若杉山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『下鍛冶屋』を参照していただくようお願いいたします。

2011.10. 9.  日曜日  晴れ  気温 ふつう

この山はそれこそ20年ぐらい前からMTBでチャレンジしてみたいと思っていた山です。今では米子自動車道もあることですし、 当時よりはアクセスしやすくなっていますから、20年越しのチャレンジしてみます。というもののどう行けば良いのか 土地勘が全くないのでわかりません。とりあえず湯原ICで降りてあとはナビまかせといきましょう。

車はいつのまにか鳥取県に入り、気が付けばとんでもない谷奥へと走っていく。大谷川の最奥にある大谷には 三朝町立南小学校の大谷分校があった(今も校舎は残っているらしい)。昭和59年だったかに『てっぽん かっぽんの詩』という、 分校にただ一人の生徒と先生とのドキュメント番組の舞台になったという。(てっぽん かっぽんとはこの近辺で言うところの フキノトウのこと)

その集落の さらに奥へ進むと明確な三叉路に出会う。ここには『←若杉山 大谷峠→』という木柱た立っていてこれが目印になる。 右の橋を渡れば大谷峠へ、左の舗装路を行けば若杉山だ。

開拓地の廃屋ここが駐車ポイント

未舗装の林道かと思いきや舗装路で電柱もある。その先には民家があった。ここはかっては開拓地として 生活の場であったが現在はすべて廃屋となっている。その先からは未舗装で路面もあまり良くないので 普通車ならこの辺に駐車するのが良いかも・・・。

駐車ポイントには9時10分頃着。と、そこにますでに先客がいた。しかもそれは豊橋ナンバー。 どうやら仕事をリタイヤして車中泊で登山を楽しんでいる人らしい。私も用意をして9時半スタート。

道はこんな感じ。登りでも乗れる下山する豊橋のおじさん

登り初めてしばらくで豊橋のおじさんが降りてくるのに遭遇。まったくの空身で手にはピッケル。 とうぜんお話をするが岡山の名だたる山はほとんど登っているらしい。ということは全国の山を 登っているということに他ならない。この後、仏が仙に登りたいと言っていたような・・・。

足元にはシバ栗がたくさん落ちている。お花もたくさん咲いている。まずはツリフネ草がお出迎え。 さらにマツムシ草だ。そういえば駐車ポイントの看板には翁草の群落もあるとあった。 その後もいろんな花に出会えた。ここは花の山らしい。

マツムシ草オタカラコウ梅鉢草

『A』地点には10時10分。花の写真を撮ったり、豊橋のおじさんと話し込んだりしたので 普通に歩けばもっと早い。ここから草原となり視界は広がる。目の前には若杉山のきれいな姿が見える。 頂上はあのピークの向こうのようだ。

ここは放牧地だったらしくて、これまでの道はそのための道だろうと思う。右に分岐があるが無視して直進。 青空の下ジグザグに登ると『B』の分岐に着。

『A』から草原となる『B』の分岐

小さな看板が立てかけられているのだが、文字は消えてしまってまったく見えない。 左に水平にある道を行けば『山乗権現』。これは今回の目的の一つ。 右に登れば当然山頂。
振り返るとこんな感じ

振り返るとそれまでのルートが一望できる。先ほど無視した分岐を行けば 『F』に行けるのだが、帰りに立ち寄ってみるとそこが翁草の保護地だったようで 周囲は柵で囲まれていた。
センブリリンドウホクチアザミ

『B』の分岐からようやく登りらしい登りとなる。MTBもここから担ぐことができてなんだかうれしい。 ここもジグザグの登りだが人が一人ようやく通れるだけの幅しかなく、傾斜も急で段差もあったりする。 MTB的には半分は確実に乗れる。そこを過ぎると傾斜は緩やかになり、まさに山頂が目の前となる。
山頂ですが・・・食事はここがベスト

山頂には10時48分。標高1020.6m。そしてここには三等三角点があるはずのだがいくら探しても無かった。 しばらく周辺を探してみるがどうにも見つからない。そのとき気が付いたのだが、ここ山頂に土塁があった。 どうやらここも放牧地なので牧柵として造られたのだろう。三角点があったと思われる所には『若杉山』の手作り標識があるが、 本来は『若杉仙』が正しいのでは?

