はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『生野』、『丹波和田』を参照していただくようお願いいたします。 2013. 4.28. 日曜日 晴れ 気温 ふつう
作畑ガールから千ヶ峰の『茅刈り道』の探索をしたいというのでつきあうことにする。 基本は『石風呂コース』なのだが、その途中に古道の痕跡が残っていればラッキーだ。 おじいさんとか親戚の方から聞いた情報だけがたより。
神河町地域交流センターに車を止めて林道を行く。地形図を見ると獣よけの扉の手前から
川の右岸に点線の道があるのだがそれは現存してなかった。
ガールのおじさんの話では現在の林道が昔からあった道を拡幅したものらしい。
別途地図の『A』が車で来られる終点。駐車可能。 ここから右手が登山口への林道の続き。左手にも道らしきものがあって、 これが昔からある茅刈り道。どちらもこの先にある千ヶ峰の石風呂登山口で合流する。 |
右(登山道)を行くと | 左(茅刈り道)を行くと |
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今日の目的からすると左の茅刈り道を進むべしなのだが、ちょっと寄り道をしたいので 登山口への林道を進むことにする。ところがこちらは水害のために路面がひどいことに なっていた。足下注意!!
その寄り道とは滝見物だ。神雷(じんだい)の滝と呼ばれているが、はたして
ほんとにあるのかどうか行ってみないとわからない。目的の谷には道があるものの
なかなかそれらしいものとは出くわさない。
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神雷の滝 | 上部のほうが迫力あり |
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地形図にある川の表記が切れてしまったその奥に滝が突如として現れた。 思った以上に落差のある滝で二人して驚きの声を上げる。25mぐらいは あるだろうか。ただ、見た目がすっきりとしないのが残念だが誰も知らない滝を 見つけることが出来て大満足のスタートだ。 我々は素直に谷を遡上して滝を見つけたが、一番簡単なのは件の林道を終点まで行けば その終点から滝が見えるので迷わずに行くことができる。 滝見物も終わり、再度、駐車場ポイントまで戻る。後戻りするなんて普通の登山ではあり得ないが今日は あくまでも調査登山なので戻る必要あり。
一番最初の写真に戻って、左の旧道を上る。わかりよい道が川に沿ってある。
つい数年前もガールのおじいさん、おばあさんがここを歩いたそうだ。
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茅刈り道から石風呂登山口付近へ出る |
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旧道から林道へ這い上がる。その林道はすごく荒れて、路面は川のようにえぐれている。 その先には(写真の手前方向)『沢の橋まで約5分』と書かれた石風呂コースの登山口標識がある。 昔はここまでMTBでやってきて、ここから担いで登った記憶がよみがえってくる。
この『石風呂』という字だが、昔は実際にあったらしい。石を積み上げて室のようにして中で火を焚く
(あるいは焼いた石を敷き詰める)。
その火を消した後に薬草などを敷き詰め水を掛けると効能のある湯気が室に広がり、しかもサウナにもなり
身体を癒すのだ。閑話休題・・・。
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石風呂コースが茅刈り道? | 細くび(尾根)に到着 |
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登山口の標識から 谷を登っていき、途中にある標識を見逃さないようにして右岸から山の仕事道を登っていく。 私はこれが昔からある茅刈り道だと思い込んでいたのだが下山後の聞き取りでは違うようだ。 (二段上の写真の中の注釈を参照) ほんとの茅刈り道(地図の『あ』)の箇所は『まいまいどこ』と呼ばれている。それは 背中に背負った茅は左右に飛び出ていて、それでなくても不安定なのに、ここの傾斜は あまりに急で木の幹を掴みながらくるくると回るようにして下っていくところから そう呼ばれるようになったという。
その急な道もこの登山道の途中に合流して、そのまま尾根に到着する。
そこも呼び名があって『ほそくび(細首)』という。昔の人の命名はユニークだが
誰もが納得できるように名前が付けられている。このコースの要所要所に登山道の標識はあるが、
ちょっとこういう古名を付け足すだけで歴史を感じることもできると思うのだがどうだろう。
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焼き山(茅刈り場)を過ぎて | 頂上はこの上 |
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細首から西に延びる尾根の南北にある斜面は草刈り場だった。反対に東(頂上)方向に延びるゆるやかな斜面は 茅刈り場で、茅刈り道はここに通じる。焼き山とも言われるのは、年に一度火を入れると良質な茅の維持のため。 古い千ヶ峰の写真などで山頂付近まで茅原になっているのを見たことがある。
茅狩り場(現在はうっそうとした植林帯)の中にある正規登山道とは別に防火用の細い切り開き道が
残っている。それを歩いて高度を稼ぐ。ゆるい斜面も終わり、急登りをクリアーするとまもなく山頂だ。
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千ヶ峰山頂(題目塔より) | 頂上(反対方向より) |
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さすがに千ヶ峰は人気の山でたくさんのハイカーがいた。ほとんど普段着のような格好の人もいれば、 最近はやりのおしゃれな山服の人もいる。中には生野の方向を指さして「明石海峡大橋が見えるかなあ」などと 言う人もいる。
20年近く前、早朝に山頂に登ったことがある。すると、題目塔の近くで山伏姿の人に出会ったことがある。
どうやら一晩中、行をしていたようだ。まさに仙人の山、千ヶ峰と感じた山だったが、今は公園のように
なってしまった。しかもMTB禁止だなんて、周辺を林道だらけにして山を破壊しているくせに、MTBが
どれだけ山にインパクトを与えているんや?と言いたい。
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下山尾根、最初は楽勝 | なんとか谷に降りて手を洗う |
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ピストン下山はおもしろくないので登りに使った尾根より北にある浅ヶ谷へ降りてみる。 地形図をにらんで下山コースを決めたものの等高線が詰まっているのでちょっと不安だった。 予想どおりの途中より難路になったので誰にも勧められないが堰堤手前の箇所に無事に下山。 |
対岸に坑口 | 中を撮してみる |
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浅ヶ谷には鉱山跡があるとガールが言っていたが、まさに林道脇にそれはあった。 さっそく中を覗いてみるが崩れてもなく中にも入れそう(危険なのでしませんけど・・・)。 帰路で見た道路沿いにある別の坑口などは子供が入って遊ぶので(昔のことですけど)入り口を塞いでしまったものもある。 今回も普通の登山では見ることのできない滝、坑口、歴史を感じる道などを堪能できた。
今回の千ヶ峰 茅刈り道の地図は
こちら(約110k)
でごらんください。 |