はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『郷原』を参照していただくようお願いいたします。 2013. 5. 6. 月曜日 晴れ 気温 暑い
GWの最終日はちょっと遠出で智頭までやってきました。 今回同行してくれたTQFさんによると今日のルートはちょうど2年前に私が提案していたそうだ。そのとき行けなかったのは 天気のせいだったと思うが今日は快晴で暑いぐらいだ。どこから下山するかちゃんと決めていなかっので、 だいたいこの辺になるだろうと米原の体育館横にTQFさんの車を止めておく。 ここには沖ノ山林道で活躍していた林鉄の動車が展示されている。
登山口である綾木峠の入り口へ私の車を進める。堂本を過ぎた頃、舗装路をリュック担いだ男性が歩いていた。
ストックも持っているので山登りか?それにしてはこんな所を歩いているのは変。行き先方向が同じなら
乗せてあげようと車を止める。声を掛けると、なんと若桜の山ボーイさんだった。
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ここで通行止めだった | 右にも行ってみたい |
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てなわけで三人で綾木峠へ行くことになった。山ボーイさんも綾木峠から西方向に尾根縦走する予定だったらしい。 同じ日に同じコースを考えていたなんてなんとも不思議な偶然と言えそうだ。 営業しているのかどうなのかわからない『杉の木茶屋』を通り過ぎる。鳴滝山への谷を大きく回り込んで もう少しで綾木峠の谷の入り口という所で通行止めの標識が。舗装路も終わっているのでここで駐車して 8時45分スタート。
綾木峠の谷入り口からしばらくは未舗装の林道なので歩くには問題ない。左の斜面には金網で封鎖された坑口
もある。地図の『B』は鉱山跡と峠との分岐。ここからあの稜線上にある鉱山跡へ行けるのだろうか?
気にな〜る。
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ガレた谷道 | 谷を離れると階段 |
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鉱山跡分岐から本格的な?峠道となる。現在は中国自然歩道だが、昔は八河谷と柿原を結ぶ生活路であり、伊勢街道でも あった。谷道は荒れているが歩けないほどではない。やがて右に折れて山腹をジグザグに登る階段道となる。 山ボーイさんのペースが早いのであっという間に峠に着。9時35分。
2010年に柿原側から 綾木峠 へ登っている。これで念願の両側から到達の達成だ。これだけ立派な伊勢街道の峠なのに どういうわけか石仏がない。唯一残念なことだ。 ちなみに伊勢街道はどう続いているのか?それは現在の中国自然歩道を辿れば良い。 佐崎から奥野、茂谷、さらに遠見峠から若桜へと続いている。途中にはいくつもの太神宮灯籠があるのが 伊勢参りの目印となる。 |
点名『八河谷』 | 点名『八河谷』を後にして |
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峠から東へ向かえば鉱山跡を経て鳴滝山、東仙へと続く。そちら方向も歩いてみたいが、今回は 西方向(海上山方向)へ行ける所まで行ってみる。峠から一登りで最初のピーク、 二等三角点、点名『八谷河』には9時50分着。足下には廃材が散乱しているが、もとは小屋が 建っていた。
この三角点ピークも重要な分岐で、北へ向かえば2010年のルートで伊呂宇山へ向かうのだが、
我々はしばらく緩やかな尾根を西へ八頭と智頭の町境界い忠実に沿って歩く。
途中から右へ急斜面を下りきればそこは広い植林の鞍部だった。10時30分。
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大江越えに到着 | 石仏が出迎えてくれた |
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ここが『大江越え』と呼ばれている峠だ。いかにも重そうな自然石に彫りこまれた石仏がある。 姿は胸の前で合掌している地蔵菩薩立像だ。両側に 『文久二(1862)季』『戌八月吉日』とあり、下部には世話人の名前があるが読み取れない。三カ所(二カ所かも)の字(あざ)が彫られており そのうち『栃谷』だけ判読できた。もちろん大江側の字である。
現在の地形図を見ても八河谷からはともかく、大江側に下るにはそうとうの距離がある。
山ボーイさんからもらった資料にも『・・・難所にて茨茅生茂し道を歿す。・・・故に今は往来人稀なり・・・』
とある。
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食事ポイントを過ぎて786手前 | 786を過ぎてネットが現る |
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黙々と(実際は私一人でしゃべりっぱなし)歩き続けて771ピークで食事。11時50分。 どういうわけか三人ともバラバラの場所で食事。お昼になるとあちこちからお昼を知らせるサイレンやらが 時間差で聞こえてくる。お昼のサイレンは田舎ならではのゆるやかなシーンで好きだ。
昼食ポイントを過ぎると
それまで植林主体だったのが雑木が目立ってくる。786ピークは横着をして北斜面を巻く。
稜線に復帰するとそこは展望の尾根だった(ネットはあるが)。芦津方向がよく見える。
山ボーイさん展望に気を取られて地面にも張っているネットに足を取られないように注意。
やがて『G』に到着。
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重要な分岐『G』 | 正面に広い平坦地が |
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地形図では南北にルートがあるので明確な峠かと思ったがそうでもなさそうだ。 当初、山ボーイさんはここから虫井谷へ下る予定だった。確かに710.1三角点への尾根には歩けるだけの 空間が続いていた。ここで下山はもったいない、まだまだ時間も早いし、山ボーイさんは我々とさらに同行を続けることに。 後でわかるが、このルートは芦津へ続く『虫谷越え』という古道らしい。
虫谷越えを過ぎたすぐ先で馬の背様の広い鞍部が見えた。誰かが「あそこになんかがある!!」と叫ぶ。
あわてて近寄ると驚きのものが!!
