伏見山〜点名【登尾峠】

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1『三岳山』を
参照していただくようお願いいたします。

2002.10.13.  日曜日  曇り  気温ふつう
登りたい山に登山道があれば一番簡単だが、最近の山行きではそうでないことの方が多い。そんなときは 夜地形図を眺めながら、どこから登ってどう降りようか考えるのが登る前の楽しみとなる。 その山が単独のピークでなく、稜線が幾方向かに延びているときはそれに注目する。 その稜線にある鞍部が両麓の集落同士を結ぶ峠で、地形図にも点線でそこまで道が示されていたりするともうこっちのものだ。 そいつが恰好のアプローチルートになる。

今回の伏見山もそのケースである。まずは取り付きの夜久野町小畑の最奥に車を持っていく。 この奥には夜久野町小畑と福知山市仏坂を結ぶ仏坂峠がある。 これが今回の登り口となる。 舗装路の一番奥には民家が数軒あるが、人の気配がない。車を停めるスペースが見あたらず 困っていると、おじさんが車で帰ってきたので事情を話して畦に停める許可をもらう。

10時20分スタート。獣除けの電気柵をパスしていきなり数体の石仏を祀る祠と出会う。 峠の入り口にふさわしい情景である。昔は棚田が広がっていたであろうこの谷には杉の 幼木と草がぼうぼうに生い茂っている。幸い踏み跡はしっかりしているのでそれを登っていく。

途中に分岐のような所があり、右より左が鮮明だったのでそちらを選んだがどうも間違ったみたいだ。 まあ、なんとかなるだろうと斜面をよじ登ると無事本道にぶつかった。そしてそこには 立派な石仏が・・・。『南無阿弥陀仏』と彫られた石塔は文政二年己卯年(1819)、 横にある立派な地蔵菩薩の年号は読みとれなかった。
仏坂峠尾根は植生界になっているので歩きよい

そこから200mほどで仏坂峠である。杉植林と雑木の木々に囲まれた静な峠である。 仏坂寄りの所にも石仏があった。『・・観世音菩薩・・・』と彫られた石塔と、 舟形光背の地蔵菩薩であった。『・・・丹後かやみち』とか『・・・へんろ道』と 彫られた文字からして昔はずいぶんと歩かれた峠と思われる。

ここから南方向へ行けば龍ヶ城、北方向が伏見山となる。ここで地形図とコンパスを取り出そうとしたら コンパスがないのに気が付く。どうしようかと悩むがとりあえず伏見山の山頂まで行って、状況によっては そのままピストンで下山すれば良しと考える。10時55分。想像したよりもずいぶんと歩きやすい道で、 下りならMTBでも乗車できそう。そして伐採地に出る。11時25分。

山頂部分を入れたかったのでここで撮影。ほんとはもっと上の方が展望が良い

以前この山の西にある居母山山頂から伏見山を見たときにこの伐採跡が特徴的であった。ここに立てば 展望が良かろうと思ったのは正解。床の尾方面はもちろん、粟鹿山もばっちり。かすみがなければ千が峰も 見えると思う。この伐採跡は植林のそれではなく雑木を切り開いた跡のように見える。 植林するつもりでその後中断したのかもしれない。急斜面を上り詰めるとそこが頂上だった。 三等三角点、標高710.1m。11時40分。

直下までは先ほどの伐採跡のおかげで展望ばっちりだったのに、この頂上はまったく周囲は見えない。 ピーク自体はピラミダルな美しい形なので展望があれば人気の山になると思う。 ここは日差しも遮られているので肌寒く感じる。とりあえず昼食を済ませてしまおう。 さて、コンパスのない状態でこれからどうするか・・・。当初はこのまま北上を続けて兵庫と京都の 県境尾根に出て、そこから北西に尾根伝いに下っていこうと考えていたのだ。 地形図を眺めると境界尾根まではコンパスなしでも問題なしと判断してさっそくスタート。12時。 この下りも植生界でしかも鹿避けネットがあるので迷う心配はない。

実は4日ほど前に左足親指を痛めてしまい、今日も歩くのは杖をついて引きずっているのが現状だった。 登りはそうでもないが、下りになるととたんに苦しく感じる。親指って歩くのにすごく重要だというのが 初めて判った。12時20分、Ca.565mの鞍部に到着して驚いた。夜久野町側から林道が延びていて ここまで来ている。この後エスケープするとしたら、ここまで戻れば大丈夫だろう。
鞍部には林道が・・・
赤矢印で 尾根に復帰
境界尾根手前も雰囲気が良い