北方向に踏み跡があるのでそちらへ行ってみる。するとそこは大岩の点在する展望ポイントだった。 食事はここで決まり!!誰もやってこないのでのんびりと過ごせます。本来は大展望なのですが、かすみが ひどくて、あっちが蒜山と大山方向だなあとしか言えない。たぶん倉吉の向こうには日本海も見えているはず・・。 無線のコンテストにサービスして、オカリナ吹いて、下山しましょ。

山頂より東方向を見る

改めて山頂からの展望も確認すると谷を挟んで東側の山脈が目の前にある。地図で確認するまでもなく あれは岡山の森林公園の峰々だ。現在は廃道となっている田代峠の向こうには泉山が見えるはず(空気が澄んでいれば)。 12時10分下山開始。
乗れ乗れデジカメで動画も撮る

デジカメをハンドルに取り付けて動画を撮ったり、ミニの三脚でセルフ写真を撮ったりで、 乗れ乗れコースなのに何度も立ち止まってしまう。ああ、もったいない。『B』の山乗権現分岐まで 全乗りと言いたいところだが難しい所がちょっとあって、そこだけ押しで下る。 そして文字のまったく見えない木札のある分岐から山乗権現方向へ向かう。
『B』分岐から山乗権現へ向かう大岩の下にそれはあった

最初は写真のような広めの道だが途中からようやく歩ける程度の道幅になってしまう。 そこにMTBをデポして先を行く。数分で大岩がそびえ立つポイントになり、 目をこらすと石仏があった。
人間との大きさ対比なんとも不思議な姿

これがなんとも不思議な姿をしているのだ。ちょっと間の抜けた顔、異国のもののような尖り帽子。波模様の着物。 しかし、よく見ると、右手に巻物、左手に錫杖、高下駄に半伽の姿。これは紛れもない役行者です。 しかし、これほどの異様なバリエーションは見たこと無い。

しかも名前は山乗権現!そもそも山乗の意味はなんでしょう?近くには山乗渓谷とか、はたまた実際に山乗山という山もある (山乗とは人物の名前なのか、あるいは地名なのか)。 名前から考えてこの権現様は山乗山にあってしかるべしなのに、なぜこの若杉仙にある。 ほんとは木製の祠に安置されていたのだが、倒木につぶされてここに置き直したらしい。 祠の残骸は周辺に残っているが中にあったと思われるお札などは無い。

この地域は大山寺の影響も大きいし、近くには三徳山もあったことから修験道の盛んだったことがうかがえる。 さらには周辺は(この山もそうだが)砂鉄の採取場でもあるし、 大谷のさらに奥には黄鉄鉱の鉱山もあったりする(修験と鉱山とは繋がりがあるし・・・)。 そういうのの関連なんかなあ・・・。

翁草保護地から振り返る

分岐まで戻ると倉吉から来た男性がいた。ちょっとお話してさらに下る。翁草の保護地に立ち寄ってみる。 周辺は杭とロープで仕切られているが内も外も雑草で同じような感じ。でも春になると違うんだろうなあ。
気持ちよく下れます

ノンストップと言いたいところだが写真やら動画を撮るたびに止まる。しかしこれだけ乗れると気持ち良い。 頂上からノンストップなら駐車ポイントまで15分?あるいは10分か。 やはりもったいないからゆっくり下ろう。
大満足でゴール美作北2号線は快適林道

駐車ポイントには13時05分。帰路は同じ道ではなく大谷峠へ向かってみる。細い舗装路には落ち葉などが 積もっていてあまり通行がないようにみえる。津黒山方面を見ながらやがて三叉路の峠に着。右を行けば津黒高原だが 通行止めの看板がある。左に行けば岡山森林公園と奥津温泉へ。

この峠は現在こそ舗装路だが昔からある古い峠だ。そこで石仏が無いかと周辺を見たが見あたらない。 実はのり面の上にあったらしい。次回来ることがあるならぜひ見てみたい。 林道は快適で稜線を走っているために展望も良い。泉源という集落に降りる分岐で 大谷峠方向に通行止めの看板があった。津黒高原へ行かなければ通行可能だが林道はいつ どうなるかわからないだけに注意が必要。

奥津温泉で汗を流して今日も楽しいMTBでした。

今回の若杉山の地図は こちら(約125k) でごらんください。


それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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