御祓山『桜縦走』

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『大屋市場』を参照いただくようお願いいたします。

2003. 4.18.  金曜日  晴れ  気温あつい
いままでどうしてこの山が話題に上らなかったのか?それほどこの季節の御祓山は すばらしい極彩色の山となります。去年に引き続き訪れることにしましたが 週末の天気が危ぶまれるため平日に単独でやってきました。それとルートも工夫をしています。 というのは前回山頂から上山(うやま)の高原が間近に見えたことに端を発します。

標高500m強あるこの高原の北山腹には、口大屋の大アベマキと樽見の大桜が地形図に 表示されています。御祓山から尾根を辿ればこれらを訪れることが出来るのではないでしょうか? 机上では「出来るかなぁ?」と、確信は持てませんでしたが、実際に御祓山に立つとがぜん 現実味が湧いた次第です。もちろん縦走のアイテムにはMTBを使用します。 うまくいけば、ツツジ・みずめ桜・大アベマキ・樽見桜と見れる訳です。

去年と同様のルートで糸原までやってくる。去年には無かった『みづめ桜』『秘境のツツジ回廊』という 大きな看板が目新しい。それを左に曲がると地道の奥に広い駐車場がある。平日にもかかわらず 2台の乗用車があった。忘れ物の無いように準備をして出発。9時40分。

棚田跡を過ぎると放置された廃車がある(去年はこの廃車奥の尾根から下山しました)。 さらに奥に行くといよいよツツジ回廊の登山口だ。入り口からさっそく満開のツツジが出迎えてくれる。 去年よりも一段と花には勢いがあるようだ。そしてここからMTBは担ぎとなる。 ここにも真新しい標識があり、『大屋町指定文化財 天然記念物・・・・』とある。自治体もこのお宝 (ツツジ)を放っておけないことにようやく気が付いたか??
前方はピンク一色後ろを振り返ってもピンク

コバノミツバツツジは小さな固まりであっちに一つ、こっちに二つとあるのが普通だと思っていた。 しかしここのツツジはまったくもってすごい。みづめ桜への登山道の両サイド3ヘクタールに 約1万本の群生らしい。しかも1本がとても大きいので視界がすべてピンクに染まると言っても 大げさではありません。
すごい迫力で迫ってきます

このツツジ回廊の尾根は人工的に作った道だと思う。ツツジも日当たりを良くするためか 周囲の雑木は切られている。赤土の急坂なのでMTBを担ぎながら足元にも気を使う。 すぐに息が切れてしまい何度も立ち止まって休憩をする。1月からほとんどMTBで 本格的な担ぎをしていなかったが原因かそれとももうMTBをする体力がないのか・・・。

標高が400から500mにかかると大杉山、須留ヶ峰、氷ノ山などの山が姿を現してくれる。 休憩をしながらツツジ越しにそれらを眺める。大きな三脚を担いでおじさんが降りてくる。 「桜はどうですか?」聞いてみると今年はぜんぜんだめらしい。樹齢が800年ということもあるし 勢いが衰えていて一年おきでないと花を咲かせることが出来ないらしい。 去年があまりにすばらしかったのでにわかには信じられなかったが、みづめ桜が 見えはじめるとそれが嘘でないことがわかる。10時50分着。
あえいでいますぜんぜん咲いていません

逆光で見るとまるで枯れ木のようだ。これから咲くのか、もう咲ききって散ってしまっているのか、 先ほどのおじさんの言うように今年はこれが普通なのか・・・。急な斜面に支えもなく 立っているだけでエネルギーを使っているのかもしれない。しかも胴は苔だらけでぽっかりと大きく穴が開いて 空洞になっている。こんなんでええの?早急に治療をしないとだめなのでは?素人ながらに心配になる。

おおきくため息をついてここを去る。先ほどまでが総天然色の世界だったので、このモノクロの 世界は寂しすぎます。去年のレポート御祓山 をごらんになればすごい桜と確認頂けることまちがいなし。 さて、私はMTBを担いで植林の斜面をよじ登る。尾根には一直線に頂上へ向かって 道がある。まだつぼみのツツジやらアセビ、赤松、右の緩斜面は見ていて気持ちの良い雑木林だ。 ここでも何度も休憩をしてようよう頂上に立つ。11時40分。標高773.1m、三等三角点。
熊が出たらこいつで撃退乗れるやんか!!

暑いのでよけいにバテて時間がかかったのかもしれない。ほんとうなら大屋富士(別途地図参照)かその途中で お昼にするつもりだったが、ここでお昼にしてしまう。去年は寒くて南斜面で風を避けながらの 昼食だったが、今日は暖かくてじっとしていると眠たくなってくる。期待した展望も霞がひどくて 南方面はなんにも見えない。

三角点の横に大きな木槌が転がっている。『御祓山 773.1米』という白い標柱が新設されていたので それを打ち込むための木槌だったのかもしれない。いま熊が出てきてもこいつでガツンと 言わせることができそうだ。お昼ものんびりと過ごす。大屋富士まで行かないことに決めたので オカリナも思う存分吹きまくった。