尾根から一旦林道に降りて、ふたたび写真の赤線で尾根に乗る。境界尾根までは短かい距離で 急な登りだが紅葉の一歩手前の雑木の尾根は雰囲気のあるすばらしい道である。が、幹の表皮が食い荒らされていて それが痛々しい。突如目の前をそれらの犯人と思われるメスとオスの鹿が横切っていく。 されに足元には大型獣の糞が落ちていた。(下山後「熊に出会わなかったか?」と聞かれた)

樹間から大きく電波塔が見える。地形図で確認すると境界尾根沿いにある点名【登尾峠】の 電波塔だ。地形図での距離よりずいぶんと近く見える。山頂でゆっくりしなかった分ちょっと 寄り道してみようと考える。足も痛いくせにだいじょうぶか?!・・・・。
点名【登尾峠】の電波塔伏見山を眺める

境界尾根は左右にしっかりと踏み跡があった。これなら点名【登尾峠】へもさほどの時間もかからないだろう。 下り基調だったこともあって15分ほどで到着した。行きと帰りでは道の感じが違って見えるので分岐分岐では 振り返って帰路を頭にたたき込みながらの歩きであった。

突如といった感じで電波塔のピークに出る。塔の裏手に二等三角点がある。標高633.3m。周囲をうろつけば 三岳山やら大江山とかもしっかりと見えるはずだが、雲行きも怪しく下山路の心配もあるので 早々にそこを離れる。20分ほどで先ほどの伏見山からの分岐まで戻り、ここで再度どうするか 考える。この南にあった鞍部の林道で下れば楽に下山できる。しかしなぜだか判らないが 当初下山予定の504mの鞍部(ひしろ峠)まで行きたい衝動にかられる。(地図参照してください)

ということでコンパス無しでいよいよ境界尾根を西向けに進んでいく。 ジグサグに方向を変えながらの下りなので地形図から目が離せない。 663mピークには13時30分。地形図に従って右寄りに下っていく。とにかく自分の位置確認だけは 怠らないようにする。赤のプラ杭もあるがこれを盲信してはいけない。 正解ルートでありながらその杭のない区間もあった。

600mピークには共同受信のアンテナがある。この先で右鮮明、左不鮮明の分岐がある。 一番迷いやすい所はここかもしれない。 地形図に従って左を選択。テーブル状の岩が現れ、その先いやらしいヤブの下りになるが それも短い距離でホッとする。やがて504mの鞍部に着く。14時15分。

ここが当初予定していたポイントであった。仏坂峠を二回りほど小さくしたような峠で 右(北方向)の但東町へは見える限り踏み跡も確認。もちろん夜久野町側にもきれいな道が 付いている。だが、せっかくここまでがんばったのに石仏のたぐいはないようだ。 がっかりで左(南方向)夜久野町へ下りはじめる。
共同受信施設先から伏見を見るひしろ峠の石仏

思わず大声を出してしまった。そこに子供が立っていたかと思ったからだ。 よく見ると地蔵菩薩の石仏であった。それは仏坂峠のそれとうり二つで身長も 私の胸付近まである。どうやら私の霊感はずばり的中していたようです。 無事にここまで来られたことのお礼を言って、ルンルン気分で降りていく。

峠付近だけ道は良くって、下るに連れて路面はむちゃくちゃになってくる (よくあるパターンだが)。そうこうしていると下の方に舗装路が見えた。 痛い足をかばいながら斜面を駆け下りて舗装路に立った。振り返っても峠道への入り口はわからない。 もうだれも石仏をお詣りする人もいないのだろう。

ここからちょっと舗装路を下った 所に渓流をせき止めた釣り堀施設がある。実はここを経営しているおばさんに たのんでMTBを置かせてもらっていた。でないと小畑までは到底歩いて帰れません。14時35分。 あとはのんびり村の中の道をサイクリングしながら車まで戻りました。

追記:この釣り堀よりさらに舗装路を下ったところ右手に居母山の今里登山口があります (ちょっとわかりにくいですが・・・)。それと、下山に使用したひしろ峠の名称は 地元での確認が取れていません。チャンスがあれば、但東町側の小坂、夜久野町側の今里の 両方で聞き取りをしたいと思っております。

今回の伏見山〜点名【登尾峠】 の地図はこちら(約160k) でごらんください。


それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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