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石仏だあああ! | 展望地なのだがそれどころではない |
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下草が枯れて真っ裸の尾根に石仏があった。大急ぎで近づいてみる。よくあるのだが、日光の具合によって 文字がまったく読めない場合がある(時間帯が違うと嘘のように読めることもある)。今回はその状態とともに 文字自体の磨耗もあってお手上げ状態だ。 |
なんて彫ってあるのか? | 石仏を後にする |
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それでも『右ハあさみ』と読めた。「『あさみ』ってどこやろ?」それは我々が下山予定にしている付近だ。 浅見、西野、米原など、いくつかの字(あざ)があるそのうちの一つだった。 ということは『左ハ・・・』は八頭の大江周辺のどこかになる。 ところがどう見ても『左ハあ志つ(芦津)』のように見えるのだった。峠にある道標に彫られた地名は 峠の両側の集落名であるという固定概念が邪魔をしていたようだ。この石仏は大江から登ってきた人が見て 左を行けば芦津へ下れるし(先ほどの『虫谷越え』を指す)、右を行けば浅見へ下れると言っているのだった。 目から鱗とはこのことか。
さらに言うと、峠にある道標は普通(ほぼ100%)峠に対して横向きにある。『右は○○ 左は○○』と彫られた文字と
方向が合うように立っているのだ。だが、ここの石仏は大江に正面が向いている。
前述の下山地を指し示すにはまさにこれが正しい立ち姿なのだ。
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パノラマで撮したらよかった | 北から南までよく見えます |
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浅見に下るのはこの近辺から一気に谷に下るのだろうか?わからないまま前進すると 送電線鉄塔が見えた。ここも大展望だ。山ボーイさんもTQFさんも立ち止まったまま動かない。 私は754ピークがまだまだ遠くに、しかも激登りに見えて時間的、スタミナ的不安を覚えてちょっと焦る。 そのことを二人に告げて先を急ぐ。鉄塔先の分岐に注意して754ピークへの尾根に乗る。 ここらは一年前に歩いた上板井原集落周回 の時の後半ルートなので地図を見なくてもスイスイ歩ける。 この尾根にもある送電線鉄塔を過ぎて、問題の754ピーク急登りとなる。 TQFさんがえらい馬力で早足で登り切る。14時10分。
ここで何度目かの鳩首会談。この754ピークからさらに西進を続け『西野越え』から下るか、
あるいはここから地形図にある点線のルート(浅見尾根と言う)で下るかだったが、なんとなくここから
下るという雰囲気になった。結果的にはこれが正解。向こうは林道なのでお日さんに照らされて
暑いに違いなく、こちらは始終植林だったので涼しかった。
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タヌキ掘りの跡? | なにやら人工的 |
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浅見尾根は地形図に点線が描かれているだけあって歩きよかった。ちょっと手を加えると MTBもほとんど乗れそうだ。下るにつれて植林の中の地形が怪しい雰囲気となる。 「鉱山跡でもあったのかなあ・・・」と思えるような箇所もあった。 下山後、浅見にあった看板には浅見谷の奥には間歩があったと書かれていた。
地形図でもわかるように標高点512の手前が怪しい平坦地になっている。その脇を通過していると
またもや「なんかある〜!!」の叫び声。見ると、あきらかに人工的な石が植林の中にポツンと、しかし
目立った存在である。やはり、この周辺には何か(鉱山とか、木地師とか・・・)あったようだ。
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うっそうとした植林内にかわいい題目塔発見 | 無事に下山 |
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『南無妙法蓮華経』とひげ文字で彫られた題目塔だった。『慶応四辰・・・』『三月日・・・』とあった。 実はこれは幻の年号で慶応四年の一月は明治元年となる。ただ、そのお達しが出たのが慶応四年の九月なので こういう石碑もあるのだ。
尾根の終点付近で道を見失ったがなんとか無事に里に到着。降りたった林道には浅見谷の
案内図があったりする。ここを訪れる観光客がいたりするのだろうか?
それにはいくつかの滝があるとか、間歩(鉱山跡)があるとか書かれている。谷の名前にも金山谷の
名前もあることからやはり鉱山があったようだ。
林道を少し歩けば浅見の集落だ。体育館横に止めていたTQFさんの車で山ボーイさんを堂本まで送り届けて我々も帰路につく。 気になるのは浅見集落から浅見越えに行くルートだが、浅見谷を遡ればその答えがあるのだろうか? あるいは我々が下った浅見尾根がそうだろうか?
今回の綾木峠〜大江越え〜浅見越えの地図は
こちら(約220k)
でごらんください。 |