青が丸その2

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1『扇ノ山』
を参照していただくようお願いいたします。

2000.11.25.  土曜日  曇り  気温ふつう
ちょうど1年前にこの青が丸にチャレンジしました。その時は車で八東町のふるさと森から 扇の山林道に合流しようという計画でしたが、途中に大崩落地点がありそこからは 徒歩を余儀なくされました。そのため青が丸への取り付き地点だけをなんとか確認できた だけに終わりました。 その時の顛末は前回のレポート青が丸をご覧下さい。

今回は八東町ふるさとの森手前から広留野高原を通り抜け扇の山林道に出る。 諸鹿峠で兵庫県側に入り前回の高原野菜農場に行こうという計画である。 氷ノ山からこの広留野高原を見ると牧場あるいは農場のように見える緩やかな斜面の 山腹である。実際来てみると人家も数軒ある広大なダイコン畑であった。 もちろんはじめてきたのだが道もきれいに舗装されていて意外だった。がそれ以上に 驚いたのはこの付近の山腹を 彩る紅葉であった。この時季、この高度、この緯度を考えてもまったく予想しなかった。

幸先好調で高原を抜ける。道路には中国自然歩道の標識がある。その奥から道は突然ダートになり 向井さんも車のシフトを4駆に入れる。路面は悪いものの傾斜は緩やかで雑木の林も雰囲気がある。 今回は無事に扇の山林道に合流してしばしのドライブで諸鹿峠に着く。ここには扇の山への 『扇の山畑ガ平登山口』もある。 峠の分岐を南下。この道は地形図にも載っていないが高原野菜農場への道である。 すぐ横のピーク、シブキ山(池の丸)1088mを過ぎる。

農場入り口にあったゲートが無くなっていた。直後に会った農場の関係者の方によると 作物のある夏場だけゲートを設置しているそうだ。その人の許可を得て農場に車で 乗り付けることにする。ゲートから歩くつもりでリュックも背負ってしまったので 席にもどるのはめんどくさい。私だけパジェロのリアハッチのステップに足をかけて 車にしがみついたままで農場を走り抜ける。ちいさな管理舎の横に止めさせてもらって 出発準備をする。 ここからも扇の山がきれいに見えるが、前回のレポートで間違いを犯していたのを発見!

手前のピークより奥のピークの方が高く見えるのでためらい無く奥が扇の山頂上と 記載したが、なんと手前の低いピークにあのログハウス風避難小屋がある!しかも肉眼で確認できた! 念のため双眼鏡でも見てみたがたしかに手前の方が頂上である。ということは高く見える 奥のピークは大ズッコか?なんとも不思議であった。「絶対奥の方が高く見えますね」とdameちゃん。 言い忘れていたが今回のメンバーは私と共に波佐利山のヤブで予行演習を済ませたM氏、 2日程前に六甲全山縦走を果たしたdameちゃんの三人。去年の記憶を元に畑から林に突入。 9時40分頃。

踏み跡があるのも数十mだけですぐに笹薮になる。県境尾根にさえ乗ることが出来れば 何とかなりそうなのは去年に確認済み。ヤブを平泳ぎの要領で漕いでいく。時々ある倒木 の上に立てば青が丸はすぐ右手に見える。ほんと近くだ。10時30分1144mピーク着。 ここは仏の尾(1227m)への分岐でもある。その頂きも見えているし、わずかながら踏み跡の ようなものもある。ルート的には仏の尾の方が簡単そうだ。 この先ちょっと間違って左手の谷に降りかける。本来歩くべき稜線が右手に見え始めたので あわてて復帰する。1153mピークには11時着。

「歩いても、歩いても青が丸には近づきませんね」とdameちゃん。農場からここまでは青が丸と平行に 進んでいたためだが、このピークよりは時計回りにUターンするように県境尾根を進む。ヤブは 相変わらずでほとほと嫌気がさす。傾斜が増してくるので頂上は近い。笹がこちらに倒れている のと、雪が残っている、傾斜がきつい、この三拍子で登りの困難さは最大級となる。 立ち止まって振り返ると農場がジャンプすると届きそうなほど近く見えるのがなんとも情けない。
境界尾根を行く 頂上
右手に見ながら境界を行く笹薮の中の頂上

急に傾斜がゆるやかになり先行するM氏が大声で「三角点や!」と叫んでいる。 まるで測ったようにピンポイントで到着したようだ。続けて私とdameちゃんが着く。12時15分。 農場より1.5kほどを2時間半かかったことになる。平均速度は分速10m。時々は分速1mの ヤブもあった。三等三角点、標高1239.3m。無雪期の登頂でないとこの無傷の三角点は拝めない。 そして三角点の周囲だけ小さく空間があるので寄り添うように腰を掛けて急いで昼食をかき込む。 2m以上の笹がびっしりと360度密集していて真上の青空以外は全く見えない。 背伸びをしてみると北に木が一本見える。これは麓から頂上を見たときにいつも見える特徴のある 立ち枯れの幹です。

そいつに登ってみようとヤブを漕ぐ。その木はもう枯れていて表面も足をかけると崩れてくるので 登ることは出来ない。その近くにあった木は丈夫で足がかりもあるのでそれに向井さんと登る。 いままで何にも見えなかったのが嘘のように360度の大展望が広がる。氷ノ山、三の丸、三室山 は言うに及ばず大山もうっすらと見えた。足元の笹の揺れ動く様は水面のさざ波のよう。 ここは山なのか?海なのか?
ヤブ 木に登る
隙間のない笹薮
つまずいて転けるとこうなる!
dameちゃん、M氏、とうとう野生に戻ったか!

13時15分下山に取りかかる。これだけ苦労して登ったのにたった1時間の滞在であった。 もと来たルートかあるいは鳥取県側の東因幡林道に降りるか、周囲のヤブの中には踏み跡らしき ものもないし、新たなルート開拓は不安があったのでピストンで戻ることとなった。 頂上直下付近のルート見極めが難しかったが なんとか県境尾根にのることができた。途中に見えた鉢伏山がきれいだ。 もう迷うこともあるまいと気分的には余裕が出てくる。先頭のM氏は我々を誘導するために 奇声を発してヤブを漕いでいる。後ろを振り返ると身体は見えないが、ゆらゆらと 揺れる笹の先端部がこちらに移動してくるのはdameちゃん。2時間で農場に戻ることが出来た。

もしこの山に行かれる人がいるようなら手袋(滑らない革製)、すね当て(背丈の低い 笹で突いてヒザから下が傷だらけになる)、グラス(笹で目を突かないよう)、 帽子(M氏はMTB用のヘルメットでした)が必携です。 私はメガネを三度ほど笹ではね飛ばされ、一度はメガネの横から入ってきた笹の葉で目を突きました。

思い起こせば竹呂山から三室山への縦走尾根の笹薮も強烈だったが、青が丸は兵庫の王者にふさわしい 威厳ある?ヤブであった。 次回はまた紅葉の楽しめるこの時期に仏の尾を目指してみたい。

広留野高原から見る青が丸。
上部は全面の笹だとわかるでしょ
同じく広留野の紅葉

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


ホームにもどる