はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『因幡郡家』を参照していただくようお願いいたします。 2011. 7. 9. 土曜日 曇り 気温 あつい
2008年に氷ノ山ネイチャークラブの主催による 三倉洞窟探検 なるイベントに参加したことがある。そのときに知ったのがこの遠見山。『とうけんざん』と発音する。 由来はわからないが、ひょっとしたら日本海海上からのランドマーク的な山で、こういう名前になったのかもしれない。
今回TQFさんと二人で登ることになったが、ルートは現地で決めることとする。
実はこの遠見山の存在を知ったときから考えていたコースがある。それは若桜の駅を起点として、
465.5三角点〜遠見山〜遠見峠(小畑越)〜973.0三角点〜1017〜949(三倉富士)〜778.5三角点〜若桜鬼ヶ城趾
というロングコースの周回である。一度地図で確認してみてください。
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若桜神社へお詣り | 本殿前から左へ向かう |
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若桜駅には8時30分着。今日も暑そうだ。この暑さではとても前述のロングコースは無理なので今回はショートになりそう。 若桜の市街地から三倉へ車を走らせ、その手前にあるスペースに駐車をする。 車中の相談で、途中にあった若桜神社から登ろうということに。8時55分スタートで神社へ向かう。 神社の長い石段を登って本殿で柏手を打ち無事な山行きをお願いする。9時10分。 |
支尾根に取り付く | 三等三角点『宮の谷』と謎の施設 |
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私は本殿裏側の斜面から登って、点名『宮の谷』へ行こうと思っていたのだが、 TQFさんは神社の南にある谷(たぶんこれが宮の谷という名前だと思う)を横切って、 ショートコースで点名『宮の谷』へ行こうという。 それに従って耕作地跡のある広い谷を横切って、ここぞと思える斜面をよじ登る。
三等三角点『宮の谷』標高465.5mには9時47分着。ここには謎の施設がある。
それは堅く扉の閉ざされた送信施設と思われる建家と、先端に2m帯と思われる八木アンテナが
取り付けられた電柱。それらが2基づつまったく同じものがある。どちらも銘板が無いので
何のための施設か不明。ひょっとして防災用のものかな?
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MTBもOKな道 | 町境界ピークにある反射板 |
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この付近はめちゃ快適な尾根道だ。逆のコースならMTBでの乗車も可能。 ただし、人の往来もあるのかゴミが多いのが気になる。 もうすぐ八東町と若桜町の境界尾根に出るねえと話していると ひょこりと出た。10時22分。
ここにも人工物があった。それはマイクロウエーブ反射板。銘板には『遠見山反射板』とあり、
建設省が平成元年3月に設置していた。2カ所ほど切り開きがあり真下には29号線とか、
遠くに鳥取市街地手前にある風力発電の風車が見える。
反射板からは八東と若桜の境界尾根を歩くことになるのだが、結構良い雰囲気になってきた。 右側の八東の斜面が良い感じでそちらを歩いてみる。
斜面をトラバースすると足首をひねりそうで怖いのだが自然林の誘惑に負けて そちらを歩いてみるのだった。新設の四等三角点『倉繁』標高605.7mには10時45分着。 金属標が埋め込まれて、小さく切り開かれたピークだが、日に照らされて暑いので素通り。 |
暑さと空腹におそわれる | 遠見山手前はアセビの藪 |
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この後、暑さで記憶が定かではない。あの極楽だった自然林帯と違い、 三角点『倉繁』を過ぎてから 枝打ちしていない植林が行く手を遮るようにあって前進しにくかった。 氷ノ山ネイチャークラブの山ボーイさんがそのHPでレポートしていた チャートの露岩帯は確認出来た。
途中のどこかでおやつ休憩をして空腹をごまかしたのだが、それも
どこだったか記憶が無い。やがて尾根にはアセビがはびこりだして
進みにくくなってきた。右に左にかわしながら
登っていくと、前を歩いていたTQFさんから「着いたよ〜」と声がする。
