調べたのでしょう??
金比羅の祠からお堂(松山寺跡)を見る長都羅志山手前を行く

確かに金比羅の祠裏から細い道が登っている。植林と赤松雑木が混在している。今の季節なら問題ないが、 秋に利用するとちょっと問題が起こりそうな小径です(^_^;)。地形図通りの急斜面をよじ登ると、より はっきりした道と合流する。たぶん306mピークから来ていると思われる。急登りもなくなり 平坦になって歩きやすくなったと思ったら頂上でした。三角点をあやうく通り過ぎてしまいそうになる。

長都羅志山、三等三角点、標高444.3m、9時35分。ピークと言うよりは尾根の途中の一ポイント。 展望はもちろん無し。ながずらしやま・・・丹波の山で○○ずらしと名前が付いたピークがいくつかある。

さほどのアップダウンもなく10時ジャストに北山に到着。四等三角点、標高は長都羅志より ちょっと低くて419.4m。ここもまったく展望はないが、ちょっと先に目的の竜ヶ岳が見えるポイントが あった。「うひゃ〜、まだまだ遠いなぁ〜」所々にあるタムシバの白い花の固まりが春らしさを感じる。
北山の先から竜ヶ岳を見る境界尾根に近づくと大岩が・・・

登り一辺倒の尾根道が続く。檜の植林越しに北には鳴尾山。あそこにもいつか登ってみたいと思う。 それにしても長い登りが続く。いつまでたっても境界尾根にたどり着かない。 やがて大岩が現れ始める。清水峠からの通常の登山道では見られない大岩、奇岩の連続である。 そしてようようの思いで加美町と氷上町の境界尾根にたどり着く。11時10分。 ここは竜ヶ岳の前ピークで丸太のベンチがあり千が峰方向に小さな切り開きがある。

本ピークはすぐ奥なので写真を数枚だけ撮って腰を下ろすことなく頂上へ行く。11時20分 竜ヶ岳に着く。標高816.7m、三角点の角が大きく欠けていて等数が確認できないがたしか三等のはず。 初めて登った数年前よりあきらかに周囲の様子は違っている。その当時は西方向にわずかに 切り開きがあっただけだったが、今では東方向を除きほぼ見渡せるようになっていた。 日差しも暖かくてここでゆっくりしたらそれなりに楽しいだろう。
北から西方向
西から南方向
大柿さんのプレートがあった。『'02.1.23(土)ハレ 13:40 (丹治公民館発)篠ヶ峰直下の 峠から町界をたどって来た。4:30でやって来たが天気も最高である。千が峰方向は逆光で シルエットしかわからない。この後は更に町界を北にたどり峠から鳥羽へ下る。これにより 加美町境界をほんの一部残し一周』大柿さんは加美町側からの周回を選んだようだ。私とは 逆の方向でしかもMTBを担いでのことだから超人としか言いようがない。 私もそろそろ出発しなければ・・・、携帯食だけを口にしていよいよ篠ヶ峰に向かう。

11時半に竜ヶ岳を出て11時55分に清水峠に降り立つ。途中で4人と2人のハイカーに出会う。 千が峰ならともかくこの山でハイカーに出会うとは・・・やはり『兵庫50山』に選ばれたためだろう。
清水坂にて峠からもそこそこの道

何度か来たことのある清水坂にはその頃から変わらず石仏がある。舟形光背の地蔵菩薩立像。 頭頂部には地蔵菩薩と表す『カ』という梵字。そして錫杖(トップ部分に幡がついている)と共に 水瓶も持っていてちょっとめずらしい。向かって右に『往来安全』左には『弘化三丙午(1846)○(←不明)』 さらに基台部分には『八箇村  清水、轟、西山、山口、市原、三谷、丹治、大袋』とあった。 これらはすべて今もある集落の名前である。 八箇村にとって重要だった峠道も今や私のようなハイカーしか利用はないようだ。

峠からしばらく急な登りが続く。踏み跡は明確。どいうわけか樅の木が多い。706mピークから ゆるやかになり、空腹で力のなくなった私には助かる。しかし昼食は摂らないといけないので 縦走の町界尾根からちょっと寄り道をして大井戸山でお昼にしよう。 その分岐直前には展望の大岩がある。振り返ると竜ヶ岳と中心に加美町と氷上町の両方の山が望める。
展望大岩から竜ヶ岳を振り返る。長都羅志も見えるぞ
大井戸山分岐から西の支尾根へ踏み込んでいく。とたんに岩が多くなる。地面に新しい足跡があるなあと 思ったら向こうから夫婦のハイカーがやってきた。内心ちょっと驚く。この山も竜ヶ岳同様にメジャーに なったのでしょうか??そこは人一人がくつろぐのが精一杯の狭い頂上です。標高794.2m、四等三角点。 12時40分。

