はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『長谷』を参照していただくようお願いいたします。 2013. 3. 8. 金曜日 晴れ 気温 寒い
ある人から「ここであることをしたいので案内して欲しい」と希望される。 そういう依頼は大歓迎なのだが、ここの場所についてはちょっとひっかかる気持ちがあって、 今回の提案を機に再訪をしようと思い立つ。 ここを訪れた自分のレポートを調べると、なんと6年も前のことだった。 ルートは足尾滝への林道途中から巡視路を利用するけっこう大回りルートだ。 その時に到達できたのが本当の『ものいいだま』だったのか実は疑問だったのだ。
だいたいの場所は川上集落の古老から聞いていた。そこを地形図で確認すると
確かに岩場のマークが2カ所あるのだった。前回はその一つのみを訪れて、直後に
高星山へ向かってしまったのだった。その辺の経緯は2007年の高星山
を見てください。
今回は長谷ダムの深山トンネルを抜けた所にある水くみ場『清水お大師』からの ダイレクトルートを探索してみようと思う。ただ、地元で『ものいいだま』を知っている人は 『清水お大師』からはもう無理だろうと言う。 とりあえず行けるところまで行ってみよう。8時50分スタート。
『清水お大師』水くみ場からの作業道は昔からあったのだが、今回来てみると簡易舗装がされていた。
その舗装はすぐに途切れるが、そこから二方向に分岐していた。
目的の谷へは右のほうだ。
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最初は植林の激登り | 次は雑木の激登り |
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その林道も谷で終点。分岐から100mも無い。谷の右岸側はガレガレ。左岸は植林。 とうぜん植林の中を登っていく。ついつい歩きやすい箇所を登っていくので谷からは 徐々に離れていく。まあ、途中から戻ればいいかと、そのまま進む。 途中で後ろを振り返って声を出す。うん、なかなか良いこだまが帰ってくる。
そもそも『ものいいだま』とはいかなるものか、ここで再度説明する。
川上の古老が言うには、高星山の中腹に大きな岩場があって、昔はその付近まで炭焼き窯があったという。
その岩場の上は平坦で、昼寝をしていると鷹に襲われたことがあったとか。
さらにその岩場で声を出すと岩に反響してえもいわれぬコダマが帰ってくる。
それゆえ『ものいいだま』(漢字で書くと『物言い霊』か『物言い魂』か?)と言われるようになった。
そこでオカリナを吹いたらどうだろうか?きっと良い音で鳴るだろうと勝手に思い込んで 初めて行ったのが6年前だった。実は上の絵のように反対の山腹に反射してのコダマだと 思い込んでいたのでした。実際吹いてみるとそのように聞こえたのです。 しかし、本命と思われる岩場には行かなかったのが心残りでした。 |
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深くえぐれて向こうに行けない | 岩塊流?ここを登った |
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徐々にものいいだまと離れていくので左方向へ位置修正をしよう。本来なら別途地図の『B』から 谷の源頭部である『G』付近まで一直線で行くべきだったが時すでに遅し、『C』地点は土砂の崩落で 向こうに行けない状態だった。今後、大雨とか台風があると一気にダム湖まで土砂崩れを起こしそうな 危険な感じがする。しかたなく、地形図上に800m表示のある支尾根へ向かうがこちらも難路だった。
枝やら岩を掴みながらなんとか支尾根に到着。2007年のコースと合流後は楽ちんかと思ったら
すごい強風でびっくり。途中まではなんともなかったのに尾根では冷たい風が吹きまくっている。
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こういう岩が多くある | テーブル状の岩も多い |
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2007年に訪れた岩場(地図の『E』)には10時37分着。前回と違って木々が大きくなっているために 展望はほとんどない。コダマを確認するために声を出しても風が強くて無意味だった。 北となりにある本命と思われる『F』の岩場もここから見るとさほどではなさそうでがっかり。 ここまでの新ルートもダメだったし、コダマの確認もできなかったしで、まあこんなこともあるか・・・。
『E』から『F』はほぼ同じ標高なのだが途中の斜面は傾斜が急なのでトラバースは無理。 ちょっと標高を稼いでゆるやかになった雑木林の中を歩く。 そして『F』には11時。 |
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いきなり切れ落ちて・・・ | クレバスと言っていいのかな |
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先ほどとは違って広い平坦地だった。ここなら確かに昼寝が出来そうだ。 ただ、その先はいきなり切れ落ちており、覗くと数十mもの落差がある。 港の突堤に立っているよな感覚になる。
周囲は岩盤で、自分の立っている場所も岩の上。
つまり古老が言っていたコダマはこれらの岩場での反響を言っていたのだろう。
到底写真では収まりきらない風景で自分が鳥なら上空からこのすごい地形が撮れただろう。
そうだ、わかりやすいようにここはイラストで表してみよう・・・。
自分では描けないので作畑ガールにメールで説明して代筆を頼む。ごらんのような感じで数カ所の突起があり その先端付近に立つことは可能だが、怖くて下をのぞき込むことは出来ない。 ここも当然強風なのでコダマを確認することはできなかった。 しかし、この場所、行場と言ってもおかしくないような場所だ。
ここも木々が生えていて展望は乏しい。枝の間からわずかに砥峰が見えた。 また枝があるおかげで突起の先端付近まで行くことができるがとにかく怖い。 単なる高所恐怖症かも。 |
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50mぐらい?? | 源頭部『G』 |
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横手から見るとその岩壁はまさに垂直で、高さは50mはあるか?川上の古老たちは この岩場までどうやって来たのだろうか?『G』の源頭部までやってくるとそれまでの 荒々しい地形がうそのように穏やかな所だった。あの谷をまっすぐにここまで やってこられたらものいいだままでは簡単に来ることができるのがわかった。
下山はすぐ横手にある尾根を利用する。途中までは快適だったが、等高線が詰まっている
箇所は下る方向も不確かで下りよい所を下っていて尾根を外しかける。
まもなく舗装路いうところで林道の終点に出会う(地図の『H』)。
ここから登る手もあるが、途中にはザレた激登りもあって落石があるのでおすすめできない。
林道はあきらかに水くみ場から来ている林道なので、舗装路には降りずにこれで帰る。 駐車ポイントには12時30分。 葉っぱの落ちている時期、風の無い日にもう一度訪れてみたい。 無難なルートはやはり2007年のルートかも。下山ルートも多彩だ。
今回のものいいだまの地図は
こちら(約100k)
でごらんください。 |