三原の青面金剛

所在地:出石郡但東町
前回と同様に県道から離れて三原の集落へ入り込んでみました。 すると小さな祠が二つ見えます。真ん前には車が止められないので浄水施設前に車を止めて歩いていく。


近づくにつれてそのすごさが伝わってくる。石自体が祠から飛び出してきそうなほど 存在感がある。材質はわからないがちょっと青っぽい石である。 下半分に青面金剛が彫られていて、上半分には文字が彫られている。それは 日輪と月輪の下に三行の文字列があり、右から『寛政六寅年(1794)』、『奉大乗妙典中供養』、 『三月吉祥日』とある。

庚申塔なのは間違いないが、『奉大乗妙典中供養』(法華経の事だと思う)とあるので経典供養塔 も兼ねているのでしょうか?

さて、肝心の青面金剛の姿であるが、これはもすごいの一言である。見入ってしまって しばらくの間動けないほどです。口の両端に牙があるのもわかります。 全体的にわりと彫りが深いのでより迫力があります。雄と雌の鶏だけは 彫りが浅くなっています。

ここにも文字が彫られている。『相州三浦郡津久井邑』(現在の神奈川県か、静岡県あたり?) 『願主 休心』とある。なにかで読んだ記憶では、理由はわからないがその相州からここへ 移転されたということらしい。

このしょけらをご覧ください。髪の毛を掴まれながらも胸元では手を合わせて、 しきりに許しを請うているようにも見える。まことに残念なことに 唯一欠けたところがあるのはこの足元である。苦しみから逃れるかのように元来は足を交差させている。

妖怪しょうけらというものがいる。姿は人間には見えないが、鋭い爪をもった獣(おけらの 化け物?)のような姿という。そのしょうけらは庚申の日の晩に天井から寝ている人間を覗いて、 その人間の悪行を天帝に報告するという。(この辺は三尸の虫と同じ)あるいは庚申待の 行事が正しく行われているかを監視しているという。そのしょうけらから変化したものが しょけらかと思う。

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