12時20分、上山高原に向かって下山を開始する。最初のピークを越えたところからMTBも 乗れる。ひょっとしてこのままええ感じが続くのかぁ・・・?右の尾根に入らないように キープレフト。するといきなり林道に合流する。合流するというか、尾根自体が林道になっていた・・・。 こんな所が林道になっているなんて、ちょっとあっけにとられる。 そのままその林道を走ると分岐に出会う。大屋富士方向と上山高原方向に分かれている。

大屋富士には寄らないつもりだったがちょっとそちら方向に走ってみる。631mピーク辺りまで 行ってみた。路面の様子とか道幅からして車の通行は無理だがMTBではなんら問題なく走れる。 631m付近は左手が開けていて大屋富士がよく見える。この林道は大屋富士まで続いているの だろうか?そして疎林の広がるなるい頂上はどんな感じなんだろ? 距離的には大したことないので行きたかったが、今日はスタミナに自信がなく眺めるだけにする。 黄色の線で書き込んだが急斜面の山腹にジグザグと糸原へ下っている道も見える。 (御祓山と大屋富士を周回するショートコースも考えられますね)
林道から大屋富士方面を見る
分岐へ引き返して今度は上山高原方向へこぎ出す。このまま林道で高原まで行けると踏んでいたのに 林道はいきなり終点になる。終点から続く尾根を覗いてみるとなんとか歩けそうな踏み跡があった。 当初はこういう道しかないと思っていたので別に苦にはならない。 それどころか入り込んでみると、所々で乗車も出来るシングルトラックだった。これはもうけもの。

ほとんど下り基調なので楽に進むことが出来るが、小さな切り株が多いのでこれで何度かつまづく。 共同受信のアンテナにたどり着き、そこから下りきると林道に出会った。少し行くとクサリゲートが あって、大屋町の森林組合の看板には一般車両の通行は禁止と書かれている。13時30分。

ここから前方には大きく牧草地が広がっている。先ほどまでの尾根を下っている時に、どうにも 獣の臭いがして熊にでも出会ったらどうしようと思っていたが、この牧草地を利用した牧場が 近くにあるみたいで、そいつの臭いが漂っていたようだった。
牧草地から振り返る大アベマキ

牧草地横の地道をMTBで走る。ビニールハウスの向こうに自動車と人の姿が見えたので 樽見の桜への道を聞こうと思ったら、左手に大きな看板があった。そこには 『おおや花霞の森案内図』とあった、イラスト地図もある。最近あちこちに増えている 森と緑の公社が整備している公園だ。

地図によるとこの看板の横にある入り口からすぐ下ったところに大アベマキがある。 丸太の階段をクリアーすると気持ちの良いシングルトラックであっというまにアベマキの木に 着いた。たしかにでかい。コルクの原料で樹皮を押すと弾力があるらしい。(このときは 知らなかったので押さなかった)

近くの東屋でおやつ休憩をして今度は樽見の大桜だ。先ほどの花霞の森の地図によると、ここから 山腹に沿って樽見の大桜へダイレクトに道があるようだ。山腹に無理矢理取って付けたような 道だが、公園になるだけあって気持ちの良い林が広がっている。所々丸太階段があるので 無理しないでそこは押して下る。暗い植林帯に入るが、向こうに淡いピンクの大木が見えはじめる。
樽見の大桜です

大きな広場の真ん中にデ〜ンと大桜がそびえている。広場の端に東屋があり、その横からMTBで下り降りる。 見物の観光客が多くて驚く。むこうもいきなり森の中から自転車が降りてきたから驚いている。 ちょっと照れくさくて視線を合わさずにカメラで桜を撮りまくる。14時15分。

好奇心の強い動物のように恐る恐るMTBにさわってみるお年寄りもいる。 「いやっ〜、若い人はすごいことやるなあ〜。どっから来たんや?」説明するが わかってはもらえなかった。みずめの桜すら知らない人もいる。そのみずめと比べると ここの桜はめちゃ咲いているではありませんか!!
記念撮影ここを下ると駐車場

やはり根っこを踏まれないように柵をしたり、木を櫓で支えたりしているのが功を奏しているのか? 樹齢が1000年とはとても思えないすばらしい桜でした。そして背中に刺さるようなみんなの好奇の目 に晒されながらMTBで下山する。すぐ下に駐車場があり、そこからここまでハイキング道があるので みんなはそれで登ってきている。ゴロゴロとした石があるので油断すると転んでしまいそう。 でもここでは最低見えなくなるところまではなんとしても乗車しないと沽券に関わります。

10台以上の乗用車が駐車していて、舗装路がふもとの集落からここまで来ている。 平日でなく休日だったらすごい混雑になっていることでしょう。正面の ガードレールとガードレールのあいだを覗いてみると階段があり、昔からの道が残っているようだ。 ここのシングルトラックも気持ちよくダウンできる。畑仕事のおじさんがびっくりして見ていた。 出口には使われなくなった『大桜 0.8km』という標識が倒れていた。

ここから糸原までは舗装の県道を走る。アップダウンがまったくないので 疲れた身体でも楽に移動できた。山の写真や花の写真を撮ったりしながらでも みづめ桜駐車場まで30分で帰ることが出来た。

今回の御祓山『桜縦走』の地図は こちら(約170k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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