三等三角点『本谷』標高805.9mには11時38分着。予定通りというか、偶然というか、 ちょうどお昼に山頂にたどり着けた。 あまりの暑さに二人ともグロッキー・・・。まずは泡の出るジュースを飲み干して人心地がつく。
写真のように頂上は展望は無いが涼しい風が救い。北斜面は植林で八東から登ってきている踏み跡もあった。
そうそう、ほとんど同じ時間に山崎を出発したOAPさんたちは、
今日は扇ノ山に登っている。試しに無線で呼ぶと山頂まであと15分ぐらいだという。
その後、山頂に着いたOAPさんたちと交信を終えたのをきっかけに下山を開始。
12時11分。
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遠見峠へ向かって下山 | こんな標識を発見 |
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下り初めてすぐの所で右下を見ると茂谷の集落が見えた。それもすぐ近くに見えて、 大声を出せば届きそうな感じだった。登りに使ったコースはちょっと手入れをすれば MTBで下れる尾根だったが、こちらはMTB的にはよろしくない。
途中で水場があったのでそこで顔を洗う。ちょっと生き返って、最後の登りである758ピークへ。
そこから下ればいよいよ峠だなあと思っていると、目の前に変な板きれがぶらさがっているのに気が付く。
反対側に回り込むと写真のような看板だった。TQFさんが展望を見に行こうと言う。
もちろん私も見てみたい。
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絶景ポイント |
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それはさきほどの水場の斜め上だった。この758の北斜面は伐採されており、 その跡に幼木が植えられているので遮る物が無い。文字通りの大展望が楽しめるのだった。 今回唯一の展望所と言うわけだ。
自分たちの立っている場所の真下に変な平坦地がある。山ボーイさんも何だろうと 思っているようだが、ヘリポート跡じゃあないだろうか? ここを伐採した際に、それらの木材をヘリでつり降ろしたと想像するのが一番自然かも。
氷ノ山から扇ノ山までの展望を楽しんでさらに下山を進めるときれいな道と合流した。 どうやら中国自然歩道らしい。これが昔の峠道かな?地形図で現在地を確認すると 地形図にある峠道とは違っている。それも確認したいし、もちろん峠の石仏も見たいので 峠へGO! |
峠の石仏 | そうとう年月が経っているようだ |
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中国自然歩道の標識の残骸があった。その脇に石仏のある石室がある。地形図を見ると 点線ルートの峠箇所はここより標高的にちょっと上なので、TQFさんは確認のために斜面を登っていく (結局、点線のルートは消失しているようだった)。 私はその間、石仏の観察だ。
地蔵菩薩立像で、ずいぶんと古いのか、あるいは風雪によって痛め付けられたのか、後背部分にある文字は読みとりがむずかしい。
かろういて『奥野(この峠を越えた八東側にある集落)』という文字と『門』という文字(これは寄進者の名前の一部だと思う)だけが読みとれた。
さらにこの地蔵だが、左手に長細い持物がある。右手なら錫杖だが、左手なので未開敷蓮華だと思われる。
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階段もある自然歩道を下る | 林道に降り立つ |
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自然歩道の標識には『遠見峠』となっているが、地元では『小畑越』と呼ばれているようだ。 その昔、鳥取から兵庫を目指すときは八東川に沿って登るのではなく、この峠を越えるのがメインコースだったという。 さらに言うと、智頭町から伊勢参りをするときも綾木峠を経て柿原に降り立ち、そこから奥野へ、さらにこの小畑越で 若桜の宿に出る。そしてつくよねから氷ノ越えというルートで元伊勢の参拝もしたのだろう。 今、我々は自然歩道と名前は変わってしまったが、昔の伊勢街道そのものを歩いているわけだ。 これらを歩くことは古の人々の信仰の道の再確認というすばらしい経験ができるのだ。 その自然歩道の階段が私の弱い膝を痛め付ける。痛さをこらえて林道には13時55分着。そこから 舗装の林道を下って駐車ポイントには14時45分。 さすがに二人とも暑さでぐったりの一日でしたが念願の遠見山に登れて満足でした。
今回の遠見山の地図は
こちら(約185k)
でごらんください。 |