この狭い頂上にも自治体が建てた?標識のポールがある。ところがこれには標高758mと書かれている。 もちろんこれは間違いであり、どこをどう調べてこの標高になったのかぜひ担当者に聞いてみたい。 (ちなみに境界尾根の大井戸山分岐のピークがほぼこの標高である) 食事も終えて、休憩もそこそこに再スタート。

大井戸山分岐からは未知のルートだが、いきなりの激下りで始まった。しかもイバラのヤブまでがある。 幸いにも最近に刈り払われた形跡がある。どうやら境界に打ち込まれている赤いプラ杭を新しくするために 刈られているようだ。それでもバリバリと身体にトゲが引っ掛かって難渋を余儀なくされる。 大柿さんはここをMTB担いでしかもヤブだらけでどうやって通過したのだろうか?

696mピークからはまたもや歩きよい尾根道に戻る。すかさず誰が付けたのか赤いテープが頻繁に現れる。 先ほどまでのイバラヤブにはさっぱりなかったのに、こんなわかりやすい尾根にこれ見よがしにテープがある。 テープを付けるなら付けるでちょっとは考えてわかりにくい所や、ヤブをうまく迂回するような所に 付けろよって言いたくなる。 その親切な赤テープに助けられて無事篠ヶ峰林道の峠に降り立つ。14時ジャスト。

とりあえずここから林道で篠ヶ峰の頂上へ向かう。ほこりっぽく、単調な林道は嫌いです。しかも 上からオフロードバイクがエンジン音もうるさく降りてくる。それらをやり過ごしてようやく頂上に 着いた。標高827.0m。二等三角点。14時30分。林道の歩きが暑くてグロッキー。
篠ヶ峰三角点横で倒れる崩壊している氷上町側林道

この山頂にはいくつかの放送施設があって、それらが邪魔なために展望が悪いと思われがちだ。 でも立ち位置を替えるとほぼ全周にわたっての展望を得ることが出来る。千が峰とはまた違った 展望なので、あとは気持ちの良い登山道があれば人気の山になるのはまちがいない。

無線をしたり、写真を撮ったりで15時下山開始。下山ルートは二つ考えた。一つは東峰山(631.7m)のある 尾根を下る。もう一つは487mピークのある尾根を下るという二つのルート。丹波たぬきさんのHPから ヒントを得て選んだルートだが、どちらも細見池の近くに降り立つことが出来る。 現在の時刻と体力から後者のルートを選択する。

NHKの放送施設の北角に電柱がある。 そこから北に下っていく。登りに使った林道と平行しているが、こっちは雑木と植林の狭間を 抜けるシングルトラックなので気持ちよく下れる。あの暑い林道は出来れば歩きたくない。 729mピークから方向を北東に転じる。急下りになるが、電柱も続いており道もあるのでさほどのことはない。

そして林道に降りる。この篠ヶ峰林道の加美町側は乗用車でも登ってこられる林道だが、氷上町側は 写真のように崩落箇所もあり車での走行は出来ない。だんだんと自然が戻ってきてガードレールが なければ単なる山の中の広い道のようだ。『ササガミネ 17』と銘板のある電柱から林道を離れ 予定の尾根に入る。
この支尾根も心地よいヌタバにあった蛙の卵

たぬきさんのレポートにあるように超快適な道である。MTBがここにあれば問題なく楽しめただろう。 487m標高点を下った頃ヌタ場が数カ所ある。その一つには水面いっぱいにカエル(ヒキガエル?)の 卵がうねっている。この小さい水たまりにあふれんばかりのオタマジャクシがぬたくっている光景を 想像したら胸が悪くなった。

「自転車欲しい〜」と叫びながら下っていく。途中で植林の伐採跡に出た途端、シダヤブが足元に からみつく。「この辺から細見池に下った方がいいのかなあ・・・」と思いながらも、最後まで この尾根を辿ってみたい。緩やかだった下りも終わりになり、前方のどの方向も急な斜面になった。 たぶんここから右方向に下れば細見池の堰堤付近に降りれると思う。
タムシバ越に東峰山岩から木が生えている

薄暗い植林で道のない斜面。下草もあるのでうっかりすると足を取られてひっくり返りそうになる。 もうそろそろかなあと思う頃になにやら建物が見えた。ゴルフ場かと思ったがなにか個人の農業施設 のようだった。中には入れないのでそれを迂回するようにして細見池からの林道に出る。16時15分。 ゴルフ場横の舗装路、三原の集落を経て駐車場には16時35分に着いた。

今回の竜ヶ岳〜篠ヶ峰の地図は こちら(約240k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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